「“兄”と“妹”の悩み」

 

グラウンドやテニスコートからボールの弾む音や騒ぎ声、
そして微かに悲鳴や絶叫(笑)が聞こえる部活時間の放課後。
ここはZi学園の園芸・栽培部が管理する、さほど大きくない花壇。
レミエルは一人、花壇の手入れをしていました。
すると、

「よ。
レミであってたよな?」

「デス先輩」

テニス部で、『腕はいいのにサボり魔』として有名なデスが現れた。

「部活はいいんですか?
テニス部は練習中のはずですよ」

「ん〜、サボり。
つか、一人でやってんの?」

レミエルの問いに、『本当にやる気あんのか?この人』的な答えを返し、レミエルの問い返した。

「ええ、他の方は、別の花壇や菜園の手入れをしに行っているんです。
この花壇だけでしたら、私だけでもどうにかなりますし、それほど部人数も多くありませんから」

「ふーん・・・。
じゃあ手伝ってやるよ。
どうせ暇だし」

暇なら部活行け、部活。クビにされるぞ。
そんな作者(千夏)の声を無視して、花壇の手入れを手伝い始めた。

「いいんですか?
部活に参加しなくて・・・・」

「平気だろ?
レギュラーじゃないし」

「そういう問題でもない気がするんですけど・・・・」

そう呟くが、言うだけ無駄と判断してか、花壇の手入れを再開した。

 

しばらくして・・・・。

「お互い苦労するよな」

「なにがですか?」

唐突によくわからない言葉をかけられ、少し困惑するレミエル。

「姉妹のことだよ」

「あ・・・・」

レミエルは納得したように頷いた。
レミエルの姉、セリエルは恋愛や女性に興味の薄そうな高等部3年のシュダに、
デスの妹、アレスは理系で真面目だが、フェミニストで女子テニス部のフィーネに惚れているというトーマに、
恋愛的好意を持っていた。
デスが言っているのはそのことだろう。

「確かに。
ですが、苦労はしていませんよ?
心配ならしてますけど」

「心配?」

「はい」

レミエルは続けていった。

「セルちゃん、初恋みたいなんです。
だから傷ついてしまわないかって・・・・。
『初恋は実らない』とも言いますし・・・・」

そこまで言って言葉を濁した。

「なるほどな。
でも、シュダは結構いいヤツだぜ。
敵に回すとやっかいだけど、味方だと心強いし、案外優しいとこもある。
動物好きだし。
大事なヤツはとことん守るタイプだぞ、アレは。
うちのアレスなんてトーマだぜ?
あんなフェミニストで優柔不断なヤツのどこがいいんだか」

そう言ってレミエルの方を向くと、レミエルは意外そうな顔をしていた。

「どした?」

「あ、いえ。
デス先輩ってシュダ先輩と仲が悪いと伺っていましたので、
そのように言われるとは思っていませんでしたから・・・・」

その答えに、デスは少し呆れたように言った。

「まあ、確かに仲がいいワケじゃねぇけど、俺はシュダを嫌っちゃいねぇぜ?
向こうはどうだかしらねぇけどな」

「そうなんですか。
話を戻しますけど、トーマ先輩はそんな悪い方ではないと思いますけど」

「んあ?」

少し間を置いてからレミエルは話し出した。

「確かにトーマ先輩はフェミニストで優柔不断ですけど、いいところもありますよ。
効率のいい練習メニューを考案や、機械の扱いに長けていますし、
表情もよく変わる楽しい方だ思いますけど」

レミエルがそこまで言ったところで、デスは大声で笑い出した。
驚いた様子でデスを見ていると、治まってきたのか、まだ少し笑いながらレミエルに言った。

「アハハ・・・お前ってホント・・・心配性だな・・・」

そこまで言って呼吸を整え、続けていった。

「レミだって、アレスと似たようなもんだろ?
婚約者が違う女に惚れてんだから」

「でもそれは親が決めた結婚ですから」

そんなデスの言葉に、レミエルはなんでもないことのようにケロッと言った。
今度はデスが驚いたような顔をしている。

「親が取り決めた結婚で、ハリーさんに無理な想いを押しつけたくありませんから」

少し、悲しそうに言った。

「なんだ、結局好きなんじゃん。
ダメだぞ〜。
想いは押しつけるもんじゃないって判ってるのはいいことだけど、言わなきゃ届かねぇだろ。
レミは相手の迷惑気にしすぎなんだよ。
少しくらい甘えてみても良いんじゃねぇか?」

デスは明るく笑った。

「そう・・・ですね。そうですよね。
判っているんですけど、やっぱり、私は私ですから。
ありのままの私で頑張ります」

レミエルもいつもの笑顔で笑い返した。
話をしている間に花壇の手入れは終わっていた。

「デス先輩、手伝って頂いてありがとうございました。
私はテニス部の方に行くんですけど、一緒に行きますか?」

「ん。俺はパス。
部長に今日は行かないっていっといてくれる?」

「良いですけど、あまり部活は休まない方がいいですよ?」

「へーきへーき。じゃな」

デスがいなくなった花壇のそばで、レミエルは呟いた。

「今日は少し、少しだけ、甘えてみようかな?」

 

おまけ

レミエルと分かれてからのデス。

「う〜ん。女心も複雑だな。
つかあいつ等は相手を気にしすぎて自己の感情殺しやすいからな。
レミは元々ああいう子みたいだからそうでもないけど、セルはシュダを気にしすぎだな。
初恋だからしょうがないかもしれんが、あれじゃ出来てから素が出せなくてキツいな。
まあ、相手がシュダなら別に平気だろうけど。
やっぱ一番の問題はアレスなんだよ〜。
あいつ、さり気なくシュダに気があるし、本命がトーマってはっきりしてんのはいいんだけどな。
あいつは色々問題ありだから厳しいんだよ〜!」

はたから見たら変な人。(笑)

 

おまけ2

「やっぱりデス先輩って、素直なセルちゃんに似てる。
黒い髪もキリッとしてるのに少し眠そうな目も、何より笑顔の雰囲気がそっくりv」

アレスに似てるんじゃないの?

「アレス先輩は性格が似てるんです。
でもどちらかと言えばデス先輩に似てます」

なんにしろ、それあんまりセルに言わない方がいいぞ。
傷つくから。

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アトガキ

今回の主役はレミ&デス!
ある意味斬新な組み合わせです!!
2人とも弱シスコンという以外共通点ありませんね。
今回のテーマは「うちの娘達の恋愛事情」です。
全員好きな相手が一癖二癖有りますから。
デスは特にそういう人はいないらしいです。
つーかデス!
お前部活出ろよ、頼むから・・・・。
本気を出せ・・・。
ここまで読んで下さってありがとうございました。


千夏さんから頂きました。
2人とも、悩んでますね。
しかも、お互いに姉妹の恋愛で・・・。
さて、恋はどう動くんでしょうか?
今のところ、トーマはフィーネを追っかけ、シュダは恋愛になんててんで興味なし・・・。
この2人に恋した彼女達。
凄い関係が出来上がりつつあります。
それにしても・・・、デス、そろそろやばいぞ。
ケインがカンカンに怒ってるから。
レギュラーは当分無理かな・・・。

 

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