「恐怖の授業参観日」
とある日のホームルームにて。
「え〜、明後日は授業参観の日だ。
ちゃんと親に伝えとけよ。
それと、ちゃんと保護者を連れてくること。」
突然アーバインがそんなことを言うので、生徒一同みんな絶句。
「聞いてないぞ、全然。」
「そりゃそうだ。俺も今日聞いたからな。」
バンの言葉に平然とそう返すアーバイン。
つくづくいい加減な学校だな、とみんな思った。
そして、授業参観で困るのは、親と別居しているフィーネ、レイヴン、リーゼの3人。
「僕たち、どうしよっか。レイヴン。」
「そうだな。」
「バン、私どうしたらいいのかな。」
「う〜ん。」
各カップルで相談を始めた。
「まあ、適当に決めておいてくれ。」
無責任にそう言って、アーバインはツカツカと行ってしまった。
そしてもう1人、ここに困っている人物がいる。
「あれ、どうしたの、トーマ。」
トーマが頭を抱えているので、ローザが尋ねた。
「いや、ちょっと・・・。そういえばローザさんは誰を呼ぶんですか?」
「私はお姉ちゃんかな。」
「いいですね、ローザさんもバンも優しいお姉さんで・・・。」
その言葉にローザはあることに気付き、
「お気の毒さま・・・。」
と優しく声を掛けた。
そう、彼の悩みとは厳しい兄のカールである。
一時も気が抜けないと言う緊張が、この時点から始まっていたのだ。
その頃、バンとフィーネはかなり考えていた。
すると、
「そうだ、良い考えが。」
そっとフィーネに耳打ちするバン。
「なるほどね。そうと決まったら早速、行動開始よ。」
そう言って2人はどこかへと行ってしまった。
そしてもう一組、
「レイヴン、何か思いついた?」
「さっぱり・・・。」
全然アイデアが思いつかないレイヴンとリーゼ。
とうとう屋上でシャドーとスペキュラーと一緒に考えることに。
「グルルル。(保護者ねぇ。)」
「グルル、ゴキュ。(難しい問題だね。)」
2匹も頭をひねっている。
と、その時、
「あっ、そうだ。レイヴン、耳貸して。」
何かを思いついたらしく、レイヴンに耳打ちするリーゼ。
「なるほど、それはいいな。」
そう言って、何やら怪しい目で2体を見る2人。
何か企んでいる様子である。
そんな彼らを見て、互いに抱き合って震えているシャドーとスペキュラーだった。
「キュイ。(哀れな奴ら。)」
「ガルルル(気の毒だな。)」
「キュイイ。(まあ、頑張って。)」
ジークにアンビエント、サンダーが励まし(?)の声をかけてやったとか。
この内の2匹は主が教師なので、お気楽なものである。
そして、2日後の6時間目、授業参観の時が近付いてきた。
「やれやれ、考えてみたら顔馴染みがほとんどだなぁ。」
ポツリと呟きながら、アーバインが生徒の保護者を確認している。
見渡してみると、保護者はほとんど学校関係者。
「バンの保護者はマリアか。まあ、当然だな。
えっとフィーネは・・・って何でお前なんだよ、ムンベイ!」
何故かムンベイがフィーネの保護者として立っていた。
「しょうがないでしょ。
バンとフィーネが頼むからやってくれって言って来たんだから。」
実はあの後、職員室に直行し、付き合いの長いムンベイに保護者を頼んだという訳。
アーバインは呆れながらも、とりあえず確認を続けた。
「えっと、トーマはシュバルツ、ローザはヴィオーラ。
で、レイヴンは・・・。」
アーバインは絶句した。
それもそのはず、シャドーが背広を着て立っているのだから。
ちなみにスペキュラーも同様。
「・・・何をどう考えたらそんな結論に行き着くんだ?」
「だってシュバルツはトーマの保護者だし、他に親しい人いなかったから・・・。」
「シャドー達には可哀想だったが・・・。」
ふと見ると、レイヴン達は傷だらけ。
どうやら、相当抵抗したらしい。
そして、シャドー達の目は悲しみに暮れていた。
特にスペキュラー。
「グルル、グルルル。(あたし、雌なのに〜。)」
それを見て、フィーネが気楽にこう言う。
「私もジークでやれば良かったかな〜。」
その時、屋上でジークは原因の知れない悪寒を感じたとか。
そして、授業がスタートした。
教科は化学、ディの担当だ。
すると、
ガツン!!
何かを殴った音が教室に響いた。
だが、生徒達には何があったのか見当がついていた。
またディがムンベイのお尻を触ったのだ。
「このエロじじい!いつもと同じ事してんじゃないわよ!」
「いいじゃないか、減るモンじゃないし。」
そう言う問題なのか、そんな疑問が生徒達の頭をよぎった。
それでもなお、ディがお尻を触ろうとしたので、とうとうムンベイがキレた。
「いい加減にしろ!!」
ディは夜空のお星さまになったとさ。めでたし、めでたし。
結局この騒ぎで授業参観は中止。
今後一切、授業参観日は禁止になったという。
そして、この出来事で一番損をしたのは、
まぎれもなくシャドーとスペキュラーだった。
「ねえねえ、今度はドレスでも着てみる?」
「グル、グルル、ゴキュ。(勘弁してーーー!)」
そして、リーゼの趣味にスペキュラーの着せ替えが加わった。
何かネタがつきてきた。
もう夏休み編に入ろうかな〜。(おいおい。)
秋になった方がたくさんネタが出てくるし。(こらこら。)
なんならいっそのことバレンタイン編に・・・。(荷電粒子砲直撃。)
では・・・この辺で・・・。
(失礼いたしました。)