「意味のない邂逅」
〜たまたま『遭い』ました〜

 

 

 

夏の日差しは鋭く肌を焼いてくる。
長時間焼かれたアスファルトは陽炎さえ起こし、靴底からも熱が伝わってきた。
ZAC某年、夏。
濃厚な森に囲まれたミスルトゥシティ。
農業と工業が両立している豊かな都市だ。

 

街に数箇所設けられた噴水の周りには、涼を求めて人が集まっていた。
ベンチで休んでいる老人が食パンを千切り、鳩が我先にと群がっている。
木の陰で話し込んでいるのは恋人同士か。
表面だけ大理石を模したデザインの噴水を取り囲むように、狭い範囲ながら石畳が敷き詰めれられている。
更にそれらの周囲に立ち並ぶ街路樹が、街の喧騒を遮っていた。
空中散歩を楽しんできた水が弾ける度、耳と心に涼が吹き抜ける。
そのリズムを背に受けて、彼は噴水の縁に腰掛けていた。
ひんやりとしたコンクリートの感触が心地良さそうである。

「ねーもういっかいみせてー」

「みせてー」

幼稚園を出たばかりといった兄妹らしき子ども達がしきりに何かをねだっている。

「う〜ん、じゃぁこれで最後だよ」

楽しく困った表情を浮かべながら、彼は右手を軽く振る。
すると、何もなかった筈の手の平にオレンジほどの大きさのボールが現れた。

「「おぉー!!」」

兄妹は心底驚いた風に声を上げる。
実際、大人が見ても驚くだろう。
幾らマジックの類とは言え、どう考えても不可能な出現だった。
兄妹はキラキラと目を輝かせて、矢継ぎ早に言ってくる。

「もーいっかい」

「もーいっかい」

彼は笑顔を崩さぬまま、

「ダーメ。
約束しただろ?」

二人の頭をクシャクシャと撫でながら立ち上がる。
腰近くまで伸びた紅い髪が風を受けて広がり、縛られた首の高さを支点に左右に揺れる。
そんな彼を見上げながら、

「じゃあ、あした!」

「あした!」

「……明日は無理だけど、またその内来るからその時に」

「ん〜、……わかった! やくそくだよ?」

「やくそくだお〜?」

二人は返事も聞かずに駆け出し、すぐ別のものに興味を示したらしい。
大道芸人のパントマイムだ。
あの様子だと、二日もすれば約束のことなど忘れてしまうだろう。
彼は軽く苦笑しながら、一歩踏み出し、抜けるような空を見上げて一言呟いた。

「……暇だねぇ」

 

 

惑星Ziにも地球と同様、勿論季節はある。
各大陸によって様々な表情を見せる中、ミスルトゥシティでは四季を楽しめることができた。
まだ日差しは強いが、近いうちに和らぐだろう。
予報では、秋が直ぐそこまで迫っているはずだった。
今は秋の収穫祭に向けての準備が見えている。
気の早い商店では、季節先取りセールをしているところもある。
まだ収穫祭本番ではないとはいえ、休日ともなれば人の足は自然と屋外へ向かうものらしい。
街中にはおおむね活気があった。
何かの約束があるわけでもないが、人の流れは一定方向へと揃っていく。
ただし、逆行できないほどに密度が高いということもない
ゾイドウォーリアー・ジン=フェスターは、隙間を縫うように歩いていた。

 

ゾイドウォーリアーというのは、戦闘競技ゾイドバトルの選手であり、賞金によって生計を立てているプロのことだ。
成績によってランクが決まり、上からS・A・B・C・Dの五段階。
当然、上位へいくほど賞金額も増えていく。
Sクラスでのトップ選手ともなれば、世界基準の長者番付に仲間入りを果たすことさえできるのだ。
こうした見返りや、競技そのものの魅力も手伝って、世界的な人気を誇っている。
競技者人口は、プロ・アマ合わせて一億を超えるとさえ言われている。
そうした中にあって、ジンはプロ二年目を迎えていた。

 

黒髪黒目の若者である。
穏やかそうな造作の顔に、紅い刺青がアクセントを加えていた。
やがて、彼は人の流れを避けながら道の端へ出ると、額に浮かんだ汗を拭う。
今日は特に暑い。
不意に地面の下から、ガシャガシャという足音。
視線をそちらへ向ける。
そこには、大きなコンテナをメガトロプスが牽引している姿が見えた。
印刷されたロゴは、引越し業者のデザインか。
こうした光景はこの街では決して珍しくない。
ミスルトゥシティではゾイド専用道、通称ゾイドロードが街の下に通っているのだ。
天井の要所要所は吹き抜けになっていて、上からその様子を覗くことができる。
ちょっとした観光名所だ。
SS型〜大型まで自由に通れる代わり、都市警察もかなり充実し、シティ運営の軍との連携も厚い。
この都市は、平均以上に治安が安定していた。

 

やがて、コンテナが視界から消えると、
――そろそろ、頃合いかな。
ジンは左腕の時計に目をやった。
長短の針が回るレトロなそれは、小気味いいリズムを刻みながら正午を指している。
彼が待っているのは、“ミズチ”――Tレックス型の大型ゾイドジェノザウラーの名前である――の改修作業だった。
評判のパーツショップがあると聞き、二日前に新装備の取り付けを頼んでいたのだ。
店主の人柄も良かったしショップ全体の雰囲気もよかった。
心配事と言えば“ミズチ”の性格である。
彼女はジン以外には懐こうとしないため、この二日間鎮静剤を与えて半分寝てもらっている。
帰宅したら、バイオリズムといった細かい調整をしなければなるまい。
……それよりも、溜め込んだストレスのはけ口が心配だった。
荷電粒子砲でも一発撃たせた方がいいかもしれない、とかなり本気で考える。

 

ゾイドバトルのルール上、一定以上の破壊力を持った火砲使用は禁止されている。
ジェノザウラークラスの荷電粒子砲も当然これに当てはまる。
“ミズチ”にしてみれば、全力を出せないのだから、普段からストレスも溜まるのだろう。
では、もう二度と使えないのかというとそうでもない。
私有地に持ち込んだり、兵器メーカーの実験場を使えばいい話だ。
特に、後者は発射データを見返りに提供するから、格安で借りられる。
ゾイドバトル連盟やウォーリアーも頻繁に利用し、メーカーはデータを元により優れた製品を作る。
まぁ、持ちつ持たれつという訳だ。
かくいうジンも、何度か利用したことがあった。

 

頭の中で、日程や場所を具体的に組み立てつつ、ジンはパーツショップへと歩みを進める。
と。

「やぁ! ジン君じゃないか」

いきなり名前を呼ばれ、何事かと振り返る。
方向からして、自分を指しているだろうとは思ったが、聞き覚えのない声ではある。
振り向き終えて、相手を見つけることは簡単だった。
大勢の中、右手をヒラヒラさせながら、その男は真っ直ぐこちらを見ていたからだ。

歳はジンと同じ位だろうか。
腰の辺りまで伸びた長髪は紅く、首の所でまとめられている。
陽光を照り返す髪はやけに光沢があり、テレビCMのモデルの物のようにも見えた。
顔の造作は特にコレといった特徴がある訳でもない。
空色の瞳がはめ込まれたように光っている。
この炎天下だというのに、ゆったりとした長袖の上下。
その服装も、何故か不思議と違和感がなく、極自然体といった様子だった。
全体的に、捉え所のない雰囲気の男である。

 

とまれ、声と同様、ジンには覚えのない顔だ。

「こんな所で会えるなんて奇遇だねー」

その男は、ジンの怪訝な表情も気にせず、つかつかと近付いてくる。
――誰……だったか?
どうやら、相手はジンのことを知っているらしい。
となれば、一度は会っているのかもしれない。
実のところ、他人の顔と名前を覚えることは苦手なジンだったが、僅かな間に、記憶を掻き分けていく。
名前を間違えることは、かなり失礼なことだと思っているからだった。
散々首を捻った挙句、田舎にいた頃の一番古い記憶を探っても出てこない。
もう一度同じ作業を繰り返したが結果は変わらず、その間に見覚えのないその男は目の前にきてしまっていた。
ジンは表情には出さず溜息を吐き、あきらめて口を開く。

「あの、失礼ですが……前にどこかで……?」

相手は嫌な顔もせず、

「いや、会ってないよ。
だって俺達初対面だし」

嫌味な位爽やかな顔で事も無げに言ってくる。

「…………はぁ?」

物凄く間の抜けた声が口を突いた。

「『Z−TIME』のスミに小さい記事があってね。
プロフィールだけで顔写真も載ってないなんてどんな悪人面なのかと思って調べてみれば、
何の特徴もない平凡な顔が出てきて、例え十派一絡、その他一同同然のウォーリアーと言っても一寸の虫にも五分の魂。
これは生暖かく見守らなくちゃいけないなぁと思っていたら、さっき発見して嬉しくなっちゃてねぇ」

立て板に水とはこの事か。
ここまで舌が回るとはある意味関心してしまう。

 

ずらずらと垂れ流れてくる言葉に、いくつかそこはかとなく聞きとがめたい部分もあったが、とりえず心の引き出しにしまっておく。
『Z−TIME』はゾイドバトル専門誌で、読者はもちろん、誠実な取材方法からウォーリアーの内でも人気が高い。
確かに、プロフィール記載に関する交渉はあった。
その時は、快諾したのだが……。
どうにか好意的にまとめると、自分のファン――なのだろうとジンは考えることにした。
多分。
恐らく。
全く実感はないが。
本当なら喜ぶべき事のはず……なのだ。
きっと。
これまでファンレター一つ貰ったことがないのだから、少々変わったファンだからといって邪険に扱う訳にも……

「ジェノザウラーっていう遺跡レベルの高性能ゾイドに乗っているのに、やっとAクラスになったかと思えばすぐBクラスに出戻り。
これは俺の予想だけど、ジン君の属性は受け!
これだけ条件が揃ったからには――」

一呼吸置き、大きく息を吸ってから

「ま・さ・に『通好み』のウォーリアーだよね♪」

言いながら右手の親指をぐぃっと上げ、あまつさえ白い歯を輝かせてくる姿にはどう反応したらいいものか。
いや、そんなことはこの際どうでもいい。
『通好み』
このフレーズがエコー付きでジンの脳内に響き、思わず全身が脱力した。
まず、膝が地面に落ち、続けて両手をついて頭を垂れる。
その画ににタイトルを付けるとしたら、『The 項垂れる男』。
不思議とアスファルトを熱く感じなかった。
その代わりに野次馬の視線が痛い。

 

「まぁまぁ、ファンができて嬉しいからって、そんな腰砕けにならなくても」

物理的にも心理的にも幾分高い位置から浴びせられる言葉に、地面を強く掻く。
砂利が爪の間に入り込む。

「『通好み』のウォーリアー。
うん、いいキャッチコピーだよねぇ。
むしろ異名として使ってみたらいいかも」

疼くこめかみを意識しながら、せめてもの意思表示に犬歯を見せる笑みを浮かべて立ち上がる。
全力を出さないといけないかったが。
空を振り仰いで深呼吸を一つ。
続けて二つ三つ。
田舎の空が見たくなった。

 

「……うん。だいたい分かった」

我知らず、ボヤキが漏れる。
男の言っている内容の理解はできた。
だからといって納得した訳ではないのだが。
つまりはまぁ、この人物は『こーゆー人間』だということだ。
天然なのか演じているのか――どちらにせよ対応する側からすれば大差はない。
もうこれ以上関わらない方が健やかな休日を過ごせるだろうという本能の警告を聞き入れ、一回屈伸して準備運動。

「言い忘れたけど、俺のことはルークって呼んでくれればいいから。
ところで……君が何故おもむろにクラウチングスタートをし始めた理由を聞いてもいいかな?」

ルーク――口ぶりから多分あだ名か何かだろうが――の質問は完全に無視して、顔を上げ、走るルートを確認する。
今までのやり取りを遠巻きに見ていた野次馬同士の隙間に目を付ける。

 

弾けるように地面を蹴る。
……とジン本人は思っていたが、端から見れば不細工なフォームではある。
十二分に熱くなった空気の出入りに、肺が不満をあげてくるがとりえず無視。
人を避けながらの全力疾走がこれほど難しいとは思ってもいなかった。
あちこち体をぶつけながら、息の続く限りとにかく走る。
恥も外聞もありゃしない。
それほどまでに、ルークから不吉なオーラを感じたのだ。
大通りを左に曲がり次の路地を右に。
そしてまた左。
かなりの距離を駆け抜け、目当ての建物に文字通り転がり込んでようやく止まる。

 

建物にいた人物、つまりはパーツショップの受付嬢が驚いたようにジンを見ているが、まぁ無理もないだろう。
非常ベルを鳴らされなかっただけマシだ。
ロビーにはジンの他に客はなく、この奇行を目撃されたのが彼女だけというのは幸運といえる。

「あ、あの。
フリーラウンドブレードを頼んでいたフェスターと申しますが……」

多少おぼつかない足取りと呂律で用件を伝える。
ジンは、自分だったら引くだろうなぁ、と自覚していたのだが、感情の読めない営業スマイルで丁寧に対応してくれた。
プロ根性と見るべきか、『見なかったことにしよう』と考えたのかは知らないが。
まさか、ルークが追いかけてはこないだろうとは思う。
思いながらも、柱の影に隠れてしまうのは念のため、である。
あくまで、念のため。

 

ロビーで待つこと数分余り。
汗で張り付いたシャツが冷房でいい加減に冷やされた頃、作業場へ案内された。
そこへ行くのは注文時以来二回目。
お洒落なロビーとは打って変わって、鉄骨とコンクリートで組み上げられた空間だった。
冷房は利いているのだが、屋外よりは幾分マシといった程度に暑い。
そして、なんとなく汗臭い。
元々技術畑のジンとしては、懐かしい雰囲気だった。

 

ゾイドの搬入口は店の入り口の丁度反対側になっていた。
そこから繋がるゾイド専用道までは、緩やかなスロープが渡されている。
天井は高く、ゴジュラスでも入るだろう。
反面、面積は狭い。
“ミズチ”の他に、コマンドウルフとアロザウラー、最後にグレイヴクアマが並んでいるだけだ。
それだけで許容量ギリギリなのだと知れる。

 

ゾイドの周りでは職人が忙しく作業をしていた。
どの顔も厳しく、いかにもプロの技術屋という風貌だ。
一般にゾイドに乗っている人とは違い、ウォーリアーの多くは量販店よりも、こういった小さな店舗を利用する場合が多い。
特に、熟練したウォーリアーともなればその割合はもっと多くなる。
それぞれの店と職人が得手としているパーツを見極め、必要に応じて買い求めている訳だ。
成果主義の仕事なのだから、多少値が張っても質の高い品を求めるのは当然のこと。
安物買いの銭失い、ではプロとして失格である。

 

「おお、お客人。
……何やら疲れているようだが大丈夫かね?」

“ミズチ”を担当している筋骨隆々の職人が心配だか不審だかの声をかけてきた。

「えぇ、まぁ。
それより”ミズチ”の方はどうです?」

「バッチリよ。
取説と仕様書はこれで。
直ぐにでも帰れますぜ?」

自信たっぷりの解説を適当に聞き流しつつ、受け取った仕様書と“ミズチ”を見比べる。

 

高速型にしてはがっしりとした体躯に取り付けられた二本の大太刀。
凶悪なラインをした刃が、半ばで二つ折りにされて納まっている。
照り返しはない。
光を吸収する表面処理がされているからだ。
フリーラウンドブレード。
こは大型ゾイド用の格闘兵器で、力と重さで叩き斬る斧のようなイメージの刃物だ。
少し前に、これの開発メーカーのドキュメント番組を見た。
それによると、彼らは元々フリーラウンドシールドを造ろうとしていたらしい。
そう、あの魔装竜ことジェノブレイカーの固定武装だ。
ところが、シールド部分の特殊合金の量産化――どころか精製すらままならなかったようだ。
結果として企画は失敗したが、
その副産物として、シンプルかつ信頼性の高い新商品ができたのだから世の中何が幸いするかわからない。

 

このフリーラウンドブレードと、今までのパーツを組み合わせれば、バトルの幅がぐっと広がる。
器用貧乏という弱点を狭めることができるのだ。
ジェノザウラーは万能型と呼ばれる通り、デフォルトの装備で広いバトルスタイルをカバーしてる。
各能力も平均以上で、さっきのルークが高性能と評したのも正しい。
その分、能力の特化したゾイドとは相性が悪く、取っ組み合いではゴジュラスやブレードライガーに及ばない。
足を止めての撃ち合いではアイアンコングやディバイソンに及ばない。
距離があれば、カノントータス相手ですら分が悪いのだ。
今回は格闘戦の補強の意味合いが強い。
決して趣味的な衝動買いではない。
……ちょっとはジンの嗜好が入っているのは否めないが、ちゃんと実用も考えているのだ。
これで、八日後に迫った格闘限定・グラップラーバトルでもまともに闘えるようになる。
ジンが使いこなせるかどうかは別問題ではあるが。

 

「しかし、今日はかなり暑いですが、随分と汗をかきましたなぁ」

と、背後から担当職人の声。
話すべきか迷う。
が、愚痴の一つや二つ漏らしたからといって、バチが当るいわれもないだろう。
視線は逸らさず、ジンは雰囲気だけで頷くと、

「実を言うと、さっき変な人に絡まれちゃいまして」

「ほぅ、変な人?」

若干――職人の声の感じが変わったように聞こえたが、気のせいだろうか。

「初対面なのに、いきなり『通好み』なウォーリアーなんて言ってきたんですよ?」

「あっはっはっは。
それは災難だったねぇ」

「ええ、全く。
思わずハリ倒そうかと思いましたよ」

職人に合わせて苦笑してみせる。

「ところで――」

「はい?」

「その変な人っていうのは――」

そう言いながら、肩をぽんっと叩いてくる。

「――こんな顔じゃなかったかな?」

そんな冗談につい振り返ってみると……

「やは♪」

「きょぉぉぉぉぉぉっ!?」

よく分からない悲鳴だか叫びだかを口走りながら、ジンは持っていた書類を撒き散らして二、三歩後ずさる。
その拍子に、床に落ちた紙で足を滑らせ、バランスを取ろうと大きく跳んだ先にあったダンボールの山に頭から突っ込んだ。

「いやぁ、期待以上のリアクションだよ」

ルークは先刻と変わらぬ、どこまでも軽いボウフラのような笑みを浮かべて立っていた。

 

いつの間にかルークと入れ替わっていた職人が、

「お客人方、随分賑やかにされて……フェスターさんあんた大丈夫かね?」

埋もれているジンに代わって、ルーク。

「あぁ、大丈夫大丈夫。
それより、ジン君があのダンボール潰しちゃったんだけどマズかった?」

「あーいや、元々捨てるヤツだったから構わないが……」

職人は奇異の視線をジンへと向けながら、

「……ごほん。
ルークさん、アンタの機体に問題はなし。
で、今サービスで『キャップ』の交換をしてっから。
しばらく待っておくんなせえ」

「お、いつも悪いねぇ」

「いやいや、お得様への恩返しでさあ。
それから……フェスターさん?」

「ふぁい……」

「さっきも言った通り、帰ってもらっていいですぜ。
ゲートを開けておきますんで、お好きな時にどうぞ」

それでいうと、さっさと背を向けてしまった。
愛想はないが、嫌味もない。
ダンボール地獄から這い出したジンは、

「ええ、帰ります!
即刻直ちに!!」

自身を激励するように、強い調子でいうと立ち上がる。
そして、有限実行しようと“ミズチ”へ向かって一直線――のはずが、ジンの襟をルークが掴む。
ぐぇ!?っというカエルの潰れたようなを上げてジンが空足を踏んだ。
一瞬両足が宙に浮いたようにも見えたが……。

「そーそー、これからジン君の家で遊ぶんだから、善は急げってね」

――コノ人ハ一体何ヲ言ッテイルンデショウカ?

思わずジンの脳内言語機能が片言になる。

「いや、ちょっと待て。
何がどーなってそーなるの!?」

そう叫ぶジンの問いかけに、

「んー?」

ルークはテキトーな身振り手振りで、

「これがそーなってあーなってこー?」

「聞かれても!?」

ツッコミもそこそこに、ジンは史上最速に頭を回転させて現状打開を図る。
まともに相手をしていたらキリがないのは最早明白。
ここにきて分かったのだが、ルークは全てを理解していて、こうして絡んでいるのだ。
目がそう語っている。
そう、猫が玩具を見つけたような目だ。
何としても逃げなければ、飽きるまで遊ばれるのは必至。
――僕が受けだから? 受けだからなのか? 受けって何だ!?

 

幸い、ルークのゾイドは今作業中で動けないようだから、家に帰れば勝ちだ。
勝利の意味は考えないようにする。
悲しくなるからだ。

「あっはっはっは。
最近ジン君みたいにリアクションを取ってくれる人がいなくってさー。
昨日だって、ちょっと場の雰囲気を和ませようとしただけなのに、毒塗りナイフを投げてくるわ室内でライフルを撃ってくるわ……。
俺じゃなかったら今頃天国だよ。
実際。この前だって――」

などという嘘八百は放っておいて、ジンは散らばった書類をかき集める。
束をまとめる時間もそこそこに、両手でしっかりと抱えて、今回はそのまま走り出す。
目指すは、床近くまで降下している“ミズチ”のコックピット。
かなり本気で愚痴っているらしいルークは――もしかしたら今の話は本当なのかもしれない――反応が遅れた。
あるいは、ジンの行動など全てお見通しなのか。
多分……というか絶対後者だが。

 

とにかく、これ幸いと無事シートに辿り着いたジンは、五点式シートベルトの固定も省略して『上がる』ボタンを押した。
数秒前と同じ位置から見上げているルークの姿を確認して一安心。
とりあえず。
外部スピーカーから職人に向けて礼を言い、ゾイドロードに飛び出した。
対向獣線のシールドライガーとぶつかりそうになるのをどうにかかわし、巡航速度で安定。
――勝った!!
ジンは心底嬉しそうにガッツポーズを取ると、“ミズチ”の頭を自宅へ向けたのだった。

 

 

砂漠と荒野の中間といった風景の中に、ぽつんと佇む四角い箱。
放置された倉庫を改築したこの建物が、ジンの自宅だった。
何十年か前は、この辺りにもゾイドロードが通っていて、長距離グスタフの運転手や走り屋相手の店が並んでいたらしい。
その後の区画整備で流通が途絶え、店が消え、人が去った後、この倉庫が取り残された。
ジンにとっては掘り出し物だったのだろう。
ライフラインの整備はまだ残っていたし、恐ろしく古い型ながら、ゾイド用の重機もそのままだった。
何より、周りに民家がないので、ゾイドの騒音で迷惑をかけることもない。
唯一の不満とは、一番近い街まで歩いて五時間かかることだが、そう贅沢もいえないだろう。

 

新パーツで身重になった“ミズチ”では、いつもより時間がかかってしまった。
まぁこれも慣らし運転と思って、何はともあれジンは無事帰宅した。
その道すがら、レーダー画面を目を皿のようにして探すも、追ってくる機影はなく一安心である。
ルークの機体があの作業場にいたどのゾイドかは分からない。
しかし、一旦離れた“ミズチ”を探し出すことはかなり難しいだろう。
『Z−TIME』の記事にには、住所は載っていなかったので、調べて追いかけてくることもできないはずだ。

 

――さすがに諦めるよな……。
うん、きっと諦める。そうに違いない。
ジンは自分に言い聞かせるように胸中で繰り返し、格納庫に“ミズチ”を停めてようやく胸を撫で下ろした。
硬質素材の床の上に立って、凝りをほぐすように首を回す。
バトルの相方、ハンスのガイサック”“ナタリー”は大人しく自分の場所に座っていた。
“ミズチ”の姿を見た途端にガンを飛ばして――そう感じるだけだが――くるグスタフ“ゴーテン”とは大違いである。
家に帰ったら早速ブレードの調整……と朝は思っていたのだが、まずは休憩だ。
気分はフルマラソンを完走したような気分である。
足を引きずるように歩きながら、
――ハンスに愚痴ったら、余計からかわれそうなのでやめておこう。
と、綿密な予定を立てつつ格納庫を後にする。

 

この家の生活空間は、格納庫の隣に設けられていた。
一階のLDKは、まぁ普通に生活している程度に散らかっている。
くたびれたソファの前には大きめのテーブルと椅子が二脚。
簡素なキッチンに冷蔵庫。
デスクの上には、テレビと事務処理用のパソコンが仲良く並んでいる。
別室にあるトイレと風呂は確認するまでもなく小さく狭い。
使い込んだ感のあるソファに座り込むと、

「あぁ〜疲れた〜……」

ジンの独り言と、ソファの安いスプリングの軋みは、広すぎる部屋に溶けて消える。
元が倉庫ということもあり、それぞれの部屋は無駄に広かった。
各階の天井も、普通の三倍ほど高い位置にある。
建物の高さは、8・9階建てのビルに近い。
ウォーリアーのベースとしては平均だが、普通に暮らすには大き過ぎる家だった。
ジンがまだ一人暮らしだった頃は、この一階がそのままジンの私室になっていたのだが、使わない面積の方が多かった位だ。
少ない家財道具が、列島のよう寄り添い合って置かれていた様子を、ジンは懐かしそうに思い出す。

 

今では、ハンスが同居するようになったことで、それぞれの私室を二階に造っている。
ジンの荷物を移したことで、一階には海に浮かぶ小島よろしく、家具がバラバラに置かれていた。
ハッキリ言って侘しい。
――ま、これでも一人の時よりは何かと賑やかだけど……って妙に静かだな?
いつもこの時間なら、ハンスがテレビで『サスペンスハウス』の再放送を見ているはずだ。
過去のサスペンスドラマを延々と繰り返す番組で、主婦層からの支持が高いらしい。
ハンス曰く「ベッタベタな展開がたまらない」そうだ。
当然この場にはいないし、格納庫にもいなかったはずだ。
彼の性格からして、昼間から眠りこけているとも思えない。
何だかんだと動いているのがハンス=クリムトという人間なのだ。

 

――こういう時は伝言板っと。
すっかり反動の弱くなったスプリングの力を借りつつ、ジンは立ち上がると、壁に掛かっている黒板を覗き込んだ。
チョーク、黒板消し、クリーナー、磁石、ある種の人間が見たら懐かしがるような一式。
黒板を飾るこれらも、倉庫に残っていた備品だった。
数十本のチョークと黒板、それとゾイド用の重機。
一体何を扱っていた倉庫なのか今一分からない。
完全に溶接された、開かずの屋根裏部屋に入ったら、まだ何かある可能性もある。
少し不気味な感じもするが、もったいないのでこれらを使わせてもらっていた。

 

急ぎの用事でなければ、携帯メールではなくこの黒板に書き込むようにしている。
共同の用事だったり、個人の予定であったり。
何かを伝える手段としては、何とものんびりしたこのやり方も、ハンスの提案だった。
最初は乗り気ではなかったジンだったが、今ですっかり気に入っていた。

「今日の伝言はっと……」

そう覗きこんだ板面には、色鮮やかなチョークを使って

『今日はソフィアとデート。
明日の夜には帰る。
邪魔したら殺すゾ♪』

――まぁ、どうとは言わないけどさ。
ソフィアというのはハンスの恋人だ。
二人はとても……というか滅茶苦茶仲がいい。
差し入れを持ってきてくれた時など、散々見せ付けられた。
正直、ジンも時々ウザイと思ってしまったりなかったり。
今日のような泊まりデートも少なくなかったが、いつもこんな風に急だ。

「……晩御飯どうしよっかなー」

これから丸一日以上の時間ができてしまった。
バトルのミーティングもできないし、話相手もいない。
暇と言えば暇だが、のんびり疲れを取るにはいいのかもしれない。

 

黒板の前で、ジンが背伸びをしてしていると、
ピンポーン、という安っぽいチャイムの音が耳に入ってきた。
ジンは頬をかいて思案する。
気軽に友達がやってくる場所でもないし、押し売りは一度もきた例しもない。
大方、この間通販で頼んでおいたゾイド用のワックスでも届いたのだろう。
ジンは気軽に玄関を開けた。

「やは♪」

ルークの向こう側には、グレイヴクアマが見える。
飛んできたということか。
そう理解したジンは手早く、そして無言で玄関を閉めた。
が。
鍵をかけ、見なかったことにしようと――

「ちょ、ジン君幾ら何でもそれはないんじゃないのー?」

などという幻聴は無視して、さっきの幻覚も忘れる。
ドアを叩くポルターガイスト現象も気にせず、私室を目指してまっしぐら。

「やは♪」

急いで振り返った先には、ドアの外と同じ顔。
本日二度目の経験だが慣れる訳もなく、

「っのぉぉぉぉぉぉぉ!?
ちょ、な、……ええっ!?」

狼狽えまくったジンは、逆の手順でドアをひき開ける。
流れ込む熱気が顔を撫でると同時、それを見た。

「おぅ!?」

前後を何度も振り返って呻く。
前にもルーク。
後ろにもルーク。
合わせ鏡のように二人に挟まれた様は、ちょっとしたホラーだ。
B級映画もいい所だが。

「「ふっふっふ。ニンポウ分身の術ってね」」

二つの口から、全く同じ声が出る。

「「さあ、どっちが本物がわかるかな?」」

「知るかっ!!」

言うが早いか、靴箱に吊るしてあった靴ベラを引っ掴んでルークA――前にいた方に投げつけた。
それが、ザクッという音がしそうな程見事にルークAの頭に突き刺さり、

「……げ!?」

しまった、という顔をして、ジンは青ざめる。
やり過ぎたかもしれない。

「あ〜、逃げた方がいいよ?」

ドアの影に身を隠したルークBが言ってくる。

「そっちが本物?
 ま、まぁ良かっ……」

ぱん! ぱぱぱぱぱぱん! ぽんっ! びちゃびちゃ!!

文字にすると、そんな音である。
頭に靴ベラが刺さったルークAが、派手な音を上げて爆発したのだ。
もうもうと巻き上がる原色の煙を浴びながら、ジンは顔にへばり付いてきた物を拭い取る。
よく分からないが、何だかぬちょぬちょした粘性の強い液体。
ルークが言った、ニンポウ云々というのが何なのか、ジンには分からなかった。
とりあえず今は、風船人形を使ったマジックか何かだろうと考えつつ、

「これは何でしょう?」

棒読みのジンに対し、無傷のルークが気軽に答えてくる。

「ただのスライムだし、別に体に害はないから大丈夫大丈夫。
でも……」

「でも……?」

「速乾性だから、直ぐシャワーで洗い流した方がいいよ?」

「チクショーーーー!?」

叫んだジンがバスルームへ走り出す間にも、スライムは音さえ立てて固まり始めていた。

 

 

夕日が雲を紅く染め上げる。
とは言え、見た目通りの時間帯ではない。
既に夕食時を迎えていた。
夏の太陽は、空によほど未練があるのだろう。
昼間の暑さはすっかり治まり、過ごし易い気温になっている。
柔らかな陽光が引き伸ばす影が二つ。
自宅の外に、ジンとルークが立っていた。
半開きの玄関からは、小麦粉らしき粉末が外に向かってブチ撒けられている。
室内の様子は押して知るべし。

「いやぁ〜遊んだ遊んだ」

ルークが、満足気に関節を伸ばしている。
肌はツヤツヤしていて実に健康そうだ。

「……遊んだでしょ?
満足したでしょ?
もう帰るんでしょ?」

すっかり痩せこけて、半生のゾンビといった風体のジン。
黒髪が、今では白髪になっている。
よくよく見れば、さっきの白い粉が髪全体に塗されていた。

「……帰るんでしょ?」

念を込めて、もう一度聞く。

「そうだねぇ。
それじゃ――」

ルークは、顎に手を添えて考える素振りを見せ、

「………………」

ジンは固唾を呑んで様子を窺う。
出たセリフは、

「――最後に晩御飯でも食べようか」

「Nooooooo!!」

頭を抱えて座り込むジンの肩を、ルークがぽんっと叩く。

「大した物はないけど、有り合わせならできるし」

「そうそう、買出しできなかったから冷蔵庫にはあんまり入ってないて、それはこっちのセリフじゃぁぁぁ!!」

ジンが両手でツッコムのをひょろりと交わしながらルーク。

「おんやぁ? まだまだ元気じゃないか。
これならオールナイトで――」

不吉なセリフを言いかけた所へ、

でろ〜んでろでろ〜ん、でろ〜んでろでろ〜ん!

何やら不吉な電子音。
探すと、ルークの懐から漏れ聞こえていた。

「おっと……残念。
今日はコレまでだね」

一瞬だけ真顔になったルークは、意外な程あっさりと方向転換した。
肩透かしを喰らったジンは、怪訝な顔で、

「今のは?」

「ま、会社からの呼び出しってヤツ?」

「は、働いてたんだ!?」

「当然だよ。
ちょっと素敵なハンサムボーイとでも思ってた?」

「思ってない思ってない」

とりあえず、ジンは力のないツッコミを入れておく。

「それじゃ、また遊びにくるよー」

言いながら、ルークは短距離走選手もかくやというダッシュでグレイヴクアマのコックピットへと滑り込んでいく。
その一挙止一投足が、一々人間外のように見えてしまうから不思議だ。
やがてソードウィングが薄靄のように発光し、機体を浮き上がらせた。
そのまま静かに上昇するかと思いきや……。
翼を振り下ろしてきた。
マグネッサーシステムの離陸には、不要な動きのはずなのに。
当然、強烈な風が生まれる訳で。

「――――!!」

ろくな悲鳴もなく、ジンはころころと押し流されて、上下逆さまの状態で止まる。

「ばいば〜い。
今度は茶菓子くらい出してねぇ」

気だるいセリフが耳に入り、逆転した視界の中で、グレイヴクアマは次第に小さくなっていく。
やがて、見えなくなった。

 

影が視界から消えて数秒。
何も言わずゆっくりと立ち上がったジンは、踵を返して格納庫へ向かう。
ドアを潜って開口一番、

「“ミズチ”!! 今から荷電粒子砲撃ちに行くぞ!!」

それまで不機嫌だったのが一転、一体何事かと目を丸くした――ような“ミズチ”に乗り込むと、ジンはスラスターに火を入れた。

 

夕焼けを進むグレイヴクアマのコックピット。
その狭い室内に響くのは、通信機の呼び出し音だ。
モニターには蠍を模したマークが映っている。

「はいはいはい――っと」

ルークは気軽にスイッチを入れる。

「……いるなら早く出ろ」

画面が切り替わり、モニターに映るのは、ルークと瓜二つの顔。
僅かな差異といえば、髪型と目尻の角度程度だ。
右上に表示される、ビショップという文字が彼の名前だろうか。
鬼面仏心。
ルークとは対極の雰囲気を持った男である。
彼の、威圧的とさえ思える表情を全く気にせず、

「こっちも色々あってね。
それより、呼び出しって何の急用?」

あくまで軽い様子のルーク。

「『爆撃竜』の事だそうだ。
幹部は全員出席。
あのお方がお話になる」

あのお方、というフレーズに、ルークの眉がぴくんっと跳ねる。

「へぇ〜、それじゃ急がないとね」

「…………」

「ん? どうかした?」

「昨日アレだけ痛い目に遭ったというのに、随分上機嫌だな」

「あ、分かる?」

やたらと嬉しそうに、ルーク。

「何年兄弟をしていると思う」

大して興味のなさそうな、ビショップ。

「あっはっはっは。
街で面白い子を見つけてさ。
いろんな意味で」

「……ふん。
それはいいが、たまには仕事をしろ。
下の者に示しが付かん」

「了解了解。
今度は出てみるよ。
面白そうなバトルだったらね」

その言葉を最後に、画面は元に戻り、再び蠍の紋章が現れる。
関係者なら誰しも知っている、DS団のシンボルマークである。
ルークとビショップ。
話の断片を繋げると、二人はDS団の幹部だという。
チェスの駒を冠するこの彼等は一体何者なのか。
彼が守るキングは誰なのか。
DS団幹部という肩書きを持ちながら、なぜ正規のウォーリアーであるジンに接触してきたのか。
様々疑問と、尋常ならざるインパクトを残し、グレイヴクアマは空の風景に溶けていった。

 

この約二時間後。
闇を切り裂く青白い閃光が、荒野のどこかに突き刺さる様子が目撃されたとかされなかったとか。

 

 

数日後のフランクシティ。
まだ日差しは強い。
快晴の午後。
まばらな人通りの中、

「ハンス=クリムト?」

呼ばれて、ハンスは振り返る。
吸いかけのタバコが、はらはらと灰を落とした。
ゾイドウォーリアー・ハンス=クリムト。
ジン=フェスターの相方で、短い黒髪の男である。
ハンスは頬をかき、少し戸惑った様子で、

「ん? 俺の事知ってるのか?」

「確か、BクラスとCクラスの間を行ったり来たりしている今一うだつの上がらない?」

「そうそう……って――」

言いながら一歩踏み出し、足から膝へ。
膝から腰へ。
腰から肩へ。
肩から腕へ。
全身で生み出した力が、拳に集約され、必殺の裏拳がルークの顔面へ吸い込まれる。

「――ホアタァ!!」

が、

「ヌヲ!!」

あまり緊張感のない声を上げて、ルークはスウェイで難なく回避した。

「いきなり何するのさ」

「余計なお世話だ! コンチクショー!!」

「あ、血の涙」

ボケとツッコミ。
こんなやりとりはこの後も延々と続き、その日の夕方、ルークはジンと再開することになる。
ぐったりと疲れ果てたハンスを伴って。

 

集った三人が、どういった喜劇を演じたかは……だいたい想像通りだろう。

 


後書き

最後まで読んで頂きましてありがとうございました。
どうにか、入社日までに間に合った、という作品です。
楽しく読んで頂けたのなら幸いです。

さて、今回は砂亀さんのオリキャラ、ルーク氏・ビショップ氏に友情出演をして頂きました。
二人の描写は、砂亀さんのチェックを受けたので、それなりに『らしく』なったかなと思います。

ギャグ全開!! のはずだったのですが、クドイ地の文が邪魔している気が……。
笑いのポイントは、読んだ方それぞれに見つけて頂くとして、とにもかくにも、楽しく書けました。

時間軸としては、/0第二部:「蒼い爆撃竜」〜強襲・ガンブラスター〜 の前半部分と同じです。
本編とリンクするような外伝があったら面白そう、というネタから書き始めた本作ですが、チャットで出たネタも加えています。

各種設定に関しては、例によって妄想が多いですが、矛盾点は少ないと思います。
が、そう思っているだけなので、狙撃手のように重箱の隅を突くのはご遠慮下さい。
どこかに粗があると思いますので……。

次の作品を書けるかどうか、仕事の具合にもよるでしょうが、暇を見つけてはメモを取っていきたいと思います。

では、次回作の後書きでお会いできることを祈りながら……。

 

                      平成十八年 三月 二十九日 岡山県某所にて 
                                          S.T


S.Tさんに頂きました。
ルーク大暴れ、と言う感じですね。
ジンもハンスもご愁傷様です……。
彼との逆のほかにもジンの生活スペースが描かれていて面白かったと思います。
さて、今後ルークとの付き合いは続くのでしょうか?
なんか、3日おきぐらいに遊びに来そうですね。
まぁ、頑張ってください、いろいろと……。
S.Tさん、どうもありがとうございました。

 

コーナーTOPに戻る        プレゼントTOPに戻る         TOPに戻る