「出会いその後」

 

 セナ、ホークとジュジュが初めて出会ってから3日が経ったとある日。
ウルトラシティーの大手出版会社「ニューセンチュリー社」の前の道に黒いグスタフが停まった。
それと同時にグスタフのコックピットが開いて中から茶髪で緑色の眼の少女が降り立つ。

「おじさん、送ってくれて有難う。」

「別に構やしねえよ。
それじゃ、嬢ちゃん気を付けて行けよ。」

「うん、分かった。
それじゃ。」

このような、ちょっとした会話を交わした後、黒色のグスタフはその場を立ち去っていった。

「ホーク兄さんから聞いた事によると、ジュジュさんの職場はここだな。」

グスタフを見送った先程の少女はこう呟くとニューセンチュリー社へ入っていった。

 

 2、3分後、ニューセンチュリー社の編集部の近くに彼女の姿があった。

(とりあえず、ここに来たけど、ジュジュさんはここに来てるかな?)

どうやら、彼女は恩人であるジュジュ・フォレストがここに居るかどうか分からないようだ。
すると、編集部の近くにいる彼女に気付いた栗色の髪で三つ編が特徴的な女性が声を掛けてきた。

「あの、どうかしましたか?」

「あっ、済みません、おじゃまして。
実は、ジュジュ・フォレストさんに用があって来たんです。」

「・・・、先輩にですか?」

「はい。
それで、ジュジュさんはいらっしゃいますか?」

その後、茶髪の少女はその女性に事情を説明した。
すると、事情を理解した彼女からこのような申し出が出た。

「ええ、居ますよ。
何なら、先輩の所へ行きますか?」

「そうですか。
では、宜しくお願いします。」

栗色の髪の女性の申し出に茶髪の少女は嬉しそうに頷いて答えた後、彼女達はジュジュの元へ向かった。

「先輩〜、お客さんが来てますよ。」

編集部の部屋の扉を開けて先程の女性がちょうどデスクワークを終えた銀髪の女性に声を掛けた。

「私にお客さんが来てるの?」

「ええ、この方が先輩に用事があるとかで。」

「分かったわ、アリス。
今、そっちに行くから。」

その言葉の後、その女性は彼女達の元へ来た。

「あら、セナじゃない、久しぶりね。」

「お久しぶりです、ジュジュさん。
この間はお世話になりました。」

再会を果たした銀髪の女性ジュジュと茶髪の少女セナは親しげに言葉を交わしている。
すると、彼女達が知り合った経緯を知らない栗色の髪の女性アリスがジュジュに質問した。

「先輩、この方と知り合いなんですか?」 <アリス>

「ええ、そうよ。
彼女とはちょっとした縁があったから。
あっ、紹介が遅れちゃったわね。
アリス、こちらはセナ・シューマッハさん。」<ジュジュ>

「こんにちは、セナさん。
アリス・ウォーカーです。」<アリス>

「それでセナ、こっちは私の仕事のパートナー、アリス・ウォーカーよ。」<ジュジュ>

「初めまして、アリスさん。
それと、先程は有難うございました。」<セナ>

このジュジュの紹介でアリスとセナが簡単に挨拶を交わした後、
アリスの計らいで三人は応接室に行く事になった。

 

 場所は変わって応接室。
ジュジュ、アリス、セナの三人はそれぞれ思い思いの席に座る。
その時、セナが何かを思い出したかのように声を出した。

「あっ、ジュジュさん、忘れる所でしたけどこの間のお礼にケーキを買ってきたんです。
もし、良かったら受け取ってください。」<セナ>

そう言うと、彼女は応接間の机にケーキが入った箱を置いた。

「あら、そうなの。
有難う、セナ。
じゃあ、貰っておくわね。」<ジュジュ>

「喜んでもらえて嬉しいです。
僕の町に『パティシェ』っていう人気がある洋菓子店があってそこで買ってきました。
ですから、味は良いと思います。」<セナ>

「それじゃ、私はコーヒーを入れてきましょうか、先輩?」<アリス>

「あっ、お願いするわ、アリス。」<ジュジュ>

「お願いします。」<セナ>

この後、彼女達は色々雑談をしていた。
その内、話題はチーム・バスターズの事に移っていった。

「へぇ〜っ、ジュジュさんはチーム・バスターズと知り合いなんですか。」<セナ>

「ええ、彼等とはちょっとしたきっかけでね。」<ジュジュ>

「そうなんですか。
僕はこの後アーサーディーリングショップへ行くんですけど。」<セナ>

「それは、奇遇ね。
私もそこへ行こうと思ってるの。
何だったら、セナ、アリス、一緒に行かない?」<ジュジュ>

「御免なさい、先輩。
今日はやる事が残ってますから、行けそうにないんです。」<アリス>

「そうなの、アリス?
残念ね。
じゃあ、セナ一緒に行きましょうか。」<ジュジュ>

「はい、良いですよ、ジュジュさん。」<セナ>

その話題でセナがアーサーディーリングショップへ行く事を知ったジュジュは、
自分も行く予定だったので、
セナ、アリスを誘ったがアリスは仕事の都合で断り、彼女はセナと一緒に向かう事になった。

 

 それから15分後、セナとジュジュはジープに乗って、
レリードタウンのアーサーディーリングショップへ向かっていた。

「そう言えば、セナって車の運転出来るんだ。」<ジュジュ>

「ええ、ホーク兄さんやエクセル叔父さんに教えてもらいましたから、出来るんですよ。」<セナ>

それから彼女達は世間話をしていった。
ふと、ジュジュがセナの胸元で光ってる青水晶のペンダントに気が付いた。

「セナ、そのペンダント綺麗ね。」<ジュジュ>

「・・・、これですか。
これは父さんと母さんの形見です。
僕の両親は幼い頃ゾイドバトル中の事故で亡くなってますから。」<セナ>

「そうなの、悪い事聞いちゃったわ。
ごめんね、セナ。」<ジュジュ>

「いいえ、気にすることないですよ。ずいぶん前の事ですし。」<セナ>

そうこうしてる内に、彼女達はアーサーディーリングショップに着いた。
ふと、ジュジュがその店の近くに緑色のセイバータイガーと青色のレイノスが停まっているのに気が付く。

「ねえ、見てセナ、セイバータイガーとレイノスが停まってるんだけど。」<ジュジュ>

「どうやら、ホーク兄さんとディアス兄さんが来てるみたいですね。」<セナ>

「ディアス兄さん?」<ジュジュ>

「あ、ジュジュさんにはディアス兄さんの事をまだ話してませんでしたね。
ディアス兄さんは僕の従兄なんです。」<セナ>

「へぇ〜っ。
そう言えば、あなたのチームに青いレイノスに乗ってるウォーリアーがいたわね。」<ジュジュ>

停まっているその二体のゾイドを見て会話を交わしながらセナとジュジュは店の中に入っていった。

 

「ケイン〜、おじゃまするわね。」

ジュジュのその言葉と共に彼女とセナが店に入ってきた。
その時、店の応接間では青髪の男性と銀髪の男性が世間話をしている。
そして受付のカウンターには金髪の少女と黒髪の男性が居た。
その向かい側には黒いカウボーイハットを被った男性も居る。
その中で黒髪の男性がジュジュの声に反応して彼女に声を掛けた。

「よう、ジュジュ。
それに、セナ久しぶりだな。」

「お久しぶりです、ケインさん。」<セナ>

その彼等の様子を見たジュジュは黒髪の男性に疑問を放った。

「ケインって、セナと知り合いなの?」<ジュジュ>

「セナとは以前会った事があるんだ。」

「ふ〜ん、そうなの。」<ジュジュ>

もうお分かりだと思うが、黒髪の男性はケイン・アーサー、
彼の向かい側に居る黒いカウボーイハットの男性はホーク・シューマッハだ。
因みに青髪の男性はディアス・ハイウィンド、
銀髪の男性はレイス・クリスナー、カウンターにいる金髪の少女はシエラ・アーサーである。

「ところでセナ、どうしてここに来たんだ?」

この言葉で今まで聞き役だったホークが会話に入ってきた。

「昨日、僕のシールドライガーの修理が終わったって連絡があったの。
それで修理代金の支払いとライガーの引き取りに来たんだ。」<セナ>

「そういや、お前のシールドライガーは修理をしてたんだったな。」<ホーク>

すると、セナ、ホークの会話で何かに気付いたのかシエラが口を開いた。

「あっ、そうだ・・・・。
セナ・シューマッハさん、シールドライガーの修理が終わったので連絡させていただきました。
つきましては、シールドライガーの修理代のお支払いと引取りをお願いします。」<シエラ>

「はい、分かりました。」<セナ>

この後、セナはゾイドの修理代金を払い引き取りの手続きを済ませた。
それらが完了した後、彼女はケインからゾイドが置いてある場所を聞きそこへ向かった。

 

数分後、ゾイド倉庫にセナの姿があった。

(うわぁ、レブラプターにレドラー、レッドホーン、他にも色んなゾイドがあるなぁ〜。)

そんな事を心の中で思いながら彼女は自分の愛機を探している。
その内に彼女の視界に緑色のシールドライガーが入った。

「あっ、ライガー。」 <セナ>

彼女はそう叫んでそのシールドライガーの元に駆け寄った。

「良かった、ライガー、元気になって。」<セナ>

グウォン

セナが嬉しそうに声を掛けると元気そうな鳴き声がシールドライガーから聞こえた。
その様子に安心した彼女はそのキャノピーに触れていた。
すると、不意に後ろから声が掛かった。

「・・・、何してるんだ、こんな所で?」

その言葉に彼女が驚いて振り返るとそこにはケインと似た感じの黒髪の男性が立っていた。

「御免なさい、ここに来て。
僕、いや私はセナ・シューマッハ。
このシールドライガーのウォーリアーで引き取りにきたんです。」<セナ>

「・・・あの時の、・・・・。
俺はリッド、あんたのゾイドを修理した。」

「そうなんですか。
あの、ライガーを修理してくれて有難う。」<セナ>

「良いよ、仕事だし・・・。
まぁ、あんたのシールドライガーはダメージが少なかったから、修理はやりやすかったけどね。
じゃあ、俺はパーツの仕上げがあるから。」<リッド>

そう言った後、その男性は彼女の前から去っていった。
だが、この時セナには今までにない感情が小さく芽生えていた。

(何だろう、この気持ち。)

時刻は夕方になり、セナ、ホーク、ディアスはゾイドでジュジュはジープで帰っていった。
これは余談だが、この時からセナはリッドの事が気になり始めたという。


Yukiさんから頂きました。
セナの恋の始まりと言ったところでしょうか?
当の本人は全然その気はないんですけど・・・。
まぁ、今後に期待ということで・・・。
Yukiさん、ありがとうございました。

 

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