「友達以上・・・?」
今日もチーム・ブリッツはゾイドバトルの試合。
本日の相手は毎度おなじみの・・・、
「俺の名はハリー・チャンプ、王者となるべくして生まれた男。」
そう、チーム・チャンプである。
今日の彼らのゾイドは普段と同じ、
ダークホーン、ステルスバイパー、ヘルディガンナーの3体。
「今日こそリノンをモノにしてやる!」
「ハリー、来たぞ。」
そうこうしているうちにバトルフィールドにホバーカーゴが到着した。
上部のカタパルトが展開し、
バラッドのコマンドウルフ、リノンのガンスナイパーが発進する。
「バラッド、コマンドウルフ、発進する。」
「リノン、ガンスナイパー、行きま〜す。」
その頃ビッドは、
「ライガーゼロ、セッティングデッキに固定!」
ホバーカーゴ内でライガーの換装。
マジックアームがライガーゼロの白いパーツを取り外していく。
「ライガー、インストレーション・システム・コール、イエーガー!」
収納ボックスが回り、大型ブースターを搭載した青いパーツを取り付け始める。
「ライガーゼロイエーガー、C.A.S.コンプリーテッド!」
「ゴー、イエーガー!」
ビットのかけ声と共にライガーが発進した。
「これを片付けて昼飯だ。」
「今日は何を食べようかな〜。」
「俺はハンバーグ!!」
もう昼食のことを考えているこの輩にハリー達ガックリ。
そして、ジャッジカプセルが落下してきた。
「この地点より半径30km以内はゾイドバトルのバトルエリアとなります。
競技者及び関係者以外は立入禁止区域です。
危険なので直ちに退去して下さい。
フィールド内、スキャン終了。
バトルフィールド、セットアップ!
チーム・ブリッツVSチーム・チャンプ、
バトルモード0982、レディーファイト!」
ゴングが鳴り、各機一斉に走り出す。
まずセバスチャンのヘルディガンナーがコマンドウルフに一斉砲撃。
だが、バラッドは自機の持ち前の性能で難なくかわす。
「何!」
「もらったぜ、セバスチャン!」
今度は彼がヘルディガンナー目掛けて、背中の砲塔から弾丸を発射。
全武装がはがされ、ヘルディガンナーはシステムフリーズ。
「そんなーーー!」
こちらはハリーがガトリングガンを撃つが全然的外れ。
だが、決して彼が下手なのではない。
ライガーの性能がそれだけすごいのだ。
そして、大型イオンブースターで一気に加速。
「いっけぇーーー!ストライクレーザークローーー!」
ライガーの必殺技が炸裂、
ダークホーンは右両足を吹っ飛ばされ、その場に崩れた。
「そんな〜、たったの20秒で終わりだなんて〜。」
一方、リノンは、
「うりゃうりゃうりゃうりゃーーー!」
ガンスナイパーの武装全部でステルスバイパーを狙い撃つ。
だが、煙が晴れても、ステルスバイパーの姿がなかった。
「あれ、いない。何処行ったの、ベンジャミン!」
周りを見回していると、突然、ガンスナイパーの足下の地面が盛り上がり始めた。
「な、何なの?キャア!」
ガンスナイパーはそれに足を取られて倒れてしまった。
すると、砂の盛り上がりからベンジャミンのステルスバイパーが。
「リノ〜ン、頭は使わないとね〜。
ただがさつに撃っているだけじゃ、勝てる試合も勝てないわよ〜。」
嫌みったらしい口調でリノンに話しかけた後、
マシンガンの標準を彼女の愛機に定める。
だが、
「ストライクレーザークローーー!」
ステルスバイパーにライガーが突っ込み、
相手のマシンガンをバラバラにした。
「リノン、大丈夫か?」
「ビット、ありがとう、助かったわ。」
ベンジャミンは別の武装で追撃しようとするが、
時すでに遅く、ガンスナイパーが体勢を立て直した後だった。
「ベンジャミン、覚悟はいいわね。」
殺気のこもった声で話しかけるリノンにベンジャミン真っ青。
いくらロボットでも恐怖ぐらい知っている。
「ひいぃぃぃ〜、ごめんなさ〜い、許して〜!」
「問答無用!
行くわよ〜、ウィーゼルユニット・フルバースト!」
ガンスナイパーの全武器を再び発射。
今度は砂の中に潜る暇もなく、敢え無く撃沈。
「いやーーーーーーん!」
ここにヘビの丸焼きが出来上がった。
「バトルオールオーバー、バトルオールオーバー!
ウィナー、チーム・ブリッツ!」
ジャッジマンが勝ち名乗りを上げる。
「よっしゃ、今日も勝ったぜ、ライガー!」
ビットの声に反応して、ライガーが高々と雄叫びを上げた。
「リノ〜ン!次こそは絶対、君をモノにしてやる〜!」
ハリーのこの叫びは彼女の耳に届いているのだろうか。
チーム・ブリッツはとっとと引き上げていった。
街のレストランでの昼食。
「ここんとこ連戦連勝!負け無しって感じよね。」
「そうそう、もう何でも来いって感じだな。」
ビットとリノンがジュースを飲みながら、はしゃぎまくっている。
すると、バラッドがパスタを食べながら、
「でも、ビットもたまには優しいとこがあるんだな。
リノンにポイントを譲るなんて。
あのままベンジャミンを仕留めても良かったんじゃないのか?」
その問いにビットは横目でリノンを見ながら、
「あのな、『たまには』は余計だろ。
それに、あのまま仕留めてたら、またリノンがうるさいから。」
すると、彼女はそんな彼の背中を思いっきり叩いて、
「あんたもやっと分かってきたわね〜。
新入りは新入りらしくしないと。」
と、満足そうな顔で言う。
ビットは黙ってハンバーグをパクついていた。
「さてと、そろそろ出るか。」
にぎやかな昼食が終わり、店を出ようとした3人。
すると、
「あら、バラッドじゃない。」
聞き慣れた声が聞こえたので、振り返ってみると、
「ナオミ、どうしたんだ?こんな所で。」
「レオン兄さん!」
チーム・フリューゲルスのナオミとレオンが座っていた。
「昼食を食べ終わって出ようと思ったら・・・。」
「どっかで聞いたような大声が聞こえたんだ。」
やや呆れながら言うレオンに少し顔を赤くするリノン。
そう、その大声の主こそ、紛れもなく彼女なのだから。
すると、
「バラッド、暇、ある?」
突然ナオミがそんな事を言ったので、
彼は少々驚きながら「ああ。」と頷くと、
「じゃあ、ちょっと付き合ってくれない。」
「何で俺なんだ?」
「いいから、いいから。」
そう言って彼女はバラッドの腕を引っ張って店を出ていった。
「ねぇ、兄さん。ちょっと喫茶店にでも行かない?」
「そうだな、いろいろと積もる話もあるし・・・。」
リノン達も店を出ようとする。
そして、後に残ったビットはホバーカーゴに戻ることに。
「リノン、俺は先に戻ってるぞ。」
「分かったわ。じゃあビット、会計お願いねー!」
「分かっ・・・た、・・・って、おい、こらーー!」
ビットの叫びも虚しく、2人はとっとと行ってしまった。
やれやれ、と伝票をレジに持っていこうとした時、
彼はあることに気付いた。
「そういえば・・・、ナオミ達、会計してたっけ?」
嫌な予感がしたので、彼女たちが座っていた席を見ると、
案の定、伝票が残っていたりする。
すると、入り口の方から戻ってきたレオンが一言。
「すまん、ビット。会計を頼む。」
そう言って、再びどこかに行ってしまった。
(あ・・・、あ・・・、あんまりだぁーーー!)
彼は心の中でそう叫んだ。
ライガーのオプション開発の借金が残っている彼にとって、
それはあまりにも酷である。
喫茶店にて、
「噂に聞いたよ。最近、連戦連勝だそうだな。」
「モゴ・・・、まあ・・・パク・・・ね・・・。」
パフェを食べながら、兄の質問に答えるリノン。
さっきレストランでサンドイッチを食べたばかりなのだが。
その様子にレオンは少々苦笑い。
「でも、1回だけ負けちゃったのよね、チーム・ライトニングに。
それがなかったら、兄さんが旅に出た頃からずっと連勝だったのに。」
「まあ、仕方がないさ。あのチームはかなりの凄腕だから。」
そう言って、彼もコーヒーをすする。
「それにしても・・・。
ビットが入ってからじゃないのか、こんなに勝ち進んだのも。」
突然こんな事を言い出すので、リノンは思わず叫んだ。
「な、何で突然、あいつが出てくるのよ!
確かに・・・そうだけど・・・。
でも、あいつの勝因の殆どは運よ!」
「ははは、分かった、分かった。
だからそんなに怒鳴るなって。」
慌てて彼女を宥める。
こんなに怒鳴られては、他の客に迷惑である。
「でも、ビットは凄いよ。
ゾイドの言葉が分かるんだから。」
「えっ・・・。」
「ゾイドのやりたい戦い方が分かる。
実際にライガーゼロは格闘戦で威力を発揮する機体だからな。
俺達がゼロに乗れなかったのは、
無理に操ろうとしたり、パーツを無理矢理乗せようとしたからかも知れない。」
「そうね。そう言うところは尊敬できるかも。
ちょっと生意気だけど。」
再びパフェを食べ始めるリノン。
すると、
「なぁ、リノン。1つだけ聞いていいか?」
「ん、なあに?」
「お前、ビットのことどう思ってるんだ?」
その質問にリノン硬直。
「ど、どうって?」
「惚れてるんじゃないのかと思ってな。」
「そ、そんな訳ないでしょう!」
さっき以上の声で彼女が怒鳴る。
顔を真っ赤にして。
「な、なんで、あんな奴なんかと・・・。
あいつとは、ただの友達よ!」
「すまん、すまん。
この間いいコンビだったからさ。
もしかしたらと思ってな。」
この間というのは、レオンが初めてブリッツと戦った時である。
その時はバックドラフト団の邪魔が入って、無効試合となってしまったが。
「まったく、もう。」
そう言って最後の一口を口に運ぶ。
レオンの方もコーヒーを飲み終え、
散々迷惑を掛けた喫茶店を後にした。
「じゃあ、兄さん。またね。」
「ああ、ビットに言っておいてくれ。
『今度はシュナイダーで勝負しろ』ってな。」
リノンはレオンとホバーカーゴの前で別れた。
彼女を回収した後、一路トロスファームへと向かう。
我が家へ着くと、彼女はシャワーを浴びに浴室へと向かった。
ちなみにバラッドはナオミとのウインドウショッピングでヘトヘト、
部屋に入ってとっとと寝てしまった。
「無限の可能性・・・か。」
シャワーを浴びながら、レオンが言った言葉を思い出す。
「友達って言っちゃったけど、実際に惚れてたりして。」
そう言ってちょっと頬を赤らめる。
やはり彼女も思春期の女の子なのである。
この後、ビットが不可抗力でまた風呂を覗いたのは余談である。
そして、ライガーゼロのもう一つの可能性、
パンツァーユニットが出てくる時が近付いていた。
雷矢さん、キリ番ゲットおめでとうございます。
「ビットとリノンてくっつくの?」という事でしたが、
こんなもんでどうでしょうか?
自分なりに頑張ってみたつもりです。
とりあえずサービスで戦闘シーンも入れてみました。
では、感想待ってま〜す!