「ガイアの知恵」

 

 よく晴れた日、トトとバドはドミナの町に来ていた。
理由は買い物とティアラに会うためだ。
しかし、単に会いたいからという訳ではない。
あることにティアラを誘うためである。

 

 それは2時間前の自宅にて、

「ねぇ、トトさん。明日、ガトの町に行きません?」

「ガトの町?どうしたんだ?」

コロナが急にそんなことを言い出したので、
今で本を読んでいたトトは呆気にとられている。
そんなトトをよそに、ラビは彼の膝の上でスヤスヤと眠っていた。

「今度、ガトで年に一度の祭りが行われるんですよ。
そこで今年一年の家族の安全祈願なんてどうかな〜って。」

「安全祈願ねぇ〜。」

何故かジト目でコロナを見るトト。
何かを隠しているような素振りのコロナ。
一瞬2人のいる空間に沈黙が流れる。
そして、最初に口を開いたのはトトであった。

「確か、ガトの祭りでは色々と出店が出て、
その中に魔法グッズを売っている店があるんだって。
後、ペットのヒナも売ってるし、いろいろな植物の種も売ってるってねぇ〜。
何か間違いは?」

トトの一言一言にギクリとしていたコロナは、流石に何も言えなかった。

「アーティファクトマスターの俺を騙そうなんて、千年とんで11年早いんだよ。」

「その11年ってのは何なんですか?」

「俺とお前の年の差。」

言われてみれば、トトは18歳でコロナは7歳、確かに合っていた。
そして、トトはテーブルの上にあるニキータからもらった炎の燭台をコロナに見せた。
それはガトの町のアーティファクトである。

「後もう一つ言っておくけど、
バドを使ってティアラを呼びに行かせても無駄だからな。」

「何でです?」

「バドは賢人の本に夢中だから、何言ったって聞くわけがないよ。」

トトはそう言って再び本を読み始める。
不甲斐ない弟だ、そう思いながらコロナは渋々引き下がろうとした時、
突然バドが書斎から出てきて、大声でこう言った。

「師匠ーーーっ!
ガトに連れて・・・。」

「お前もかーっ!!」

トトは思わずバドが全てを言う前に叫んでしまう。
その叫び声でラビも飛び起きた。
そして、諦めたように言う。

「分かった、分かった。
またティアラを呼ばれちゃ敵わないからな。」

『やったー!』

二人は飛び上がって喜んだ。
その姿はまるで双子のよう。

「双子だって・・・」

まあまあ、そんなことはおいといて。

「まあいいや。
じゃあ、ちょっと出かけてくるか。」

「何処行くんですか?」

「買い物、それとティアラに声を掛けないとな。
またすねるといけないから。
バド、一緒に来い。」

「え〜、何で?」

「たまには手伝えよ。」

トトは苦笑いをしながらそう言うと、バドを連れて出ていった。

 

 トト達は買い物を済ますと、ティアラの家に向かおうとした。
しかし、

「あっ、ティアラさん。」

「あっ、トト。それにバドも。二人とも買い物?」

「まあな。」

ティアラも買い物に来ていたのだ。
そのおかげでトト達は無駄足を踏まなくて済んだ。
そして、家であった話をした。

「ガトの祭りかぁ〜。
いいわ、一緒に行こう。」

「そう言うと思ったよ。」

3人で喋りながら歩いていると、突然後ろから声をかけられる。

「トトさん!」

トトは声の方向に振り返った。
すると、

「あっ、ダナエさん。」

そこにはリュオン街道で会ったダナエがいた。

「トト、この人は?」

「ああ、ガトの町から来たダナエさんだよ。
この間、ニキータと一緒に盗賊退治に行った時、知り会ったんだ。」

「へぇ〜、私はティアラ。
トトの幼なじみで〜す。」

「俺、師匠の一番弟子のバド。」

「よろしく、ティアラさんにバド君。
それで今日はお願いがあって来たんです。」

「お願いって?」

トトが聞いた。
ティアラ達も耳を傾けている。

「実は・・・今日こそガイアに会いたいの。
それで、もし良かったら一緒に来て欲しいんだけど。」

「ガイアに会いに行くの!?」

そう言ったのはバドだった。
目を輝かせてトトを見ている。
ダナエが不思議そうにそれを見ていた。

「ああ、こいつ大魔法使いになるために賢人に会いたいんだよ。」

「そうなの。
・・・それで、答えは?」

ダナエが真っ直ぐトトを見つめた。

「まあ、いいか。
ティアラは?」

「私も行くわ。
何か最近暴れ足りなくって。」

槍をブンブン振り回しながらそう言うティアラ。

「良かった。」

トト達の言葉を聞いて、ホッと胸を撫で下ろすダナエ。

「けど、その前にこいつのうちに寄ってくれないか。
買い物の荷物を置いて行かなきゃ。」

「ええ、いいわよ。」

ダナエが笑顔で答ると、トト達4人は一回ティアラの家へ立ち寄ることとなった。

 

 それから数十分後リュオン街道の入り口に来た4人。
トトは早速、街道のアーテイファクトである車輪を取り出した。

「こいつでガイアの居場所が判るはずだ。」

ダナエにはここに来る途中で、アーティファクトについてと、
トトとティアラがアーテイファクトマスターであることを話しておいた。
トトは、車輪に神経を集中させる。

「よし、判ったぜ。」

そう言って、トトは街道を進んでいった。
3人もトトの後に付いていく。
途中、たくさんのモンスターも出たが、
雑魚ばっかりだったので簡単に進むことが出来た。

「ねぇ、さっき聞き忘れたけど、ガイアに会って何を聞きたいの?」

ティアラがダナエに聞く。

「実は・・・私の幼なじみが今、悪魔の呪いを受けて命を落としかかってるの。」

「ふ〜ん、それでその呪いを解く方法を聞きに来たって訳ね。」

「ええ。」

二人の話が弾んでいるのに対して、トトはつまらなそうに先頭を歩いていた。
年が近いので二人はもう打ち解け合っているようだ。

 

 やがて、

「ねぇ、ちょっと、トト〜。
行き止まりじゃないの?」

「おっかしいなぁ、確かにここのはずなんだけど。」

そこの辺りは岩が切り立っており、行き止まりになっていた。
一行が困り果てていると、

「よく来たな、子供達。」

何処からともなく声が聞こえた。
4人が辺りを見回すが、人影らしきものは見あたらない。
すると、バドが、

「あ、あれっ!」

バドが指さした方向を見る。
岩に巨大な顔があるのが見える。

「あれがガイアなのか。」

「凄〜い。」

トトとティアラが感心している。
まず最初はバドの質問。

「俺、バド。
大魔法使いになるために賢人の話を聞きに来たよ。」

「こんにちは、バド。
大魔法使いといえば、大昔ハルシエという魔法使いがいたね。
歴史には残ってはいないが、彼は私よりずっと大きかったよ。」

「ありがとう、ガイア。」

そして、ダナエの番。

「ほらっ、ダナエ。
勇気を持って。」

ティアラが励ましている。
彼女が今までガイアに会えなかった理由は、真実を知るのが怖かったから。
彼女に背中を押され、ダナエが一歩前に出た。

「あの、私の友人が悪魔の呪いにかかって、命を落としかけています。
どうしたらいいのでしょう?」

「その友達の望むことをしてあげればいい。」

「いえ、彼女は何も望んだりしないの。
ただ、それを運命として受け入れるつもりなの。」

「ならば、それを受け入れなさい。」

その言葉にダナエはいっそう声を張り上げる。

「そんなのダメよ!
諦める事は弱い心から生まれる物だわ!
彼女は私よりずっと強い心を持っていたの。
悪魔が彼女を変えたのよ!」

「ダナエ、落ち着け。」

トトが興奮しているダナエを宥める。

「その人はあなたにいろんな事を教えようとしている。
それらに耳を傾けなさい。」

「はい・・・、もう少し冷静になってみます。」

その時、トトが口を開いた。

「なぁ、ダナエ。
友達が命を落としかけているのに何もしない気か。」

「えっ・・・。」

「行動っていうのは誰かに言われておこすものじゃない。
自分からおこそうって気にならないと、いつまで経っても何もできないぜ。」

トトの言葉にダナエは何かに気付いたようだ。

「ありがとうございます。
あなたの言葉の意味が解りました。」

「また来なさい。」

4人はその場を後にした。
その後ガイアは、

(あやつがマナに導かれし者か。)

そんなことを呟いていた。

 

 そして、

「ねぇ、トト。
あれってあなたのお父さんの言葉じゃなかったっけ。」

ティアラの指摘する。
実は彼の殆どの名言は彼の父親譲りのもの。、

「いいだろ、別に。
受け売りでもよ。」

「でも師匠、格好よかったっすよ〜。」

トトは照れくさそうに笑った。
そして、

「トトさん、ありがとうございます。
あの・・・これで良かったら受け取って下さい。」

そう言ってダナエは腕輪を差し出した。

「ありがとう。
こいつはコロナにお土産だな。」

「そうね・・・、あっ、そうだ。」

ティアラが何かをひらめいたようで、声をあげた。

「明日、ガトの祭りにみんな揃って行くから、その時の案内を頼めるかな?」

「ええ、喜んで。」

ダナエは笑顔でそう言うとガトの方向に去っていった。

「さあ、帰るか。」

「はい。」

「ねぇ、トト。
今日さぁ、久々に泊めてくれない。
どうせ明日、一緒に行くんだからいいでしょう。」

トトは一瞬ドキッとしたが、
トトの性格上、ティアラの頼みは断れなかったので、あっさり了承。

「やったー。」

「そういや、バド。
お前はどうしてガトに行きたいんだ?」

「実は、ガトに賢人が訪れるって聞いたから。」

「やれやれ、また賢人かよ〜。」

トトはため息混じりにそう言った。
そして、3人は仲良く家路についた。

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サボテン君日記

いわにおおきなかおがあったんだって。
なんだかうそっぽいなぁ〜。

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LOMキャラの一言

おいっ!タイトル変わってるぞ!   byトト

あなただけじゃないのよ、喋りたいのは。   byティアラ


ファンの皆様、お待たせしました。
次回は瑠璃の登場です。
ダナエがゲストになりそうですね。

 

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