「森の盗賊」

 

 バン達がガーディアンフォース基地に滞在するようになって数日経ったある日、
まだ夜が明けないうちにガーディアンフォース基地から、
緑色のコマンドウルフ、緑色のガンスナイパー、青色のコマンドウルフが出発していった。
船に乗る事1時間、ゾイドを駆る事2時間、
計3時間後、その3体のゾイドはミュール南方のガルバディア山脈、ネーベルの森の入り口にいた。

「ここの森だな。
最近、この近辺を荒らしている盗賊がアジトにしている森というのは。」

緑色のコマンドウルフに乗っている淡い茶髪で青い目の女性がそう呟いた。

「ああ、そうですよ。
けど、確かこのネーベルの森には野生のゾイドが大勢いる聞いてますから、
気を付けないといけませんね。」

青色のコマンドウルフに乗ってる緑髪で青い目の男性が淡い茶髪の女性の言葉に応じるかのように喋った。

「とりあえず、任務を始めましょう。」

その後、彼等は緑色のコマンドウルフに乗ってる女性と同じ髪の色で青い目の
緑色のガンスナイパーを操縦している男性のその一言で任務に取り掛かり始めた。
もうお分かりだと思うが、淡い茶髪の女性はガイロス帝国軍中佐のレックス・ハーティリー、
緑髪の男性はヘリック共和国軍のオコーネル大尉、
そしてレックスと同じ髪の色の男性は彼女の弟にしてガイロス帝国軍大尉のコナン・ハーティリーである。
因みに、この3体のゾイドは彼等の愛機、コマンドウルフ、コマンドウルフAU、ガンスナイパーSCである。
彼等がなぜこのような事をすることになったかというと、
前日の午後シュバルツ大佐にこの任務を命じられたからである。

 

 時は戻って前日の午後、ガーディアンフォース基地の司令室に
レックス、オコーネル、コナンの3人が呼び出された。

「シュバルツ大佐、どうしたんですか?
急に、私達を呼び出したりして。」 <レックス>

「単刀直入で悪いが、君達にある任務を行ってもらいたい。」 <シュバルツ>

「それで私達はどのような任務を行うんですか?」 <オコーネル>

「君達も知ってると思うが、ミュール山脈付近の町に、時々盗賊が出現している。
その付近からの情報によるとその盗賊は2人組でゾイドの腕前がかなりのものらしい。」 <シュバルツ>

「それで、俺達にその盗賊を退治してほしいというわけですか。」 <コナン>

「ああ、それもある。
だが、任務はあと1つあるんだ。
これはできたらやってほしいんだが、彼等に軍の特別部隊に入るように説得してくれ。」 <シュバルツ>

「なぜ、このような事を?」 <オコーネル>

「実は、この間の会議で軍の特別部隊を少しばかり増員する事になったんだ。
知ってるだろうが、この軍の特別部隊はそれなりのゾイドの腕前がないとなれない。
だが、例の盗賊の腕前はそれに匹敵している。
敵だと厄介になるが上手くすれば戦力になる。」 <シュバルツ>

「なるほど、分かりました。」 <レックス>

「そういう訳だ。
頼んだぞ、ハーティリー中佐、ハーティリー大尉、オコーネル大尉。」 <シュバルツ>

『了解。』 <レックス、コナン、オコーネル>

そういって3人は司令室を後にした。
これが彼等が任務を命じられた経緯だった。

 コナンの一言で任務を始めてから5分後、
彼等はネーベルの森の入り口から少しばかり奥のところでゾイドを停めて対策を立てていた。

「それにしても広い森ですね。」 <オコーネル>

「ああ、こう広いと三人一緒でアジトを探し回ってたら効率が悪い。
だとすると危険は大きいが三手に別れて探そう。」 <レックス>

「そうですね。」 <コナン>

「私は左を探ってみる。
オコーネル大尉は右を、ハーティリー大尉は真中を探ってくれ。
それと、野生ゾイドにも気を付けろ。」 <レックス>

『了解。』 <オコーネル、コナン>

その後、彼等はそれぞれの方向にゾイドを向かわせた。

 

 森に入ってから1時間程が経った。
オコーネル大尉は時々襲い掛かってくる野生ゾイドを倒しながら盗賊のアジトを探っていた。
黒いレブラプターを倒してから数十分程移動していると、前方に建物らしきものが見えた。
彼はゾイドを停めて他の方面を探している2人に連絡を取ることにした。

「こちら、オコーネル。
ハーティリー中佐、800メートル程先に盗賊のアジトらしき場所を発見しました。
応答してください。」 <オコーネル>

「こちら、レックス。
了解した、今からそっちに向かう。
そこで待機していてくれ。」 <レックス>

だが、彼は気付いていなかった。
後ろにゾイドの影が迫ってることに。

「了解しました。
おや、レーダーに何か反応がある。
しまった後ろを取られた。
うわぁぁーっ。」 <オコーネル>

次の瞬間、彼のゾイドはそのゾイドによって体当たりをされ、
地面に叩きつけられてコンバットシステムがフリーズしてしまった。

 

一方、通信機ごしにオコーネル大尉の叫び声を聞いたレックスは、

「オコーネル大尉、何があったんだ?
応答してくれ、オコーネル大尉。
・・・どうやら彼の身に何かあったみたいだな。
とりあえず、ハーティリー大尉に連絡を取ろう。」 <レックス>

オコーネル大尉の叫び声から彼の身に何かが起こった事を察してコナンに連絡を取る事にした。

「こちら、レックス。
ハーティリー大尉、オコーネル大尉が例のアジトを見つけた。
だが、彼の身に何かあったようだ。
至急、さっき別れた場所へ帰還して彼が探ってた方向へ向かう。」 <レックス>

「了解した。」 <コナン>

それから30分後、彼等はオコーネル大尉が探ってた方面を移動していた。
因みに彼等はコナンのゾイドの光学迷彩機能を使って移動している。
実は、彼のゾイドはコマンドウルフくらいの大きさまでのゾイドならその機能を延長できるのだ。

 

 その頃 アジトでは腰ぐらいまでの長さのグレーの髪で紫色の瞳の少女が
黒髪で茶色の瞳の男性と話をしていた。
近くには気絶しているオコーネル大尉の姿がある。

「ところでその人どうしたの?」

「ああ、この近くをうろついとったから捕まえたんや。」

「ふ〜ん そうなの。
それじゃ私は近くの町で弾薬とか食料とか買ってくるから。」

「後 2時間程したら例の町に行くさかい、45分までには戻って来いや。
後、こいつは俺が見張っとくから。」

「分かったわ。」

こういう会話が行われた後、
その少女は背中にロングレンジライフルを装備した
銀色のコマンドウルフに乗ってそのアジトを去っていった。

 

 一方 レックスはコナンを近くで待機させて、
3メートル程の高さにある窓のような所から中の様子を見ていた。

(オコーネル大尉はあの様子だと気絶してるようだ。
出口は正面方向以外で左方向に使えそうな扉があるな。
よしあれを使おう。)

そんな事を頭で考え巡らせてるうちに、
見張りをしていた黒髪の男性がゾイドの整備にでも行くのかその場を後にした。
そのすぐ後 レックスは今までいた窓のような所から建物の中へ飛び降りてオコーネルの元へ向かった。
レックスがすぐそばに飛び降りた音で目を覚ましたオコーネルは思わず声をあげた。

「ハーティリー中佐、なぜここに?」 <オコーネル>

「しっ、オコーネル大尉声が大きい。
理由は後で説明するから。
見張りが戻る前に早くここを出るよ。」 <レックス>

「分かりました。」 <オコーネル>

彼らはその後、左側の扉から外へ出て彼らのゾイドの元へ向かった。
オコーネルのゾイドは幸いにも近くに放置してあったので、彼が無駄に体力を費やす事はなかった。

「これからどうしますか?」 <オコーネル>

「とりあえず、ここから一旦離れて対策を練ろう。」 <レックス>

そういう会話を交わしてから 彼らがゾイドを移動させていた その時

ズガーン、ズドーン

彼らのゾイドの周りで突然爆発が起こった。
攻撃をしたのは背中にロングレンジライフルを装備した銀色のコマンドウルフとステルスバイパーだ。

「どうやら例の盗賊のゾイドみたいだ。」 <レックス>

「そのようですね。」 <オコーネル>

彼らは言葉を交わした後 ゾイドを相手の方に向けた。
すると意外にも相手の方から通信を送ってきた。

「お前等、軍の関係者か?」

「まあ、そういう事になるかな。」 <レックス>

「へぇ、そうなの。
でも 私達のアジトを知られたからにはここから無傷で帰すわけにはいかないわ。」

そのような応答をした後、レックスは銀色のコマンドウルフ、
オコーネル大尉はステルスバイパーの相手をする事になった。
まず、ステルスバイパーがオコーネル大尉のコマンドウルフに向かっていった。
オコーネル大尉はすかさずビーム砲座で応戦するが避けられてしまった。
ステルスバイパーはあっという間に青いコマンドウルフに近づいて、機体に絡み付いて締め付け始めた。
それによってコマンドウルフは身動きが取れなくなった。

「どうやこれが俺のゾイドの必殺技、ワイヤレスアタックや。」

「は、離せ。 」 <オコーネル>

「離せと言われて離す阿保がどこにおる。
いいかげん大人しくしろや。」

レックスはオコーネル大尉を助けに行こうとしたが銀色のコマンドウルフに邪魔をされてしまう。

「オコーネル大尉!」 <レックス>

「逃さないわよ。」

その頃オコーネル大尉の青いコマンドウルフは
コンバットシステムフリーズを起こしそうになっている。
彼がもうだめかと思った瞬間、
突然 樹木以外何も無いと思われていた方向からの砲撃がステルスバイパーに当たり、
それによってコマンドウルフは抜け出すことができた。

「何、何処から撃ってきたんや?」

「油断禁物だよ、盗賊さん。」 <コナン>

その声と共に、今まで樹木以外見えなかった所から緑色のガンスナイパーが姿を現した。
どうやら今まで光学迷彩で姿を隠してたようだ。
すぐさまステルスバイパーはガンスナイパーに向かっていったが、
それは運動能力の高さを生かして避けていく。
そして近づきざまに前足の爪でステルスバイパーの胴体部分を切りつけた。
そこにオコーネル大尉のコマンドウルフが砲撃して、
ステルスバイパーのコンバットシステムがフリーズした。

 

 一方 別の方面ではまだ戦いが続いていた。
銀色のコマンドウルフがレックスの緑色のコマンドウルフに向かって砲撃をするが、
レックスは持ち前の操縦技術で次々と避けていく。
すると銀色のコマンドウルフが格闘戦をしようと向かってきた。

「へぇ、結構いい腕してるな。」と呟きながらレックスのコマンドウルフも相手に向かっていく。

「だけど 少しばかり甘いな。」

そう彼女が呟くのと同時に、緑のコマンドウルフは相手の前方へ向かってジャンプした。
空中で回転しながらビーム砲座からビームを撃ち、
相手のコマンドウルフのロングレンジライフルを壊した。
着地して後ろへまわった緑のコマンドウルフは、
続けざまに相手の右後足をエレクトロンバイトファングで噛み切った。
これによって銀色のコマンドウルフはコンバットシステムフリーズを起こした。

 

  戦闘が終わった後、
レックス達は銀色のコマンドウルフとステルスバイパーの持ち主である盗賊の元へ向かった。

「あなた達がこの辺を荒らしまわってた盗賊みたいね。」 <レックス>

「ああ、そうや。
俺はウラル・スカンジナビア。
こっちはラナミ・スノーウォルフや。
それでお前等俺達を捕まえにきたんやろ。」

「まあ、君達を倒しに来たんだけど、他にも目的があるんだ。」 <レックス>

「他の目的?」 <ラナミ>

「実は、軍の特別部隊にスカウトしに来たんだ。」 <レックス>

「軍の特別部隊にスカウト?」 <ウラル>

「ああ、軍の特別部隊をつくったんだ。
勿論、君達に強制はしないから。」 <レックス>

「ふ〜ん、そうなんか。
まあ、俺達かていつまでも盗賊をやるわけじゃないからな。
ええやろ、ラナミ?」 <ウラル>

「私もそれに異論はないよ。」 <ラナミ>

「それじゃ、きまりかな。」 <レックス>

「そのようだね、ハーティリー中佐。」 <コナン>

「そうみたいですね。」 <オコーネル>

こうしてレックス達の任務は終わり、軍の特別部隊に二名が加わる事になった。


Yukiさんからいただきました。
なんか、載せるのが遅くなって済みません・・・。
ラナミ、初登場ですね。
直してて気付いたんですが、Yukiさんの分って結構くどいですね・・・。
同じ表現が結構目立ちました。
長い単語は省略したり、指示語を使った方がいいですよ。
少しばかり直させていただきました。
では、ラナミ達の活躍、期待してます。
・・・本当に感想になってるか?

 

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