「地獄の期末試験」

 

     試験1日前、PM7:00

バン達は期末試験に備え、ビット達の宿舎で勉強会。
とは言ったものの、本当はマリアがテストの問題を作るため、人払いをされただけだが。

「先輩、ここはどう解くんですか?」

「えっと、これは・・・、ここを・・・。」

バンがビットに教えを説いてもらっている。
いくら彼が成績が悪くても、中学生の問題ぐらいは分かる。

「レイヴン、ここはどうやるの?」

「やれやれ、こっちの勉強は捗らないな。」

愚痴を言いつつ、リーゼの出した問題を解く彼。
ちなみに彼は成績がいい方。
でも、それは得意教科に限ったこと。
苦手なものは全然ダメである。

「トーマさん、この問題教えてくれない?」

「ええ、いいですよ。
ここは・・・、」

トーマがローザの出した問題を解き始める。
ちなみに彼もシュバルツに人払いされた。
身内が教師というのは大変である。

「バラッド、ここの答え、見せてくれない。」

「ああ・・・、ほらよ。」

バラッドがリノンに自分のノートを見せる。
だが、それを移しているのはリノンだけでなく、ビットもだったりする。

「フィーネ、ここの答えは?」

「えっと・・・、はい。」

リーゼがフィーネに解答集を見せる。
彼女はやや呆れながらも、答えに目をやった。

といったような雰囲気がもう2時間も続いている。

 

     PM8:00

そろそろ彼等の精神力が尽き始めた頃、

「みなさ〜ん、夕食が出来ましたよ〜。
ナオミさんの部屋に来て下さい〜。」

玄関口からサンダーの威勢の良い声が聞こえてきた。
これにはみんな大喜び。
ちなみに彼女もキースに厄介払いを喰らった。
と言うより、ジークがいるのでこっちに来たのだが。

「もうお腹ペコペコだぜ。」

「ここら辺で一息入れましょう。」

リノンの一言で全員が隣にあるナオミの部屋へと移動した。
ちなみにここはバラッドの部屋。
理由は一番真ん中にあるから。

 

 ナオミの部屋ではオーガノイズが食卓に料理を運んでいた。
当の彼女は料理を盛りつけている。

「うわ〜、うまそうだな〜。
これ、ナオミが作ったの?」

「私とスペキュラーとサンダーよ。
ジークとシャドーとアンビエントには買い物をしてもらったわ。」

ビットの質問にナオミがそう答える。
実際、オーガノイズもしっかり働いてるようだ。

「皆さ〜ん。
いっぱい食べて、勉強頑張って下さ・・・。」

『いっただっきま〜す!』

スペキュラーの声は聞こえたのだろうか?
彼女が言う前に全員料理に手を着け始めた。
まぁ、3時間も勉強詰めだったのだから無理もないが。
仕方が無く、彼女達も食事を取り始めた。

 

 その頃、唯一この場にいないアンビエントは・・・、

「アンビエント、夕食はまだか?」

「今やってますって。
もうちょっと待って下さいよ。」

フライパンを片手にエプロン姿で料理をしている彼。
ヒルツが問題にかかりっきりなので、
家事は全部彼がやっているのだ。

「はぁ〜、みんな、今頃何してるかな〜。」

ぼやきつつも、フライパンを振る手を休めないのは流石と行ったところ・・・。
一応、誘いはあったのだが、
ヒルツの許しが得られなかったので会えなく断念。
その腹いせなのか、密かに料理に使う唐辛子を増量したとか。
翌日、ヒルツが唇を腫らしてキース達に笑われたのは余談である。

 

     PM8:30

「ふぅ、食った、食った。」

「もうお腹いっぱい・・・。」

ビットとリノンが自分の分の料理を完食。
他のメンバーも殆どが食べ終わっていた。

「やれやれ、ホント、みんなって食い意地張ってるわね。」

「まぁ、料理が片付いてよかったけど。」

スペキュラーとシャドーが皿を運びながら感想をもらす。
サンダーとジークは食器を洗っていた。

「先輩、そろそろ始めましょう。」

「そうだな。」

バンの声にバラッドが答えると、全員が腰を上げる。
その時、この部屋の呼び鈴が鳴った。

「は〜い。」

ナオミがドアを開ける。
するとそこには、

「あっ、レオン兄さん!」

「みんな、元気にやってるか?」

入ってきたのはリノンの兄のレオン。
彼の登場に高等部の面々が懐かしい顔をする。
すると、

「先輩、この人は・・・?」

「ああ、みんなは初めてだったわね。
私の兄のレオンよ。」

「今は大学で教師になるための勉強をしてる。
今日は家庭教師をしてもらおうとおもってな。」

フィーネの問いにリノンとバラッドが答える。

「さて、始めるとするか。」

『はい!』

レオンの声に全員が頷き、バラッドの部屋に戻っていった。
オーガノイズはまだまだ片づけ中。
彼等は生徒ではないので、試験も何もあったもんじゃない。

 

 そして、この場にいないのがハリー。
彼は今、実家にかえって勉強をしていた。
というか、呼び戻されたと言った方が適当である。

「ハーくん、勉強の方はどう?」

「と、とりあえず順調だよ、姉さん・・・。」

お盆を持っている女性に話しかけられ、引きつった笑顔で応対する彼。
そのお盆には紅茶とケーキが乗っていた。
彼女はハリーの姉のマリー。
知っての通り、彼の家は財閥。
実は彼、会社を継ぐためにもっと勉強しろと、
厳しい姉に見られながら試験勉強をしている。
本当はみんなと一緒にやりたいのだが・・・。

「リノン、今君は何をしているのだろうか?」

「ハーくん、あの子はダメよ。」

ハリーの一言に律儀に突っ込みを入れるマリー。
そして、ハリーは夜通しで勉強する羽目となった。

 

 そして、1年生トリオは彼の自宅で勉強会。

「ルドルフ様〜、ここはどうやって解くんですの?」

「ええっと、ここはですね〜。」

彼の部屋でメリーアンに勉強を教えている。
一見、何も問題ないと思われるこの2人だったが、

「メリーアン、聞いてる?」

「あっ、済みません・・・。
ルドルフ様に見とれてました・・・。」

ジェミーの声で現実に戻る彼女。
実はさっきからこの調子で勉強は一向に進んではいない。
果たして、彼等の明日は安泰なのだろうか?

 

     PM10:30

「ふわぁ〜あ、なんだか眠くなってきたなぁ。」

バンが大きなあくびをする。
他のみんなも流石に眠そうである。
そして、寝ているのが約2名。
フィーネとリーゼである。
それぞれが彼氏の方に寄っかかって眠りについている。

(バン、羨ましいぞ〜!)

そんな状態を見て、凄く羨ましがっているのがトーマ。
だが、決して口に出さない。
何故なら・・・、

「トーマさん、ここ教えて下さい。」

「あっ、はい、ローザさん。」

そう、ローザが隣にいるのだ。
演劇の時の経験で、絶対に女性を嫉妬させてはいけない、と心に決めたため、
こうやって見ているしかないのが現状だ。
一方、レイヴン達は、

「リーゼ、起きろ。
そんなところで寝たらまた風邪ひくぞ。」

「う〜ん、むにゃ〜。」

彼が声をかけても一向に置きようとしないリーゼ。
それどころか、レイヴンの方が彼女の寝顔と寝言に顔を赤くしている始末。
だが、それを全員が見ていると知った時、彼は最終手段にでた。

「リーゼ、“あれ”を映画にされてもいいのか!」

そう言った瞬間、リーゼが目を覚ました。
そして、他のメンバーも慌てて勉強に打ち込み始めた。
彼の言う“あれ”とは・・・、
そう、キースとシュバルツが祭りの日に録ったという、全員のデート現場だ。
実は、二日前、キースが、
『単位を取れなかったら、補習のついでにこのビデオを映画にして流す』
といったため、みんなは血眼になって勉強をしているのだ。
いっそのこと、彼等を葬ろうかと考えた一同だが、
彼等がそんなに簡単にくたばる訳もないので、実行寸前で止めた。

「キースとシュバルツ、毎度毎度同じことしやがって・・・!」

ビットが愚痴をもらす。
その後、それに続けるように、

『覚えてろよーーー!!!』

と全員叫んだとか。
果たして、彼等の試験の結果は?
そして、映画は流れるのか?
結果は次回!

 


どうも〜、久々のZi学園です。
レオン兄さん、初登場!
そして、マリーさんも!
今回は試験前夜を書いてみました。
流石に試験の様子は書きにくいので。
(書いたところで面白みがない)
まぁ、いろいろな人が頑張っているので、私も頑張らないと。
さて、次回は、いよいよバトルトーナメント開幕!
サイクスが走る!ブレイダーが飛ぶ!
ライガーが切り裂く!ブレイカーが全てを燃やす!
・・・ってちょっと待て!
と、言うわけで(どういう訳だよ)、お楽しみに〜。
以上、完全に時期がずれてるZi学園でした。

 

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