「Zi学園の体育祭〜始まりは突然に〜

 

「では、今日の授業はここまでだ。
続きはまた明日やるから、予習をしておくように。」 

『は〜い。』

今日一日の授業が終わり、生徒達は開放感に浸っていた。
そして、数学教師のオコーネルの代わりにアーバインが入ってくる。

「じゃあ、ホームルームを始めるぞ。
まず最初に1週間後の体育祭のことだ。」

「ちょっと、アーバイン。」

バンが手を挙げて、質問をぶつける。

「前々から気にはなってたんだけど・・・一体、誰と競うんだ?
クラスも学年で一つずつしかないだろ。」

今度はレイヴンが、

「まさか学年対抗じゃないだろうな。」

すると、アーバインは手を振って、

「ちげ〜よ。実はなぁ、職員と生徒でやるんだとよ。」

一瞬の沈黙。
そして、

『何だってぇ〜!』

学園中、いや惑星中に響くような大声でバン、レイヴン、トーマそしてリーゼが叫んだ。
フィーネとローザはキョトンとしている。
アーバインが耳を塞いでいた手を退かして、話を続けた。

「それで競技は全員出場。
ゾイドを使う競技もあるから忘れるなよ。
それと、部活動は禁止だからな。
あとは・・・どうした、レイヴン?」

ふと見ると、レイヴンの周りに何やら嫌〜な空気が漂っていた。
そして当の本人は机の上に「の」の字を書いている。

「レイヴンは当分バンと戦えないから落ち込んでるんだよ。」

リーゼが説明を聞いて、アーバインは呆れながらも話を続けた。

「あとは、競技に使うゾイドを1年と一緒に決めて、
この紙に書いてハーマンに提出してくれ。
以上だ。」

そう言ってアーバインは教卓の上に紙を置いていくと、ツカツカと出ていってしまった。

「やれやれ。」

「何だってこんな事に。」

バンとトーマがため息混じりで言う。

「とにかく1年の教室に行きましょう。」

「そうね。」

フィーネとローザがそう言うと、
バン達はアーバインが置いていった紙を持って教室を後にした。

「ねえ、レイヴン。いつまでも落ち込んでないで早く行こうよ。」

「・・・・・・」

リーゼはまだ落ち込んでいるレイヴンの腕を引っ張って、バン達の後を追った。

 

「お邪魔しま〜す。」

バンを先頭に2年生が入ってきた。
レイヴンは何とか立ち直ったようだ。

「あっ、バン!」

返事をしたのはルドルフ。
その隣にはメリーアンもいる。

「何か大変なことになってしまいましね。」

「まぁ、何とかなるだろう。
とにかく、とっとと決めちまおうぜ。」

全員が頷き、出場ゾイドを決め始めた。
バンが競技を読み上げる。

「えっと競技は・・・リレーに綱引き、射撃に・・・ゾイドバトルだぁ?
体育祭までゾイドバトルやるか、普通?」

トーマが冷静に取り仕切る。

「とりあえず決めよう。
まずはリレーだな。」

「そうだな。
向こうにいるゾイドはライトニングサイクス、セイバータイガーが2体、
シールドライガーにコマンドウルフ。
・・・高速ゾイドばっかだなぁ。」

バンがそう言うとフィーネは、

「リレーに出られるゾイドは4体だから、ブレードライガーにセイバータイガー、
ディバイソンにジェノブレイカーっていうのはどうかな?」

「でも、ライトニングサイクスにはかなわないわよ。」

みんなが悩んでいるとレイヴンとリーゼが、

「心配するな。サイクスはMAXで時速320q、俺のジェノブレイカーは時速345q、
どうってことないさ。」

「それに、いざって時にはオーガノイドを使えばいいよ。
向こうのオーガノイドはアンビエント1体だけだし。」

「あっ、そうか。」

バンが感心した様子で返事をする。

「次は綱引きだな。向こうにはアイアンコングにゴジュラス、グスタフか。
重量級な奴ばっかりだなぁ。」

「それより・・・」

「一番心配なのって・・・」

「ああ・・・」

「あいつがいたね。」

「参ったな。」

フィーネ、ローザ、レイヴン、リーゼ、トーマが順に言う。

「何です。」

ルドルフが不思議な顔をして聞いた。
それに答えたのはバン。

「話してなかったっけ?
一番問題なのはヒルツのゾイドなんだ。」

トーマが話を続けた。

「奴のゾイドはデススティンガーっていうサソリ型ゾイドで、
体長がブレードライガーの4倍近いんだよ。」

「普段は危険だからって乗るのを止められているけど・・・。」

「あの職員どもの考えることだ。
絶対使ってくるに決まっている。」

リーゼ、レイヴンが説明を付け加える。

「しょうがない、綱引きは諦めよう。
どうせ5体全部が出るんだし。」

「そうだね。」

バン、フィーネがそう言い、みんなも賛成した。

「次は射的ですぅ。
これは3体出場ですけど、どうします?」

メリーアンが言った。

「そうね。じゃあ、射撃に自信のある人!」

ローザがそう言うと、バン、トーマ、ルドルフが手を挙げる。

「じゃあ、決まりね。」

「ねえ、レイヴンは出ないの?」

フィーネの質問にはバンが代わりに答えた。

「荷電粒子砲に射撃の腕なんて必要だと思うか。」

「それもそっか。」

レイヴンはカチンときた様子だったが、黙っている。

「さてと、後はゾイドバトルか。」

「これも3体だな。」

バンとトーマが悩んだ。

「部員が出ればいいけど、問題は誰を外すかだなぁ。
・・・そうだ、マネージャー3人に決めてもらおう。」

そう言ってバンはフィーネ、リーゼ、メリーアンに後を任せる。
そして、3人が話し合った結果、バン、レイヴン、ルドルフが選ばれた。
その結果に猛反発したのはトーマ。

「ちょっと待てぇ!
何で俺が入ってないんだ?」

それに答えたのはリーゼ。

「だってお前、バンにもレイブンにも勝ったことないし、
ルドルフにもこの間負けたじゃないか。」

「ぐぅぅ〜。」

トーマは本当のことなので反論できない。
一方でメリーアンはフィーネに聞いた。

「トーマさんはどうやってあの部に入ったんですか?」

「トーマさんは創設部員だから・・・。」

「なるほど。
ありがとうございますぅ。」

会話の内容がトーマに筒抜けだったことに、二人は気付いていない。
トーマは怒りで方をふるわせていた。
そしてそれを見ていたバンは、

「こりゃ、またメガロマックスか。」

と冗談半分で言っている。

「さてと、全部決まったし、解散にするか。」

バンの一言で全員が帰宅。
彼も紙の提出をトーマに任せとっとと帰っていった。
その日の夜、バンの言った通り、どこかの岩山でメガロマックスの爆音が響いたという。

 そして体育祭当日の朝を迎えた。

続く


いよいよ体育祭編、スタートです。
これの他に後二つ書くつもりですんで。
よろしくお願いします。

 

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