「バトルモード0999」
本日は土曜日、
ゾイドバトル部の面々は他校との練習試合のため、
待ち合わせ場所である学校へと集結していた。
だが、この場にいるのは、
「おいバン、いつになったら、他の輩は姿を現すんだ?」
「そんなの、俺が聞きたいよ。」
現部長、バンと、彼のライバル、レイヴンである。
集合時間を一向に過ぎても、
まったく来る気配がない部員達に少々苛立っている。
彼らの彼女達、フィーネとリーゼはオーガノイド達とホエールキングの準備中。
「だから、彼女じゃない!」
「いい加減、認めろよ〜。」
そうだ、そうだ。
そんな事を言っているうちにアーバイン到着。
「何、朝っぱらから作者ともめてんだよ。」
「アーバイン、遅いぞ!」
「起きたら集合時間5分前でな。
相棒で最高速を出しても間に合わなかった。」
最高速の負荷で早くもフラフラのアーバイン。
大丈夫か、と一瞬不安が過ぎった2人であった。
お次はトーマ。
「いや〜、待たせてスマン。」
「トーマ、お前学級委員だろうが。遅刻してくるなよ!」
「ビークの調子が悪くてな。修理に少々手間取ってしまって・・・。」
「コンピューターに頼っているからそういうことになるんだよ。」
レイヴンの皮肉めいた言葉に苛立ちながらも、
本当の事なのでただ黙っているしかないトーマだった。
その次はビットとバラッド、ナオミ。
「先輩〜、一体何時だと思ってるんですか?」
「悪い、悪い、ライガーがだだをこねてな。
宥めるのに手間取っちゃって・・・。」
「俺はパーツをチューンナップしてて・・・。」
「ライフルの標準がちょっと甘くって・・・。」
殆ど言い訳じゃないかと思う程の3人の言い訳に、
バン達はただ呆れるばかり・・・。
次はハリーとキース、ジェミー。
「いやぁ〜、どのパーツを付けるか迷っちゃって・・・。」
「サンダーがだだをこねてな・・・。」
「ちょっと父さんに捕まってしまって・・・。」
もう言い訳を聞く気にもなれない一同。
最後にルドルフ、メリーアンとリノン、そして・・・、
「こ、校長・・・。」
15話目にして、やっと校長登場。
その正体は、
「いやぁ〜、諸君、長い間留守にして済まなかったな。」
「パパの怪我がやっと治ったのよ。」
リノンがパパという人物、そうトロス博士である。
どうやら監督として一緒に行くようだ。
「まあ、いいや。
やっと全員揃ったことだし、練習試合に行くか。」
「よし、みんな、ビッといくぜ!」
『おー!』
こう言うところだけまとめ上げるビット。
さすがは元部長である。
すると、
「みんな、今日はこれで移動する。」
トロスが指さす方向を見ると、かなり大きい乗り物が2台あった。
「この度、私が購入したホバーカーゴだ。かなり格好いいぞ。」
「また出たよ、校長の無駄遣い癖。」
「頼むからもうちょっと俺達の給料に回してくれ。」
アーバインとキースのぼやきもトロスの耳には届いていなかった。
そして、フィーネ達の働きも無駄に終わった。
早速、生徒達はゾイドをホバーカーゴに搭載し、相手の学校へと出発した。
ちなみにゾイドは高等部と中等部に分け、
部員は全員1台の方に乗った。
もう1台は自動操縦。
「ところで・・・、どこと戦うんだっけ?」
バンのボケにみんなずっこける。
「お前はそれでも部長かーーー!」
キースがハリセンで突っ込んだ。
もう、何処から出てくるという疑問を持つ者はいない。
「『BD学園』だ。うちと同じでバトル部がある。
結構強いらしく、連戦連勝だとか。」
トーマが分かりやすいように説明する。
「だが、その正体は謎に包まれている。
決してデータを明かさないんだ。」
「バトルも『他人の土俵には絶対に入らない』がモットウらしいです。」
アーバインとジェミーが更に付け加える。
だが、そんな事はお構いなしに、
「へっ、どんな相手だろうと絶対勝ってやるぜ!」
「そういうこと、俺とライガーのコンビに負けは無いぜ!」
バンとビットのお気楽発言にみんなガックリ。
フィーネだけは、バンらしい、と言って微笑んでいたが。
「おっと言い忘れていた。今回のバトルは5体5のチーム戦だそうだ。
だから、あらかじめバトルに出る者を決めなければな。」
その後、さんざん話し合った結果、
メンバーはバン、ビット、レイヴン、リノン、アーバインとなった。
やがて、BD学園に到着。
バトル場の端にホバーカーゴを止めると、
「ようこそ、Zi学園の皆さん、
私がこの学園の校長、アルタイルです。どうぞよろしく。」
向こう側の校長の顔がモニターに映し出された。
「私はZi学園の校長、トロスです。
こちらこそお招きいただいて光栄ですよ。」
「では早速、始めましょう。」
バトル場の扉が開き、
バン達のゾイドがホバーカーゴから滑るように発進した。
「バン、ジーク、ブレードライガー、発進。」
「ビット、ライガーゼロ、発進!」
「レイヴン、シャドー、ジェノブレイカー、発進する。」
「リノン、ガンスナイパー、発進。」
「アーバイン、ライトニングサイクス、発進する。」
ゾイドが展開を完了する。
「では、うちのゾイドを紹介しましょう。」
向こう側の扉が開き、相手が姿を現す。
「あれは、・・・エレファンダー!!」
ゾウ型ゾイド、エレファンダー、
その機体は攻撃力、防御力を完璧に備えており、
パワーもとてつもない。
噂ではゴジュラス以上だとも言われている。
「俺はBD学園ゾイドバトル部部長のサンダースだ。」
「俺はZi学園バトル部の部長、バン・フライハイトだ。」
「同じく、高等部部長のビット・クラウド。」
通信で挨拶を交わす3人。
すると、空から黒いジャッジカプセルが振ってきた。
中に入っているのは、ダークジャッジマン。
「バトルフィールド、セットアップ!
チームZi学園VSチームBD学園!」
ダークジャッジマンがいかにも凶悪そうにそう言う。
その口調は普通のジャッジマンよりも、遙かに生意気である。
「おいおい、エレファンダー1体だけかよ。」
「おちょくってんのか!」
バンとアーバインが罵声を浴びせると、
「ふふふふ、他のゾイドはもう展開していますよ。」
アルダイルが低い笑い声を出しながらそう言う。
「バトルモード0999!レディー・・・ファイト!」
ゴングが鳴った瞬間、何処からともなく砲撃が開始された。
この砲撃はエレファンダーのものではないのは明らかである。
「おい、どうなってるんだ!」
「あいつら、ヘルキャットの光学迷彩を使ってやがる!」
ビットの持ち前の勘で機種を特定する。
とりあえず走り出す、ブレードライガー、ライガーゼロ、ライトニングサイクス。
ジェノブレイカーはシールドを張って、ガンスナイパーは何とか逃げ回っている。
「おい、反則じゃないのか?」
キースがジャッジマンに抗議をするが、
「0999はノンルール、勝つか負けるかそれだけのルールだ!」
「あいつら、反則で連勝してやがったのか。」
「なんて連中だ!」
キースとバラッドに怒りがこみ上げていた。
すると、トーマが、
「みんな、聞こえるか?いまからヘルキャットの足音のデータを送る。
それで探すんだ。」
「レイヴン、君はエレファンダーを倒して。」
『了解!』
トーマとリーゼがそれぞれ指示を送り、みんながそれに答える。
「データ受信。」
「これでやれるぜ!」
「よし、いくぞ。」
アーバインのかけ声と共にヘルキャットに向かっていく3体。
リノンは援護射撃に廻っている。
と言っても、バン達に当たりそうになっているが。
レイヴンは指示通り、エレファンダーと対峙。
ジェノブレイカーもパワーこそ劣るものの、
スピードと火力の大きさでは上回っている。
勝ち目があるように見えたが、
「レイヴン、ジャンプして。」
フィーネのアドバイスでジェノブレイカーがジャンプすると、
魚型のゾイドが地面から飛び出してきた。
「ウオディックだと!」
「ウオディックが2匹、ジェノブレイカーを囲んでる。
気を付けて、レイヴン。」
リーゼが必死にアドバイスを送っている時、
「ウオディックを地面型にするとは、やるなぁ。」
と感心している校長。
すかさずキースのハリセンが飛んだ。
「ウォリャーーー!」
ブレードでヘルキャットを切り裂くバン。
その後にサイクスが砲撃。ヘルキャットが1体倒れた。
「うりゃ、うりゃ、うりゃ、うりゃーーー!」
リノンのがさつな砲撃でもう1体撃破。
そのついでにウオディックも1体仕留めた。
「こっちは片付いた。レイヴンの援護に廻る。」
ブレードライガーとサイクスがジェノブレイカーの方に向かう。
「アルダイル校長、このままでは・・・。」
アルダイルの背後にいた人物が話しかけた。
「分かっている、ストラ君。こうなったら、もう手段は選ばん!」
彼は通信機を手に取ると、
「ピアス、お前達も発進だ。」
「了解!」
その頃、ビットは、
「博士、イエーガーの換装準備を頼む!」
「分かった!」
一旦ホバーカーゴに戻り、イエーガーへ換装をしようとしていた。
すると、
「ビットさん、飛行ゾイドが接近中です!注意して下さい!」
「なんだって!」
ビッドが上を見ると、ザバットの大群が爆撃弾を投下してきた。
「もう、何でもアリになってきたな。」
キースがそう呟くと、
「ジェミー、俺達も飛行ゾイドで出るぞ!
ビットを援護するんだ!」
「分かりました!」
「みんな、後方支援、頼んだぜ!」
「キュイイ〜。(頼んだよ!)」
そう言って、キース、サンダー、ジェミーが走って、
自分たちのゾイドに向かった。
一方、レイヴン達はウオディックとザバットに大苦戦。
「まだいたのか、あの魚野郎!」
「何匹出して来るつもりだ、あいつら!」
全員が地面に向かって武器を打ち込むが、
相手の動きが素早いため、なかなか当たらない。
「キース、サンダー、サイクロンブレイダー、発進する。」
「ジェミー、レイノス、発進します。」
2機の飛行ゾイドがホバーカーゴから発進。
ザバットの群に突っ込んで行く。
「俺達はビットを援護する。ジェミーはバン達を。」
「あの〜、先生。なるべく音速は出したくないんですけど。」
「あのな〜、わがまま言っている状況か?」
情けない声で通信を送ってくるジェミーに活を入れるキース。
だが、
「勘弁して下さい〜!」
「だったら、無理にでも出させてやるよ。」
「へっ?」
キースが何かのスイッチを押すと、突然レイノスのブースターが点火した。
「何なんですか、これは〜!」
「遠隔操作で音速が出るようにしておいたんだよ。」
「そんな〜!」
ジェミーの叫びも虚しく、レイノスは音速を超えた。
すると、
「待たせたな!」
荒鷲登場。
「待たせ過ぎだぜ。いっちょ盛大にやってくれよ!」
「任せてもらおう。」
レイノスがバン達に向かったのを確認すると、
ブレイダーもザバットをどんどん切り落としていく。
「ビット、今のうち換装を。」
「O.K.!サンキューな。」
礼を言うとビットはライガーをホバーカーゴ内に入れる。
「ライガーゼロ、セッティングデッキに固定!」
ロボットアームがライガーの白いアーマーを取り外していく。
「ライガー、インストレーション・システム・コール、イエーガー!」
パーツを収納したボックスが廻って、
今度は青いアーマーを取り付け始める。
「ライガーゼロ・イエーガー、C.A.S.コンプリーテッド!」
「ゴー!イエーガー!!」
ホバーカーゴから颯爽と発進するイエーガー!
さっきより速いスピードでバン達の所に向かう。
「喰らえ!」
ジェノブレイカーが荷電粒子砲を発射。
地面を抉って、ウオディックの体を露出させる。
チャンスとばかりにそこに打ち込むリノン。
またまた1体撃破。
すると、もう1体がガンスナイパー目掛けて突っ込んできたが、
間一髪でゼロイエーガーの必殺技、ストライクレーザークローが炸裂。
ウオディックはこれで最後だった。
ザバットもキースとジェミー・・・じゃなくて、荒鷲の活躍でピアスを残すだけとなった。
「これで最後だ、お嬢ちゃん。」
「お嬢ちゃんって呼ぶな!」
ピアスの叫びも聞かずレーザを発射、ザバットは墜落した。
「上も片付いたし、残るはあんただけだぜ。」
「くっ!」
エレファンダーに迫る5体。
そして、リノンが先陣を切って砲撃を開始した。
無数のミサイルと弾丸がエレファンダーに当たったと思われたが、
「E.シールド!」
「このエレファンダーのハイパーエネルギーシールドを破れるかな。」
自慢げに言うサンダース。
すると、バンがあることを思いついた。
「レイヴン、アーバイン、荷電粒子砲とパルスレーザーでシールドを破るぞ!」
「分かったぜ!」
「ふん、言われるまでもない。」
ジェノブレイカーが荷電粒子砲の発射態勢にはいる。
それと同時にブレードライガーとライトニングサイクスもレーザーを向ける。
「先輩、後は任せましたよ。」
「任せておけ。」
ゼロイエーガーも準備が完了。
そして、荷電粒子砲とパルスレーザーを発射。
おまけにリノンも、
「ウィーゼルユニット・フルバースト!」
さっきと同じぐらいの弾を発射。
これが功を奏したのか、シールドを破った。
「いくぜ、ライガー!」
ゼロイエーガーがエレファンダーに向かって走り出す。
「なめるな!」
ストライクアイアンクローで迎え撃とうとするが、
サイクロンブレイダーが衝撃波を起こしてそれを阻止する。
「いっけぇ、ストライクレーザークロー!」
ライガーの光った爪の先が、エレファンダーの前足を捕らえる。
エレファンダーはそのまま崩れ落ちた。
「よっしゃーーー!勝ったぜ!」
ライガーも勝利の雄叫び。
「さてと、勝者のコールを願おうか。」
悔しがっているダークジャッジマンに荷電粒子砲を向けるレイヴン。
渋々コールをあげる。
「ウィナー、チームZi学園!ガッテム、ガッテーーーム!」
「くっ、まさか、我々が負けるとは。」
アルダイルが悔しがっていると、
「気にすることはない。」
その場にいる2人とはまったく別の声が部屋に響いた。
「プロイツェン理事長!」
アルダイルが通信機に向かって話しかける。
「彼らとはまた戦う日が来る。
楽しみに待つがよい。」
「プロイツェン理事長、今度は私にやらせて下さい。
久々にゾイドで戦ってみたくなりました。」
「ふふふ、良いだろう。期待しているぞ、ストラ。」
「君達の勝ちだ、賞金はそちらの口座に振り込んでおく。
また我々の挑戦を受けてもらおう。」
ストラからの通信をホバーカーゴ内で聞く生徒達。
その表情は喜びに満ちていた。
バン「やったぜ、賞金ゲット!」
ビット「これでいろいろと設備が増えるな。」
トロス「いやいや、新しいゾイドを購入するのだ!」
キース「頼むから俺達の給料を増やしてくれ。」
アーバイン「そうだ、そうだ。」
リノン「まあ、いいじゃない。あとでみんなで分ければ。」
リーゼ「そうそう。」
バラッド「配当が楽しみだ。」
レイヴン「やれやれ。」
みんなが浮かれていると、
「あの〜、皆さん。盛り上がっているところ、悪いんですけど・・・。」
ジェミーが話を中断させる。
なんだか申し訳なさそうに。
「どうしたんだ?」
「実は、ゾイドの修理費や弾薬を補給したりすると、
『すると・・・。』
何故か彼の後を復唱する一同。
「賞金の半分は・・・。」
『半分は・・・。』
「無くなります。」
『・・・ええぇ〜!』
全員顔を真っ青にして叫ぶ。
「下手したら、もっとかかります。」
その言葉でもっと落ち込む生徒達。
「当分はホバーカーゴの借金を返せないね。」
『頼むから、もう無駄遣いしないでくれ〜〜!』
全員の叫び声が帰り道に響いた。
相当長くなりましたね。
結局、この回はライガーゼロの換装を書きたかっただけですが・・・。(爆)
途中で接続切れた人、ごめんなさい!
やっぱり2ページにした方がよかったかなぁ〜。
でも、Zi学園は1ページで通したかったので・・・。
次回は・・・ちょっと考え中。
では。