「ちっちゃな婚約者」

 

「この子はハーくんの婚約者よ」

「初めまして、レミエル・クワイエットです」

「は?」

一瞬頭の中が真っ白になった。

「この子が私の弟で、貴方の婚約者のハリーよ。
じゃあハーくん、この子のとこよろしくね」

姉さんはそういって帰ってしまった。
事の起こりは、多分3日前のことだと思う。

 

「ハーくん、どうしてもうちに帰ってきてくれないの?」

「わかってくれよ姉さん。
俺はゾイドバトルのチャンプになるまでは帰らないし、家の継ぎたくないんだ」

そのときも、姉さんは俺に家に戻ってこいと行って来た。
俺も説得しようとして、もっと長引くんだが、そのときは違った。

「そう、ハーくん、やっぱり気持ちは変わらないのね。
わかったわ、お父様にはそうお話しして置くわね」

「姉さん!わかってくれたんだね!!」

まさか、本当にわかってくれるとは思ってなかったからかなり驚いたが、
これでリノンとの仲に文句は付けないだろうと思った。
が、

「でもねハーくん、アレはダメよ?
私、それは譲る気ないのv
じゃあ私はもう帰るわね」

『やっぱり・・・』

そう落胆していると姉さんは、

「そうそう、ハーくん、3日後は空けて置いてね。
会わせたい子がいるから」

そういって帰っていった。

 

そして今日。

「ハリー、マリー様がいらしゃったぞ」

「わかった。すぐ行く」

セバスチャンに呼ばれ、リビングに行くと姉さんと銀髪の女の子がいた。

「姉さん、その子は?」

「この子がハーくんの婚約者よ」

そして、今に至る。

 

目の前に座る女の子−レミエル−は、黒の瞳に銀髪のセミロングを三つ編みにしていた。
ニコニコしていて顔も可愛いと思う。
が、

「えっと、レミエルさん?」

「レミと呼んでください」

「じゃあレミ、女性にこんな事聞くのは失礼だと思うんだけど、年はいくつなんだい?」

「今年で13になりました」

13歳の女の子に手を出したら犯罪だよ?姉さん。
心の中でそう思った。
てゆーか、結婚も出来ないんですけど。

「ク、クワイエットって、最近名が上がった財閥だよね?」

「はい、私は7つの頃からハリーさんの婚約者になると伝えられていました。」

そんな昔から決まってたんだ俺の人生・・・・。
ちょっと本気で泣きたい気分になってきた。

「ハリー、ビットが来たワヨ」

「よう、ハリー。
リノンがお前からのラブレター返して来いって。
はいラブレター」

「なにィ!なぜなんだリノーン!!」

「アレ?客が来てたのか?」

は!まずい。
彼女のことがリノンに知れたら・・・

「ビット、用がすんだんならさっさと帰れ!」

「いいじゃん別に。
オレはビット・クラウド。
キミは?」

「私はレミエル・クワイエット。
ハリーさんの・・・」

ああ、愛しのリノン・・・・
なんか君を迎えに行けなくなりそうだよ・・・・。

「新しいチームメイトです。
よろしくお願いしますね、ビットさん」

はい?

「へぇ、よろしくな、レミエル。
じゃあおれ、もう帰るから」

「アラ、ビット。
お茶飲んでいかないノ?」

「ああ、リノンと出かけるんだ」

「いつもアツイワネ〜」

なにか遠くでそんな会話が聞こえたが、少しどうでもよかった。

「なんで言わなかったんだ?」

「なにをですか?」

「・・・・オレの婚約者だって」

「言って欲しかったですか?」

「いや、全然」

「なら、良いじゃないですか。
それに、応援しますよ」

「は?」

「ハリーさん、ビットさんが言ってたリノンって人が好きなんでしょう?」

「ああ」

は!仮にも自分の婚約者になに言ってんだ俺!

「あ、私のことは気にしなくて良いですよ?
親同士の決めた結婚ですし、それに・・・・、
素敵じゃないですか、本気で好きな人がいるなんて」

『だから応援します』と、レミはすごく優しく笑った。

「ところで、その荷物と植物は?」

照れ隠しに聞いた一言が悪かった。
レミは手をぽふっと合わせ、

「そうそう、マリーさんに『ハーくんと一緒に住んであげねv』って言われてたんです」

「なにーーー!!!」

「あと、ゾイドバトルのとこなんですが、
実戦経験はないですけど、ちゃんとゾイドもいますし、登録もしてありますので、
足手まといにならないように頑張ります。」

こうして、レミがチーム・チャンプに入り、俺と暮らすことになった。

《END》

おまけ

リ「へ〜、ハリーに新しいチームメイトねぇ」

ジェ「えっと・・・、『レミエル・クワイエット、13歳、
   搭乗ゾイドコマンドウルフ クワイエット財閥跡取り娘』」

バ「戦闘経験はないみたいだな」

ビ「もしかして、ハリーの婚約者だったりしてな」

リ「まっさか〜!
  もしそうだとしたら、その子がかわいそうよ。
  ハリーの婚約者なんて」

バ「もしそうだとしても、親同士が決めた結婚だろうな」

ビ「だよな〜」

ジェ「みなさん言いすぎですよ〜」

さり気にひどいこと言いつつEND

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アトガキ

アハハ〜、ついにハリーにも春が来ました!
婚約者のレミエルちゃん登場です!!
ハリーにはもったいないくらいの良い子です!(爆)
つーか、ビット達ヒドすぎ、そこまでいうかな?(書いた奴の台詞じゃない)
まあそれは置いといて、ハリーとレミエルの同棲生活が始まります。
でもレミエルは多分、最後までハリーに敬語を使います。
セリエルに対しても使いますから。
ちなみにセリエル・クワイエットは、レミエルの双子の姉です。
似てません。
そのうちこの子の小説も書きますので見てくださいね。
ここまで読んで下さってありがとうございました。


千夏さんから頂きました。
ハリーにもやっと春が・・・。
そして、どうなる?ハリーのリノンへの想い・・・。
叶いそうにもありませんが。(笑)
でも、女の子は大化けするって言いますからね。
4,5年後は分かりませんよ。
一方、姉のセリエルはシュダに恋・・・。
こっちもどうなる事やら・・・。
千夏さん、どうもありがとうございました。

 

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