「ある日の出来事
チーム・フライグラウンドの一日

 

   チーム・フライグラウンドのベース キョウの部屋 AM 07:04

「zzzzz。」

部屋の机にキョウが寝ていた。
その机の端末のモニターには愛機であるコマンドウルフのデータと、
いくつかのCPのデータが表示されている。
どうやら新しいカスタマイズプランを立てていたようだ。
少しするとドアが開きミナが入ってきた。
おこしに来たようである。

「キョウさん、起きてください。」

そう言いながらキョウの体をゆすった。
しばらくゆすっているとやっとキョウが目を覚ました。

「ああ、おはよう、ミナ。」

そう言いながらキョウはミナを見た。
しかし、まだ寝ぼけているようでぼーっとしている。

「おはようございます。
また、カスタマイズプランを立てていたんですか?」

「ああ、ちょっと思いついたからデータ上でシミュレーションをしてたんだけど、
なかなかうまくいかなくて、
色々データを変更して試してたら、いつの間にか寝ていたみたいだ。」

ミナの質問に答えながらキョウはデータを保存して端末の電源を落とした。

「朝食ができてますからキッチンに行きましょ、アッシュさんも待ってます。」

「わかった。」

そう言ってキョウは立ち上がってミナに軽くキスをするとキッチンに歩いていった。

「あ・・・。」

ミナはしばらくの間ぼーっとしていたが、顔を真っ赤にしながらキッチンに向かった。

 

   チーム・フライグラウンドのベース キッチン AM 07:58

『ごちそうさまでした。』

そう言い終わると3人が席を立つ、アッシュはリビングルームにZ−TIMEを読みに、
キョウとミナは食器を洗いに流し場に行った。
食器を洗っているとキョウが口を開いた。

「アッシュ。」

「なんだ、キョウ。」

「今日の午前中にミナと一緒にショッピングモールとアーサーディーリングショップに言ってくる。」

「ショッピングモールとアーサーディーリングショップ?
ショッピングモールは分かるとして、なんでアーサーディーリングショップに行くんだ?」

キョウの言葉に疑問を感じたアッシュはたずねた。

「昨日、新しいカスタマイズプランを思いついたんだ。
それで、新しいCPが必要になったってわけ。」

「そういうことか。」

そう答えてアッシュは再びZ−TIMEに目を落とした。

「じゃあ、その間に俺はバトルの作戦でも練っておくとするか。」

「もう決まってるんですか?
次のバトル。」

アッシュの言葉にミナが反応した。

「そう、さっき連盟本部から通信がきた、
3日後にバトルで相手はチーム・チャンプ。」

「そうなんですか。
でも、チーム・チャンプって不思議なチームですよね。
この前Bランクに落ちたと思ったら、もうAランクでしょ?」

「まあな、でもあのチームだって決して腕が悪いわけじゃない。
リーダーであるハリーの詰めが甘いだけでな。
つまりこれから順位を上げるのも下げるのもハリーの指揮次第って事だろう。
じゃ買い物よろしく。」

そう言うとアッシュは立ち上がり部屋に戻っていった。

「わかった、じゃあ行こうかミナ。」

「はい。」

そして2人はショッピングモールに向かってグスタフを発進させた。

 

   ショッピングモール 食品売り場 AM 09:03

「今日のお昼と夜は何にします?」

ミナがキョウに尋ねる。

「そうだな、昼はオムレツとコーンポタージュ、夜はカレーだな。」

少し考えた後キョウが答えた。

「じゃあ、にんじん、たまねぎ、ハム、ポタージュはレトルトでいいですね。
それから、豚のばら肉とカレールーも買わないと。」

そんな会話をしながら2人は食品売り場を回っていった。

 

   ショッピングモール 衣服売り場前 AM 10:07

「ミナ、ちょっとあそこの衣服売り場を見てみようか。」

「いいですけど、また買うんですか?この前ここで買ったばかりじゃないですか。」

ミナが少しあきれたように行った。

「いや、今日は僕じゃなくてミナに買ってあげようと思ってさ。」

キョウのいったその言葉にミナは真っ赤になりがら、

「そ、それならそうと最初から行ってくださいよ、もう。」

と言って店内に入っていった。

 

   ショッピングモール 衣服売り場内 AM 10:09

「ところでどんな服を買うんですか?」

店内を見回しながらミナがたずねる。

「ん?これだよ、これ。
この前来たときに見つけたんだ。」

キョウはそう言いながら一着の服を指差した。

「え?これって・・・。」

「そう、チャイナドレス。ミナもたまにはこういう服を着てみてもいいんじゃないかな。」

キョウがそのドレスをミナに渡した。

「だめですよ、私あんまりスタイル良くないし。」

「まあ、そう言わずに一度着てみなって。」

その後、少しの間色々言い合っていたが、結局押し切られる形でミナは試着室に入っていった。
数分後・・・

「どう・・・ですか?」

ミナが思い切り照れながら試着室のカーテンを開けた。

「似合ってるよ、すごく。」

キョウのその言葉にミナはさらに照れた。
ちなみにキョウがミナに試着してもらったドレスは白に金ふちのシンプルな物。
当然、スリットも入っている。

「でも本当に買うんですか?」

ミナがまだ遠慮気味に聞いた。

「遠慮する事ないって、僕からのプレゼントなんだから。」

その言葉を聞いてミナの顔に笑顔が戻った。

「そうですか?
じゃあ、わたしも遠慮するのはやめて素直に頂きますね。」

そう言ってミナはもう一度試着室に入っていった。
その後出てきたミナと一緒に会計を済ませると、キョウはショッピングモールを後にした。

 

   アーサーディーリングショップ内 AM 10:59

「いらっしゃいませ、何かお探しですか?」

キョウとミナが店内に入るとケイン・アーサーのあいさつに迎えられた。

「カスタマイズパーツが欲しいんですけど。」

「カスタマイズパーツですね、
どのようなカスタマイズパーツですか。?

「ロングレンジライフルとブースターユニットです。」

「ロングレンジライフルとブースターユニットですね、少々お待ちください。」

そう言うとケインはパーツ置場へと歩いていった。



少し待っているとケインが戻ってきた。

「お待たせしました。
こちらが制御用ソフトウェアとマニュアルになります。
ところで配達のほうはどうします?」

「今日はグスタフがあるんで自分で持って帰ります。」

「そうですか、ではグスタフのほうにパーツを搭載しておくんで、
こちらの書類にサインをお願いします。」

そう言いながらケインは外に出て行った。

「パーツがあってよかったですね、キョウさん。」

「ああ、やっぱりゾイド関係の事ならこの店が一番いいな。」

そんな事を話していると、シエラが紅茶を持ってきてくれた。

「まだ、少しかかりますので、紅茶でも飲んで待っててください。」

「ありがとう、シエラさん。」

「いただきますね、シエラさん」

シエラにそう言うと2人は紅茶を飲み始めた。



紅茶を飲み終わると同時にケインが店の中に入ってきた。

「積み込みが終わりました。」

「そうですか、ご苦労様でした。」

そう言ってキョウはケインに書類を渡した。

「えーと、はい結構です。
お買い上げありがとうございました。」

「ありがとうございました、またおこしください。」

ケインとシエラの声を聞きながらキョウとミナは店を出た。

 

   チーム・フライグラウンドのベース キッチン PM 12:41

『ごちそうさまでした。』

昼食のオムレツとコーンポタージュを食べ終わった3人は食器を片付け始める。
そんな中アッシュはすぐに部屋に戻っていった。
まだ作戦が決まっていないようだ。

「じゃあ、僕はコマンドウルフにロングレンジライフルとブースターユニットをつける作業をしてくるよ。」

「そうですか、私も洗い物が終わったら終わったら手伝いに行きますから。」

「分かった、待ってるよ。」

そう言うと、キョウは格納庫へと走っていった。

 

   チーム・フライグラウンドのベース 格納庫 PM 12:52

そこでは、ちょうどキョウがグスタフからコマンドウルフを降ろしているところだった。

「ここで固定して、よしこれでいい。」

そう言って胸のポケットから一枚のディスクを取り出した。
それをスロットにいれ、別ウィンドウを開き、そこからインストール開始を選択した。
すると、ディスクドライブが低い音を立ててインストールを始めた。
そこまで終わるとキョウはコクピットから降り一息ついた。

「さて、じゃあミナでも待つかな。」

そう言うと近くのいすに座るとロングレンジライフルとブースターユニットのマニュアルを読み始めた。

 

   チーム・フライグラウンドのベース 格納庫 PM 01:15

「・・・きて・・・さい、おきてくださいってば!!」

その声でキョウは目を覚ました。

「ん、ふああ・・・、おおミナか。」

「もう、ミナか、じゃないですよ。こんなところで寝て風邪ひきますよ。」

そう言いながら、ミナがキョウを起こした。

「悪い、昨日の徹夜が今頃来たみたいだ。」

まだ、ぼーっとしながらキョウが言った。

「とにかく、インストールはもう終わってますからすぐに作業に入りましょう。」

そんな会話をしつつ2人は作業を始めた。



「これで作業終了だ、次のバトルが楽しみだな。」

「そうですね、じゃあ早く中に入りましょう。」

そう言って二人は中に入っていった。

 

   チーム・フライグラウンドのベース キッチン PM 06:13

ミナがカレーの材料を切っていると、風呂が沸いた事を告げるブザーが鳴った。

「あ、お風呂が沸いたみたい、呼びに行かないと。」

ミナはアッシュの部屋に向かった。

「アッシュさん、お風呂沸きましたからどうぞ。」

「わかった、ありがとう。」

その返事を聞いたミナはキッチンに戻り料理を再開した。

 

   チーム・フライグラウンドのベース キッチン PM 06:39

「いい、お湯だった。」

そんな事を言いながらアッシュが風呂が出てきた。

「じゃあ、すいませんけどキョウさんを呼んできてください。」

「ああ。」

ミナがたのむとアッシュはキョウの部屋に向かった。

「キョウ、風呂が開いたぞ。」

「サンキュ−、すぐ行く。」

すぐにドアが開き着替えを持ったキョウが風呂に歩いていった。

 

   チーム・フライグラウンドのベース キッチン PM 07:43

『ごちそうさま。』

カレーを食べ終わった3人は食器を片付け始める。
流し場に食器を片付けると、ミナとキョウは洗い始めアッシュはZ−TIMEを読み始める。
そんなアッシュにキョウが声をかけた。

「アッシュ、その雑誌本当に好きだな。」

「ああ、数あるバトル関係の雑誌の中でも、Z−TIMEはいい雑誌だ。
ガセネタは絶対に乗せないし、このジュジュ・フォレストの記事はとてもよく書けてる。
これだけの記事は早々かけるものじゃない。」

まるで、自分の事であるかのようにアッシュが語っている。

「次、読ませてくれよ。」

それだけ言うとキョウは食器を洗いに戻っていった。

「本当にすきなんですね、アッシュさん。」

「ああ、確かにジュジュ・フォレストの記事は良く書けてるからな。
あの記事だけ切り取って保存してると言うのも分かるよ。」

そんな事を話しながらキョウとミナは食器を洗っていった。

 

   チーム・フライグラウンドのベース PM 10:49

「おやすみ、キョウ、ミナ。」

そう言ってアッシュは部屋に戻っていった。

「おやすみ。」

「おやすみなさい。」

2人は、アッシュに声をかけると

「おやすみ、ミナ。」

「おやすみなさい、キョウさん。」

と言ってそれぞれの部屋に戻っていった。
こうしてチーム・フライグラウンドある1日は終わりを告げた。

おわり


吉川さんから頂きました。
チーム・フライグランドの1日です。
ちょっと、ケインの科白に手を加えました。
あんなに他人行儀じゃないので・・・。
敬語って言ってもあの程度です。
本当に商売人か?と思うこともしばしば・・・。
アッシュ達が出るのは、第6話ですね。
その時はビットとの対戦です。
吉川さん、どうもありがとうございます。

 

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