「Zi学園の体育祭〜生徒VS教師〜

 

 体育祭当日、生徒達は学校の校庭に集まっていた。

「ついにこの日が来ちまったなぁ。」

「ああ、何でこんな事を考えるんだ。うちの学校は。」

「まったくだ。こんな下らない行事、さっさと終わらせたいな。」

バンとトーマ、レイヴンが愚痴を言い合っている。

「ねぇ、ローザ。
リーゼ見なかった?」

フィーネがローザに聞いた。
先程からリーゼか見つからないようであちこちに聞き回っている。

「ううん、見てないけど。
2人は?」

ローザは隣にいたルドルフとメリーアンに聞く。

「さっきまでいましたけど・・・。」

「そういえばトイレに行くって言ってましたぁ。」

「そう、ならいいんだけど。」

リーゼの所在が掴めたので、彼女はほっと一安心。

 

 その頃、リーゼは倉庫でスペキュラーと一緒に何やら細工をしていた。

「ふぅ〜、これでよし。スペキュラー、そっちは?」

「グルルル。(準備O.K.だよ。)」

「よし、そろそろ戻ろう。
教師達に見つかったら大変だからね。」

そういって、リーゼはそそくさとその場を後にした。
その後、偽装工作のためトイレに向かうリーゼ。
だが、その途中で、

「リーゼ、どうしたんだい?
こんな所で。」

ビクッとしたリーゼは声の方向に振り向く。
すると、そこには赤毛が特徴の国語教師、ヒルツが建っていた。
後ろには彼の赤いオーガノイド、アンビエントがいる。

(ひぃ、ヒルツ。
相変わらず神出鬼没だなぁ。)

「いえ、ちょっとトイレに。」

「そうか、開会式に遅れないようにな。」

「はい。」

引きつった顔でリーゼは答えると、ヒルツはそのまま校庭の方に向かっていった。

「・・・怖すぎるよ、あの先生。」

この時、リーゼは本当にチビリそうになったという。

 

 数分後、開会式は始まった。
リーゼは何とか間に合ったようだ。
理事長のルイーズが挨拶をしていると

「なあ、そういえば校長は?」

バンがトーマに聞く。

「確か交通事故で入院してるって話だ。」

「ふうん。」

バン達が話しているうちに、校歌が流れてくる。
すると、

「まずい!みんな、耳を塞げ!」

バンが急に叫んだ。
ルドルフは不思議な顔をして尋ねてくる。

「どうしたんです?」

「いいから!」

ルドルフは訳も分からず言われるままに耳を塞いだ。
よく見ると教師達も耳を塞いでいる。
その訳はすぐに判った。

「ら〜、ラ〜ら〜ら〜ラ〜。」

音楽教師のムンベイが歌い出したのだ。
彼女は歌はそこそこなのだが、声がでかいので、
マイク越しに聞くと騒音といえるほど、でかく聞こえるのだ。

「いつになったら普通に歌えるんだ、あの教師は!」

「知らないよ〜。」

レイヴンとリーゼがそんな事を話している。
だが、殆ど聞き取れていない。
やがて歌が終わり、生徒や先生達は騒音地獄から解放された。

「おいおい、もう戦いはスタートしてるんじゃないだろうな。」

「そんな訳ないだろ!」

バンのボケにアーバインが遠くからツッコミを入れる。
この後、生徒会長のトーマが選手宣誓をして、ようやく開会式が終わった。

 

 第1競技・徒競走

 

「さあ、いよいよ始まりました。
実況は私、ムンベイ、解説は理事長のルイーズさんがお送りします。」

「大変楽しみです。」

「それでは第一競技・徒競走です。
この競技は100m走を男子教師・生徒で競います。
合計3勝した方のチームが勝ちになりま〜す。
第一走者はトーマとシュバルツの兄弟対決です。」

「いきなりの好カードですね。」

トーマとシュバルツがスタート位置に着く。

「位置について、よーい・・・・スタート。」

審査員をやっているオコーネルが勢いよく旗を下げる。
それと同時に二人は走り出した。
最初はシュバルツがリードしていたが、
トーマが驚異的な追い上げを見せたため、ほぼ同時にゴールイン。

「おっと、いきなり写真判定だ。
結果は・・・わずかにトーマが先だ!
兄弟対決は弟の方に軍配が上がった。」

「よっしゃ!見ましたかフィー・・・ネさ・・・。」

トーマがフィーネに声をかけようとしたが、
当のフィーネは次に走るバンに付きっきり。
そして後ろからアーバインが、

「メガロマックスは後にしろよ。」

としっかり釘を刺す。

「次はバンとアーバインだ。
運動神経抜群の生徒と体育教師との対決だ。」

「これも見物ですね。」

バンとアーバインがスタート位置に着く。

「位置について、よーい・・・・スタート。」

バン達がスタート。
最初から最後までバンとアーバインは抜きつ抜かれつの名勝負を繰り広げた。
だが、

「おっとアーバイン、思いっきり転けた。
格好悪〜い!」

その隙にバンがゴール。
実はアーバインはリーゼの仕掛けたバナナの皮で滑ったのだ。
そしてそのバナナの皮はリーゼの操る虫ゾイドが回収。

「よし、作戦成功。」

リーゼは影でクスクス笑っていたとか。

「さあ、第3レースだぁ〜!
これに勝てば徒競走は生徒チームの勝ちだ。
次の走者はレイヴンとハーマンだ!」

レイヴンとハーマンがスタート位置に着く。
すると、リーゼの操る虫ゾイドがハーマンの靴の靴紐をほどいていた。
もちろんそのことにだれも気付いてはいない。

「ハーマンにも思い切り転けてもらうよ。」

「位置について、よーい・・・・スタート。」

レイヴンとハーマンはスタート。
だが、ハーマンはリーゼの思わく通り派手にすっ転んだ。

「おっと、ハーマンも転けた。」

「親として恥ずかしいです。」

もちろんレイヴンの勝ち。

「これでこの勝負は生徒チームの勝ちだ!」

「よかった。
僕走るの苦手だったから。」

ルドルフは、ほっと胸をなで下ろす。
もちろんそんなことはリーゼの計算通りだ。

「休む間もなく第2競技だ!」

 

 第2競技・玉入れ

 

「この競技は女子教師・生徒で競います。
というわけでここで実況を交代します。」

ムンベイが実況席から出てきて、代わりにアーバインが入る。

「ムンベイに変わって、この俺、アーバインが実況します。」

「女子生徒の諸君にも頑張っていただきたいです。」

裏ではリーゼ、フィーネ、ローザ、メリーアンが会策せ議。

「いいかい、とにかく真上に玉を放り投げるんだ。」

「どうして?」

フィーネが尋ねる。
流石にこの説明じゃ訳が分からない。

「いいから、僕に考えがある。」

リーゼの一言で会議終了。

「さあ、選手の入場だ。
生徒チームはリーゼ、フィーネ、ローザそしてメリーアン、以上の4人。
対する教師チームは、ムンベイ、マリア、そしてスティンガーだ〜。」

「何でスティンガーが出て来るんだ?」

「あいつは男だろう。」

バンとトーマが思い切り抗議。
すると、

「え〜、本人の強い希望と、女性教師が足りなかったと言う理由で、
出場してもらってます。
もちろん、その分は人数差でカバーします。」

実況席からアーバインが説明した。

「まったく。
で、バンはどっちを応援するんだ。」

レイヴンがそう言うとバンは頭を抱えた。
そう、姉と幼なじみの対決なのだからどちらを取るというわけにもいかない。

「レイヴン、俺ちょっとトイレにでも行って来る。」

そう言って、バンはその場から立ち去ってしまった。

「さあいよいよスタートだぁ!」

オコーネルが笛を吹くと、一斉にかごに向かって投げ始める。
すると、生徒チームの玉は変な軌道を描いてかごに入っていく。
実は、これもリーゼの仕業。
リーゼの操る虫ゾイドが生徒チームの玉をかごまで運んでいるのだ。
一方、教師チームはというと、

「ちょっと頑張りなさいよ。
負けるわよ。」

「うるさいわね。
こっちだって一生懸命やってるでしょ。」

「まあまあ、二人ともケンカしないで。」

ケンカ寸前のムンベイとスティンガーを、マリアがなだめているという状況。
どうやらこのチームはチームワークに問題があるようで・・・。
そして、スティンガーが投げたボールがかごに入った瞬間、

ブチッ

突然かごの網が切れてしまった。
もちろん中に入っていたボールは外に出てしまい、あっという間に0個。
これもリーゼの仕業。
さきほど倉庫に行った時、
「教師用」と書かれているかごの網に切れ目を入れて置いたのだ。

「試合終了。」

オコーネルの声と共に競技が終わった。
もちろん結果は言うまでもなく生徒チームの勝ち。

「不幸が重なってしまいました、教師チーム。
今のところ成績は2−0と生徒チームがリードしています。」

「楽しくなってきましたね。」

 

 第3種目・オーガノイド競争

 

「第3種目はオーガノイド競争です。
実況は再び私、ムンベイがやらさせていただきます。
この競技はオーガノイドに乗って200mを走ってもらいます。」

「このZi学園ならではの競技ですね。」

「では選手紹介、まずはバン&ジーク。
続いてはレイヴン&シャドー。
その次はリーゼ&スペキュラー。
最後はヒルツ&アンビエント。」

全員スタート位置に着く。

「それでは、位置について、よーい・・・スタート。」

一斉に走り出す。
だが、何故かアンビエントだけ進んで、他の3体は進めないでいた。

「どうなってんだよ!」

バンが叫ぶ。
そして、ジークが走るのを止めると、突然転んでしまった。

「いってぇ〜。
・・・あっ、下にオイルが撒いてある!」

「何だって!」

バンがそう言うと、レイヴンは下を見る。
すると、確かにオイルが撒かれていた。

「やられた〜。
ヒルツを甘く見てた。」

リーゼが後悔する頃には、もうアンビエントとヒルツはゴールテープを切っていた。

「見事ヒルツ組の勝ち。
これで2−1になった!
ここで休憩とします。
後半はゾイドを使った競技をしますので、ゾイドを運んでおいて下さい。」

オイルに滑っていた二人は、空を飛んで何とか危機を脱する。

「くっそ〜、この借りは必ず返してやる〜!」

リーゼの叫びは校庭にむなしく響いていた。

続く


やっと書き終えた。
人間とオーガノイドの競技だけで、こんだけ使ってしまった。
次はゾイド競技ですので、お楽しみに〜。

 

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