そんなこんなで大会当日。
職員チームの所には、ジャック・シスコが混じっていた。
彼はアーバインとユニットを組むことに。
ちなみにアーバインはバトルロイヤル大会で見事優勝、
なんとか賞金を用意した。
後もう一つ言うと、彼等は全員私服・・・ならよいのだが、
あらかじめ曲にあった衣装をセレクトさせられている。

「レディース&ジェントルメン。
これより第一回Zi学園カラオケ大会を開催します!」

(これが最初で最後だろうよ。)

誰かがそんなことを思ったとか・・・。
ともあれ、カラオケ大会は幕を開けた。
会場は全校生徒で盛り上がっている。
そして、両チームのキャプテンが司会をやることに。

「司会はキースとビットが務めさせていただきます。
では、ルールの説明をします。
ラウンドごとに各ユニットが歌を歌います。
カラオケマシーンによる得点の総合成績で優勝を決めます。」

「そして、生徒チームが勝ったら賞金は180万!
教師チームは110万となっています。」

「では早速、第一回戦!」

 

第1ラウンド  「ルドルフ、メリーアン、ジェミーVSヒルツ」

 

「生徒チームのトップバッターはルドルフ、メリーアン、ジェミーの、中学一年生トリオ!
歌う曲は・・・、E.L.T.の『Time goes by』
張り切ってどうぞ!」

ビットの声をきっかけにスポットライトが舞台上の3人を照らした。
格好はE.L.Tそのもの。
そして、メリーアンが歌い出した。

「Wow wow wow・・・。」

カラオケボックスで練習した成果からか、結構うまい。
ルドルフ達もコーラスで頑張っている。

「いつかまた2人 会えるといいね。
Time goes by・・・。
Wow wow wow・・・。」

パチパチパチパチ

「ルドルフチームでした!」

会場の惜しみない拍手で3人は退場。

「つづいて、教師チーム。
トップバッターはセクシーボイスのヒルツ!
歌う曲は・・・、Gacktの『vanilla』
張り切って・・・どうぞ!」

「いい加減、その呼び名は止めろ・・・。」

セクシーボイス発言に抗議するヒルツであった。
とはいいつつも、格好はGacktそのもの。



「ありがとうございました!」

会場の拍手に見送られて、ヒルツは退場していった。
その顔は凄く満足そう。
ちなみに会場の女子はメロメロだ。

「では、得点の発表です。」

得点板には86:89と書かれている。

「わずかに教師チームがリードしたところで、
第2ラウンド、行ってみよー!」

 

第2ラウンド   「トーマVSカール」

「おおっと、ここでは兄弟対決だ!
まずは生徒チームのトーマ。
曲は・・・Dearの『Song for・・・』」

えらくガチガチになっているトーマ。
仲間達は大丈夫だろうかと心配気。
すると、

「トーマさん、リラックス、リラックス!」

フィーネの声でシャキッとなるげんきんな彼にみんな呆れ顔。
そして、歌い出した。

「冷めた、街に生まれ・・・。」

だが、シャキッとなるのと歌がうまいのは別問題である。
そう、彼は音痴だった。



「は、はい、ありがとうございました・・・。」

ちょっと引きつりながら司会をしている2人。
ビットは内心落ち込んでいた。

「教師チームは、シュバルツ先生の登場です。
曲は・・・氷川きよしの『お〜い、おっかけ音次郎』です。」
(これでいいんだっけ・・・?)

カールはいつもと変わらぬ背広で登場。
だが、中身はいつもの彼じゃなかった。

「やだねったらやだね〜 やだねったらやだね〜。」

そう、いつになくノリノリだったのだ。
その証拠に振り付けまでマスターしている。
ちょっと退いている人とカールにウットリしている人とで場内は半々であった。

「はい、ありがとうございました。」

さっきのヒルツ以上に満足して引っ込んでいく彼であった。

「・・・では、結果です。」

やや落ち込み気味のビットが得点板を指すと、
そこには38:86と出ていた。

「またも教師チームの大幅なリードで第3ラウンドです。」

「・・・・・・。」

 

第3ラウンド   「スペキュラー、サンダーVSマリア、ムンベイ」

 

「ここでは女子2人組の対決となります。
では、生徒チームのスペキュラー、サンダー。
曲は・・・キロロで『長い間』
どうぞ!」

2人がスポットライトに照らされ、歌い出した。
メインはサンダー。
キースが歌好きなので彼女も歌が得意なのだ。

「長い間、待たせてごめん・・・。」

幸先のいい歌い出しで、観客からは歓声が上がる。

『気付いたの あなたがこんなに側にいること』

スペキュラーとのハーモニーも抜群だった。

「ありがとうございました。」

パチパチパチパチ

盛大な拍手で送られた2人であった。

「続いては音楽教師、ムンベイと家庭科教師、マリアのユニットです。
曲は・・・花・花で『あ〜、よかった』
Here we go!」

いつの間にかアメリカンなキース。
だんだん乗ってきたようだ。

「あ〜、よかったなぁ・・・。」

彼女たち(ムンベイ)が歌い出した瞬間、
会場にいる人々の半数が気絶した。
それもそうだ。
マイクを通して、彼女の大声が場内に響いたのだから。



「どうも・・・、ありがとう・・・ございました・・・。」

凄く満足しているムンベイと引きつった笑いを浮かべているマリアであった。
結果は火を見るよりも明らかなわけで・・・、

「87:47で生徒チームが巻き返した!」

ビットが嬉しそうに叫ぶ。
すると、

「ちょっとキース!
大声出せば機械が反応して点が入るって言ってたじゃないの!」

舞台袖からムンベイが噛みついてきた。
だが、

「やかましい!
大声出すのに専念し過ぎて、音が外れてたんだよ!
このどアホ!!」

と、ハリセンを投げつけて反撃するキース。

「皆さんはハリセンを投げないでくださいね。
では、第4ラウンドです。」

なおも続いている言い合いを無視して話を進めるビットであった・・・。

 

第4ラウンド   「リノンVSスティンガー」

 

「前半戦もこれで最後!
生徒チームはリノン!
曲は・・・相川 七瀬の『NO FUTURE』
レディーゴー!」

ビットの声と共にリノンが登場。
早速歌い出した。

「2人の関係はき〜っと、一瞬をたのし〜む為の〜。」

歌い出しからいい調子の彼女。
実はこれ、彼女の十八番だったりする。

「生涯をか〜けなが〜ら〜!」

「ありがとうございました!」

拍手で送られるリノンであった。
ムンベイの後だったので、ちょうどいい口直しになったようだ。

「対する教師チームはスティンガー!
曲は・・・DASEINの『流離人』
Here we go!」

何とか取り直そうとするキースだったが、
スティンガーは誤算であることを今知ることとなった。

「行く先の〜ない〜、風に吹か〜れ〜。」

そう、彼も音痴だったのだ。



「はい・・・、どうもありがとうございました・・・。」

凄く落ち込んでいるキース。
さっきのビットの比じゃなかった。

「では・・・、結果です。」

結果は85:45と出ていた。

「まったく、折角のリードを縮めやがってからに・・・。」

会場には聞こえないように、
なおかつ教師チームに聞こえるように愚痴るキース。
人間、金が絡むと性格が変わる。

「では、後半戦です。
後半戦は先攻と後攻が交代になります。」

ちなみにここまでの総合成績は295:267で生徒チームがリードしている。

 

第5ラウンド   「アーバイン、ジャックVSビット、ハリー」

 

「後半戦の最初は男性2人組の対戦です。
教師チームはアーバインと助っ人のジャック!
曲は・・・チャゲ&ASUKAで『SAY YES』
Here we go!」

キースの声と共にスポットライトが2人を照らす。

『余計な〜、ものなど、ないよね〜』

順調な歌い出しに観客から声援があがる。
実は結構歌い込んでいる2人。
誘ってからずっと歌いっぱなしなのだ。

『SAY YES・・・。』

抜群のハモリで

「ジャック、アーバイン、どうもありがとう!」

歌い終わると同時に拍手と声援があがった。
さすが人気教師だ。

「続いて生徒チームは俺とハリーです!
曲は・・・KinKi Kidsの『愛されるよりも愛したい』
よろしくお願いしま〜す!」

そういって、舞台中央に向かうビット。
そこにはもうハリーがスタンバっている。

「どうだっていいじゃん、そんなこと〜。」

「何だっていいじゃん、そんなこと〜。」

なかなかの歌い出しだった。
彼等もこの3日間歌いっぱなしだったのだ。
だが、

『愛されるよりも〜、愛したい、マジで〜。』

どっちも譲らない性格だったので、
メインの方を二人して歌ってしまった。
それだけならよかったのだが・・・。

「あいつら・・・、音を外してるな。」

「そうっすね・・・。」

バラッドとバンの言う通り、彼等は下手だった。



 結果は言うまでもなく・・・、

「54:88で教師チームの勝利!」

「しょっぱい試合で済みません・・・。」

 

「第6ラウンド   ディ、ハーマンVSバラッド、ナオミ」

 

「教師チームはディ爺さんとハーマン。
歌う曲は・・・北島三郎の『与作』
Here we go!」

演歌なのに「Here we go!」はないだろ、と誰もが思ったという。
ディはそんな事はお構いなしに歌い出す。

「与作は〜木〜を切る〜 ヘイヘイホ〜!(ヘイヘイホ〜)」

気持ちよさそうに歌い出すが、観客の反応はイマイチ・・・。
まぁ、演歌で喜ぶのはこの中では理事長ぐらいだろう。
ちなみにハーマンは()の中を歌っている。



「ありがとうございました。」

場が白けているのに気付いたキースはディをとっとと引っ込ませる。

「続いては生徒チームのラブラブカップル、バラッドとナオミ。
曲は・・・つんく&浜崎あゆみの『LOVE〜1999〜』
レディーゴー!」

場の雰囲気を吹き飛ばすかのように、
ビットが威勢良く2人を紹介する。

「ラブラブカップルって・・・。」

「そんな紹介の仕方をするな!」

やっぱり抗議する2人であった。



「ありがとうございました。」

歌い終わり、そそくさと舞台を後にする2人。
歌っている間、客がずっと冷やかしっぱなしだったのだ。
そんなんだから、2人共顔が真っ赤。
歌の方はまずまずであった。

「では、結果です。」

結果は87:85とほぼ同点に終わった。

 

「第7ラウンド   オコーネルVSバン、レイヴン、ジーク、シャドー、アンビエント」

 

「では、教師チームの先攻でオコーネル。
曲は・・・DEVELOP=FRAMEの『CHASE』
Here we go!」

ライトが当たった瞬間、女性の歓声が上がる。
何故なら・・・、

「オコーネルの奴、上着の下に何も着てないし・・・。」

そう、彼の胸ははだけていた。
これでは女生徒は一溜まりもないだろう。

「あれは反則ですよ〜。」

「だったらこっちだって。
レイヴン、あなたも胸を出すのよ!」

「な、何で俺が〜!」

フィーネがとんでもない事を言われて、レイヴンは驚いて身を退く。
だが、彼の抵抗虚しく、女性陣に取り押さえられてしまった。
男性陣は「ご愁傷様」と言っているみたいだ。
別に観客の人気を競う大会ではないのだが・・・。



「ありがとうございました。」

オコーネルが黄色い声を背中に浴びて去っていった。

「生徒チームはバン、レイヴン、ジーク、シャドー、アンビエントです。
曲は・・・SMAPの『らいおんはーと』
え〜、説明をしますと、バンが香取慎悟、レイヴンが木村拓哉、ジークが草g剛、
シャドーが稲垣吾郎、アンビエントが仲居正広となっています。
では、レディーゴー!」

ビットの声と共にスポットライトが舞台を照らした。
すると、さっきとは比べものにならない程の歓声が上がった。
それもそうだ。
レイヴンが胸をあらわにしているのだから。
彼はかなり人気が高いので効果は抜群だった。
そして、音楽がなると同時に踊り出した。

「君は いつも僕の 薬箱さ〜。」

「どんな風に僕を〜 癒してくれる〜」

それぞれがいい調子で歌い出す。

『君を守るた〜め そのために生〜まれてきたんだ〜。
呆れる程〜に そうさ側にいてあ〜げる〜。
眠った横顔 震えるこの胸 らいおんは〜と。』

歌い終わった瞬間、場内は歓声に包まれた。
そして、黄色い声援がレイヴンに降りかかる。

「ありがとうございました。
では、結果です。」

結果は87:83と出ていた。

「最終戦の前にここまでの結果です。
なんと、523:523の同点です!」

 

「第8ラウンド   キースVSフィーネ、リーゼ、ローザ」

 

「いよいよ最終戦!
勝つのは生徒か、それとも教師か!」

「ここで全てが決まる!
教師チームの先攻は・・・。
あっ、俺だ!」

その瞬間、会場の全員がずっこけた。
どうやら、熱中しすぎて忘れていたらしい。

「失礼。
曲は・・・RAMARの『Wild Frowers』
じっくり聞いてください。」

そう言って、キースはギターを片手に舞台中央に立つ。
そして、歌い出した。

「急に泣き出した空に 声をあげ はしゃぐ無垢な子供達」

いい歌い出しに観客は感心の色を示す。
実は彼、歌手デビューをしようかと思い立った程、歌が上手いのだ。
いっそのこと、彼を音楽教師にした方がいいのでは?と囁かれるぐらいなのだが。
そう言うと、ムンベイが怒るので誰も言えないのだ。
(どんな学校なんだよ・・・)

「信じること 誰かに伝えたい この唄に乗せて〜」

彼がギターを弾き終わると、惜しみない拍手が湧いた。

「ここで最初に得点を見ておきたいと思います。
得点は94点!
生徒チームは95点以上取らないと、負けになります!
では、生徒チームのラストはフィーネ、リーゼ、ローザのお茶会3人娘。
曲は・・・EARTHの『Your song』
レディーーーゴーーー!」

スポットライトが3人を照らし、曲が始まった。

「響き合う 奇跡の中で〜。」

「2人は巡り会えたか〜ら〜。」

「限り無い 愛しさを届けたい〜。」

『永遠の空へ〜 安らぐ海へ〜 愛するあなたへ〜』

ワンコーラス歌い終わっただけで、歓声が上がる。
結構彼女たちもカラオケに行っているのだ。
踊りもバッチシでいう事がない。



歌い終わった瞬間、これまでにない歓声が場内に響いた。
観客は総立ちで拍手を送っている。

「さぁ、気になる得点は?
運命の結果発表です〜!」

ドロロロロロロロロロロ・・・

ドラムロールが鳴り響く中、
生徒や教師達は緊張した面持ちで得点パネルを見ている。
果たして、どちらが勝っているのか?
賞金を手にするのは?
結果は次週発表!

『そんな訳ないだろ!!!』

ひぇ〜、みんなして突っ込まんといて〜。
とかなんとかいっているうちに得点がパネルに表示された。

「結果は・・・、96点!
優勝は生徒チーム!!」

その瞬間、生徒達はそれぞれのカップルで抱き合って喜ぶ。

「ヤッター!」

「俺達の勝ちだ!」

盛大な拍手と歓声の中、トロスから賞金の贈呈。
代表は優勝の決定打となったフィーネ達。

「はい、賞金。おめでとう。」

『ありがとうございます!』

賞金を受け取り、生徒達はかなり嬉しそう。
そして、

「さてと、教師チームには・・・。」

「何か・・・くれるんですか?」

とりあえずカールが聞いてみるが、
それは愚問というものだった。

「罰ゲームだ〜!」

『何〜〜〜!』

ズドドドドドドドドドド・・・

教師達がそう叫ぶのが早いか、突然何かの足音が聞こえてきた。

「何だ、一体・・・。」

「とりあえず・・・逃げるぞ!」

アーバインの言葉に全員がその場から逃げ出した。
そして、生徒達は・・・、

「派手に打ち上げといくか。」

「そうですね。」

と言って、やっぱりカラオケボックスに向かう一行であった。

 

 その頃・・・、

「助けてくれ〜〜〜!」

「何なんだ、あいつらは!?」

「いいから走れーーー!」

それぞれゾイドに乗りながら、オコーネル、キース、アーバインが叫んでいる。

「何だって、こんな事をするんだ!
あのケチ校長!」

「そんなことこっちが聞きたい。」

「とにかく逃げないと、潰されても知らないわよ!」

ハーマン、カール、ムンベイの順。
彼等は一体何に追いかけられているのだろう。
ゾイドはなおも砂漠を爆走している。

「どっから出てきたんだ!
あの玉虫!」

キースが叫んだ。
そう、なぜか「風の谷のナウシカ」に出てくる玉虫の大群が彼等を追っているのだ。
それから一昼夜、彼等とその愛機は玉虫から追われていた。


初心者さん、キリ番ゲットおめでとうございます。
結構長引いてしまって済みません。
しかも、予想以上に長いし・・・。
ゾイドの主題歌を取り入れるのにちょっと苦労が・・・。
あと、選曲も・・・。
しかも、ジブリまで出てきてしまったし・・・。
さゆきさんのリレー小説が無くなってしまい、
すっかりつまんなくなってしまって・・・、つい・・・。
何処かでやらないかな〜。
許しが出るんだったら、うちでやってもいいんですが・・・。
みなさん、どうでしょう?
まぁ、当分はキリリクを減らすことに専念せねば。
では。

 

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