「こちらキース。サイクロンブレイダー、発進準備完了!」

キースがモニタールームに状況を報告。

「ハーマンだ。
バン達のゾイドも展開が完了している。
軽くもんでやってくれ。」

軽い口調でいうハーマンに、彼は笑みで返す。

「O.K.・・・サンダー!」

サンダーが光の塊となって銀色の翼竜に合体する。
そして、カタパルトが迫り上がってきた。

「さあてと、朝の借りはキッチリ返すぜ、レイヴン。」

「キュイ。(やれやれ。)」

そんなことを漏らしながらポキポキと指を鳴らすキース。
どうやら、彼は結構根に持つ性格らしい。
そんな彼にサンダーも呆れた様子で鳴き声を漏らす。
そうこうしているうちにジェットエンジンに火がついた。

「サイクロンブレイダー、発進!」

キースが操縦桿を前に倒すと、
サイクロンブレイダーがカタパルトを滑るようにして発進した。
颯爽と出撃するその姿に少し歓声が上がる。

「サイクロンブレイダー、初速度、およそマッハ1。
どんどん加速中。機体に異常はありません。」

フィーネが計器を見ながら、状況をハーマンに伝える。
うむ、と頷き、彼は通信機を手にした。

「こちらハーマン。
バン、レイヴン、アーバイン、トーマに伝達
キースがそっちに向かった。
後30秒ほどすればレーダーで確認できるはずだ。」

「こちら、トーマ・リヒャルト・シュバルツ大尉。
了解しました。
レーダーで確認次第、演習に入ります。」

「腕が鳴るな、ジーク。」

バンの呼びかけに、ジークは短い鳴き声で返す。
すると、

「目標確認。
みんな、いくぞ!」

『おう!』

各機一斉に走り出す。
まずはトーマの一撃。

「ビーク、標準セット。
メガロマックス、ファイヤー!」

ディバイソンの必殺技、メガロマックスをいきなりぶっ放すトーマ。
だが、サイクロンブレイダーはアクロバット飛行で見事にかわす。

「じゃあ、手始めにこいつはどうだ。」

ブレイダーは低空飛行の状態で、翼の下のホーミングミサイルを発射。
ミサイルは真っ直ぐライガー達に向かう。

「撃て、撃て、撃ちまくれ!」

アーバインのかけ声で全員が遠距離武器を発射し、ミサイルを落とす。
だが、それは囮だった。

「本命はこっちだ。」

爆煙に紛れてブレイダーは急上昇。
そして、ディバイソン目掛けて急降下してきた。
トーマは慌てて17連砲を打つが、シールドに弾かれてしまう。
そのままディバイソンの横を通り過ぎて、衝撃波を発生させる。
それによってバランスを崩し、完全に横倒しになってしまった。

「こちらトーマ、コンバットシステムがフリーズ。
戦線離脱する。」

トーマはかなり悔しそうな感じで、バンに通信を送った。

「了解、ゆっくり休んでくれ。」

「まったく、不甲斐ない奴だ。」

レイヴンは悪態つきながらも、標準をブレイダーに合わせる。
ジェノブレイカーの足に付いているキャノン砲を撃つが、
これもシールドに弾かれてしまう。

「シールドのエネルギーもだいぶ減ってきたな。
そろそろ決めるか。」

ブレイダーのコックピットで画面を見ながらそう言うキース。
画面にはエネルギーの残量が映し出されていた。

「いくぜ!」

ブレードを展開しながら、低空飛行で今度はライトニングサイクスに迫る。
だが、持ち前の運動性能を駆使して、ジャンプでかわす。

「今度はこっちだぜ。」

着地と同時にパルスレーザーを打ち込むアーバイン。
キースも慌てて避けるが、翼が砂に取られてしまいバランスを崩す。
翼を畳んだ状態で砂の上を跳ねながら進むブレイダー。

「ヤベえ、早く体勢を立て直さねえと。」

背中のブースターを点火させて、上空に逃れようとするが、
キースは気付いていなかった。
ブレイダーの前に立ちふさがる者に。

「喰らえ!最大出力の荷電粒子砲だ!」

ジェノブレイカーが口を開けて待っていた。
流石に荷電粒子砲を喰らったら一溜まりもない。

「サンダー、エネルギー全開でシールドを張るぞ。」

「キュイ。(O.K.)」

荷電粒子砲が発射され、彼の愛機を捕らえた。
咄嗟にシールドを張るブレイダー。
間一髪で防ぐことが出来たが、その衝撃で完全にバランスを崩してしまう。

「いっけぇ!」

ライガーのブレードがブレイダーのブレードと交わる。
2本のブレードの間では激しく火花が散っている。
互いのエネルギーがぶつかっているのだ。
そして、

バチン!

激しい音と共に弾かれるライガーとブレイダー。
普通だったら双方のエネルギーがショートして、そのまま衝突するのだが、
互いにオーガノイドを乗せている為、
膨大なエネルギーが一気に発散したのだ。
ライガーは一度バウンドしてから横倒しに、
ブレイダーはそのまま背中から墜落した。
最も、かなりの低空だったため、キースが受けた衝撃は少ないが。

『こちらキース。
おい、ハーマン!
これの何処が演習なんだ?
思いっきり実戦じゃねえか!
危なく死ぬところだったぞ!』

コックピット内で怒鳴り散らすキースをモニターで見ながら、
ハーマンは少し苦笑い。

「文句があるんだったら、荷電粒子砲をぶっ放したレイヴンに言え。
俺は知らん。」

「俺に言うな。
ブレードで斬りつけようとしたバンに言え!」

「俺はちゃんとブレードを狙って・・・。」

「どうでもいいからとっとと機体を起こしてくれ!
逆さまになってて気持ち悪いんだよ!」

責任の擦り付けをしている3人に業を煮やして、キースが再び叫ぶ。
背中を下にしている状態なので、さっきからコックピットが逆さになっているのだ。

「やれやれ、何やってるんだか・・・。」

アーバインがそんな4人を見て、ポツリとそう漏らしたとか・・・。

 

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