「チーム・ブリッツv.s.チーム・ハンター」

 

「やつがどこにいるのか確かめろ!」

「4時の方向だ!」

「ふん、そんな小細工など使っても我らはやられんぞ!」

3体のディバイソンから黒い霧に向かって集中砲火がくる。

「フ・・・・・・」

だが砲火を浴びせた先には何も無かった。
だが、彼らの後ろに1体の漆黒に輝くゾイドが立っていた。

「ぐああああああ!!!!」

「バトルオールオーヴァー。
ウィナー、チーム・ハンター!!」

それはまぎれもなく、シャドウ・フォックスだった。

「この程度でやられるようじゃ、大きな口叩けたもんじゃないな・・・」

「ええ、そうね」

バラッドはあれからブリッツを抜け、ナオミと組むようになった。
レオンはビットに敗北した事により、更に上を目指すと言ってチーム・フリューゲルを脱退。
再び世界に向けて旅をしている。ま
あ、実際は2人の仲を邪魔するわけには行かぬと言う理由もあるらしいのだが・・・。
まだ新生でEランクではあるがSランクの実力があると認められ、
Aランクから復帰、そして先日Sランク入りをしたチームだ。

「さて・・・そろそろあいつに借りを返すには丁度頃合いだな」

「あいつ?」

「ああ、 ─ビットだ」

 

その頃、チームブリッツでは、相変わらずビットとリノンがおやつの奪い合いをしていた。

「ふぇっくしょん! 風邪かなー?」

「こら待てビットぉー!!」

「あ、やべ!へっへーんだ!今度ばかりこいつは譲れねえ!」

「こんのぉ〜〜〜〜!!!」

するとリノンは近くに落ちていたスパナをビット目掛けて放り投げる。
・・・そのわずか瞬間、鈍い音がしてビットは床に倒れこむ。

「あったりぃー! さぁ〜返してもらうわよ〜最後のクッキーv
・・・って、あら?ビット?ねぇ、ちょっと!ビット大丈夫!?」

心配そうにビットを揺さぶるリノン。
すると急に起き上がるビット。
脳天から大量の血を出している。

「こんの・・・・・・・・・お前は俺を殺す気か!!!!」

「うわあ!ビットあんた・・・」

「何驚いているんだよ」

「ビットさん大丈夫ですか!?」

「え・・・?」

するとビットは顔面に手を当ててみる。
掌にはべっとりとした・・・血だ。

「! な・・・な・・・ぬわんじゃこりゃああああああああああ!!!!!!!!」

 

そんでもってとある街のカフェ・テリアにて。
頭にぐるぐる巻きの包帯をしたビットと、加害者であるリノン、青ざめた顔をしているジェミー、
そしてそんな事を気にも留めてないかのごとく、トロス博士はイチゴパフェをぱくぱくと食べていた。

「・・・・・・死ぬかと思った」

「さっきから誤ってるじゃな〜い・・・。
それにさぁ、ホラ、不慮の事故ってのはよくある事だし・・・
まあこれから長い付き合いになるんだから、
こんなことで挫ける様じゃあたしたち結婚しても・・・」

「関係あるかんなもーーーーーーん!!!」

「ところで博士。今度の試合は確か・・・」

相変わらずパフェを食べ続ける博士。

「博士・・・」

「今度の試合の相手って?」

「ええ、それが・・・」

そこに、歩み寄る2人の影。

「それって俺達のことだろ?」

「あ!バラッド。それにナオミ」

「偶然ね、こんなところで会うなんて」

「ああ、久しぶりだな。ところで・・・」

ビットの包帯に目を向けてなにやら難しい顔で考えるバラッド。

「その頭、一体どうした?」

「ああ、これはな、リノンに今朝スパナでぶん殴られて・・・」

「だからそれは誤ってつい投げちゃったって言ってるじゃないのよ!もう!」

「そんなんで済むかあ!」

「何よぉ!元はと言えばビットが勝手に私のクッキー取っちゃうのが悪いんでしょ!」

「相変わらず凄まじいな・・・」

「ハイ、全くです・・・」

ジェミーは本当に苦労をしていそうだ。
なんせレオンが居なくなってから一番の見方はバラッドだけだったのだから。

「それで・・・次の試合の事なんだけどね」

「ああ、そうだったな。明後日の試合は、俺たちとお前たちチーム・ブリッツとの試合だ」

「えーーーー!!うそォおおおおおお!!」

「本当なのか??!それ!」

「ああ、本当の事だ。それに・・・以前からお前と決着がつけたかったしな」

「決着?何かあったっけ?」

「忘れたのか。
俺が以前バックドラフト団に引き抜かれた時に、あのまま決着が付かずじまいだっただろ?」

「ああ〜!・・・・・・覚えてない」

「おい・・・」

「じゃ、そろそろ行きましょ」

「じゃあな、今度の試合は何が何でも・・・ ─絶対負けん」

「・・・・・・そいつはこっちの台詞だ!」

「ふ・・・じゃあな」

そう言うと店をでる2人。

「ん?さっきバラッド君とナオミ君の声がしたような・・・気のせいかな?」

「博士・・・・・・」

あきれ返る3人。

 

・・・・・・・そして、試合前夜。
チーム・ブリッツ『対 チーム・ハンター用作戦会議』が行われていた。

「では、明日の試合の作戦に付いての会議を始めたいと思います」

すると、メインモニターに過去のチーム・ハンターの試合のハイライトが映し出される。

「今までのバラッドさんのチームの戦績は勝率が.950。
これは同じSランクのチーム・ライトニングとほぼ互角と言っても良いでしょう」

「そんなに強かったのか。流石は、バラッドだな」

「それで、シャドウ・フォックスとガンスナイパーなんですが・・・、
フォックスはやはり、スモークディスチャージャーによる撹乱攻撃、
及び目標甲方からの射撃が手ごわいです。
尤も、霧をどうにか出来れば問題は無いと思うんですが・・・。
それと、背後から近づく場合は、後ろから発射される電磁ネットに注意してください。
フォックスはほぼライガーに形態が近いので、ビットさんが」

「俺の相手はバラッドだな・・・」

「それでガンスナイパーのほうですが、
やはり同じガンスナイパーと言う事でリノンさんがということで」

「ナオミには借りがあるんだから、た〜っぷりとし返ししてやらなきゃ!」

「よし、これで、明日の試合のことは君らに任せるぞ。いいね?」

「おう!」

「では解散!」

 

─翌日。試合開始時間定刻。
今日もジャッジ衛星から指定されたポイントにジャッジカプセルが投下される。

「バトルモード承認。
チーム・ブリッツv.s.チーム・ハンター、レディー…ファイッ!」

「さて、決着と行こうぜビット」

「ああ」

「この前はやられたけど・・・今度はそうは行かないわよ!」

「それは楽しみね」

「行くわよー!こんのォおおおおおおおおおお!!!」

フルバーストで乱れ撃ちをするリノン。
だが、全て見切られて回避されてしまう。

「くんのおおおおおおおおおお!!」

「本当に馬鹿ね。
わざわざそちらから攻撃のチャンスを与えてくれるなんて」

すると、撃ちまくったところに弾幕が出来る。
ナオミを見失ってしまった。
その隙を突いてナオミはガンスナイパーをリノンの後方崖上に回らせ、
遠距離から仕留めようとしていた。

「ただ撃ちまくるだけがガンスナイパーの性能じゃないわ・・・。
それが判らないうちは、貴方に負ける気がしないわね・・・」

「あれ?ナオミは??」

「But, Notice Your Later...」

「・・・・・・なーんてね♪」

「え?」

ナオミの攻撃は全て外れた。

「いっつも同じようには行かないわよ!」

「なかなか遣るじゃない…学習してるわけね」

「こんのおおおおお!!!」

ナオミのガンスナイパー目掛けて当たり一帯を乱れ撃ちするリノン。

「悪いけど・・・前言撤回させてもらうわよ・・・」

「さあ?それはどーかしら??」

「え?あら・・・?」

足場が崩れて下に落ちるナオミのガンスナイパー。

「くっ・・・!」

「まだまだァ!」

リノンは手元にあるエマージェンシー・レヴァーを引っ張る。
自機の装備を全て解除、
即ち、ごちゃごちゃと取り付いていた装備を外して本来の姿で崖下目掛けて移動する。

「くっ・・・」

ナオミの背後にリノンのガンスナイパーが、
ナオミのガンスナイパー目掛けてゼロ距離射撃の構えをしていた。

「どーやら私の勝ちのよーね?」

「・・・参ったわね・・・邪道に王道がやられるとは」

 

一方、こちらはビットとバラッド。
未だ決着の付かなかった両勇士の決闘が行われていた。
晴れた空に、漆黒の機体と涼青の機体が輝いている。

「行くぜビット!」

「おう!」

そう言うと両者はゾイドを走らせる。
暫くしてから、バラッドが手元のボタンを押す。
ビットの眼前に黒い霧が現れる。

「な?!」

「いつも真正面からぶつかって勝てるとは限らんぜ」

「なんの!ライガー!!イオン・ブースターを開くんだ!」

そうすると最高加速で霧の中を突き進むビット。

その時起こった突風で霧は全て払い飛ばされ、フォックスも吹き飛ばされそうになった。

「ぐっ!」

「ふうーーーー・・・さて、こっからだぜ?勝負は」

両者、更にゾイドを走らせる。
フォックスのガトリングユニットからレーザーが乱打される。
それをかわしながら走るライガー。

「今度はこっちから行くぜ!ストライク・レーザー・クロー!!」

「ぐっ!」

危機一髪、正に紙一重だった。
レーザー・クローをかわすフォックス。

「なんと言う事だ・・・まるであの時のライガーとは思えない。
スピードが速い!こうなれば・・・」

「外したかァ・・・ならばもう一回!」

「話があるビット」

「あ?なんだ?棄権するのか?」

「流石に俺の技術を持ってもライガーのそのスピードには付いてゆけない。
様々な機能としては俺のフォックスの方が勝るが・・・これじゃあ勝負が付けれない。
だから・・・お互いが持つ両足のレーザー・クローで勝負とはどうだ?」

「いいねえ、一発勝負か・・・よし!」

両者がお互いに距離を取り合う。

「合図があったらスタートだ。いいな?」

5・・・4・・・3・・・2・・・1・・・0!

一斉に走り出す両者。

「距離残り1200!」

「ライガー!走れ走れ走れえええええ!!!」

「「ここだ!」」

「ストライク・・・」

「レーザー・・・」

「「クロー!!!」」

一斉に宙に飛ぶ2機。

「な・・・!高い!いやそれよりも・・・  ─速い!」

「うおおおおおおおおお!!!」

ライガーのレーザー・クローがフォックスの背中のガトリングユニットを弾き飛ばす。
そのまま地に落ちるフォックス。

「バトル・オールーオーヴァー、ウィナー、チーム・ブリッツ!」

「いよおおおおっし!」

「やったあ!俺達の勝ちだァ!!」

「・・・流石だな。レオンやあのフューラーでも勝てないわけだ・・・」

フォックスから出てくるバラッド。

「ビット」

「あ?」

「・・・決着は付いたが・・・もし今度試合するときは・・・負けん。
(  ─俺は・・・更に強くなる)・・・必ずな」

「・・・バラッド。
・・・へッ、やれるもんならやってみな」

「忘れるなよ・・・?」

そう言うと彼らは、静かにフィールドから立ち去った。


「リノビ派推薦委員会本部」のCLSさんから頂きました。
バラッドVSビットの白熱とも言える試合がたまらないです!
本当にありがとうございます。
ビットとリノンもラブラブ(?)ですし、バラッド&ナオミもいい感じです。
うちの小説も負けないようにせねば・・・。(爆)
CLSさん、すばらしい小説をありがとうございます。

 

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