ジェノブレイカーとジェノザウラーとの戦いは激化していた。
流石に1年前イヴポリスで戦ったスリーパータイプとは違う。
パイロットが乗っていることもあったが、
オーガノイド・ワイバードの影響で運動性能が格段に上がっているのだ。

「くらいなさい!」

ジェノザウラーが荷電粒子砲を使った。
だが、ジェノブレイカーも防御力は上回っている。
すかさずE.シールドを展開し、これを防いだ。
そして、両足のキャノン砲を撃つ。
しかし、ブーストジャンプで避けられてしまった。

「なかなかやるな。」

「あなたもね。
けど、そろそろシャドーが限界なんじゃないの。」

実は先程、少しでも反応速度を上げるためにシャドーを合体させたのだ。
そして、それからもう2分が経過していた。
だが、彼はまだ余裕の表情。

「いいことを教えてやるよ。
俺がジェノブレイカーを完全に乗りこなすことによって、
シャドーへ掛かる負担が極端に減らすことができた。
戦闘可能時間も10分間に延びた。」

「へぇ〜、そうなの。
でも、後10分も戦ってられないわね。」

そう言ってリリスは時計をチラリと見る。

「あと、8分で爆発するわよ。」

 

 一方、アーバインは最後の一体を仕留めたところだった。

「ふぅ〜。やったな、相棒。」

ライトニングサイクスが高々と雄叫びを上げる。

「さてと、どうするかだな。
バン達のところに行っても足手まといになるだけだしな。」

彼がいろいろと考えていると、
突然、彼の愛機の周りに爆発が起こった。

「何だってんだ、いったい?」

アーバインがレーダーを見ると、ヘルディガンナーが30機ほど近付きつつあった。

「まだいるのかよ、しょうがねぇな。
まだまだ暴れるぜ!」

そう言って彼はパルスレーザーを撃ちながら部隊に突っ込んでいった。

 

 一方、トーマはブリッジで爆弾の解体中。
作業も順調に進み、もう少しで終わるところだったが、

「赤と青、どちらを切ればいいんだ?」

残っているコードは2本、そのうち1本はブービートラップで切れば爆発してしまう。
今、彼に二者択一の問題がのし掛かっていた。

(ここでドジれば陛下の命は無し、もちろん俺も。
折角、恋人が出来たって言うのにな。
残り時間も後わずか、覚悟を決めるしかないな。)

心の中でいろいろと思考を巡らし、ペンチを手にした。
この時、彼の頭の中には今までの思い出が走馬燈のように回っていたという。

(バン(フィーネ)と出会い、リーゼに操られた兄さんとも戦ったし、
レイヴンの荷電粒子砲で大怪我をして入院、
その後もろくな事がなかったな。
でも、そのおかげで彼女と会えたんだよな。
ちょっと強気だけど、優しくって気立てがよくって・・・。
それに、バンがヒルツとデスザウラーを倒した現場に、
居合わせたのはラッキーだったな。
ヒルツ・・・アンビエント・・・もしかして!)

その時、彼の頭にある考えが浮かんだ。
そして、ペンチを持つ手に力を入れると、

「と、止まったーーー!!!」

タイマーの表示は残り時間30秒で止まった。
その瞬間、彼はその場に倒れ込んだ。
おそらく緊張の糸が切れた為であろう。
すると、

「はは、ははははは、やっぱり、『赤』だったか。」

その後しばらくは笑いが止まらずにいたという。

 

「あらあら、どうやら失敗しちゃったみたいね。」

リリスがカリスからの通信を聞き、そう呟いた。
そして、フットロックでジェノザウラーの足を固定した。

「レイヴン、あなたには後日改めてお話しさせてもらうわ。」

そう言って、荷電粒子砲を発射。
むろんレイヴンはシールドで防御したが、

「ちっ、逃げられたか。」

巻き上げられた土砂に紛れて、ジェノザウラーは姿を消した。

 

 この後、ルドルフは無事にニューヘリックシティに到着したが、
騒ぎで疲れてしまった為、視察は後日に延期となった。

 

 そして、バン達は基地に戻っていた。

「あ〜、疲れた。
さすがにレブラプターが40機に
ヘルディガンナーが30機相手だと骨が折れるぜ。」

アーバインが背筋を伸ばしながらそう言う。

「あのな〜、ヘルディガンナー30機は俺が倒したんだろ。」

呆れながらそう言うのはバン。
実はトーマから爆弾を解除したという知らせを受けた後、
すぐさま彼はアーバインの援護に行き、ヘルディガンナーを全部倒したのだ。

「ふふ、バン、お疲れさま〜。」

そう言ってバンにコーヒーを差し出すフィーネ。
その隣でリーゼもレイヴンにコーヒーを入れていた。

「レイヴンもお疲れさま。」

「お前もな。」

無表情でコーヒーをすする彼。
リーゼは彼の言葉に微笑んだ。

「なぁ、トーマ。彼女出来たって本当か?」

キースが突然そんな事を言うので、トーマはコーヒーを吹き出しそうになった。

「な、なな、何を、急に。」

完全に動揺しまくりの彼にキースが追い打ち。

「いやなに、さっきシュバルツに聞いたもんだからよ。」

「ううう、兄さん、恨みますよ〜。」

そして、その後たっぷり恋人について聞き出されてしまったトーマであった。
ちなみに彼の恋人は、
ケルベロス事件で入院したときに出会ったあの看護婦さんである。


よ、4ページになるなんて、思っても見ませんでした。
久々の第3部で張り切りすぎましたかねぇ。
一回トーマメインでやってみたかったのですが、いかがでしたか?
最近オーガノイドが喋っていないし・・・、いろいろと反省点が多いです。
では。

 

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