「石の魚」

 

「ふぅ〜、やっと着いたね!」

「ここがキルマ湖か〜、綺麗だなぁ。」

「師匠〜、ティアラさん〜、早く!コロナが先に行っちゃったよ!」

『はいはい。』

トトとティアラ、バド、コロナの4人は、
ファ・ディールで一番景色が美しいと言われるキルマ湖にピクニックに来ていた。
それを言い出したのはバドとコロナの双子である。

 

 1日前・・・

「ねぇ、師匠。たまにはピクニックにでも行こうよ。」

「はぁ。」

突然バドがそんなことを言ったので、
書斎で本を読んでいたトトは思わず間抜けな声を上げてしまった。
トトの家には書斎があり、たくさんの本が並んでいる。
トトの知識はここから学んだのだ。
バドが話を続けた。

「だってさぁ、俺達弟子入りしてから何も教わってないし・・・。」

「それが何でピクニックにつながるんだよ。」

「それはですねぇ・・・。」

コロナがトトの後ろからしゃべりだした。

「キルマ湖に精霊が出るって言う噂があって。
トレーニングがてらに見に行きたいなって。」

トトが呆れた顔で言った。

「何でわざわざ危険なところに行くんだよ。
トレーニングだったらリュオン街道とかでやればいいだろ。
それにキルマ湖には凶暴なモンスターがたくさんいるんだぜ。
止めとけ、止めとけ。」

「えっ、師匠は行ったことあるの?」

トトは首を振って、

「いや。キルマ湖のアーティファクトからわかった。」

そう言って石で出来た目玉を二人に見せた。

「それに、俺は疲れてるんだ。勘弁してくれ。」

がっくり肩を落としたコロナだったが、何かを思いついたらしくバドに耳打ちをした。
もちろんトトにはばれないように。
バドは頷くと家をすごい勢いで出ていった。

「どうしたんだ?あいつ。」

「お使い頼んだんですよ。」

コロナはいかにも誤魔化しているという笑い顔で返した。

 そして数十分後、バドが帰ってきた。
ある人物を連れて・・・、

「トトー、ピクニックに行くんだって!」

突然聞き慣れた声がして、トトは飲んでいた紅茶を吹き出しそうになる。

「テ、ティ、ティアラ!何でお前が。」

そう、バドが連れてきたのはティアラだった。
さすがのトトもティアラの言う事だったらきくと考えたのだ。

「お前らな〜。」

トトはバドとコロナを睨んだ。

「だ・か・ら、お使いを頼んだっていったじゃないですか。」

「そうそう。」

「バドから聞いたわよ。連れていってあげなさいよ。
それにあそこにはそんなに強いモンスターはいないわよ。」

しまった、という顔をしたときにはもう遅く、トトは二人のきつい視線を感じた。

「師匠〜。」/「騙してたのね〜。」

バド達に睨まれ、トトはもう観念したのか、ため息をつきながら了承する。

「わかった、わかった。」

『やった〜!』

喜んで計画を立てている3人を後目に、トトは、

「何でこうなるんだよ。」

と、膝の上にのって昼寝をしているペットのラビに向かって愚痴をこぼしていた。

 

 すっかり日が高くなり、
4人(と1匹)は湖の畔を目指して森の中を歩いていると、

「先発隊の帰りがいくら何でも遅すぎる。妖精どもにやられたか。」

突然声が聞こえたのでトト達は足を止め、近くの草むらに身を潜めた。
アザラシらしき海獣とペンギン達がなにやら話をしているようだ。

「あれは・・・確か海賊だな。」

「海賊って、何でこんな所にいるんですか。」

コロナの質問にティアラが答えた。

「このキルマ湖には妖精の秘宝が眠っているって聞いたことがあるわ。
たぶん、それを狙ってるんでしょ。」

「でも妖精達にやられたとか言ってたけど。」

「それは俺達にも分からないな。
妖精は危害を与えない人たちには姿を現さないって言われているからな。」

「どちらにしても確証がないわね。妖精にしても、秘宝にしても。」

そんなことを言っているうちに、海賊達は森の奥へと向かっていった。
それを見届けると4人は草むらから出た。

「まっ、俺達には関係のない話さ。さあ、先を急ごう。」

「そうね。」

4人は海賊とは別の方向へ進んでいった。
よけいなトラブルに巻き込まれないためだ。
そして、しばらく進んだ後、

「ねぇ、面白い石像があるよ。」

トト達がコロナが指さした方向に目をやると、
先ほどのペンギンそっくりの石像がいくつもある。

「はぁ〜、良くできた石像だな。」

「ほんと、まるで本物みたい。」

「本物なんじゃよ。」

いきなり聞いたこともない声が聞こえたので、
トトは驚いて声の方向に振り返ると、
ウミガメみたいな生き物がひっくり返っていた。

「そこの若い人たち、すまんがおこしてくれんか。
自分一人ではどうにもならなくて困っていたんじゃ。」

「はぁ、いいですけど。」

ティアラがそう言うと、4人は一斉に背中を持ち上げた。
何とか起きあがることが出来たその亀は、

「ありがとうございます。急に海賊が宝がどうのとか言って、
押し寄せてきたので驚いてこけてしまっての。」

「それはそうと、さっきあの像が本物だって・・・。」

トトがその亀に聞く。すると、

「それはのぅ、ここの妖精達の仕業なんじゃ。
彼らはこの湖の主の力が宿っている『石の目玉』で、
人を石にすることが出来るんじゃ。
そして、主が死ぬと自分たちが死ぬと思いこんでいてのぅ・・・。」

トトが納得した顔で、

「それでその主を守ろうと必死って訳か。」

「なんだか哀れですね。・・・ところであなたは?」

コロナが聞いた。その亀が答えようとしたとき、急にバドが話し出した。

「もしかしてあなたは・・・七賢人の一人のトートでは。」

「そう呼ばれることもあるが。」

4人は驚いていた。
それもそのはず、こんな所で伝説の七賢人に会えたのだから。

「俺、バドって言います。大魔法使いになるために何か教えて下さい。」

「大魔法使いになるのに賢人の話など聞かなくても良い。
草も、花も、木も、みんな話をしている。
それらに耳を傾けなさい。」

バドは嬉しそうに礼を言う。

「ところでお若い方。折り入ってお願いがあるのですが。」

トートはトトに話しかけた。

「主を倒して下さらんか。ここの妖精達は主の支配から逃れられないでいる。
別に主が死んだところでなんもおこらん。それを妖精達に教えてやってくだされ。
そして、妖精の宝など無いということも海賊達に示してやって下され。」

トトは悩んだが、

「別にいいですよ。そのかわり、精霊が出るというところに案内して下さい。」

トートは笑って頷いた。そして主がいるという所まで案内してもらうことになった。

「主の正体はゲイザーという名の魔物じゃ。十分に気を付けて下され。」

トートの注意を聞いているうちに、主がいるという湖畔までたどり着くと、
そこでトト達はある光景を目にした。
海賊団の頭、バーンズが石にされていたのだ。
その周りではペンギン達が泣き叫んでいる。
そしてトートの姿を見つけると、

「やい、そこの亀!お頭を何とかしろ!」

「そうだのぅ。この方達が主を倒して下さるといっているから、
お主らは主を誘き出してくださらんか。」

ペンギン達は困惑している。
どうやらさっき主らしき怪物を見たらしく、すっかり脅えている。

「やれやれ、仕方がないのう。」

そう言うとトートは石になったバーンズを湖に投げ込んだ。
それを見たペンギン達は慌てて飛び込む。

「後は頼みましたよ。」

そう言い残してトートは奧に引っ込んでいた。

(なんつう怪力だ。あの爺さん。)

トトはそう思いながらも戦闘準備を整えていった。
ペットのラビも張り切っている。
その時、突然湖面が揺れだした。渦が巻いたと思うと何かが飛び出してきた。
それは、球状の体にウニのような無数の棘と大きな一つ目がある。

「こいつが・・・ゲイザーか。」

「行くわよ、みんな!」

ティアラが声を上げると一斉に飛びかかる。
ゲイザーはそれに気付き、棘を伸ばして攻撃してきた。
さすがにトトとティアラは戦い慣れているので楽々と避けたが、
バドとコロナ、ラビはそうはいかず近付けない。

「バド、コロナ、魔法で奴の動きを止めてくれ!」

トトがそう叫ぶと、二人は魔楽器を取り出し、奏で始めた。

「木の精霊ドリアードよ、木の葉で切り裂け。ウッドスライサー!」

「火の精霊サラマンダーよ、すべてを焼き尽くせ。ノヴァプリズナー!」

木の葉と炎が命中し、ゲイザーの動きが止まる。

「今だ。光槍弾!」

ティアラはゲイザーの目に向かって槍を投げる。
スターダストスローとは違い、槍が光に包まれていて、
ゲイザーはまぶたを閉じたが防ぎきれなかった。

「よし、このまま一気に・・・。」

トトがそう言おうとした瞬間、ゲイザーの目が光りビームが発射された。
トトはかろうじて避けたが、

「キャアアアー!」

ティアラと思われる悲鳴が聞こえたのでトトが振り向くと、
そこには石になったティアラとラビがいた。

「ティアラー!ラビ!よくもやりあがったな。」

トトは怒りに身を任せゲイザーに向かっていく。
ゲイザーはもう一度撃とうとしたが、
ティアラの一撃を喰らっていたため時間がかかっていた。

「おせえんだよ。喰らえー、乱れ雪月花!」

トトはゲイザーの目を3回切り裂く。
ゲイザーは奇声を上げて石になり崩れていった。

「ティアラー!」

トトはティアラの所に駆け寄る。
ゲイザーが崩れた瞬間、ティアラとラビは元に戻っていた。

「大丈夫か。」

「ええ。・・・トト、ありがとう。」

「よかっ・・・た・・・。」

「トト!」「師匠!」「トトさん!」

トトが突然倒れ、ティアラ、バド、コロナが駆け寄った。

「すまねえ、乱れ雪月花の反動だ。あれは奥義からなぁ。」

「もう、心配させないでよ。」

バドとコロナはトトから離れてしばらく二人きりにしようとしたが、

「お頭ー!!」

突然の叫び声に二人は我に返る。バーンズが元に戻ったようだ。

「おう、心配かけちまったな。野郎ども。」

そしてペンギン達から話を聞き、トト達の方に向いた。

「ペンギン達から話は聞いた。感謝する。こいつは礼だ、とっといてくれ。」

そう言うと袋を手渡す。中には3000ルクぐらいのお金が入っていた。

「では、さらばだ。」

海賊団は湖を渡って帰っていった。

「よくやってくれたな、お若いの。」

後ろからトートが近寄ってきたので、トトも起きあがる。

「さて、わしからの礼じゃ。精霊の居場所に案内しよう。」

「ありがとうございます。」

『やったー!』

 しばらくしてトト達はさっきの所の対岸についた。
そこには全8種類の精霊がいる。
炎の精霊サラマンダー、
土の精霊ノーム、
風の精霊ジン、
水の精霊ウンディーネ、
光の精霊ウィル・オ・ウィスプ、
闇の精霊シェイド、
木の精霊ドリアード、
金の精霊アウラ。

「ほっほぅ〜、お前さん達を歓迎しているみたいじゃの。では、わしはこれで。」

「いろいろとありがとうございました。」

「なに、こちらこそ、助かったわい。」

そういって、トートは森の中へ帰っていく。

「さぁてと、腹も減ったし飯にするか。」

『は〜い。』

こうしてトト達は少し遅い昼食をとることとなった。
そしてその後、バドとコロナが楽器を演奏し、精霊達はリズムにのって踊り、
トトとティアラはそれらを肩を並べて眺めていた。

--------------------------------------------------------------------------

サボテン君日記

かいぞくとようせいがけんかしていたので、
そのげいいんをつぶしてきたらしい。
なんかありきたりなはなしだなぁ。
ととはてぃあらとでーとができてうれしかったらしい。
にんげんってふくざつ。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

トトの一言

精霊からコインをもらっちゃった。ラッキー!   byトト


何かサボテン日記がいい加減だなぁ。
もう一回ゲームをやらなきゃダメみたい。

 

LOM TOPに戻る          Novel TOPに戻る