「Zi学園テニス部の朝練」

 

「ふわぁ〜あ。」

大きなあくびと共に黒の短髪の青年が部室に入ってきた。
中では2,3人の部員がいそいそと着替えを始めている。

「おはよう、バン。」

「先輩、おはようございます。」

「・・・あっ、おはよう・・・。
ふわぁ〜。」

それぞれが挨拶をする。
名前を言ったのは、銀髪の青年、レイス・クリスナー。
俊足を生かしたスピードプレイが得意で、“スピードエース”と呼ばれている。
明るい性格だが、女性を目の前にすると固まってしまう。
 先輩と呼んだのは1年で彼の後輩のシャドー。
バンの部のライバル、レイヴンの従弟だが、性格は全然違う。
一方は無口でクール、もう一方はごく普通のいい後輩だ。
そして、あくび混じりに挨拶したのは・・・、

「先輩、しっかりして下さいよ・・・。」

「ねみぃんだからしょうがないだろ・・・。」

彼の先輩、3年のケイン・アーサー。
一応、部長なのだが・・・、どこか頼りない。
朝はいつもこの調子なのだ。
それでも、彼が部で一番強い。
だから部長をやっているのだが・・・。
得意技は落ちた後、ボールがネットに戻ってくる伝家の宝刀“ドロップショット”と
彼が本気になったときに見られる“ケインマジック”と呼ばれる技。
この説明はまた後ほど。

「リッドやシュダ、ビット達も、もう練習を開始してますよ。
さっき打ち合ってましたから。」

紹介が遅れたが、彼はバン・フライハイト。
テニス部の2年エースで、パワーを生かしたダンクスマッシュが得意技。
1年の春からレギュラーを獲得している実力者でもある。
明るい性格で部のムードメーカー的な存在。
彼女あり。

「へいへい・・・。
それで、ジークとレイヴンは?
また遅刻か?」

「一応、起こしたんですけど・・・。」

「右に同じ・・・。」

バンとシャドーの苦笑い混じりの説明に、ケインはただあきれかえっていた。
レイヴンとジークの遅刻は毎度のこと・・・。
後1人、さぼりの常習犯がいるのだが、やっぱり来ていないようだ。

「来たら、『グラウンド20周』と言っておいてくれ、例の3人にな。」

はぁ、と溜息をつくと、着替え終わった彼はラケット片手に出ていった。
彼の悩みの種である。
しかもレイヴンはレギュラーなのだから・・・。
ちなみに先程名前が出てきたリッドとシュダ、ビット、そしてレイスもレギュラーである。
 リッドは2年でケインの弟で兄譲りの天性の勘を持っている。
ただ、やっぱり経験がものを言ってケインにはいつも負けてる。
相手の顔面に向かって跳ね上がる“ツイストサーブ”と、
スライディングとジャンプの連携技であるトップスピンボレー、“ドライブB”が得意技。
クールでやや天の邪鬼な性格だ。
ちなみに甘い物好き。
 シュダはレギュラーの中でも特別目立った存在の3年。
精神力で勝負をするタイプで相手をヘトヘトになるまで追いつめる戦術が得意。
しかも彼自身かなりのスタミナがあるので、滅多なことでは疲れない。
そんな性格だから、あだ名は「マムシ」や「毒蛇」。
本人も蛇顔なので周りからはピッタリだと言われている。
得意技は異常なスピンを掛け、ボールの軌道を鋭く曲げるバギーホイップショット、“スネイク”と
一般にポール回しと言われる技、“ブーメランスネイク”である。
しかし、後者はまだ未完成のようだ。
性格は暗く、他を寄せ付けない。
ただ1人を除いては・・・。
ちなみに、結構動物好きで、猫と蛇を飼っているとか・・・。
 ビットは2年生。
動体視力がよく、どんなスピードボールもコマ送りで見える。
得意技は特にないが、ネットプレーにおいてアクロバクティックな動きを見せる。
性格は楽天家で責任嫌い。
テニスの勘は天性のもの。
学校の報道部に従姉がいるが、彼女には勝てないらしい。

「おはよう、ケイン。」

「ああ、おはよう、クルス。」

ケインが入り口のところで白髪の青年に挨拶を交わす。
彼はここの副部長をしている3年、クルス・カルマである。
彼がケインのサポートをしているだけあり、評価は絶大。
得意技は中ロブ気味のトップスピンボレー、“ムーンボレー”。
このコントロールが絶妙なのだ。
ちなみに幽霊とかその類が苦手。

「デスは見なかったか?」

「見なかったが・・・、またさぼりか?」

ケインの様子で事情を飲み込んだ彼。
彼が黙ったときは悩みの種が芽を出したときぐらいなのだから。

「朝練に来なかったら、放課後に走らせておいてくれ。
同じクラスだろ。」

「今回は何周だ。」

「30周で勘弁してやる。
じゃあ、先行くぜ。」

そう言ってトコトコとコートに向かうケイン。
クルスはやれやれと言った表情でそれを見ていた。
ここで例の3人を紹介しておこう。
 レイヴンはバンのライバルで、天才的なプレーヤーだ。
バンとは反対でクールで無口、
シュダほどは人を嫌っていないが、あまり他と話している姿は見られない。
美形なのでファンクラブが出来るほどの人気だが、幼なじみの彼女がいる。
得意技は相手のトップスピンショットに
さらに回転を与えて返す2乗のスライスカウンターショット、“つばめ返し”と、
スマッシュを遠心力を使って完全に無効化し、相手の後ろに落とす、“ひぐま落とし”。
ちなみにバンとはプライベートでは仲がいい。
 ジークはバンの従弟で一緒に住んでいる。
恐がりだが優しい性格で、レギュラーを目指して奮闘している。
シャドーとは仲がいい。
寝坊が多いのが欠点だ。
 デス・チェイサーはさぼり部員で有名な3年生。
シュダと同じく精神力で勝負するタイプ。
どんな球でも拾える柔軟性がウリだ。
シュダと被るのがちょっと嫌みたいである。

 

 ケインがコートに入ると同時に、部員の挨拶が響いた。
そして、あることに気付く。

「あれ、シュダはどうした?
いるって聞いたけど・・・。」

「先輩でしたらランニングに行きましたよ。
部長が来るまでには戻るって言ってましたけど・・・。」

金髪碧目の青年がそう説明した。
彼がビットである。
その奧では、ケインと同じ黒髪の青年と、
茶髪でジャージの下にびらびらを付けた青年が打ち合っていた。
前者が彼の弟のリッドで、後者は2年部員でビットのライバル(自称)のハリー・チャンプだ。
ハリーは結構名の知れた財閥の御曹司で、派手な格好が特徴。
ちなみに制服にもびらびらがついている・・・。
性格は一言で言うとギャグメーカー。

「リノ〜〜〜ン、君が好きだーーー!!!」

ハリーの叫び声と共にスマッシュが放たれる。
これが彼の「告白スマッシュ」。
しかし、威力はさほど無く・・・、あっさり打ち返されてしまう。

「まだまだだね。」

リッドのツイスト回転ショットが決まり、敢え無くゲームセット。
彼は今、右手で打ったが本当は左利き。
二刀流も彼の得意技だ。
ちなみにボールはハリーのおでこを直撃したとか・・・。
そして、「まだまだだね。」が口癖の彼も、結構もてる。

「あいつ、絶叫に集中しすぎてないか?」

「いつものことでしょ。」

ここでハリーが言っていたリノンの事について説明しておこう。
本名はリノン・トロス、ここの校長の娘である。
部活は女子テニス部。
がさつな性格で、ダブルスなんか組んだら、味方にボールをぶつけまくる・・・。
ハリーが惚れているが、実はビットの彼女なのだ。
よって、ハリーがビットをライバル視しているわけ。
だが試合をしても話にならないのが現状だ。

「あれっ、トーマは?
練習メニューを頼んでおいたんだけど・・・。」

「お兄さんに呼ばれて、職員室に。
また赤点でも取ったんじゃないんですか?」

「あいつもグラウンド20周だな・・・。」

「可哀相な奴・・・。」

ケインとビットの会話。
トーマはこの部きっての頭脳派プレーヤーで、
データを収集し、戦略を練るデータテニスが得意。
得意科目が物理だけあって、根っからの理数系。
今はマネージャーの様な存在で普段の練習メニューや、
レギュラー個人の弱点を克服するための特訓などを考え出してくれる。
ちなみに性格は真面目なのだが、女の子に弱いのが欠点・・・。

「よし、ほとんど揃ったな、全員集合!」

バン達がグラウンドに来たことを確認し、号令を掛ける。
そして、朝のミーティングが始まった。
ここで、もう1人部員を紹介。
ジーク達の友達であるガースだ。
結構大人びている性格で、「本当に1年か?」と言われることがしばしば・・・。
彼等と一緒に行動することが多い。

「・・・以上、練習を再開する。
1年は球拾い、2,3年はCコート、レギュラーはA,Bコートでそれぞれ練習開始!!」

『はい!!』

こうして、再び練習を再開、8時半ぐらいまで練習していた。
ちなみにレイヴン達はものの見事に遅刻、走らされたのは言うまでもない。
個性豊かなZi学園高校男子テニス部、活躍を期待する人は多い。

『ファイトーーー、オーーー!!』

 


はい、Zi学園アナザーの最初、こんなになってしまいましたがどうでしょうか?
部員の紹介だけで終わってしまった・・・。
まぁ、次からはいろいろな騒動が起こることを期待してください。
フィーネ達、出てこなかったな・・・。
それにテニプリをまんまぱくっちゃったけど、いいのかな?
まぁ、頑張っていきます。

 

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