「悲しい秘密」
私とセルちゃんには・・・・いえ、クワイエット家には決して他言してはいけない秘密があります。
それは・・・・・・。
私とセルちゃんは、同じ日に同じ病院で生まれ、ベッドも隣同士でした。
双子なのだから当然のことと思われるでしょうが、違うんです。
本当は私たち、双子じゃないんです。姉妹であって、姉妹でもないんです。
セルちゃんは本妻の子として、私は古い言い方ですと、妾の子として生まれた、“異母姉妹”なんです。
父は優しい方で、私とセルちゃんを実の双子のように育ててくださいました。（戸籍上では実の双子ですけど）
セルちゃんの母も、私を実の娘のように可愛がってくださいました。
そして、私の母は、私を生んですぐ事故死してしまったそうですけど。
これが、一つめの秘密です。
二つ目の秘密もお話ししましょう。
確か、アレは私たちが１１の時のことです。
それまではクワイエット財閥の長子（実際には本妻の娘）のセルちゃんが財閥を継ぎ、
私はその補佐という役割がありました。
私には他に、チャンプ財団の跡取りの婚約者としての役割もありました。
セルちゃんはあまり家を継ぎたくないようでしたが、
それでも勉強を怠ることはしませんでしたから、継ぐつもりはあったんでしょう。
そう、あの日までは・・・・。
ある日、私とセルちゃんが、“実はすり替えられたんじゃないのか”という疑惑が上がりました。
セルちゃんの母が銀髪でしたが、父が黒髪なので、セルちゃんは父に似たのだろうと思われていました。
ですが、私の母は、本当は黒髪だったそうなのです。
銀髪に染めていたらしいので、父も忘れていたのでしょう。
すぐにＤＮＡ鑑定をしました。
その結果、判ってしまったんです。
私とセルちゃんが、“すり替えられていた”事が。
私は本妻の子で、セルちゃんは妾の子だったということが・・・・。
これが二つ目の秘密です。
お判りいただけたでしょうか。
なぜ“姉”であるセルちゃんが跡取りの座を“妹”の私に譲ったか。
本妻のこが継がなくてはならなかったから。
そして、母が・・・・、狂ってしまわれたから。
母は、この真実を知るやいなや、セルちゃんを罵り始めました。
『忌々しい』
『子供を入れ替える醜悪な雌豚の子』
『お前なんか跡継ぎにふさわしくない』
と・・・・・。
だからセルちゃんは私に跡継ぎの座を譲りました。
そして、セルちゃんは私の変わりにチャンプ財団の跡継ぎの婚約者になるはずでした。
でも、その時のセルちゃんには、見ず知らずにの人と結婚できるような強さが無くて、
私は婚約者のままで跡を継ぐことになりました。
そのことを、何度泣きながら謝られたでしょう。
何度も、何度も。
それ以来、セルちゃんは人を信じることが出来なくなりました。
当たり前です。
実の母親だと思っていた優しい人に、さんざん罵られたのですから。
今なんてまだいい方なんです。
最初の頃はもう、対人恐怖症に近かったから・・・・・。
私や父と目を合わせることも、まともに出来ませんでしたから。
そんな深い傷を持ったセルちゃんが、やっと心を許せるかもしれない人が現れたのです。
最初は反対していました。
なぜなら、その人は悪名高いＤＳ団のメンバーだったからです。
そんな人がセルちゃんを幸せに出来るはずがないと思いました。
向こうはセルちゃんのことも知らないんです。
そんな一方的な恋愛では、またセルちゃんが傷つくと思いましたから。
でも、もう心配いらないみたいです。
対人恐怖症のセルちゃんがダークバスターに入って、いろいろな人や世界を見て、
昔の、明るかった頃のセルちゃんが少しずつ、戻ってきてるみたいなんです。
だから、応援しようと思うんです。
傷つかないようにしてるだけじゃ、傷は癒えない。
自分が勇気を持たなければ。
そう思えるようになりましたから。
せっかくセルちゃんがもてた勇気を、捨てさせるわけにはいかないから。
ＥＮＤ
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アトガキ
久々に書きました、／０小説です。
セルとレミが持っている暗い過去と、セルが負った深すぎる傷です。
セルはどんな気持ちで母の言葉を聞いていたのでしょう？
レミはどんな気持ちでそれを見ていたのでしょう？
想像することしかできないけど、すごく痛かっただろうなぁと、俺は思います。
でもやっぽり久々なので疲れました。
アナザーと違ってこっちは背負ってるものが大きいから。
ちなみにアナザーの方は違います。さすがに。
母親元気だし、ちゃんと双子だし。
アナザーではセルが継ぎたくないと言いだし、相談した上でレミが継ぐことになりましたから。
ここまで読んで下さってありがとうございました。
千夏さんから頂きました。
何か、最近暗いのばっかりですね・・・。
セルやレミにもいろいろな過去があるんですね。
シュダとの出会いがどう影響するか。
とっておきの舞台を用意しますのでお楽しみに。
千夏さん、どうもありがとうございました。