「出会い」

 

エレミア砂漠東方  シュレック山脈
夜の闇の中、切り立った茶色い崖の間を一頭の緑色のシールドライガーが疾走している。
その後には、なんとハンマーヘッドとシンカーが追ってきている。
その数合わせて10機程。

「野郎ども、久しぶりの獲物だ。
逃すんじゃねぇぞ。」

「ボス、了解したっす。
野郎逃すかー!」

どうやら緑色のシールドライガーは、
ここら辺をアジトにしている盗賊団に追われているようである。
ハンマーヘッドがAZ30mmハイパービームガン、
シンカーがARZ加速ビーム砲からそれぞれレーザーを撃つ。
しかし シールドライガーはE・シールドを展開してそれを防いだ。
その後、シールドライガーは背中の2つのビームガンでハンマーヘッドを2機、シンカーを1機撃墜し、
さらに近づいてきたシンカー2機を、ライガーが得意とする、爪や牙を使った格闘戦で撃破した。
だが盗賊団のシンカーやハンマーヘッドの数は減りそうになかった。
どうやら他にも仲間がいるようである。
緑色のシールドライガーのコックピットの中で、
年齢は16歳ぐらい、目元に緑色の刺青を持ち茶髪で緑眼の少女がこう漏らしていた。

「参ったな きりがないぞ。
このままだとやられる。
こうなったら撒くよ、分かったなライガー。」

グゥォォン

彼女の声に答えるように緑色のシールドライガーは唸り声を上げ、
崖に向かってビームを発射して崖崩れを起こし、
その土埃に紛れて盗賊団を撒いた。

数分後 緑色のシールドライガーは岩の隙間に身を潜めていた。
盗賊団の追っ手のシンカーとハンマーヘッドが近くを通過していったが、
どうやら諦めたようである。
一方 シールドライガーのコックピット内では、先程の少女が安堵のため息をついた。
その途端、腹部の辺りに激痛が走り、少女は思わず顔を歪める。
実は、彼女がここに来る少し前盗賊団のハンマーヘッドから1、2発砲撃を喰らって、
その時 体を強く打ちつけてしまい、脇腹辺りに怪我をしてしまったのだ。
そこからは血が流れ服に滲んでいた。
シールドライガー自体も昼間のゾイドバトルと先程の砲撃でダメージがある。

「あいつら やっと諦めたみたいだ。」

そう呟いた後 少女の視界は暗転した。

 

 それから数時間が経って夜が明ける頃、
緑色のシールドライガーが追われてきたところとは反対の方向を、灰色のヘルキャットが1頭 走っている。
そのコックピットには前髪に一筋青いメッシュの入った、
肩まで長さがある銀髪で青色の眼の女性が乗っている。
彼女がもう少しスピードを上げようとした時、岩陰にいる緑色のシールドライガーが目に入った。

「あんな所にシールドライガーが。
しかも見たところかなり酷くやられてるわ。
ヘル、とりあえず行ってみるわよ。」

そういって彼女はヘルキャットをシールドライガーの元に向かわせた。
近くにヘルキャットを停めて、彼女はシールドライガーのキャノピーからコックピット内を覗き込んだ。
すると次の瞬間、キャノピーが開きコックピット内に入れるようになった。
どうやらライガー自身が判断して開けたようである。
銀髪の女性はコックピット内の茶髪の少女に声を掛けてみるが反応がない。
どうやら脇腹辺りの怪我が酷くて意識が無いようである。

「この人 酷い怪我をしてるわ。
このシールドライガー自体もかなりダメージがあるし。
う〜ん とりあえず、このシールドライガーを私の友人が経営するディーリングショップへ移動させましょ。
あ、自動操縦の方はなんとかなるみたいね。」

彼女はシールドライガーを自動操縦にして少女をヘルキャットに乗せ、
彼女の友人が経営するディリングショップのある町へと向かった。

 

 30分後、レリードタウンに着いた彼女は1軒のディーリングショップの方向へヘルキャットを走らせる。
その後には、自動操縦の緑色のシールドライガーがついて来ている。
その頃 ディーリングショップの整備ドッグでは、
1人の黒髪の男性がプテラスの最終調整を行っていた。
彼がプテラスの整備を終えた頃、整備ドッグの側に灰色のヘルキャットと緑色のシールドライガーが停まった。
灰色のヘルキャットのキャノピーが開き、
コックピットの中から、先程の銀髪の女性が彼に声を掛ける。

「おはよう、リッド君。
整備終わったばかりで悪いんだけど、
このシールドライガーの具合を診てくれないかしら。」

「いいですよ、ジュジュさん。」

そう言って、運ばれてきたライガーを一見。
その感想を口にした。

「このシールドライガー・・・、かなり傷ついてるけど・・・。
いったい、どうしたんすか?」

「このライガー、シュレック山脈辺りの岩陰に隠れていたのを見つけたの。」

「シュレック山脈辺り・・・。
あそこは最近盗賊が出るって、もっぱらの噂だからな〜。
そいつ等にやられたのかも・・・。」

「そうみたい・・・。
あと、このライガーの操縦者が怪我をしてたから、
私はこの人を病院に連れてくわ。
それじゃあ。」

「その人起きたら、料金請求しておいてください。
シエラがうるさいから・・・。」 

この後、銀髪の女性は黒髪の男性に緑色のシールドライガーの整備を頼み、
ヘルキャットを病院へと走らせた。

 

レリードタウン近くの病院。
病院のベッドで シールドライガーを操縦していた少女が目を覚ました。

「こ、ここは?」

「気が付いたみたいね。  ここは病院よ。」

彼女の側に座っている銀髪の女性が彼女の質問に軽く答える。

「あなた、怪我をして気絶してたのよ。
あそこは盗賊が出るっていう噂があるから危険だったの。」

「そうですか。
あ、あの助けてくれてありがとうございます。」

「いいの、気にしないで。
それよりあなたの名前は?」

「セナ・シューマッハ。」

「ふ〜ん あなたセナっていうのね。
私の名前はジュジュ・フォレスト。」

その後、 セナが何か言いかけようとした時、

「セナ、大丈夫か?」

病室のドアが開き、その声が聞こえたと同時に、
黒いカウボーイハットを被った茶髪で青色の眼の男性が入ってきた。
目元にはセナと同じ刺青がある。

「あっ いきなりすみません。」

「あら あなたセナさんの知り合いなの?」

「俺はセナの兄のホークです。
ジュジュ・フォレストさんでしたっけ。
セナが世話になったそうですが。」

「別に気にする程のものじゃないわ。
それはそうとあなたのシールドライガー、
見かけがボロボロになってた割には、損傷箇所が少ないってリッド君が言ってたのよ。
操縦者がかなりの腕前だから少ない損傷で済んだとも言ってたし、
あなたはゾイドウォーリアーとしての腕前はかなりのものね。」

「私もホーク兄さんもAクラスゾイドウォーリアーだから。」

「へ〜 そうだったの。
あっ、そうだ怪我の方は2,3日くらいで治るそうよ。
それじゃ私はこれから行く所があるから。
縁があったらまた会いましょ セナさん、ホークさん。」

そう言った後 彼女は病室を立ち去った。
これがセナ、ホークとジュジュとの最初の出会いだった。

これは余談になるが、この出来事から2日後、
緑色のセイバータイガーと青色のレイノスによって、
セナを襲った盗賊団が壊滅させられたという。

 


Yukiさんから頂きました。
セナとホークの小説です。
リッドとジュジュ、友情出演です,。
セナはリッドが気になると言ってましたが、この時に惚れちゃいましたかね。(笑)
後、ちょこまかとリッドの科白を直しておきました。
リッドは敬語を使うと言っても、知人にはこんな感じです。
Yukiさん、ありがとうございました。
(感想になってるか?これ・・・。)

 

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