「Confession(懺悔)」
〜破壊の竜騎士と王女〜

 

「カー君、なんでむっつりしてるの?」

ルイネが格納庫で、ある人物に話し掛けた。
カーディナルドラグーン
伝説のゾイド、アルティメットXで、
大型ゾイドの巨体には似合わぬ細さを強調したようなゾイドである。

ゴォォァァ・・・

カーディナルの唸り声が静かに、格納庫に響いた。

「何、カー君は止めて?
何で?僕は呼びやすいんだけど。」

ルイネがカーディナルの肩に座り、顔を向ける。

ゴオォォ・・・

ゆっくりと、ルイネを振り落とさないようにカーディナルが首を動かす。
ルイネに顔を向け、駄々をこねる様な声を出す。

「・・・本名で呼んで欲しいの?
嫌。
長い、怖い響きだし、呼びにくい。」

グゥゥ・・・!

今にも泣き出しそうな声を喉から出す。

「僕にとってはカー君の方が良いよ。
だって、呼びやすいし、親近感が沸くよ。
それに・・・。」

ルイネが少し、口ごもった。
カーディナルはその事に、気付く。

「あのね、僕ね、小さかった頃、犬がいたんだ。」

唐突に、ルイネがカーディナルに向けて話した。

「カー君みたいに、意地っ張りで、暴れん坊で、我が侭で、
そんで強くて優しかった。」

膝を曲げ、腕で抱き寄せる。
顔を隠し、それでも小さな、カーディナルが聞き取れるか取れない辺りの大きさで話した。

「でもね。死んじゃった。
僕がちょっとした散歩に出ていたの、少しの暇潰しに。
その日、父さんと、母さんが、外国から帰ってくる日だったの。
すぐ帰ったの。
でも、会えなかった。
家に帰ってくる途中、事故にあったの。
お祖父ちゃんは本部の仕事。
兄さんお祖父ちゃんと一緒に本部でお手伝い。
僕だけ、家で、待ってたの。
広い自分の部屋で、一人で待ってたの。
もうすぐ会えるって。
色々な話が聞きたい。
そんなこと考えながら待ってたの。」

口から苦い物がたまっていく事が、ルイネには判った。

「いつの間にか犬がいないことに気付いて、探しに行こうとしたの。
その直前、シエルが部屋に入ってきて言ったの。
≪父さんと母さんが事故にあった≫って。」

まだ小さかった頃だから。
もう、よくわからないんだけどさ。

そういう風に、小さな声が聞こえた。
カーディナルは唸り声一つ上げず、黙って自分の主人を見つめる。

「犬も一緒にいて、どうして一緒なのかはもうわからないけどさ。
凄く泣いたんだ。
ああ、もう、やだよ。
もう、この話するは嫌だった。
何でかな。
カー君に話しておかなきゃ。
そんな風に感じたのは。
なんでだろ。
カー君には関係無いのに。」

ボロボロと涙がルイネの頬を伝わって落ちていく。
カーディナルは始終黙ったままだ。

「ああ、嫌だ。
泣くのは嫌いだ。
泣いて楽になんかなりたくないよ。
変だね。カー君を見て。
何でこんな事思い出したんだろ。」

手で涙をふき取る。
紅い眼がカーディナルを哀しく映す。
カーディナルの紅い眼がルイネを映す。

グォウ・・・。

泣くな。
そう言う様に力強く響いた。

「ありがとね、カー君。
・・・今回だけは、本名で呼んであげるよ。」

ゴォァ・・・。

こっちも呼んでやるよ。そう言った声だった。

「ありがとう、カーディナルドラグーン(破壊の竜騎士)。」

グゥゥァ・・・。

からかった様な、嫌味のような。
それでも、何処か安心させるような声で、ルイネに話し掛けた。

「悪かったね。お子様で・・・。
それに、僕は王女じゃないよ。
女王って言うの。」

頬を膨らませ、睨むが。
それには何処ともなく愛嬌がある。
そんな顔を見て、カーディナルは笑う。
ルイネもつられて笑う。

 

お子様は泣いて美しくなるのだよ。
コンフェッション=アローネという名を持つ。
懺悔と孤独に苦しむPRINCESSよ。

 

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変な駄文になったことをお許しください。
ルイネの本名ですが、今回出てきました。
コンフェッション、つまりタイトルにもある懺悔です。
アローネはALONEつまり孤独です。
ティクスはアルファベットにするとTIXEとなるのですが、これを反対にするとEXIT。
つまり脱出になるわけで、
イクスティ=アローネ、孤独から立ち去る者。
として考えたんです。
それでは。
次はアドニス中心のギャグ話でも書きたいです。では。


桜神さんから頂きました。
ルイネの過去、暗いですね・・・。
なんか、過去が暗いキャラが多いような・・・。
女の子は泣いて美しくなり、男の子は泣いて強くなる。
子供は泣いたっていいんですよ。
その分、笑うことが出来るんですから。
カーディナルドラグーン、誰が付けたのかがちょっと気になりました。
桜神さん、どうもありがとうございました。

 

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