訓練が終わり、基地に帰ったバン達を出迎えたのは、

「バーーーン!」

「レイヴーーーン!」

そう、フィーネとリーゼ。
ゾイド格納庫の奥から2人が走ってくる。

「バン、お疲れさま。」

「サンキュー。」

いいムードの2人にアーバインが茶化す。

「おいおい、まだ昼だぜ。」

「な、何言ってんだよ、アーバイン!」

顔を真っ赤にして怒るバン。
だが、フィーネはキョトンとしている。

「バンはなんで怒ってるのかな?」

「キュイ〜。(さ、さぁ?)」

何故かジークに問いかける。
ちょっと彼女には解りかねたようだ。
そして、レイヴンとリーゼは、

「まったく、無理するんだから。」

「少し向きになりすぎたかな。」

レイヴンにタオルを渡しながら、話しかけるリーゼ。
その傍らで、

「グルル、ゴキュ〜。(僕は疲れたよ。)」

「グォン、ゴキュ〜。(お疲れさま。)」

シャドーとスペキュラーもいいムードに。
そして、トーマは、

「さあ、とっとと司令室に行くぞ。」

爽やかにそう言って、奥へと進んでいった。
そんな彼の姿を不思議がっている一同。

「何か変だな。あいつ。」

「いつもだったら、『フィーネさ〜ん。』って言うか、
バン達を見て落ち込むかの2パターンだったんだけどな。」

バンの言葉に物真似付きで返すアーバイン。
最も、・・・似てないが。

「何かあったのかな?」

「彼女が出来たとか。」

フィーネの言動を『まさかぁ〜。』と否定する一同。

「でも、あり得ない話ではないな。」

レイヴンの言葉にショックを受けた者が約1名(?)

「あれっ、ジークは?」

「あそこで落ち込んでるわ。」

バンがフィーネの指す方向を見ると、ジークが座り込んで遠くを見ていた。

「キュイイ〜。(トーマさ〜ん!)」

何処か寂しげな声で鳴くジーク。
その周りの空気が淀んでいた。

「だいぶショックだったのね。」

「可哀想に・・・。」

「グルル。(お気の毒。)」

女性陣が哀れみの声を投げかける。
すると、

「お前は雄だろうがーーー!!」

と、バンの突っ込みがてらの蹴りが入った。
悲しそうな目でバンを見るジーク。

「グキュ〜。(だって〜)」

「分かったから、そんな目で見ないでくれ。」

さすがにバンも哀れに思ったらしい。
仕方が無いのでハーマンの所に戻る事に。

 

 彼らはトーマと廊下に入ってすぐの所で合流した。
どこかに電話していたみたいだ。
更にトーマへの疑惑が深まる。
彼に気付かれずに小声で相談する5人。

「どうする?」

「一応シュバルツ大佐に聞いてみるか。」

「そうね。今この基地にいるみたいだし。」

レイヴンとリーゼも頷く。
すると、彼らはとんでもない人物と会ってしまう。
彼らの最も会いたくない人物に。

「ほう、奇遇だな。バン・フライハイト少尉。」

「ハ、ハルフォード中佐・・・。」

そう、元バンの父親の部下で、
対ジェノブレイカー包囲網である『デルタフォーメーション』を立案した、
ハルフォード中佐である。
ちなみに皆さんはこの人物が苦手である。
そして、アーバインを見るや否や、早速彼の毒舌が炸裂した。

「軍の所有物であるライトニングサイクスにいつまで乗っているつもりだ。
ハーマンはこんな奴の何処が気に入っているんだか。」

「何だと、もう一回行ってみろ!」

「アーバイン!」/「落ち着け!」

怒り爆発のアーバインを必死に止めるバンとトーマ。

「ほう、あの悪魔がガーディアンフォースか。世も末になった者だな。
本当にあいつは何を考えているのか。
犯罪者を軍にのさばらせているとは。」

「何だと!」

今度はレイヴンが食ってかかる。
こっちはリーゼとオーガノイド達が止める。

「ハルフォード中佐、言い過ぎです。2人に謝って下さい!」

フィーネが大声をあげて言う。
だが、本人は知らん顔でこんな事を言う始末。

「そうだ、フィーネ君、それに・・・リーゼといったかな。
私の下で働くのだったら、考えてやってもいいが。」

彼の専門は遺跡の探索。
古代ゾイド人である2人を手伝いに付ければ、
石版などの解明は飛躍的に進む。
そう考えたのだろう。

「そんなの・・・お断りです!」

「僕も嫌だね。レイヴンと離れるだなんて・・・。」

廊下でしばらく言い合っていると、

「何してんだよ、セ・ク・ハ・ラ中佐殿。」

ハルフォードが振り返ると、そこにはキースとサンダーが立っていた。

「久しぶりと言っておこうか。クリエード中佐。
しかし、『セクハラ中佐』とはどういうことだ。」

「ありのままを言っただけだよ。
彼氏持ちの可愛い女の子2人をどうするつもりなんだか。」

ここでキースVSハルフォードの毒舌バトルが始まった。

「何を考えているんだ、お前は。
私はただ、遺跡の解明を手伝って貰おうと・・・。」

「まったく、何時まで経っても『出世、出世』かよ。
そんなことバッカリ言ってるから、ハーマンに先を越されるんだよ。
それと、俺が退役したときには、まだ少佐だったろ。
それが元上司に対しての口の訊き方かね。」

キースが有利のこの展開。
何時の間にやらギャラリーが。
その中にはハーマンやシュバルツ、オコーネルの姿も。

「お前のような自由奔放な奴を上司と認めた覚えはない!
だいたい、部署も違かったくせに。」

「ゴジュラス部隊を全滅させたんだってな。
その責任をとらずじまいで、よくこの基地に顔が出せたな。」

この言葉にドキッとするレイヴン。
何を隠そう、彼がその犯人なのだ。

「それは・・・フィーネ君が私の命令を無視して、勝手に・・・。」

「それとこれとは関係なかったらしいじゃないか。
どうせ犠牲者が出ても、知らん顔で通すつもりだったんだろ。
最低の上司だな、バン。」

突然振られて、バンはドギマギする。
その反応を見て、少し笑いながらキースが続ける。

「それに、アーバインにケチ付けるんだったら、
ゾイド乗りの腕でも磨いてからにするんだな。
最も、ゾイドに乗れればの話だけど。」

嫌みったらしい口調はキースの十八番である。
流石のハルフォードの言葉が出なくなってしまった。
そして、極めつけ。

「まったく、たいして人望がないのに、
そんなことばかり言ってると、いつか軍をおわれるぞ。
何だったら、再就職先を紹介してやってもいいんだぜ。
俺って結構知り合いが多いからな。
それに、自由奔放は俺の性分なんでな。」

「くっ、失礼する!」

結局ハルフォードは戦線離脱でバトル終了。
ギャラリーからは歓声が上がった。
そして、バン達は「キースを敵に回しては行けない」と心に固く誓ったとか。

 

 その頃、惑星Ziのとある場所で・・・。

「リリス、お前にプレゼントをやるよ。」

研究所並の施設が並んでいる所にカリスとアンビエント、
そしてその向かいにリリスとワイバードが立っていた。

「何かしら。楽しみだわ。」

「とても良い物だ。」

カリスが自分の後ろにあるスイッチを押す。
すると、リリスの丁度右隣にある扉が開いた。

「これは・・・。」

彼女はその中にある物に驚き、一瞬声を失った。

「これは・・・、ジェノザウラー!」

彼女の目の前には、黒と赤のパーツのジェノザウラーがあった。

「例の所にあった亡骸のゾイド因子を培養したのさ。
これをお前にやるよ。今度の任務はこれでやりやすくなるはずだ。」

「わかったわ、『あの方』に、ご期待を、と言っておいて。
これであいつらを・・・、ふふふふ。」

リリスの笑い声に反応するかのように、
黒き魔獣の赤い目が光る。

続く


やっと書き上げた〜。
今回の見所は・・・やっぱり、キースとハルフォードの口喧嘩でしょう。(笑)
そして、トーマに何が起こったのか。
次回・・・に書けるかな。(爆)
まあ、ご期待を。
ちなみに私はハルフォードが大っ嫌いです。
あの嫌味オヤジ本当にどうしたんでしょうかねぇ〜。
では。

 

前に戻る        第三部TOPに戻る        ZOIDS TOPに戻る