「ヘルシング家の朝」

 

数々の心霊現象から「幽霊屋敷」と呼ばれている家を舞台にこの話は始まる。

ピピピピピ・・・・・・

「う〜ん、朝・・・・」

音が聞こえる方に手を伸ばして・・・・と。
あったあった。
あ、みなさんおはようございます(ぺこり)
私の名前はサリア=ヘルシングって言います。
両親は海外で仕事をしているので、兄のゲイルと2人暮らしをして・・・・じゃなかった。
うちで預かってる親戚のフロストも一緒に暮らしてます。
さて、そろそろフロストと兄さんを起こさないと。
フロストはともかく、兄が寝坊するのは珍しいんですけどね。
確か昨日は、夜中の3時ごろに帰ってきたみたいでしたし。
きっとまたお酒でも飲みに行ってたんでしょうね。
そろそろ健康に気をつけないといけない歳なのに・・・・。

 

さて、そうこういってる間に、兄の部屋の前まで来ました。
一応ノックをして・・・・・・・・・・・返事が無い。

「兄さん!朝よ!
教師が遅刻してどうするの!」

・・・・・・・・・・またもや返事が無い。
ドアノブに鍵は・・・・・かかってない。
やれやれ。
さて、今日はどうやって起こそうかしら・・・・・(フフフ)

「兄さん、いいかげんに・・・・・」

「グッ。」

あら、カーバ○クルでも踏んだかしら。

「やあ、おはよう。サリアちゃん・・・。」

ちがった。兄の親友のクロウ=ゴーストさんでした。
彼は学園でコックをしてます。
少し女好きなんですが、いい人ですし、何より料理の腕前がかなりの物です。
なんでも、昔はどこぞの三ツ星レストランだか老舗の料亭だかで修行していたとか。

「クロウさん、また2人で飲み歩いてそのまま泊まったんですか・・・(はぁ)
別に良いですけど、料理の仕込みとかは大丈夫なんですか?」

「大丈夫。抜かりは無いよ。
・・・・・せめて人の頭から足を離してから話してくれない?」

そういえば、彼の後頭部を踏みつけたままでした。

「あ、これはうっかり。
大丈夫ですよね?」

「大丈夫。サリアちゃんみたいに可愛い子にならいくらでも平気だよ」

「兄さ〜ん、朝ですよ〜。(体をゆさゆさ)
もう、お酒を飲みに行くのは週末だけにしてって言ってるのに。」

「(・・・・・・・・・・)」

起きません・・・仕方ないわね。

「昨日遅くまで飲んだから、ちょっとやそっとでは起きないと思うよ。
どうすんの?」

立ち直り早いですね・・・・。

「まず、口を強引に開いて、そこに・・・・・・。」

『そこに?・・。』

あ、フロストも起きてきたみたい。
さっき言いましたが、彼女の両親も海外で仕事をしているので、中学生の頃から家で預かってます。
自分で言うのもなんですが、
私には妹がいないので、人懐っこくて明るい彼女を実の妹同然に可愛がってるんです。

「おはよぉ〜ございまぁ〜す。」

低血圧だから、朝はちょっと元気が無いですね。

「やあ、フロストちゃん。
今朝も一段と可愛いねv。」

「もう〜そんな今更ほんとの事言われても〜wフロストこまっちゃ〜う。」

ったくこいつら・・・あら、失礼。

「そこにこのサリア特製お味噌汁を・・・・
あら、なんでこれを見たとたん2人とも壁際に寄るのかしら(ニコ)
口の中にぶちこ・・・・・
もとい、流し込んで・・・口を塞ぐ。」

さて、どんな反応をするかしらw
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
あら、顔色が段々土気色になってくわw。

「(可哀相に・・・・・・ゲイル、骨は拾っといてやるから安心して成仏してくれ。
しかし、何で味噌汁があんな不思議な色になるんだ?・・・・・)」

「(ゲイル兄ちゃん、今まで面倒見てくれてありがとう。)」

「あら二人とも何か言った?」

『いえ、何も言ってません。』

二人の声が見事にハモったところで、兄は・・・起きたみたい。

「・・・$%☆Ω*▲¥]ーーーーー!!」

ドタドタドタ・・・・・・・・・・・・・・・・・ドタドタドタ
(注:水を求めて台所へ行って帰ってきた)

「・・・・ハァハァ、誰だ!
誰が毒を盛った!」

一同『・・・・・・・・・・・』

「ん?」

ガン!

「あら、また寝ちゃったの?しょうがないわねぇ。
(木製は威力が弱いわ・・・・鉄製に替えようかしら)」

「痛そ〜。」

「(ハンマーが顔面直撃・・・・・・)」

 

・・・・ここからは、俺、ゲイル=ヘルシングが伝えることにする。
ちなみに俺は学園で教師をしている。
担当教科は歴史だ。
それと副業で銃砲店を経営していたりもする。
同じ学園のキースもうちのお得意様だ。
ここにいる連中の事をサリアの紹介で足りない部分を説明する。
まず俺の妹のサリア。
さっき俺の経験した中でもっとも目覚めの悪い起こし方をし、
さらにその後何事も無かったかのように
気絶してた俺の足をつかんでここまで引きずってくるという荒療治をして俺を起こしてくれた。
性格は、しっかりしてて、おとなしい・・・・・ハズなんだが・・・。
今は大学生で、法学部にいる。
それで、この金髪のがクロウ=ゴースト。
うちの学食の料理長。
料理の腕前はかなりの物だ。
ただ、性格が女好きというのがな・・・。
本人曰く、「恋多き男」らしいが、
俺に言わせれば惚れやすくてふられやすい、報われない男と言ったところか。
あと居候のフロスト。
時々、抱きつくとき力を入れすぎて首を絞める事意外は、明るくていい妹だ。
そんなこんなで、俺たちは食卓についた。

「サリア・・・頼むからもう少し普通に起こしてくれ。」

確かに昨日飲みに行き、明朝に帰った俺が悪いのかもしれない。
でも、アレは無いだろ。アレは。
毎日の事じゃないんだが・・・
しかし、あの殺人的な料理はどうにかならないものか・・・。

「あ、今朝は私が朝食を作りました。
みんな欠片も残さず食べてね♪。」

サリアが、俺の話を無視してさりげなくみんなに悪魔のようなひと言を言った。

『!』

その瞬間、部屋の時が止まった。
長い沈黙を破ったのは、こいつのひと言だった。

「あ、ごめん。
俺ちょっと昨日酒飲んだばかりから気分が悪くて。」

は?
クロウお前、何冷や汗かきながら嘘ついてんだ・・・。
お前が女の手料理を食わないわけ無いだろ!

「あ、私今日はなんかおなか空いてないの。
ごめんね〜サリアおねえちゃん。」

ブリュータス・・・じゃなかったフロスト、お前もか。
さっき、腹押さえながら『あ〜、おなか減った〜』とか呟いてたじゃないか!

「(ジト〜)ふ〜ん。まあいいわ。
兄さんは食べるわよね〜(ニコ)。」

目が笑ってない・・・まるでカーヴァーみたいだ・・・・・。

「う・・・・・・・・・・・・わかった。」

俺は覚悟を決めて、この炭・・・のような見事に黒一色のパンと目玉焼き、
そして見事な極彩色のスープを平らげた。
最悪に気分が悪い・・・・・後でカーヴァーに胃薬でももらおう・・・・。

 

その日、ゲイルが病人のような顔で授業をした事は言うまでも無い。

・・・・・・・おわり。

 

おまけ

放課後の職員室で

「しかし、なんでサリアは今日に限って料理なんかしたんだ・・・・。」

「ああ、俺が『女の子は料理ぐらい出来ないと男に嫌われるよ』って言っちゃったんだ。」

「何でそんな事言うんだよ!」

「さあ。
でも気にしてたって事は、彼氏か好きな人でもできたのかな?」

「それはそれで、調査が必要だな・・・。」

「(また何か企んでるな・・・)
そういえば、なんか朝から肩が重いんだけど。」

「ああ、どうやら憑いたみたいだな。」

「・・・・・・憑いたって?」

「うちにいた自縛霊。」

「もちろん除霊をしてく・・・・・」

「そのままでも死ぬ事は無いだろ。
少し、やつれる位だろうな。」

「いいから除霊をしてくれ!!」

「ああ、気持ち悪い・・・・明日になったらしてやるよ。」

「そんな殺生な。
・・・・ひょっとして、朝の事まだ怒ってるのか?(汗)」

「あ、じゃあそろそろ部活の時間だから。」

その晩、クロウは悪夢によってほとんど眠れぬ夜をすごしたとか・・・・合掌(−人−)。

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あとがき

読んでくれて、ありがとうございました。
このたびAnother小説なぞを書いてみました。
キャラの紹介です。
ギャグ物は結構書いてて楽しいですね。
今回サリアがかなりすごい事になってましたが・・・。
実は彼女、味覚がかなり悪(ハンマー)
・・・・もといかなり個性的なので、付き合う人はかなり大変かも・・・。


エスケーパーさんから頂きました。
ゲイルの朝の光景・・・、とてつもないことになってますね。
なんか、うちのキースと対照的ですね・・・。
キースの場合、妹のサウラは料理上手、サンダーは最強に生意気・・・。
共通点と言えば、サウラはフライパンで叩いてくるとか・・・。
しかも何気に痛い・・・。
そう言えば、アレンの妹は・・・、料理下手ですね。
コナンが可哀相だと思ったのは私だけでしょうか?
なんか、料理下手な輩が多いぞ。
そして、クロウは本当に苦労してますね。(爆)
行き倒れなければいいのですが・・・。
では、ありがとうございました。

 

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