「Zi学園の体育祭〜登場、デススティンガー〜

 第5種目 綱引き

 種目はキースの威勢のいい解説で始まった。

「はい、第5種目の始まりです。
綱引きはそれぞれのチームのゾイド5体で、
特殊合金で出来た直径3メーターのワイヤーを引っ張ります。
おっと、観客席を見てみると、卒業生の面々が来ています。」

「ホントに。皆さん、元気そうで何よりです。」

ルイーズは実況席から卒業生達に手を振る。
観客席にはバラッド、ナオミ、リノンにハリーがいた。
ちなみにビットは、リーゼから受け取ったガトリングパーツを家に置きに戻っていた。

「それでは選手の入場です。まずは生徒チームから。
バンのブレードライガー、レイブンのジェノブレイカー、
トーマのディバイソン、ルドルフのセイバータイガー、
最後はローザのゴドスで〜す!」

「バン、がんばれよ〜。」

いつの間にか戻っていたビットが声援を送る。
観客席は歓声に包まれた。

「続いて教師チームで〜す。
ハーマンのゴジュラス、シュバルツのアイアンコング、
アーバインのライトニングサイクス、ムンベイのグスタフ、
最後は・・・マジかよ、デススティンガーです!」

グスタフの後ろをデススティンガーがゆっくりと歩いていた。

「やっぱり出してきたな。」

「分かっていたことだろ。まあ適当にやろう。」

「そうだな。」

トーマ、バン、レイヴンが通信機で会話のやりとりをしている。
その頃、観客席では先輩達が楽しそうに話していた。

「デススティンガー相手に何処までやれるかな?」

「あれは流石に卑怯だと思うぞ。」

「あの教師どもは何が何でも勝ちたいんでしょ。」

ナオミの言葉にビットとハリーが頷く。
そして、隣に座っていたフィーネがナオミに尋ねた。

「そう言えば、ナオミさんとバラッドさんって付き合ってるんですか?」

突然のこの質問に当の本人達は石化した。

「そうそう。この二人、暇になったらいつもデートしてるのよね〜。」

リノンが冷やかすように言った。
当然二人は否定している。

「んな訳ないだろ!何で俺がこいつと。」

「そうよ。だいたいどっからそんな噂が・・・。」

ナオミが言葉を止めた。その訳はリーゼが差し出した一枚の写真だった。
そこには二人が仲良く遊園地でデートをしている光景が写っていた。

『何でこんな写真が〜!』

「実は・・・レイヴンとデートしたときに偶然二人を見つけたの。」

「そう言えば、私もバンと一緒に買い物に行ったとき、二人を見たことが・・・。」

あ然としている二人をよそに、競技の準備が整った。
ライガー達4足歩行型のゾイドはロープでワイヤーと自分の体を固定している。

「それでは始めます。」

オコーネルが真ん中に立ち、旗を上げた。

「よーい、・・・スタート!」

オコーネルが旗を下げると、ゾイド達は一斉にワイヤーを引き始めた。
流石に総重量で勝っている教師チームが有利。
生徒チームは踏み堪えるだけで精一杯である。

「教師チーム、優勢。やはりデススティンガーには勝てないのか?」

半分諦めていた生徒チームだったが、観客席からの応援に退くに退けない。
その時、突然両チームのゾイドが、それぞれワイヤーを引いている方向に倒れた。

「なんと、アクシデント発生!特殊合金ワイヤーが切れた〜!」

「これでは競技が台無しですね。」

「キュイ。(まったくだね。)」

そう、ワイヤーが真ん中から切れた為、ゾイドが倒れたのだ。

(よし、作戦成功。)

実はこれもリーゼの仕業。
シャドーに頼み、ジェノブレイカーに付いている巨大バサミ・エクスブレイカーで、
事前に切れ目を入れていたのだ。

「この競技は無効試合となります。よってポイントは次の競技に持ち越されます。」

「これでよかったのか?」

「まあ、いいじゃないか。負けじゃないんだし。」

バンとトーマの会話がゾイドのコックピット内で行われていた。

 第6競技 射撃

「この競技はゾイドの装備で、直径8メーターの的を打ち抜いてもらいます。
得点は内側から10点、8点、5点、3点、1点です。
外した場合は0点・・・ではなく−2点なので頑張って下さい。
なお、弾数は無制限ですが、使える武装は1種類でしかも1回きりです。
総合ポイントが高いチームの勝利です。」

まずはバンのブレードライガー。

「パルスレーザーなら2発打てるから、これでいくぜ!」

ライガーはパルスレーザー砲を的に向けた。
バンが発射ボタンを押し、レーザーが的に向かっていった。
結果は・・・、

「ブレードライガー、8点に2発命中で記録16点。」

「まずまずだな。」

次はオコーネルのコマンドウルフ。
ビーム砲座で的を射抜いた。

「コマンドウルフ、10点と5点に命中で記録15点。」

「やれやれ、最近やってないから腕が落ちたな。」

生徒チーム2番手はルドルフのセイバータイガー。
3連衝撃砲で3発同時に撃った。

「8点に2発、10点に1発で記録26点。」

「やった〜。」

「ルドルフ様、すごいですわ。私もフィアンセとして幸せです〜。」

観客席でメリーアンが一人はしゃいでいた。
教師チームはスティンガーのセイバータイガーAT。

「ちょっと、私のこと忘れてんじゃないわよ。」

豪快に8連ミサイルポッドをぶっ放す。

「8点に2発、5点に1発、3点に3発、はずれが2発で記録28点。」

「ざっとこんなものね。」

「ここまで42−43で教師チームがリード。」

次はトーマのディバイソン。

「俺で決める!ビーク、標準セット!」

17連砲を全て的に向けた。

「うおぉぉーー、メガロマックス、ファイヤー!」

ディバイソンのメガロマックスが的を直撃。

「10点に1発、8点に1発、5点に2発、3点に4発、1点に1発、
はずれが8発で記録25点。」

「どうだ。」

トーマは誇らしげだったが、

「おいおい、17発撃ってたったの25点かよ。」

とバラッド先輩からきつい一言。
ラストはヒルツのデススティンガー。
使うのは、もちろん荷電粒子砲。

「見ておけ、これが真の力だ。」

ヒルツはこんな危ない発言の後、荷電粒子砲を発射した。
的は外枠だけを残して、消滅した。

「10点、8点、5点、3点、1点を貫通。記録27点。
よって67−70で教師チームの勝利!」

「ふっ、私の勝ちだ。」

「ガルルル。(お見事。)」

ヒルツはアンビエントと共に勝利を喜んでいた。
端から見ればかなり怪しい光景だったが。

「これで3−3の同点となった。次はいよいよゾイドバトルだぁー。
ここで連絡、時間(作者?)の都合によりゾイドバトルは1回戦のみとします。
各自、出場するゾイドを選んでおいて下さい。」

早速バン達は作戦会議を開いた。

「で、どうするんだ?」

トーマの一言で会議は始まった。

「やっぱりここは部長に出てもらおうか。」

「レイヴン、何言い出すんだよ!お前は出たくないのか。」

「誰かの性でシャドーが限界だ。それにお前とじゃなきゃ戦う気にもならん。」

レイヴンの隣でリーゼが申し訳なさそうにしている。
流石の彼女もレイヴンには敵わない。

「まっ、しょうがねえか。」

こうしてバンが出ることとなった。

「バン、頑張ってね。」

「僕たちの分までしっかり戦って下さい。」

「私も応援してますわ〜。」

「バン、フィーネさんを悲しませるなよ。」

「絶対勝つのよ。」

「僕はもう手助けしないよ。自力で頑張りな。」

「ああ、分かってるって。」

チームメイトの声援に見送られ、バンは嬉しそうだった。
レイヴンは黙ったままだったが。

「おい、バン。」

横から声がしたのでバンが振り向くと、そこにはバラッドとナオミがいた。

「俺達からのプレゼントだ。受け取ってくれ。」

そう言ってバラッドはブレードライガーの背中を指さした。
そこにはライガーのアタックブースターパーツを付けているビットとハリーがいた。

「ビットが調達してきたのよ。」

「金を出したのはハリーだけどな。」

バンはうれしさの余り声が出なかった。
そして、ビット達がパーツを付け終わって降りてきた。

「これでいいぜ。バン、ビッといけよ。」

「俺達の苦労を無駄にすんなよ。」

「ありがとう、先輩。」

すると、今まで黙っていたレイヴンが口を開いた。

「バン、俺以外の奴に負けることは許さん。
絶対勝て。いいな!」

「レイヴン。・・・ああ、分かってるって。」

そう言ってバンはレイヴンに向かって笑って見せた。
レイヴンも笑い返す。
なんだかんだ言ってもこの二人は厚い信頼で結ばれているのだ。

「よし、ジーク。いくぜ!」

「キュ、キュイ。(O.K.バン!)」

バンがブレードライガーに乗り込むと、ジークもライガーに合体した。
今、全員の期待を背負ってブレードライガーが出撃する。
果たして、バンの対戦相手は一体誰であろうか。

続く


いよいよ体育祭編も終盤。
次でケリを付けます。
次回「夕暮れの決戦」お楽しみに〜。

 

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