「過剰な巡り合わせ」
〜疑念の笑う夜〜

 

ある砂漠の地下遺跡……
とは言っても、残っているかどうか怪しいものなのだが。
そこにはジープやグスタフがあり、調査隊のテントがいくつも張られていた。
そして到着したばかりの赤いレドラーもその中にいた。

ドサッ!

「……え?」

パイロットのラウトはテントの中にいたわけだが……
今はいきなり渡された紙の束+αを目の前にして固まっている。
背後ではエクサが不思議そうにラウトを見、前ではドクターディが悪戯っぽく笑っていた。

「どうせお前さん、あの青い剣のことで来たんじゃろう?」

ラウトは沈黙し、そして溜め息をつく。
どうやらドクターディは断りに来たのを見通しているらしい。
敵わないなと思い、ラウトは降参したように返事をした。

「…………お分かりでしたか。」

「ふむ。ムンベイから聞いておったからのう。」

『キュイ?』

エクサはラウトが持っているCDを覗き込んでいる。
虹色に反射して見えるので気になるようだ。
そんなエクサを置いて、どんどんと話は進行していく。

「という訳で、お前さんには帝都にある研究所にいってもらおうかのう。
ちょうどいい機会じゃ、専門の人間と話をするのも悪くないじゃろう?」

「はぁ…」

ラウトはドクターディの言葉にややはっきりとしない返事をする。
この書類やCDを渡せばいいだけだし……
そう見積もって請け負う事にしたラウトだったが、何故か釈然としない気持ちを抱えていた。

「(何なんだ…何か、変なモヤモヤした感じの気分……)」

予感……それは彼自身のカンが訴えてくる警告だった。

 

ラウトがそんな目に遭っているかいないかの頃……
どこかのあまり明るくもない部屋で、誰かが誰かを呼び出していた。
呼び出された方は不思議そうな、少し怪訝そうな声で言った。

「あいつを?
確かにGFだけど、オーガノイド持ちじゃないじゃない。」

緑色の髪の少女──リリスだった。
いつものように、傍らにはワイバードが控えている。
呼び出した彼女の上司が言った。

「代わりにAIを持っている。
第一、我々の計画の邪魔になる人物である事に変わりはない。」

銀髪の24歳前後の青年、カリス・サノバンだった。
彼の隣にはアンビエントがいる。

「それで、わざわざ私が出向く必要があるの?」

文句を言われた少女は、冷ややかな口調でそう返した。
この二人にとってはいつも通りのやりとりだ。

「先方が『別れの挨拶をするのにちょうどいい人物を』と言ってきたからな。」

どうやら誰かがトーマの暗殺を依頼してきたらしい。
リリスはそう、と関心がない様子だった。

「それならさっさと済ませてくるわ。
そんな依頼を受けるくらい、計画が滞っているんでしょう?」

彼女のいつもの毒舌だ。
だがカリスはフッと笑ってその攻撃をかわした。

「計画はきわめて順調だよ。
仕事がなくて不安なようだね、リリス。」

足下を見透かしたような事を言うカリス。
だがリリスは動じた様子を見せなかった。

「いいえ、いっそせいせいしてるの。
私にだってやる事はたくさんあるもの。
ああ、でも私のジェノザウラーは不満そうだったわね。
あの子に襲われないように気を付けた方がいいわよ、カリス。」

小馬鹿にしたようにリリスはカリスに人差し指を向けた。
そして続けざまにこう言った。

「他に用はないんでしょ?
私、もう行くわ。
ワイバード!」

『グオォン!!』

呼びかけられた緑のオーガノイドが返事をする。
彼女たちはこの殺風景な部屋から出て行った。
そして残った方といえば……

『グウウゥ…』

「クククク……相変わらずというのは何よりだ。」

赤いオーガノイドが唸り、カリスが不適な笑みで笑っていたのだった。

 

石造りの頑丈そうな建物に今日の新しい光が当たっている。
ドクターディの予想(陰謀?)通り、ラウトは帝都に立っていた。

「ひ、広っ…
これじゃあ地図を覚えるのも3日以上かかりそうだな……」

いつも通りエクサを待たせ、風景に圧倒されながらも目的地を目指す。
人に道を尋ねて研究所を探すとそれは街の中心部からは外れた場所にあった。
しかし建物自体は中心部のものにも引けを取らず、ラウトの目の前で重々しそうに建っていた。

「ここか…大きい……」

見上げると帝国のエンブレムが掲げられていた。
そこはアレンのいた国立考古学研究所の帝国版と言える施設の一つだった。
ラウトは溜め息を吐きながら、入り口までの5段ほどの階段を上がった。
大きな入り口の脇にはそれぞれ衛兵が一人ずつ立っている。

「待て。
ここは一般人の立ち入りは規制されている。」

ラウトが尋ねる前に、先に衛兵がラウトを呼び止めた。
最近は古代人の事で騒動があったり、古生物学者が誘拐されるといったことがあったせいなのか、
こういった施設の警備は厳重になっているようだ。

「私はラウウァートシス・シェム・デイヴィッサーです。
ドクターディの依頼でトビアス研究員に届け……」

「部外者が入る事は絶対にまかりならん。
大体そんなデタラメな名前を使って大人を騙そうなどいい度胸だ。」

デタラメな名前と聞いて少しグサッときたラウトだった。
実は村を出てからこの長い名前が少しコンプレックスになっているとかいないとか。

「(……困った、衛兵まで連絡が回ってねぇ…)」

元々こういった場所では子どもに対しての信用が低い。
これ以上話しても進展がなさそうなので、ここを出入りする人に話しかけようと思っていた矢先だった。

「おい、そんなところで子どもが何をやっている?」

ちょうど誰かが短い階段を上がってきた。
ラウトは振り返って思わず声を上げた。

「シュバルツ大尉!」

金髪碧目、目の下に入れ墨のある青年がいた。
トーマだ。
ラウトは以前一度だけ彼に会った事があった。

「お前は、確か…」

「おはようございます、大尉。
GF本部ではいつもお世話になっております。」

トーマは上下関係に五月蝿いと聞いたことがあったので、ラウトは素早くぎこちない敬礼で挨拶をした。

「ああ、この間整備班に入ってきた洟垂れ小僧か。」

トーマの方も覚えていた。
GF本部の中ではラウトはかなり年が下なので覚えていやすかったようだ。
衛兵の二人はトーマとラウトの会話に顔を見合わせていた。
少し不審に思いながらも、一人がトーマに話しかける。

「失礼しますが、身分証名称をご提示ください。」

「ああ。」

トーマはGFのロゴが入ったカードを見せた。
とたんに二人の衛兵はトーマに向かってびしっと敬礼をする。

「失礼致しました。
ようこそ当研究所へ!」

「ご苦労だな。
しっかり守ってくれ。」

「はっ!」

トーマが入っていく後ろにラウトがついて歩いていく。
衛兵も関係者という認識をしてくれたようで、今度は止められることはなかった。
建物の中に入るとトーマがラウトに尋ねた。

「ところでお前はここに何の用だ?」

「ドクターディに頼まれて、こちらのトビアス研究員に届ける物を持ってきました。」

聞かれてラウトは布でくるんだものを少し気にした。
200枚の紙を中心とした荷物は、腕の中でしっかりとした重さがある。
トーマの表情は僅かに険しくなった。

「全く、こんな子どもにお使い気分で重要書類を渡すとは!
曲がりなりにもここは帝国の頭脳が集まる…」

「いえ、一応私にも関係ある事なのですけれども……」

オーガノイドをパートナーに持つと古代とは無縁でいられなくなる。
ラウトは典型的なその一人で、ここまで巻き込まれるのは彼にとって誤算と言ってよかった。
今度はラウトがトーマに尋ねる。

「シュバルツ大尉もお仕事でこちらに?」

「内容は秘密だが、まあそんなところだな。」

「そうですか。」

会話は素っ気なく終わった。
少なくともトーマはトビアス研究員に用がある訳ではないようだ。
程なくホールの中央に差し掛かり、ラウトは辺りを見渡した。

「えぇっと、研究室は上だから……」

「階段は右手だ。
くれぐれも研究の邪魔はするなよ。」

トーマはどうやら以前にもここに来たことがあるようだ。
彼が指差した先に、柱に隠れて階段が見えた。

「分かっています。
ではこれで。」

「ああ、じゃあな。」

ラウトは軽くお辞儀をしてトーマと別れた。
そして一度入ってきた玄関や細長い窓に目をやりはしたが、そのまますぐに階段へと向かい上り始めていった。

 

その頃のお留守番役、エクサとリムラはと言えば……

『キュイキュア!』

『………………』

赤いレドラーのリムラが水色のオーガノイドのエクサを徹底的に無視し続けていた。
人気がない場所とはいえ、ここは殆ど帝都の中と言ってよい。
ラウトに騒ぐなと厳重に警告されていたのだった。

『キュアァ!』

だからといってエクサが大人しくしていられるはずはなかったりする。
お昼寝をしている間はいいのだが、起きている間はじっとしていられない。
もともとエクサを嫌っているリムラにとっては、かなり苦しい状況だった。

『……………』

『キュイイ!』

リムラはいっそ連れて行けばよかったのにとか
こんなところにくるもんじゃないとか思っていたが、やはり相棒の言葉を無下にはできない。

『キュア!キュイイイィ!』

『………』

静かにしろと言いたいところなのだが、
その後大声で大喧嘩してしまうのはいつもの事だった。
だからここはエクサが騒ぎ疲れて寝てしまうまで待つ以外ない。

『キュイ!キュアァ!!』

『……』

頑張れリムラ、ラウトが戻ってくるのはまだ先だ……

 

トーマは1階の奥まったところにある部屋にやってきた。
その前に人影が一人あった。

「シュバルツ大尉、お待ちしておりました。」

ドアの前に立っていた警備兵が敬礼する。
入り口の衛兵と違って、こちらはトーマの顔を知っていた。

「ご苦労。」

「はっ。どうぞお入りくださいませ。」

トーマがそう言うと警備兵がドアを開けて中へ通した。
こぢんまりとした部屋にはトーマと年の近い青年がいた。

「待たせたな、コナン。」

「いや。大した事はない、トーマ。
俺が少し早く来すぎただけだ。」

親しそうな口調で笑いながら話す。
トーマと同じGFの隊員、そして親友でもあるコナン・ハーティリーだった。

「さっそくだが、状況はどうなっている?」

トーマは手前の椅子に腰掛けながらコナンに聞いた。

「連絡があったとおりだ。
元プロイツェン派を支持していた賊が明日から3日間のいつかにここを襲撃するつもりでいるらしい。
兵士は予定通り十分な数を確保できた。」

「そうか。
ところで、ここの人間はこの話を知っているのか?」

一つ相槌を打ってからトーマはそう尋ねた。
ラウトのような人間が来ているという事は、おそらく知らない人間もいるのだろう。

「教授、準教授クラスにはもう伝えたそうだ。
あとは混乱を招くおそれと、敵に情報が伝わる可能性があるから秘密にしてある。」

コナンはそう答えた。
トーマは机に肘をついて横を向き、思わず憤りと呆れを混ぜて呟いた。

「全く、上手く秘密にしたものだな。
おかげで余計なホコリまで紛れ込んできたぞ。」

「…どうかしたのか?」

コナンは何かあったのかと少し不安そうにトーマに尋ねた。
トーマははっと顔を上げて軽く首を振った。

「いや、なんでもない。
予定通りに行動しよう。」

「ああ。」

トーマはラウトが早くこの建物から去ることを願っていたのは言うまでもない。
そして二人は準備に取りかかったのだった。

 

「クシュっ!」

カンが良いせいなのか何なのか知らないが、トーマがそう思ったと同時にくしゃみをしたラウトだった。
ラウトは少し溜め息をつきはしたが、くしゃみの事は気にしないことにした。
鼻がむずがゆかったのは一瞬、だが足の裏は先程からずっとそうなっている。

「(なんか……歩き辛ぇや…)」

足下を気にしながら心の中で呟く。
一階も含め、この建物の中の主な部分には葡萄茶色の絨毯が敷き詰められている。
ラウトは絨毯の上を歩くのはこれが初めてだった。

「(これ、慣れるかな…?
フカフカしたの苦手なんだよな……)」

ラウトはそんなことを考えて床を見ながら歩いた。
ふと、人の気配と何か背筋に冷たいものを感じてラウトは顔を上げて上のフロアを見た。

「うわっ!」

「どあああああぁわわわ!!!??」

最初に目に飛び込んできたのは落ちてくる白い紙、それから人も一人落ちてきていた。
ラウトは咄嗟に動こうとしたが、絨毯は摩擦が強く、横に滑れず足を取られてしまう。
脇を通り過ぎる白い影……そうしてラウトが一瞬前にした憂慮は現実となった。

ドガンッ!
ズシャー
ザザザザザ・・・

様々な音がした後の階段では途中でラウトが包みを持って倒れていて、
下の踊り場では金髪の白衣を着た男がうつぶせに倒れていて……
そして辺り中に同じサイズの紙がばらまかれていた。

「づんだったったった…」

「…あ、あの……大丈夫、ですか?」

ラウトは自身の背中をさすりながら、腕を押さえてうずくまっている白衣の男に声を掛けた。
今回、ラウトは自分の持っているものを死守するのが精一杯だった。
意外にも白衣の男はすぐに起きあがった。

「あっとお、すまない!
少年君、……あーっと、ラウト君だったか。
初対面なのにこんなんで申し訳ないね。
実は論文の〆切が今日で今やっと研究室籠もりから解放され、そうだそうだ今から先輩に見て貰わねば!
今はもう49時間も起きていてこの通り見事にテンパっていてねえ、アッハッハッハ!
やー、やっぱり寝ないというのは体に悪いね!
ラウト君はちゃんと睡眠時間をしっかり取るようにねえ〜、アッハッハッハッハ!!!」

白衣の男は裏返り気味の声でまくし立てる。
彼がトビアス研究員なのだろうか?
その答えは案外すぐに分かった。
下の階で足音が近づいてきて、彼がそれを教えてくれた。

「トビアス準教授!?」

声をかけられた白衣の男はまたこけそうになり、暗い色調の壁紙にどしんとぶつかった。
ラウトが下の階を見下ろしてみると、そこには黒髪黒目の白衣の青年が立っていた。

「おっとっと!あー、ブルッフか。
すんごくちょうどいいところに来てくれた!」

そういうとトビアスは白衣のポケットに手を突っ込もうとしたが、
その手は白衣の上を滑るだけで思うように動いてくれない。
しかしラウトが見た限り、ブルッフはそんなことに意を介していない様子だった。

「散らかっていますよ、準教授。」

ブルッフはトビアスがあたふたしているうちに書類を広い始めた。
ラウトも慌ててブルッフに続こうとする。
そのときようやくトビアスの手はポケットに入り、何かをつかんで金属のこする音をたてた。
トビアスは重そうに鍵の束をポケットから引っぱり出すと、下の階へ投げ飛ばした。

「ブルッフ、パス。」

妙に甲高い声と共に金属の集まりが落下する。
ブルッフは驚きつつ、前のめりになって見事鍵束をキャッチした。

「え……準教授?」

「そこのラウト君を地下の資料室まで案内してくれたまえ!
ついでに君の研究資料も探せばいいということさ!!
と言うわけで引き継ぎ完了、あと頼む!」

トビアスは踊り場の紙をかき集めて腕に抱え込んだ。
ラウトも階段に散らばっていた紙を拾い集め終えて踊り場まで降りてきた。
踊り場の窓から差し込む光に目を細めつつ、トビアスに手渡す。

「どうぞ…あ、済みません。
順番をぐちゃぐちゃにしてしまって……」

「大丈夫、大丈夫、ノーンプロブレムう!
問題なしってことさ!気にしない、気にしないっ!!
では遠慮なく行って来てくれたまえ!細かいことは後で頼むよ!!」

「あ、はい……」

「え、ちょっと待ってくだ……準教授!?」

早口で喋りながらブルッフが拾った紙を強奪しつつ、白衣の男はずたずたーと階段を下りていった。
今度はこけやしなかったが、その足取りはどう見てもおかしい。
ラウトは呆気に取られて立ち尽くしたが、下の階段にいたブルッフはもの凄く慌てていた。

「(大丈夫…なのか?)」

ラウトはそう思ってしばらく立ち尽くしていたが、別段奇怪な音が聞こえてくることもなかった。
だが今度は別のもの──

「(…な!?)」

「………………!」

混乱で立ち尽くす羽目になる。
顔を上げたブルッフがこちらに鋭い眼光を向けてきた。
その目に見えるのは憎しみに似た感情。
ラウトはもの凄く悪いタイミングに来たと悟った。

「(どうも妙な事に巻き込まれたような……)」

ラウトはそう思うと逃げの一手を講じる事にした。
思い当たるのはここにいる事やあの準教授の事、あとは地下の資料庫の事ぐらいだ。
それに外に出れば時間は簡単につぶせる。

「あの…ブルッフさん、でいいのですか?
すみませんが、トビアス準教授に伝言をお願いできませんか?」

調子を抑え気味にして話す。
背筋がひんやりとしたのはこれの予感かと思いながら、怪訝そうな表情をするブルッフに近付いて話しかけ続けた。
相手が無言なので、ラウトは余計に居づらく感じた。

「今日の夕方にまたお伺いしますので、よろしく伝えておいて下さい。
お願いします。」

言い終わるとやや早足で階段を下りる。
長居する必要はないし、寄りたいと思っていた場所もある。
さらに下の階へ行こうと角を曲がったとき、低くトーンを抑えた声がかかった。

「…他に用事でもあるのか?」

「いえ、特にこれといったものはありません。
では失礼します。」

一度足を止めてブルッフの顔を見ると、先と違って今度は見上げる格好になった。
言い終えてすぐ下階への階段に足を踏み出す。
ラウトの思考はもうこの建物の中を見ていない。

「待て。」

トーンが上がり、響きは突き刺すような含みを持っていた。
ラウトは二歩目で止まり、ゆっくりと振り返る。
心の中で冷や汗を流すが顔には出さなかった。

「僕は案内するように頼まれたんだ。
暇だというなら、資料庫で昼寝でもしてたらどうだ?
ただし、いびきをたてるのは御免だがな。」

皮肉めいた口調、疫病神的な扱い、憎々しげな黒い瞳。
親切心で言っている訳ではなく、そうでなければ都合が悪いからだと分かる。

「(また振り回されてるのかな、俺は……)」

ブルッフは始め見たときとは違い、もの凄く気が立っている。
遠くにいて下手に近づけないような雰囲気だ。
ラウトは溜め息を堪えて返事をした。

「そうですか。
ではお言葉に甘えさせて頂きます。」

ラウトがそう言ったのを聞くと、ブルッフは不機嫌そうに鼻で笑い、ラウトより前を歩き出した。
ラウトはやっぱり断った方がよかったかと考えたが、無理矢理好機だと自分の頭に認識を改めさせる。
GF本部にいて古代関係を見る目がようやくできてきたが、無知な自分に対しての焦りも強く実感するようになっていた。

「(いや…不安でも冷静にならなきゃな……)」

焦りが結果に繋がらないのは経験済みだった。
独走気味な思考をどうにか押さえようとしていると、いつの間にか鼠色の冷たい場所に着いていた。
ブルッフは目の前で扉の鍵を開けている。

「(まるで書物を牢獄に閉じ込めているみてぇだな……)」

ふっとそんな感想が頭をよぎる。
何故か血の臭いを思い出し、ラウトは身震いしそうになった。

 

でもってお留守番役はと言えば……

『グウウウゥゥゥゥ……』

エクサがようやく昼寝を始めたので、リムラは低く小さめに唸り声を上げていた。
基本的に屈強な性格のリムラを参らせるのは並大抵ではいかない。

『グウウゥ…』

リムラを精神的・心理的に追いつめられるエクサは、ある意味大物なのかも知れない。
しかしそんな事とはつゆ知らず、エクサはすやすやと気持ちよさそうに丸まって、
まさに…よりにもよってあのリムラの真下で眠っているのであった。
リムラが踏みつけたいと思ったかどうかは、さてはて誰が知るやら……

 

資料庫に入ってから早云時間……
ラウトは襲ってくる眠気を振り飛ばしながら、分厚い本と面を付き合わせていた。

「(くそぅ、終わんねぇ…)」

ろうそくの炎とランタンの人工的な光だけで、部屋の中は足下がよく見えないくらいに薄暗い。
時刻は既に深夜、もうだいぶ長い事ここに缶詰め状態だった。
向かいに座っていたブルッフは疲れて机に伏せている。
数分前から寝ているようだ。

「(なんとか明日中に終わるってところだな。
それにしても数が多いな……しかも全部見た事ねぇし……)」

ラウトは速読ができるので消化するスピードは速い。
早いが……それでも今回は本の数に負け気味だ。
それでも彼の根気の良さは変わらずに持続している。

「………………(おぃおぃ……)」

不意に手を止め、しばらく目を瞑った。
ろうそくの火とランタンの明かりを消し、出入り口付近にそっと立つ。
奥から物音がし、仕掛けのある扉が動く音がする。
ラウトはひたすらじっとしていた。
足音が近付いてくる。

パーーーーーーーーーン!!!!

反響する、この辺りには馴染みのない音……
乾き、高く、闇を突き抜けて行く、黒くて小さな気配……
それは正しく弾丸が上げる声だった。

「っ、な!?」

寝ていたブルッフが跳ね起きる。
細い通路で殴り合うような音が聞こえたがすぐに止んだ。
ブルッフはすぐランタンの明るくし、通路へと飛び出した。
火薬の臭いがする。

「サイレンサーをつけてねぇ……何でだ?」

陰の中で少年が呟く声がした。
その元に人が一人倒れている。
その脇でラウトは屈んで男の顔を覗き込んでいた。
絞り込んだ瞳が周りの空気まで引き締めている。
それを見たブルッフの反応は反射的なものだった。

「何をした!?」

「何が起きたのか俺も知りてぇ。
ここの鍵は二つもあるもんなのかよ……」

黄色い目は相変わらず男を注視するだけだった。
口は冷静、声は冷淡、それ以外は氷のようだが、急に飛び散りそうな気配もある。
そのラウトの雰囲気を吹き飛ばす勢いで、ブルッフは叫び続けた。

「何を寝ぼけた事を!
この資料庫は……あ!?」

ブルッフが声を荒げると、ラウトは入り口の方を指差した。
入り口の扉は鍵がささったままで、下に下がる仕掛け扉が途中で止まっていた。

「嘘だ…」

ブルッフは慌てて自分の鍵の所在を確認する。
確かに腰についている。何もなくなったりしていない。
ラウトは混乱しているブルッフをよそに、のびた男を一人で背負い込んでいた。

「何をする気だ?」

「外に出す。
音で上が気付いたから……すみません、扉の方頼めますか?」

ハッとして砕けた口調を元に戻すラウト。
それだけ言うと、外の通路へ歩いていった。
ブルッフは怪訝そうな面持ちをしたが、
資料庫に人が隠れていないことを確認すると、仕方なしに扉を閉めに外へ出てきた。

「(何で…こんなとこ入ってくる奴がサイレンサーもつけずに……囮か?
いや、そんな効果なさそうだし……でもつけ忘れて入るような人の訳……)」

「いったい何をした?」

仕掛け扉を引っ張り出しながら、ブルッフはきつい口調でラウトに問うた。
彼の疑心は今までになく高まっている。
ラウトは男を石の床に転げ落とし、声を落として言った。

「……この人を殴り倒しただけです…………」

「はっ!そこでじっとしていろ。
いいな?」

絞り上げるような声でそう言うと、ブルッフは石段を走って上っていった。
上では外から誰かが扉を叩いているようだ。
ラウトはブルッフを見送ると、男の方に目をやった。

「信用、ないよな……さらに部外者じゃあな…………
はぁ……まぁしゃあねぇや、どうしようもねぇ……」

ラウトはそう言って溜め息をついた後、自分の暗い気持ちを尻目にまた考え事を始めた。
それでも男の意図を納得する答えは一向に出てこない。
ブルッフはすぐに人を連れて戻ってきた。
それを見て、ラウトはゆっくり立ち上がりながら呟いた。

「シュバルツ、大尉……」

「何だ、また巻き込まれに来ていたのか?」

降りてきた4人の中にトーマが混じっていた。
ブルッフは驚いてラウトを見、トーマの顔を振り仰いだ。
そのまま混乱しながらトーマに尋ねる。

「な…大尉のお知り合いですか?」

「ああ。そいつはGF本部の整備士だからな。
ま、俺のディバイソンを扱える程じゃあないがな。」

トーマのセリフでラウトに3人の視線がいく。
2人の兵士のものは気にならなかったが、
ブルッフは生まれて初めて見るようにまじまじと見てきたので、ラウトは複雑そうな表情をせざるをえなかった。

「それで、何があった?」

トーマが状況の説明を求める。
皆がトーマの方を見てホッとしたはずのラウトだったが、トーマの質問に答えたのは視線を煩っていた彼だった。

「この人が鍵を掛けてあったここに進入してきました。
場所は多分……天井の通気口からだと思います。」

「通気口!?
まさか、わざと天井を上げてあるのに!」

ブルッフは思わずそう叫んだ。
警備兵の一人が懐中電灯で天井を照らすが、僅かにしか当たらない。
しばらく光はさまよったが、何かを見つけて中央付近で止まった。

「金網が、外れている?」

「外されたんだな。」

「馬鹿な…あそこから!?」

警備兵がぽつりと呟くように言うと、トーマが若干の訂正を入れる。
ブルッフは信じられなさそうに天井の金網を見上げている。
すでに気がついていたラウトは無言だった。
トーマはさらにブルッフにもつっこみを入れる。

「連中にとっては他愛もないことだろう。」

「ちょっと待ってください、大尉。
連中とはいったい……」

動揺が収まらないブルッフが早口でトーマに聞く。
トーマは冷静に答えた。

「元プロイツェン派だな。
それ以上は言えない。」

「プロイツェン……そうか、なら知っていてもおかしくない。
連中なら……」

ブルッフはぶつぶつと呟き続けた。
表情からかなりショックを受けている事は間違いない。
ラウトは一度男の方を見下ろしてからトーマの方を振り返った。

「あの…この人、上に上げなくていいんですか?」

「気が早い!その前にやることがある。ビーク!」

『ピルルルル!』

トーマはラウトに一撃を加えるように言うと、ビークに何かを命令した。
おそらくこの通路をスキャンしているのだろう。
すぐに検索結果がトーマに伝えられる。

『ピー!』

トーマは少し顔をしかめた。
倒れた男の元に行ってポケットからものを取り出す。
細かい道具や小瓶などが出てきた。
トーマは大きめの瓶のふたを開け、中を確かめた。

「油……放火する気だったのか?」

「放火だと?馬鹿な!」

男の所持品の中にはガソリンのような液体とライターがあった。
またブルッフは声を荒げている。
彼のような研究者には大事な資料に放火するなど、とうてい理解できない考えだ。

「サイレンサーをつけなかったのは巻き込むためか……」

ラウトは一人、先ほどからずっと考えていたことにやっと答えを与えられ、一点の霞が晴れた気持ちだった。
が、すぐにほかの場所が気になりだした。

「あの、シュバルツ大尉。
ほかのところの警備は……」

「心配いらん。
すでに厳戒態勢に入っている。
それより…」

トーマはラウトとブルッフを見た。
最初から疑ってはいたが、ビークの出した結果でそれが確信になっていた。

「銃が使われたのはここではないな?」

ラウトは微かに眉を動かした。
やっぱり手順的にまずいのかなと思ったが、ブルッフが何か言い出しそうだったので口をつぐんだ。
ブルッフはラウトと違い、後ろめたい気持ちはないようだった。

「この資料室はそう軽率に人を入れられませんからね。
研究以外の目的で入るのなら、陛下の許可証を。
私の独断では開けられません。」

ブルッフは確固とした態度で答える。
落ち着かなさそうなラウトとは対照的だ。
トーマは『陛下』という単語でやや語調が落ちた。

「GFの命令でもか?」

「そうです。
もともとGFは帝国共和国両国の問題や犯罪を解決する特別捜査官であるはず。
無理に押し通るというのなら、陛下の権限を侵害したとして相当の対応をとらせていただきます。」

ブルッフはあくまでも毅然として答えた。
屁理屈で侮辱しているという訳でもない。
トーマは一度引き下がらざるをえなかった。

「仕方ない、一度引き上げるぞ。
、この男を連れて行け!」

「「はっ!」」

後ろに控えていた兵士二人が男の側に来る。
ラウトは資料庫のドア付近に下がった。
今までほぼ静止状態だった明かりが揺れ、不安そうなラウトの顔をより不安そうに浮かび上がらせた。

「人が多いせいかな、息苦しい…
すみません、ちょっと上に上がっています。」

ラウトがそう言うと、ブルッフは思ったより不快な顔をしなかった。
むしろすっきりすると思っているようにも見えた。
トーマにも断りを入れる。

「シュバルツ大尉、お先にいいですか?」

「ああ、構わん。」

トーマはそう言いながらちらりとラウトを見て、それからまた二人の兵士と男の方に注意を移す。
ラウトは資料庫の扉から離れていき、螺旋状の石の階段を2,3段飛ばしで駆け上がっていった。

 

そしてそんな頃のお留守番役……

『グウウゥゥゥ……』

リムラはいつになく苛立っていた。
それは、

『キュイ!』

真夜中にもかかわらずエクサが起きている事にもあったし
(昼寝をいっぱいすると夜寝られなくなるのは、どうやら人もオーガノイドも同じらしい)、
プチカーチス(コモスス)……リムラの回路に干渉するその超々小型ゾイドが
いつもと違う信号を送ってきたせいもあった。

『キュイキュア?』

エクサが急かしてくる。
その不必要な慌て振りをいつもリムラは窘めていた。

『グウウウゥゥゥ……』

『キュア!』

同時に指示を出してやる。
エクサはすぐさま人気のない闇に消えていった。
こういう時だけ物分かりが良い……
それがリムラには我慢ならなかった。

『グウウウゥゥ…』

だが今エクサに伝えるのは、ラウトの出方を読んだの予想のみ。
いつもリムラが妥協するのはラウト≠フ一点だけだった。

 

ラウトは階段を上りきると一息ついた。

「ふぅ、やっぱりこっちの方がいいな…」

小声でそう呟く。
出たところには兵士が立っており、ラウトは軽く会釈をして彼らの脇を通り過ぎていった。
よくよく見渡すと左前方に見える扉以外にもあちこちに警備兵が立っている。

「(兵士の数が多い…何かあったのか、まさかこれから?)」

また背筋がぞくっとする。
嫌な予感は外れない……ラウトは気を引き締めて歩いた。
一度気分を落ち着かせたかったので、夜気を吸いに外に出ようと思っていた。
大きな扉に向かってすたすたと歩いていく。

バアアアァァン!!

「…っ!?」

驚いた拍子にビリリとした感覚が体中を駆けめぐる。
銃声ではない。
大きく広がるような音だ。
ラウトは舌打ちをしながら呟いた。

「なんなんだよ…」

踵を返す。
上の階からの音だった。
トーマも螺旋の階段を駆け上がってきていた。
ラウトはすぐ彼に声を掛ける。

「シュバルツ大尉…」

「邪魔にならないところに引っ込んでいろ!」

トーマは手に大きな機械を抱え、階段の方へ向かっていく。
ラウトは押しのけられたも同然で、少し悔しい思いを感じていた。
後からあの男を連れて兵士2人が上がってきた。
ラウトはその脇へ滑り込み、一気に駆け下りた。
出口が見えると、下りきらないでブルッフに話しかける。

「ブルッフさん、トビアス準教授は?」

「3階の348研究室だ…が、おい?」

ブルッフは止めようと思った風だったが、ラウトは立ち止まらない。
説明しきらないうちにまた一気に駆け上がる。
その時上の階から聞き覚えのある物音が耳に入った。
火事の時の音だ。

「大丈夫かな、あの人…」

トビアスは徹夜明けでだいぶ疲れた様子だった。
寝ているならこの物音でも起きていないかも知れない。
3階に行くまでに兵士や研究員達と擦れ違った。

「48…あそこだ。」

コンコン

一応ノックする。返事はない。

「失礼します。」

ギイイイィ……

ドアノブを回してそっと押すと、寂れた音が立った。
中は一筋の道がある以外、あとは本や紙切れで埋まっていた。

「トビアス準教授、いらっしゃいますか?」

踏み行って奥の方に呼びかけてみる。
電気はつけようと思ったが、やめた。
騒ぎの内容が分からない以上は安易な行動ができない。

「…やっぱり寝てるな……」

寝息が聞こえた。
奥でぐっすり寝ているようだ。
外の物音に聞き耳を立ててみるが、騒ぎはまだ続きそうだった。

「トビアス準教授!」

「ぐうぅ……」

入って大きめの声で呼びかけるが、この程度では起きそうにもない。
ラウトは体を揺さぶろうと思ってもっと奥へ進んでいった。
だがまたの物音に足を止められる。

パリイィィィン!

「なっ!?」

窓ガラスが割られた音が聞こえた。
すぐ近く……隣の部屋くらいだった。

ゴオオォン!!

「…っ!!?」

「くあ!?!?」

突き上げるような振動にトビアスも跳ね起きた。
本が雪崩を起こし、紙が雪の様に舞う。

「なっ、なんだ!?」

「火事が起きたことは確かです!
煙に巻かれないうちに下へ!」

火の臭いを感じた。
ラウトは思いっきり腹から声を出して叫んだ。
このままここにいては危険だ。
だがトビアスは研究員…火事と聞いて取る行動は一般の人とは違っていた。

「火事!?
いかん、これを燃やされたら…」

「紙は燃えても煙では死なないでしょう!
使うあなたが死んだらお終いです、早く!」

書物の心配をするトビアスの腕を強引に掴み、引きずるようにしてドアから出る。
廊下は天井からスプリンクラーが水をまき始めてすでにびしゃびしゃの状態になっていた。
ラウトはふっと天井を片目で見上げた。

「…誰か、いる……上…か。」

トビアスは水に驚き、引っ張り出すようにして急いでドアを閉めていた。
少し我を取り戻したトビアスはそのままふらつき調子で下へ降りる階段を落ちるように降りていく。
ラウトは上の階段を選んだ。
徹夜明けで頭の回らないトビアスにはラウトを気に止める事はできなかった。

 

「コナン、そっちはどうなっている?」

階段を駆け上がりながら、トーマは外で警戒に当たっていたコナンと無線で連絡を取っていた。
頭の上の方でゴオと火が燃える音と、シャーとスプリンクラーが水をまく音が聞こえる。
ビークの入った機械には防水機能があるらしく、トーマはそのまま水浸しの廊下へ出て行った。
足下で水が跳ね返り、びしゃびしゃと音が立っている。

「発射位置は分かった。
スナイパーは雇ったみたいだ、だいぶ遠くから撃ってきた。」

「もう次はないだろうな?」

「向こうがシンカーを見て諦めればな……
厳戒態勢を取っているから、少なくとも近隣からは撃てないはずだ。」

通信状態はいいらしく、ノイズも途切れる事もない音声でやりとりする。
もっとも、多少のノイズならビークが除去してしまうのだろうが。
前方で合図を送る兵士を見て、トーマは壁に身を寄せながら通信を続けた。

「そうか。何かあったら連絡してくれ。」

「分かった。
気を付けていけよ、トーマ。」

「ああ、お前もな。」

一度通信が切れる。
その直後、トーマのすぐ隣で何かが軋む音が数回響いた。
髪から水が頻りに滴ってくるのを無視しながら、トーマはその瞬間を待った。

ガシャーン!!

「ガーディアンフォースだ!神妙にしろ!!」

兵士二人が蹴り壊したドアの向こうへ怒鳴るように言う。
煙の中には確かに研究員ではない、銃を構えた黒い人影があった。

 

ラウトはここにいるのは場違いだなと思いつつ、気になった場所へと急いでいた。

「(散水装置は廊下と階段だけか……
部屋にはねぇようだけど、元々石造りだしな…
そこまで大きくはならなさそうだな…)」

研究員はだいぶ避難したようだった。
兵士はまだあちこちにいて、一回だけ銃撃の音も聞こえた。
ラウトはその中でたまに物陰へ隠れつつ、気配を殺しながら先へと進んでいった。

「(ここだ…)」

鍵穴のある引き戸だったが、鍵はかかっていなかった。
入ると木でできた粗末な階段が見えた。
この先に雰囲気の違う誰かがいる……ラウトは階段をゆっくりと上がっていこうとした。

「…待ってくれよぉ……」

不気味な声にラウトは振り返った。
くたくたに疲れ果てた声だ。

「トビアス準教授、なぜ…」

ラウトは驚いたという様子ではなく、困った様子で溜め息をつきながら呼びかけた。
後ろにはラウトと同様にびしょぬれになっているトビアスが立っていた。

「いやいや、いちおー僕には招いた客の監督責任があってね……
忘れていた訳だけれども……」

トビアスは苦笑しながら答えた。
それでも連れ戻そうという気力はなさそうだったので、ラウトはまた階段を上り始めた。
どうしても気になる。
確かめずに引き下がれない。
ラウトは恐怖よりも強い何かに背中を押されていた。

 

屋根裏部屋のような場所を青い光が照らしていた。
小さな縦長の窓から、月明かりが薄く差し込んでいる。
その光が当たるか当たらないかの場所に、茶髪の少女が一人うずくまっていた。

「うっ…ううっ……」

顔を押さえてすすり泣いている。
それは階段を上がってきたラウトやトビアスにも聞こえた。
白衣を着た少女に思い当たり、トビアスはラウト右脇をすり抜けて前に出ていく。

「あ、アンディーラ君…だったっけ?
まだ避難してなかったのか?
一体こんなところでどうしたんだ?」

下からは未だに火事の音や兵士の声が聞こえてきている、早く外に……
あまり回らない頭でもトビアスそう考えたついた。
だが彼の腕はラウトに掴まれ止められた。
トビアスは振り返った。

「おっ、おい!
何、やめ…」

ラウトの顔はいつの間にか無表情になり、空いたもう片方の手には鈍い光がいくつかあった。
トビアスはかすれた声で叫んだが、ラウトは躊躇しなかった。
何のためらいもなく、少女を狙って細長いそれを投げた。

ガンッ、ギャンッ、カンッ!

ラウトの投げた針は何かによって弾き飛ばされた。
一つはこちらに向かってきたが、ラウトが匕首で防いだ。
もう少女はうずくまっていない。
茶色い髪はカツラで、動いた拍子に床に落ちていた。

「もう、女の子に対して随分乱暴じゃない。
そんなんじゃ一生結婚できそうにないわね。」

碧い瞳に緑の髪…その手に鞭を持ち、少女は笑って立っていた。
白衣は床に落ち、今は動きやすそうな服に身を包んでいる。
彼女はラウトに皮肉らしくそう言ったが、ラウトは相変わらず無表情なままだった。
少女はまたわざとらしく言った。

「困ったわね。
あなた達に用があった訳じゃないんだけど。
どうしようかしら?」

「き、君は一体だれ?」

トビアスが恐る恐る聞くと、少女はクスクスと笑った。
鞭を持っているのにもかかわらず、その顔は無邪気に見えた。

「そうね、気になるのなら冥土の土産に聞いていったら?
私はリリス。
そしてこの子は……ワイバード!!」

バアアァン!!

最後の一言でリリスの目は禍々しく光った。
天井が瓦礫となって崩れ落ち、その中に刺々しいシルエットのオーガノイドが舞い降りた。
ワイバードが凶暴さを見せつけるようにして土煙の舞う真ん中で唸っていた。

「気付くなんて、間が悪い人ね。
私の邪魔をする気なら死んで貰うわ!」

『グアアアアァァァン!!』

瓦礫の降る轟音に遮られながらワイバードが叫び、ラウトとトビアスを睨んで襲いかかってきた。

「走れ、下へ!!」

「うあっ!?」

ラウトは階段の下へトビアスを押し出すと、匕首を取り出してワイバードの尾を受け止めた。

「…っ!」

バァァアン!

ワイバードはすぐに尾を上げて叩き落としてきた。
ラウトは脇に避けて難を逃れる。
だがワイバードはすぐにラウトの動きを追う。
反応の良さはオーガノイドの中でもかなり良い。
しかもラウトの服や髪は水で濡れ、彼の動きをかなり鈍らせている。

「あらあら、もっと楽しんでちょうだいね。
残り僅かの人生がもったいないわよ。」

リリスはケラケラと笑って眺めている。
ラウトの袖や裾からはポタポタと水滴が落ちていく。
多少表情を険しくしてワイバードを見るが、苦しみや恐怖は感じていないようだった。
こんな状況を例外にするラウトではなかった。

 

「くっ、まさかリリスが噛んでくるとは……
しかもあの綿埃はずけずけこんな所に舞い上がりおって!」

トーマはトビアスと擦れ違ったとき、ビークの捕らえた怪電波を追っている最中だった。
リリス達がいる場所は、まさにその電波の発信源がある場所であった。

『ギュアア!!』

狭い階段を駆け上がってきたとき、トーマの耳にオーガノイドの声が届いた。
その凶暴そうな声はトーマが想像していた通りのものだった。

「やはりお前か、リリス!」

少年とオーガノイドがにらみ合っている向こうに、彼女の姿が見えた。
だがその瞬間に相手もトーマに気付いた。

「やっと来たわね、GF!
レディを待たせるなんて、サイテーね。
こんな大遅刻するなんて思わなかったから、つまらない余興で暇つぶししてたのよ。」

リリスは嫌みを言いながら嬉しそうに笑った。
トーマはムッとしながらあの機械を銃のように構えてリリスに向けた。

「招待客が来たから前座はもうお終いね。
ワイバード、ご苦労様。」

『ギュウ』

「待て!」

ワイバードがリリスの側へ引き下がり、リリスは小さな箱を取り出した。
表にはスイッチがついている。
彼女はトーマの声とラウトの眼光を無視し、細い指でそのスイッチをパチンと入れた。

ダアアァン!!
ドオオオオオォォォォォォォ……

一つ下の階で恐ろしい音が響いた。
爆風と熱気が階段を上ってくる。

「なっ、炎!?」

「…!」

「もう私が長居する必要ないわね。
さようなら!」

『ギュアア!』

リリスはワイバードに跨ると、窓から外に出て闇の彼方へ消えていった。
下ではスプリンクラーが作動している音がしない。
爆発で設備も破損したようだ。

「くっ!」

「シュバルツ大尉、下は危険です!
煙に巻かれ……」

「他に逃げ道があるのか?ここは11階だぞ!」

トーマはラウトが言い切るのを待たずに叫んだ。
だがラウトは何か手があるらしく、その顔に焦りはなかった。
ワイバードが開けた穴から青白い光が降り注ぐ。
思わずトーマは目を瞑った。
再び開いた時には地上にいた。

 

「あれは……オーガノイドか?」

コナンは凄まじい音に研究所へ目をやった。
10階から火の手が見えた。
その直後、11階から黒い影が飛び立っていくのが見えたのだった。

「ハーティリー大尉、あれは…」

側にいた兵士の一人も気が付いたようだ。
コナンはすぐさま指示を出す。

「シンカーに追わせろ、見失うな。
郊外へ出たら3Sも出せ。」

「あ…はっ!」

兵士は慌てて無線機のダイヤルを回した。
コナンは急にノイズが入った無線機を片手に、建物の方へと急いで走っていった。
エクサの光がコナンのいる方から見える事はなかった。

 

「……な、何だったんだ?」

トーマは辺りを見渡す。
どうやら研究所の裏手の道のようだった。
すぐ近くにラウトもおり、隣にいる小さなオーガノイドの額をさすってやっていた。

「よくできたな。
助かったよ。
さ、人に見つからないようにな。」

『キュイ♪』

振り返りながら闇の中へ去っていく。
この光景を見て、トーマはようやく何が起きたか理解した。
いつの間にかあの水色のオーガノイドは、この研究所の近くにやってきていたようだ。
おそらく警戒地区ギリギリのところで待機していたのだろう。

「エクサか……」

ジークもバンとアーバインを救出するために、このような力を使ったことがあると聞いたことがある。
エクサの姿が完全に見えなくなると、ラウトはトーマの方を向いた。

「シュバルツ大尉、できればさっきの事、オフレコでお願いします。
エクサを巻き込みたくないので……」

気疲れしたように溜め息をつきながら、ラウトはそう言った。
夜の風が吹き抜け、火事の現場が目前だという事を忘れそうだった。
トーマはすぐにラウトの矛盾をついた。

「もう十分巻き込んでいるだろう。」

「……あのリリスって人に関わらせたくない…
理由は分からないけれど…何か嫌な感じがする……」

ラウトはそう言って研究所の表へ戻ろうと歩き出した。
とぼとぼとした様子で歩く姿は、とてもさっき戦っていた人間には見えない。
トーマは兵士が騒いでいる声を聞き、ラウトを通り越して走って戻っていった。
いつの間にか湿った服や髪などは乾いていて、その足はいつも通りに速かった。

 

ラウトが表へ戻ってみると、街灯に寄りかかるトビアスと、その隣でブルッフが立っていた。
辺りがとても暗いので、二人とも近くに来るまでラウトの存在に気付かなかった。
ラウトは何も言えないまま彼らの側で立ち止まった。

「やー、お帰り。
噂通り無事だねえ…」

トビアスはとても疲れた顔で笑っていた。
それを見ると、ラウトはもの凄く申し訳ない気持ちになった。

「すみません、色々迷惑を掛けてしまって…」

「はははー…でも僕もオーガノイドの実物を見られたしね。
研究者冥利に尽きるというか、良かったわけだけど…」

力の入らない笑い方をするトビアスに対し、ブルッフはさすがに呆れているようだった。
ラウトは複雑な気持ちでトビアスの声を聞いていた。
辺りは事件現場の喧噪に包まれ騒がしくなっている。

「ところで研究所の立ち入りは…」

「しばらく無理そうだ。
思ったよりだいぶ大がかりだったからな。」

ラウトが聞くとブルッフが建物を見上げて答えた。
石の壁が数カ所、煤で黒く染まっていた。
ラウトは溜め息をつき、何かを思い出してトビアスに言った。

「あの、トビアス準教授。
準教授にお渡しする物、資料庫に置いてきて…」

「はあっ!?」

そこを突然、ブルッフが素っ頓狂な声で遮った。
ラウトは思わず飛び退きそうになった。
トビアスもずるっと街灯の柱から手を滑らせていた。

「準教授!
また人の話聞いてなかったんですか!!」

「はえあ?」

ラウトが驚いてブルッフを見やると、彼は頭に響くような甲高さでトビアスに向かって叫んでいた。
そのトビアスは舌が回らないでいた。
ブルッフの中で何かが臨界点を突破し、もの凄い勢いで噴出した。

バシィィイイイン!!!

「っ!!!」

ブルッフは取り出した何かで思いっきりトビアスの顔をひっぱたいた。
勢いでトビアスは吹っ飛んだが、ブルッフの背中には何か恐ろしいものが燃えていた。

「(いや…今、どっから取り出した、あのデカイ本……)」

遠くから目を丸くして見ている研究者と兵士同様、ラウトも唖然としてその光景を眺めていた。

「連絡があったというのに…人にいらない不安持たせて……もういいです。
またあとでたっぷりと聞かせますから覚悟しておいて下さい!」

ぜーぜーと言いながら叫んでいるブルッフには何故か哀愁が漂っていた。
ラウトはブルッフが苦労人であるような気がした。
いや、きっと間違いなく苦労人だ。
そこへ誰かが近付いて来ていた。

「お前がデイヴィッサーか?」

「はい。」

ラウトが振り向くと、淡い茶色の髪で青い瞳の軍人がいた。
だが服装は帝国軍のものとは異なっている。
ラウトは彼の雰囲気が誰かに似ているように感じた。

「トーマが後で来るように言っていた。
調査書を作るそうだ。
向こうにいるから話しかけて来るようにだそうだ。」

「分かりました。」

ラウトがそう言うと、彼は早々に立ち去ろうとした。
一瞬は邪魔したら悪いかなと思ったラウトだったが、そう時間を取るものでもないしと思い直して彼に話しかけた。

「あの、すみません。
ちょっといいですか?」

「なんだ……?」

その声にやや振り返り、刺青がある側の頬がラウトに向いた。
形はバンのものと似ていて、色は緑だった。
ラウトは彼の顔を見ながら、やっぱりあの人似ているなと思っていた。

「GF本部にいらっしゃいませんでしたか?
あなたの姿に見覚えがあるのですけれども。」

「ああ……俺はコナン・ハーティリー。
GFの隊員だ。」

コナンはそう自己紹介をする。
ラウトは予想が当たり、微かに笑って自分も自己紹介をした。

「ハーティリー中佐の弟さんですよね?
初めまして、私はラウウァートシス・シェム・デイヴィッサーです。
GF本部では整備士をやっているので、ハーティリー中佐にはよくお世話になっています。」

「ああ、姉貴から話は聞いている。」

コナンはややぶっきらぼうな調子でそう答えた。
ラウトはあまり彼は会話は得意じゃないのかなと思いつつ、自己紹介ができたのでひとまず引き下がる事にした。

「それでは、これ以上仕事の邪魔をしたら悪いので……どうもご苦労様です。
また会ったときはどうぞよろしくお願いします。」

「ああ……じゃ。」

コナンはそう言うと兵士が大勢いる方へ去っていった。
ラウトは彼を見送りながら、伝言の内容を思いだして表情を固めていた。

「(なんか…今日はあまり眠れなさそうだな……)」

そう思うと、疲労感に身を縛り付けられたような心地がした。
そこに追い打ちを掛けるかの如く、背後にいたブルッフが急に声を掛けてきた。

「お前、本当は整備士じゃなくてオーガノイド持ちだな?」

ラウトは少しぎょっとしながら振り返った。
ブルッフは先程の本を持ったまま、腕を組んで立っていた。
気配からは弱くはあったが炎のような雰囲気が漂っている。
見ている方は動きが取りづらく、たじろいでしまいがちな空気だ。

「整備士はちゃんとやっています。」

ラウトは答えるのに変な言い方を使った。
動揺はあまり見せないでいるが、ブルッフのカンの良さにはまずったなと思った。
何で気付いたのか……
だがラウトは基本的にエクサの事は秘密にしているので話したくなかった。
ブルッフは詳しく話さないラウトを無視して話し続けた。

「あそこにはオーガノイドについて記述した本もある。
これでようやく何でお前があそこに入れたのか、謎が解けたわけだ。
じゃ。また機会があるかどうかわからないけど。」

そう一方的に別れを告げると、ブルッフはラウトに背を向けた。
ラウトはあっと思って街灯の下を見た。
トビアスは地面に伏せていたが、あの拍子に意識が飛んだようだった。

「……あの、トビアス準教授は…」

「準教授の事は気にしなくていい、元が丈夫だから。
どうせ兵士に混じって武術の大会に参加して、それで入賞してきた人だ。」

ブルッフはラウトの質問に背を向けたまま答えた。
トビアスを見下ろしている彼の背には、メラメラと燃えるものはなくなっていた。
ラウトは彼がトビアスの面倒を見る気があるようだと取って、報告書を作る方へ行こうと決めた。

「…トビアス準教授にはよろしく伝えておいて下さい。
失礼します。」

ブルッフはラウトに一瞥をくれて軽く頷いた。
ラウトは空の寒々しい光のもと、研究者や兵士の人混みを縫って去っていった。

 

翌朝…誰かにとってそれは予想通り早くやってきた。
赤いレドラーの足下には大きな布がつけられていて、その中で何かがうごめく。
もぞもぞと動きながら、最初にクリーム色のばさ髪が外に現れた。

「……朝、だよな………
少し寝られただけでもいいか……」

実際の睡眠時間は3時間ほどだった。
釘抜きを使い、布を止めるために地面にさしたペグを抜く。
起きあがってレドラーの足によじ登り、今度は括り付けていたロープをほどきにかかる。

『グウゥゥ』

「…おはよう…リムラ……」

リムラに声を掛けられ、ラウトは寝ぼけたような声で返事をした。
風よけにしていた布をたたんでいるが、目は殆ど閉じている。

『キュイイ♪』

「…おはよう、エクサ……バケツ?」

エクサがとことことラウトの方へやってきた。
じゃばじゃばと水の音を立てながらバケツを持ってきたのだった。
ラウトの前にバケツをトンと置くと、エクサは頷くような動作を一回した。

「ああ、そっか…そうだな……一回顔を洗った方が良さそうだ…」

『キュイ♪』

ラウトはボソボソとした声でそう言い、手袋を外して袖をまくった。
バケツを傾けると両手ですくえるだけの水が入っており、ラウトはそれを顔に叩き付けるように浴びせた。
その間にエクサは別なものを取ってきていた。

「はぁ…あ、わざわざ悪いな。
さて今日はどうしようか。
予定が狂っちまったけど……」

エクサが持ってきたタオルを受け取って、ラウトはやや顔をしかめ気味にそう言った。
どうやら手の平の昔の傷がうずいたようだ。
ただ、エクサは具合が悪いと見たようで、心配そうにラウトの顔を覗き込んでいた。

「まずは博物館か図書館かな。
遅くなったら…どうしようかな。」

『キュア♪』

ラウトがエクサを撫でながら平気だという顔をすると、
エクサはホッとして嬉しそうに鳴いた。
それを見ながらラウトは考え続ける。

「周辺の遺跡、全部行っちまったからなぁ……」

本当はエクサが寂しがるので遺跡に行ければいいのだが、
帝都に来る前に全て制覇してしまっている。
残るのは崩れたり研究所があったりして簡単に入れないところばかりだ。
少しして、ラウトはある案を思いついた。

「…ルナライト、だったよな。
あそこに行ってみるか。」

立ち上がりながら急にそう言い、布バケツや風よけにしていた布などを持ってリムラをひょいひょいと登っていく。
エクサがラウトを見上げながら不思議そうに尋ねる。

『キュイ?』

「人の噂で聞いたところさ。
酒場だけど、情報屋も兼ねてる。
結構信憑性があるらしいから、トレジャーハンターという事で行ってこようかな。
他にも知りたい事があるし……」

ラウトはエクサに答えながら片づけと朝食の用意を始めた。
古びた布のケースに入ったコッヘルセットや、小さくて年期の入った固形燃料のコンロを引っ張り出す。
リムラは何かに注意を促すように、ラウトに向かって低い声で唸った。

『グウウウゥゥゥ……』

「ははは、そういやそうだったな。
相場が分かんねぇから、十分持ってかなきゃな。」

情報屋の話の事だった。
ラウトは人に聞いたりする事はあるが、う言った人の厄介になったことはこれまでない。
人とゾイドの声が響き、しばらくすると暖かい湯気も立った。
太陽はそんな人やゾイドの生活とは無関係に、マイペースに空を昇っていっていた。

───────────────────────────────────―――――――――――――――――

*アトガキモドキ*

※読み疲れた方はこのモドキ文を読み飛ばすことを強く激しくお勧め致します。
愚痴ですので……

ではここから繰り言開始……ι
く、くそぅ……またしても画像並み?(50KB超)の重さになってしまいました。
しかも全然進んでないッ!
実は既に悲鳴を上げてさらに喚いてテンパってなシヴナです。
ここ最近RPGに嵌ってしまったせいか、今回は場面の切り替えに苦戦しました。
一番最初は思いっきりラウトメインな話になっていて、しかも冗長なので腹が立ってきて書き直しをしました。
まぁ…ストーリー自体が同じなので切って貼って消して付け足してで時間はあまり掛からなかったのですけれどもι
とはいえ、全体の見直しは効率悪く6回ぐらいやったのですが……(汗)
今回はまだこっちの流れに登場していなかったトーマ、
タイミングを計っていたリリスさん、ワイバードさん、コナンさんを書きました。
……上手く書けていなくてすみません… m(_ _;)m
しかもエクサと会ったのはトーマだけ……
ワイバードさんについてはAnotherと似た感じにしたくてずっと考え中です(汗)
しかしこうして書いているのはいいのだけれども、葉月さんの話ではこの話はどのあたりになるのでしょう?
つ、つじつまがあうのだろうか……
どなたか客観的な意見を下さるとありがたいです。
書き手の目はどうしても主観的になってダメなんですよ、ホントι
たぶん葉月さんの77〜78話の間にこっちの1〜7話が入るのだと思いますが……
で、薄明の悪夢が76後から77まで、かな……
そしたら78〜79までにこっちの8〜9話が入るのか、もっと後か前か……(汗)
もうこうやって書いているくせして訳が分からなくなっています(爆)
そしてタイトルはまたもや意味不明、文章も不鮮明…才能に飢えてますι
ストーリーなんか二転三転したおかげで不必要なものも混じっているような……
……実はこの話もこの先も流れは決まっているのにストーリー立ててません(汗)
あー、この馬鹿作者はいったい何をやりたいんでしょう……
推測する限りではネタを消化する事しか頭にないような…………
しばらく謎解きのような事ができなさそうですが、これでも頑張って書いているのでご勘弁頂きたいです。
今回のアトガキモドキはネガティブになってしまいすみませんでした。
それでは、できればまた次回に……
(あー、これ今回の話と一緒にする予定だったのに〜ι/焦)
ああ、素直に書くとホントに繰り言しか出ない貧相な頭の作者でした……


シヴナさんからいただきました。
今回はリリス、そしてワイバードが出演していました。
カリスも少し出ていましたね、そういえば・・・。
結構時間軸がバラバラになってしまっていますが・・・、
もうちょっとヒルツの出現、見送ったほうがよかったですかね?
少し焦ってしまいました。
いつか調節しなければと思いつつ、第3部頑張って行きたいと思います。
・・・こうしてみると、第3部とか/0第2部とか、作っているのは私だけではないですね。
いろいろな皆さんのおかげで作品が出来上がっている、と感じました。
シヴナさん、どうもありがとうございました。

 

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