「過去の接点」
それは、いつもと何も変わらない日常。
そして、ほんの少しの重なった偶然・・・・・・
彼らはいつも同じ様に遺跡に入っていた。
これは、別にそう珍しい事でもないだろう。
いつもと違った偶然、それはこの遺跡に別の組がいたという事だろう。
彼女らがいた、それも凄く珍しい事でもないだろう。
遺跡というのは彼女達にとって、とても大切な人が関係している場所とも言える。
古代ゾイド人という存在は遺跡で眠っている、何時か目覚めるときを待ちながら・・・・・
彼女の母親も眠っていた。
残念ながらその女性はもう既にこの世の人ではない。
もしその女性が生きていて、彼らが出会っていたら彼の運命も変わっていたのかもしれない。
その女性の名は『始まり』、古代ゾイド人の言葉ではそういう意味のある言葉だそうだ。
旧時代において全てが絶望に包まれても、最後まで諦めなかった女性・・・・・
そして、おそらくこの世界においてもっとも早く目覚め、
そして、この世界において最も早く絶望を感じた人物だったのかもしれない。
彼女は死んだ、本当の目的を果たす事無く・・・・・
だが、彼女の娘は今も生きている。
彼女の意思はまだ生きているのだから、彼女の娘と共に・・・・・・・
・・・・・・話を戻そう。
この話は、直接は二人に関係していない。
この話はこの二人の従者、2体のオーガノイドの話。
この2体は、直接相手を知っている。
その瞬間は、ほんの一瞬だった。
擦れ違うという事ではない。
遠目に一瞬見えただけ。
それでも、お互いに分かった。
お互い、最も名の知れているオーガノイドなのだから。
1体は巫女の対の存在として、そしてもう1体は異例の力を持った存在として・・・・・・
「どうしたんです?」
一瞬振り返ったダークネスを見てレイナは不思議に思った。
いつも自分と一緒にいるこのオーガノイドは、
自分の事を心配して勝手に動く事はあっても、
自分と一緒にいるときに余所見をするなんて事はそうある事ではないから・・・・・
「グォォォオ?(主、少し時間を頂けますか?)」
「別にいいですけど・・・・」
「グォォォ(ありがとうございます。)」
「でも、珍しいですね。
何かあったんですか?」
「グァァァ(それは・・・・・)」
「言いたくないなら、別にいいですよ。」
一瞬、言葉を濁したダークネスに対してレイナは無理強いはしないと言った。
「でも、後でちゃんとギャラドの所に来て下さいね。」
「グルォォ(すみません。)」
そう言って、ダークネスは翼を広げ飛びだった。
ダークネスが飛びだった後、レイナは首を傾げていた。
「ほんとに珍しい事もあるんですねぇ。」
一方・・・・・
「グォォォ(クルス、先に行っててくれ。)」
「どうした?」
「グァァァ(野暮用だ。)」
その後に、一時の沈黙が流れた。
どちらも、話そうとしない。
「・・・・・・詮索するな、か。」
長年、一緒にいるだけあってお互いの事はだいたい分かる。
沈黙、それはガースにとって「詮索するな」と言っているのと、ほぼ同意であった。
「分かった、何も聞かねぇ。
ライガーの所に居る。
終わったら来い。」
それだけ言うと、クルスはホバーボードに乗ってその場を去った。
クルスが去った後、ガースもその場を飛び立った。
“ここから先は、鳴声を書くのが大変(面倒)なので直接、翻訳させていただきます。
ご了承ください。m(_ _)m”
ダークネスが少しの間飛んでいると、目的の存在を見つけた。
降り立ち、そして話し掛けた。
「まさか、こんな所で会う事になるとは思わなかったぞ。」
「久しいな、ダークネス。」
お互いに顔を知っていた。
主人同士が知り合いだったため、この2体もお互いの事を知っていた。
「ガース、お前と一緒にいたあの人物は?」
「お前も知っているだろう。
クルスだ。」
「あの、小さかった子供が・・・・・・・」
「私とクルスがこの世界で目覚めて10年は経つ。
それだけ経てば子供も青年になろう。」
「そうだな。」
その後にしばし沈黙が流れたが、その沈黙を破ったのはガースの呟きとも取れる言葉だった。
「・・・・・・・・ダカーポ様にお会いしたかったが、遅かったようだな。」
「何故そう思う?」
「理由は二つある。
まず、お前が一緒にいたのはダカーポ様ではなかった。
雰囲気は似ていたが違う。
ダカーポ様のご息女か何か、違うか?」
「確かに、あの方はダカーポ様のご息女のレイナ様だ。」
「やはりな。」
「もう一つは何だ?」
「・・・・・そうだな。
あの時とは眼が違った。
あの時のお前は、今のような悲しさの入り混じった眼はしていなかった。」
「そんな風に見えるのか。」
「少なくとも私にはそう見える。
あの時のお前を知っている私には・・・・・・」
「そう・・・・
ガース、ひとつ聞いても良いか?」
「かまわないが・・・・・」
「あの子に全てを話したのか?」
「いや・・・・・
それに、私は話さないつもりだ。」
「何故?」
「あの時のクルスは幼すぎた。
来るべき時が来るまで、私は沈黙を続ける。」
「それが、彼との約束なのか?」
「そうだ。
それがクルスの兄である、クローシスとの最後の約束だからな。」
「まるで、それしか残って無いような言い方をするんだな。」
「ダークネス、お前も私とクルスに付けられている忌み名は知っているだろう?」
その言葉に対してダークネスは黙っているしかなかった。
「私の力は今の世界の人間には手に余る代物だ。
まだ早すぎるのだ。
私のこの力を人が持つにはな・・・・・
・・・・・・・・お前は、おかしいとは思わないか?」
「ダカーポ様だけではなく、終わりの巫女も目覚めた事か?」
「それもある。
そして、私がこの世界に目覚めた事もその一つだ。
そして、限り有る同胞たちの目覚めも含めて明らかに集中しすぎていると思わないか?」
「・・・確かに。」
「まるで、全てが仕組まれたかの様に・・・・・
・・・・・・今は、この世界の新たな転換期なのかもしれん。」
「あの時、アレを創り出した事のようにか?」
「おそらくな。
・・・・・・話が長くなってしまった様だな。」
「そのようだな。」
二人の言葉どうり高かった日も傾き始めている。
「いずれ、また会う事になるだろう。
・・・・・・次は敵同士かもしれないがな。」
「そうならない事を祈ってるよ。」
「そうだな。
また会おう、ダークネス。」
その言葉を最後にガースは光となりその場を後にした。
ガースが去った後、ダークネスも自らの主人の待つ方向へと向いた。
「私も早く戻らなければ・・・・・
主が心配だし・・・・・
急ごう。」
そしてダークネスもその場を後にした。
ダークネスがレイナのもとへと戻ってきた時、レイナは眠っていた。
「グォォ(主、起きてください。)
グァァァ(もうすぐ、日も沈みます。)
グルルル(このままでは風邪をひいてしまいます。)」
ダークネスの呼び声でレイナは目を覚ました。
「う〜〜ん。」
でもまだ眠そうだ。
「あ、ダークネス。
終わったんですか?」
「グルルルル(はい、終わりました。)」
「そうですか。」
思いっきり伸びをやった後レイナは立ち上がった。
「それじゃ行きますか、ダークネス?」
「グォォォ(はい。)」
もう片方は、というと・・・・・
こちらもクルスは眠っていた。
ただ違う事が一つあるが・・・・・
ガースは空から降りてきた。
「グエッ!」
その直後、つぶされたヒキガエルのような声をクルスは出した。
よく見ると、ガースの尻尾がクルスの腹に直撃している。
寝ている時にいきなり腹に万有引力によって加速した尻尾の一撃が入れば、
誰でもそういった声を出すだろう。
「ガース!!
お前いきなり何するんだ!!」
「グォォォ?(居たのか?)」
「お前、居たのかってなあ!!
はあ・・・・・」
何かを言いたかったようだが、諦めたように溜息を吐いた。
「で、終わったのか?」
「グゥゥゥゥ(とりあえずはな。)」
「じゃ、街に行くか。」
クルスとガースにはその本当の名前と共にもう一つ名前が有る。
彼らの事を知っていても、彼らの本当の名前と姿を知る者は、ほんの一握りしか存在しない。
誰が付けたのか分からない。
だが彼らには忌み名がある。
クルスにはカルマという名が、
そしてガースに付けられている忌み名は破滅の龍という名が・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
というわけで作りました。
ガースとダークネスの会話を中心にした話を。
ダークネスもクルスの過去を知る存在の一人という設定です。
まあ、レイナも認識は有るでしょうけど・・・・・・
でも分からないだろうなあ。
クルス、すでに昔の面影も無いだろうし。
知っている存在は極力少ないはずです。
ちなみに、今クルスが乗っているゾイドはまだシールドライガーです。
ファングブレイクを創り出す前だから結構前。
正確に言えば1部と2部の丁度、真中くらいでしょうかね。
忘れる所でしたがこの話でクルスの兄の名前が出てきました。
クローシスという名前です。
でも特に名前に意味はありません。
それでは、失礼します。
砂亀さんから頂きました。
ああ、過去は人に任せっぱなしの管理人・・・。
何か、アニメと矛盾がないようにするのってきついんですよね・・・。
実際、キースのシャドーフォックスが矛盾してるし・・・。
話を戻して、ガースとダークネスの会話です。
昔から知り合っている彼等。
特別なオーガノイドの中の2体です。
ちなみに他にはジークが。
彼ももう1人の巫女の対の存在ですからね。
彼等があったとき、古代の記憶が蘇るのかも知れません。
・・・書くのは私でしょうね。
本編と関わりがあるから。
砂亀さん、どうもありがとうございました。