「Zi学園報道部会議」
〜彼女達の放課後〜

 

 報道部は中等部、高等部に隔週で「Zi学タイムズ」を発行する事、
学園のイベントや全校集会の時などの放送をつとめるのが主な活動内容だ。
幅広い情報収集力と情報網を持ち、教師達にも一目置かれ、生徒達にも文化系で最強の部といわれている。
現部長のモットー「多くの人に“真実”と“真心”を伝え、元気の出る報道を!!」
部室は結成当時、余っていた高等部の空き教室の一つをもらった。
中高生合同で、一応、毎日が活動日とされている。
高等部と中等部の校舎は渡り廊下で繋がってるので移動は苦ではない。
週1回、取材状況報告・結果発表会を設ける以外の時間は、各自の判断で自由に行っている。
そして、今日の報道部の活動はこれから始まろうとしているー。
今回は彼女達にとって、特別な放課後であった。

 

「それでは、今月のZi学園報道部会議を始めたいと思いますっ!!」

Zi学園報道部会議とは・・・報道部の部員全員が月に1回集まり、
今月の反省、今後の予定、よりよくニュースを伝える為のアイデアから部員同士のハラを割った話し合いまで、
何でもオーケーな月イチ会議である。
自由な校風のZi学園に相応しい自由な感じだが、ある意味無法で危険な会議でもある・・。
つまり、小学校で例えるなら学級会みたいなものだ。
部長のジュジュが司会進行とジャッジメント、副部長のアリスは書記、
顧問のゲイルは議長となって、会議を進めていく。
部員のアレス、セリエルに加えて大学生で元・報道部部長のルーク。
卒業してるのだがしょっちゅう部室に来るのでほぼ部員扱いになっている。
会議はこの6人で行われている。

「・・・では、何か意見のある人は挙手して下さい。」

「はーい。
・・“現像室”あったら便利だと思うんだけど。」

一番先にそう言ったのは、アレスであった。
彼女は写真が好きで、よくジュジュとカメラや撮影方法の技術やら、
お互いの写真についての感想とか、部室で色々と話をしている。
新聞に載せる写真は近くの写真屋にまとめて現像に出していたのだが、
部費も時間もかかるのでなかなか大変なのだ。

「そうね、部室に現像室があったらすぐチェックできるものねー。
それは私も思ってた。」

「でも、現像できる人いるんですか?
場所だってないし・・。」

アリスがそう言うと、アレスとジュジュが「俺、できるよ。」「私、できる。」と即座に反応した。
すると、場所についてはゲイルが隣の空き教室を使えばいい、と返答した。

「未使用のまま腐らせるより、生徒の為に有効活用した方がよっぽどいい。」

「教室って腐るのか??
みかんじゃないんだぞ。
・・・でも、いいなあそれ。
じゃあ先生が使用の申請、出してくれよな。」

「へいへい・・・。(面倒くさいが・・まあいいか。)」

「道具とかはどうするんですか?
現像液とか・・。」

「私がバイト先の写真スタジオで、頼んでみる。
大体調達できると思う。」

現像液とかは入手先を教えてもらって、こちらから頼めばいい。

「でも・・そうなったら・・新しく気をつけないといけないことが、出てきますね。」

そう言ったのはセリエルである。
現像液、停止液などに浸かった手は、作業後早く洗わないと3日は独特の強い匂いが落ちない。
現像中は窓に暗幕、ドアをきっちり閉めて一切の光を遮断しないといけない。
うっかり一瞬、外の光を入れただけでも感光し、フィルムは真っ黒、撮った写真が全部パーになる。
写真の現像作業とは、非常にデリケートなものなのだ。

「なんとかなるだろ。
な、部長?」

アレスが根拠はないが自信ありげに言うと、ジュジュもお気楽そうだが有無を言わせない感じで言った。

「だいじょぶ、なんとかなるでしょ!
じゃあ、道具と部屋が揃い次第、現像室を作ると言う事で決定します。
反対、質問などは?」

「ありませーん。」(一同)

「じゃあ、他に意見のある人は?」

「はい。
・・写真で思い出したんですけど、新聞に載せた写真を欲しいって生徒が結構いるんですよ。
うちも写真の販売しますか?」

と、アリスが学校の各所に置いてある意見箱(ネタ提供箱ともいう)に寄せられた
「写真下さい」と書かれた紙の束をどん!と机の上に置いた。

「・・・こんなにあるの・・?」

「ほぼ女子生徒ですが、男子生徒もあります。
理由は「好きな人の写真が欲しい」ですね。
他の害も悪用の心配もないと思いますけど・・。」

「う〜ん・・・うちは販売目的じゃないからな〜・・・ピンと来ないわ。
そういうのは写真部に依頼して欲しいと思うんだけど・・・。」

「でも、何か嬉しいよな、こーいうの。
俺たちの情報が、誰かの力になったり助けになったりしてるみたいでさ。」

「好きな人の事を知ったりできるのは、嬉しいですよね〜・・・。
かっこいい人のかっこいい瞬間なんて、最高ですよね〜・・。」

ほのぼのぼの〜・・と誰かの姿など思い浮かべてるのだろうか。
セリエルの顔は少々赤かった。

「本人の許可なく売るのは、肖像権の侵害になるわ。
・・かといって、取材の度にそう言う事聞くのも、どうかと思うし・・。」

きっぱりずっぱり言ったのは、ジュジュであった。
「個人依頼を受けて撮るのか、テーマを決めて撮るのか」
「撮る事が目的か、伝える事が目的か」などなど。
単純に報道部と写真部での「写真」を撮る目的や使用方法の違いを考え、
はっきりさせておくべきだと考えたのだ。

「あ〜じゃあ、こういうのはどうだい?
1度っきり、期間限定で写真の販売をしてみようよ。
1度くらいなら大丈夫でしょ。」

それまで傍観に徹していたルークが、そんな事を言った。

「・・・・?
どういう事ですか?」

「秋の学園祭で、恒例の作品展示会するだろ〜?
その時だけ売るのさ。
用紙を作って“希望者は番号とクラス、名前を書いて下さい”って。
売り上げは部費に回して、新しいフィルムとかを、また買う。
皆の心も、お財布も潤う。
自分の実力も測れる、いい方法だと思うけど?」

「あ、なるほど・・・。それはいいかもしれませんね。
学園祭なら、学外の人達の目にも入りますし。」

「そうね・・・(実力を測る・・か)。
じゃあ、被写体になった人に事情を話して、許可が多くもらえたら試してみましょうか。
今年の学園祭で。」

「断る人なんて、いないと思うけどね。
今年は良心的な商人か〜楽しみだね〜♪
あ、お客の秘密はもちろん厳守だよー。」

「商売方法などについては、私が全面担当していいでしょうか?
部長。」

「副部長に一任します。
・・・皆もいい?」

「異存ありませーん。」(一同)

アリスは家が商売をしてるので、一番適任だろう。

「じゃあ、他に意見のある人は?」

「はい。
・・・あのー、高等部のアスカ先輩って、占いをしてますよね?
あれをコーナー化して欲しいっていう声があるんですけど・・。」

セリエルが意見を述べると、後ろでルークがつぶやいた。

「雑誌の星座占いとか、女の子は占いが好きだねー。
でも、彼女はここの部員じゃないから、難しいねー。」

ちなみに部員達はそれぞれ自分達のコーナーを持っている。
記事は毎回、担当のコーナーと学園内の予定に基づいたテーマにそったものと、2つ提出するのだ。
ジュジュは生徒達の飼ってるペットの紹介コーナー「今週の“ワン”ショット」
(一番目に犬を撮った為、この名がついた)、
アリスはお得な店やおいしいお菓子のお店、遊び場など楽しそうなスポットを紹介する「今週のみちくさ」、
アレスは面白かった映画や舞台を紹介する「おすすめしまSHOW」(ちなみに、命名者はアレスではない)、
セリエルは霊感の強い顧問のゲイルと「今週の心霊相談」というコーナーを持つ。
(部長はこの記事のチェックに一番時間を食う)
ルークはほぼ自主的に「4コマ漫画」を趣味で担当している。

「でも、恋愛のことで悩んでる女の子にとって、アスカ先輩の占いと話は、すごく励みになるんです。
個人の秘密は厳守で、差し障りない範囲で載せられる事が出来たら、
同じ様な悩みを持つ人達にも、きっと力になれると思うんですよ。」

「セル、何か必死だな〜。
可愛いぞこいつう♪」

「アレス先輩、からかわないで下さい〜。」

「事情だけでも彼女に話してみたらどうだ?
結果は返答次第だが。」

「じゃあ、私が行きますよ。
クラスが同じですから。」

「あ、まってアリス。
部外なのに頼んでみるんだから、部長自ら行かないと失礼でしょ。
私も行く。」

恋愛の事はよくわからないけど、読者の意見は大切にしなければ。

「じゃあ、部長と私が明日にでも掛け合ってみますので、それまで保留と言う事にします。」

「いいですか?」

「いいでーす。」(一同)

「じゃあ、次は私から提案があるんだけど。
・・・アリスとアレス、来月のトップ記事、やってみない?」

「・・・・・・は?」

「うっそ!まじでやらせてくれんのかっ?!
来月って言うと・・メインは男テニの試合模様だなっ!」

「この間、ゲイル先生とルーク先輩と話をしてね、“そろそろいいんじゃないか”って。」

「僕も大体、今くらいの時期にやったんだよ。
アリス君の記事とアレス君の写真の組み合わせっての、見てみたいしね〜。」

「ただし、生半可なものだったら今までどおり、ジュジュに戻すからな。」

ゲイルがプレッシャーをかける。

「精一杯頑張るぜっ!
アリス、2人でいい記事つくろーなっ!
よろしくなっ!」

アリスの肩をばんばんたたくアレスの力に、
眼鏡がずれ落ちそうになるのを抑えながら、アリスが言った。

「出来がよかったら、以後はトップは私たちのローテーションでやらせていただけるんですか?」

「あはは、言ったわね〜。
・・でも私、引退まで譲る気ないわよ。
今回は力試し。
貴方達の力を見せてみなさい。」

「ジュジュ先輩、楽しそうですねー。」

よき仲間であり、ライバル。
お互いの力を磨きあえる、素敵な関係だと思う。

「ライバルが多いほど、バトルは楽しいってね。
・・・従弟の受け売りだけど、何となくわかるわ。
ふふ♪」

「まっけないぞ〜!」

「それは、こっちも同じよ。
・・・頑張ってね。」

「はい!(×2)」

部員達の様子を眺めながら、ルークはニコニコと笑っていた。

「いつも活気があるし、皆元気だし、ここはいいねえ。大好きだよ。」

「・・・でも、大学の講義にはちゃんと出ろよ。
ここに馴染みすぎるのも問題だぞ。」

「わかってますって、ゲイル先生。
ちゃんと出てますよ。(身代わり人形が)」

「・・・・では、他に意見のある人はいませんか?」

「ありませーん。」(一同)

「それでは今回の会議で出た案についての結果は、随時報告する事にします。」

副部長が記録帳を閉じ、最後に部長がしめくくる。

「それでは今月のZi学園報道部会議を終わりますっ!!
ご苦労様でしたっ!解散っ!」

「多くの人に“真実”と“真心”を伝え、元気の出る報道を!!」
読者の為の、よりよい記事を目指して。
今日もZi学園報道部は頑張っている。

END

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あとがき

こんにちわ、HAZUKI様。
Zi学園報道部の活動内容のひとこまを書きましたが、
途中で何がなんだかわからなくなったりしました(おいおい)
私は小学校の頃、放送委員会をしてました。
毎日の給食の時間の放送や運動会、全校集会や活動とか・・忙しかったです。
自分の声が多くの人の時間を管理したり、影響を残したり・・
だから失敗したときの責任も大きかった・・(顧問の先生のげんこつはめっちゃ痛かった・・)
そんな事を思い出しながら書いてたりしました。
写真というのは、目に見えるものも見えないものも空間ごと切り取って、
永遠に遺す事のできるものだと考えてます。
“いい写真”というのはその場所、その瞬間の『空気』を感じる、込められた『思い』が伝わってくる、
撮る側が撮られる側に、見る側が写っている側に共感、共鳴−例えるなら、
一度もサッカーをした事がない人が、サッカーをしてる人たちの写真を見て、
自分も一緒にわくわく試合をしてるかのような、
その場に立ってるかのようなイメージを思い浮かべる事のできる・・
そういうものじゃないかな、と思います。
鋭い観察眼と優しいまなざしで瞬間の真実、真の心(真心)をとらえ、伝える。
・・・何かのカメラ関係の本にあったような(笑)
とにかく、いい写真、いい記事というのは上手、というのでなく、
より本質を射抜くものなんだと言う事でしょう(結局何が言いたい)
あーもう、ジュジュがカメラマンらしいところまともに書いてないから、
こんな所でうんちく語ってしまいました(反省)
すみません。
・・・それにしても、文化系最強の部の部長というジュジュ(汗)
どこまで強くなるんだこの子は・・・(笑)
ビットの言葉を受け売りしちゃってますが、実はもう一人、言葉を受け売りしてます彼女(笑)
さて誰でしょう??
あっちの方ではプロですが、こっちの彼女は学生。
色んな姿が書けて楽しいですー♪
こんなチャンスを与えてくださりありがとうございます。
部員たちの口調がこんなんでいいのかなーとか色々不安はあります(汗)
でも出します!受け取って下さいー!では失礼します!


燃えてますね、ジュジュ達。
報道部は文化系最強か・・・。
何か、分かる気がします・・・。
なんか、学園祭が荒れそうなのは気のせいでしょうか・・・。
後、テニス部の絡みも面白そうです。
写真売って、怒るのはシュダだろうな・・・。
シュダ「人の写真、勝手に売って儲けてんじゃねぇぞ、こら。」
不良より恐い彼です。(でも、優等生・・・。)
私の方もテニスの試合を書かないとなぁ〜、って思いました。
続きが楽しみです。

 

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