「翼竜VS荒鷲」

 バンは今日も元気に登校・・・?

「はぁ、まだ疲れが抜けない・・・。」

「バン、大丈夫?」

「キュイ〜。(大丈夫?)」

ブレードライガーのコックピットでフィーネとジークが慰めている。
7日間の連休だったのだが、
シュバルツの企みで昨日は朝から高等部の引っ越しの手伝い。
全部の教室の机とイスを運んだり、並べたりさせられたので、
疲れが今になっても抜けていない。
フィーネだけはケロリとしているのは流石である。

 しばらくそんな調子で進んでいると、

「バン、2時方向に飛行ゾイドの反応。」

フィーネがレーダーの反応を見てバンに伝える。

「キースか?」

「いえ、サイクロンブレイダーよりも小型よ。」

「それじゃあ、ルドルフのレドラーか?」

「ん〜っ、違うみたい。」

バンが予想をどんどん外していると、
そのゾイドが低空飛行で近付いてきた。

「すみませ〜ん。」

パイロットらしき少年が通信を送ってきたので、モニターに顔が映った。
年はルドルフ達と同じぐらいである。

「あの〜、Zi学園ってこの辺りですか?」

その少年が自分たちの学校のことを聞いてきたので、バンは少々ビックリ。
するとフィーネがその質問に答えた。

「ええ、この方向に真っ直ぐ行った所よ。」

「そうですか、どうもありがとうございます。」

少年は礼を言うと、ライガーを追い抜いて先に行ってしまった。
そもそも、バンが絶不調なので、ライガー自体そんなにスピードを出してないが。

「なあ、さっきのゾイドって・・・レイノスだよな?」

「そうみたい。」

「アレって結構レアものらしいぜ。この間、雑誌の特集でやってた。
確か運動性能は劣るけど、
直線スピードだったらストームソーダー以上だとか。」

「へぇ〜、でも、なんで学校に行ったのかしら。」

「転入生かな。だとしたら部に入って欲しいんだけど・・・。」

「キースがすねても知らないわよ。」

彼らがそんなことを話しているうちに、学園に着いた。
 そして、2人が教室に入ると、

「どうしたんだ、お前ら・・・。」

全員グッタリ。彼らも引っ越しを手伝ったので疲れているのだ。
特に辛そうなのはこの人。

「お〜い、レイヴン。生きてるか〜?」

机に顔を伏せていて、「うん」とも「すん」とも言わない。
本当に死んでいるんじゃないかと思うくらいである。
すると、

「あっ、レイヴンはちょっと遅くまで付き合って貰ったから、そっとしておいて。」

「やれやれ。」

リーゼの言葉に「何をやったんだか」と少し思うバンであった。
ちなみにアーバインも、くたくたの状態でホームルームと授業を、
ハーマンとオコーネル、シュバルツは睨まれながら授業をしたという。
一方、ヒルツはレイヴンとリーゼを見て、何やらニヤニヤしていた。

 そんなこんなで一日の授業が終わり、部活動が始まった。

「こんな状態でやるか、普通。」

バン達を出迎えたのは、キースのこの一言だった。
その隣では高等部の連中がごろ寝。
唯一元気なのはハリーだけだった。
どうやら高等部と一緒の部室になったようである。

「しょうがないだろ。一応やらないと部費が出ないんだから。」

この学校、結構ケチなので、部活を一日休むとその分だけ部費が引かれる。
部を維持するためには、多少無理してでも部をやらなければならない。

「まぁ、トーナメントで入賞して、賞金をもらえれば何よりなんだが。」

アーバインがそう言って、イスに腰を掛ける。
すると、

「バン、いますか〜!」

ひときわ元気な声が聞こえてきた。
これは若さ故なのだろう、ルドルフである。

「どうしたんだ?というか、元気だなぁ〜。」

ビットがそんな言葉で出迎えた。
バンはというと、他のみんなと一緒に横になっていた。

「実は、今日うちのクラスに転校生が来まして・・・。」

「入部したいってか?」

アーバインが先を読んだように言った。

「じゃあ、入って貰って。」

フィーネがそう言うと、1人の男子が入ってきた。
するとその人物の顔を見たとたん、バンとフィーネが顔を見合わした。

「あれっ、さっきの・・・。」

「知ってるのか?」

バラッドの質問に、バンが頷いて答える。
そう、彼らが朝に会ったあの少年であった。

「朝はどうも。こんどこの学園に転校してきました。
僕の名前はジェミー・ヘメロスです。」

清楚な感じで挨拶をするジェミー。
そして、挨拶もそこそこに話はテストのことに、

「誰がテストするんだよ?言っとくけど、俺は嫌だぞ。」

「俺もだ。」

「私もパス。」

ほとんど全員が嫌がっている。
まあ、疲れているのだからしょうがないが。

「確か、彼ってレイノスに乗ってたわよね。」

「じゃあ、テストの相手は決まりだな。」

バンはそう言って、ある人物の方をポンと叩いた。

「頼むぜ、キース。」

「俺かい!」

思わず叫んでしまうキース。

「しょうがないだろ、唯一飛行ゾイドに乗っているんだから。」

アーバインに言われ、彼は渋々了解した。
なぜなら、彼らの目が殺気立っていたので、反論すると後が怖い。
キースはサンダーを引き連れて、自分のゾイドへと向かった。
ジェミーも同様。

「じゃあ、俺達も行くか。」

ビットの一言で全員スタンドの方へ。

 競技場の方では、着々と準備が進められていた。
すると、上空からジャッジカプセルが落ちてきた。
どうやら、体育祭からずっと審判はジャッジマンに任せているようである。

「ここから半径30km以内はゾイドバトルのバトルエリアとなります。
競技者、及びその関係者以外は立入禁止区域となります。
危険なので直ちに退去して下さい。」

ジャッジマンがいつもの文句を言っている時、

「相手はレイノスだ。抜かるんじゃないぞ。」

「キュイ。(分かってるって。)」

キース達はサンダーと自機に気を引き締めるように言っている。

「なんかドキドキするなぁ。」

ジェミーは思いっきり緊張していた。

「フィールド内、スキャン終了。
バトルフィールド、セットアップ。
キース・クリエードVSジェミー・ヘメロス、
バトルモード0992、レディー・・・ファイト!」

ゴングが鳴り、各機一斉に飛び立った。
まず仕掛けたのはキース。
パルスレーザーの掃射を浴びせる。
だが、器用に避けるジェミー。

「どうしたんだ。まだ音速になってないぞ。」

いつものように相手を挑発するキース。
だが、一向に音速飛行に入らない。

「しょうがない、ちょっと遊ぶか。」

サイクロンブレイダーはブレードをしまい、
レイノスの横を猛スピードで横切った。
その際に発生した衝撃波で機体が揺らされる。

「なるべく音速は出したくないんだけどな。
部に入るためには仕方がないか。」

ジェミーはそう言って、
ブレイダーの向かった方向に機体を向けると、思いっきり加速。
レーザーを発射した。
キースはそれを難なく避けて、相手の後ろについた。

「いい腕だな、やっと本領発揮ってところか。」

「まあな。」

ジェミーの返答に、妙な違和感を感じるキース。

(なんか、口調が変わったような・・・。)

「おい、ジェミー。」

とりあえず呼びかけてみる。
すると、

「ジェミーと呼ばれては困るな。俺は『天空の荒鷲』だ!」

その言葉にキースはちょっとビックリ。

「確か・・・あいつの一人称って・・・『僕』だったよな。
完全に性格が変わってるし・・・。」

その時、キースは一瞬の隙をつかれて後ろをとられてしまう。

「しまった!」

「行くぜ!」

ジェミーはまたレーザーを撃った。
だが、キースも『空の覇者』と呼ばれた男。
そう簡単にやられるわけには行かなかった。

「そろそろ本気を出すぜ、サンダー。」

「キュイ。(O.K.)」

ブレイダーは急下降してレーザをかわす。
そのまま地面すれすれの低空飛行へ。
レイノスもその後に続く。
だが、彼らは気付いていなかった。
バン達がいるスタンドの近くを通り過ぎたことに・・・。
その時マッハ3という凄まじい速度で通過したので、当然・・・。

「うわあぁぁーーー!」

衝撃波で吹っ飛ばされそうになる観戦者。
その時、ビットとハリーの目に飛び込んできたものは、

「あっ、白。」

「ラッキー!」

リノンのスカートの中。
当然2人は仲良くお仕置きを受けたとさ。(合掌・−人−)
そして他の人達は巻き上げられた砂を思いっきりかぶった。

『あいつら〜!』

その場の全員が埃まみれになりながらも、殺気立っていた。

 その頃、2人は遙か上空でバトルしていた。

「いっけぇーー!」

レイノスはブレードをかわし、

「喰らえ!」

サイクロンブレイダーはレーザーをかわす。
そんなやりとりがずっと続いていた。

「おい、荒鷲。そろそろ決めようぜ!」

「ふっ、望むところだ。」

2機は反転し、互いの方向に向かってきた。
すると、レイノスのレーザーがブレイダーの腹部に当たった。

「ちっ、負けてたまるかー!」

キースの呼びかけに答えるかのように、
ブレイダーは渾身の力でレイノスに向かって突っ込んだ。
勝利を確信して油断していたのだろう。
レイノスは避けられずに足を切り裂かれ、そのまま落っこちていった。
だが、ブレイダーも力尽き、そのまま墜落。

「バトルオールオーバー、バトルオールオーバー。
両者相打ち、この試合は引き分け!」

ジャッジマンが試合終了を告げた。
2機はそのまま不時着。
2人共怪我は無かったが、気絶していた。

 

「結局、どっちが勝ったんだ?」

キースが部室のベッドで目を覚ました。
それとほぼ同時にジェミーも起きる。

「引き分けだとよ。
まあ、あれだけ良い試合をしたんだし、入部はO.K.かな。」

「本当ですか?」

バンの言葉に喜ぶジェミー。

「でも、お前完全に性格変わってたぞ。」

キースが試合中のジェミーの状態を思い出して言う。

「ええ、音速を超えると、ああなっちゃうみたいなんです。
僕自身は覚えてないけど・・・。」

「ははははは・・・。」

その言葉にただ笑うしかないキース。
そしてバンに「試合以外の時に絶対音速を出させるな」と耳打ちした。
すると、彼はあることに気付く。

「そういえば、なんでこいつら寝てるんだ?」

キースの横でビットとハリーが横になっていた。
しかも、メッタメタの状態で。

「教えてあげましょうか?」

妙に殺気のこもった声ナオミの声を聞いて、
2人は顔を青ざめながら振り向くと・・・、

「お前らのせいで、俺達は大変な目にあったんだぞ。」

「この落とし前はどう付けてくれるんだい?」

先程の観戦者がすごい形相で2人を睨んでいた。

「ジェミー、こういう時の対処法を教えといてやるよ。」

「な、なんですか?」

「逃げることだ!」

そう言って部屋の窓から逃げ出すキースとジェミー。

「待てーーーー!」

その後を追う約7名。
部屋に残ったバンとフィーネ、ルドルフとメリーアンは呆れた顔でそれを見ていた。
そして、ジェミーがキースを憧れるようになったのは、この時からだという。
果たして、2人の運命やいかに・・・。

続く・・・?

「んな訳ないだろう!」  byキース

その後、ビット達と同じ目にあった2人であった。


なんかすごい終わり方・・・。
あたらしく加わったジェミーにご期待を。
それと、余り年齢のことは聞かないで・・・。
設定はあくまで適当ですから・・・(荷電粒子砲)
そう言えば、荒鷲状態のジェミーって声がレイヴンになってましたね。
だから操縦がうまいのかな。(笑)
では、これで。

 

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