「あ〜あ、負けちった。
俺ってこのゲームに向いてないのかな〜。」

「とんだ災難だよ。
まぁ、あの姉妹に見られなかっただけましだがな。」

「僕、あのゲームで負けたの初めて・・・。」

ボックスを出た後、3人がそれぞれぼやく。

「まぁ、気にすることはない。
相手は凄腕のウォーリアーみたいだからな。」

「そうよ。
たまにはこんな事もあるわよ。」

ストラとピアスが慰めの言葉をかけるが、
3人ははぁ、とため息を吐くばかり。
すると、ボックスからその相手が出てきた。

「あんた、名前は?」

ジャックが尋ねる。

「ケイン、ケイン・アーサーだよ、
あんたはジャック・シスコだな。」

ケインが静かに話す。
流石にジャックは有名人らしく、ケインはすぐに名前を出した。

「そっちは・・・、ビット・クラウドだろ。
1年前のロイヤルカップの優勝者。
凄い団体だな、有名人ばっかりだ。」

ジャックの後ろにいる輩を見て、ケインが一言呟く。

「さてと、そろそろ集会も終わる頃だな。
楽しい暇潰しになったよ。
じゃあな。」

そう言って、ケインはその場を後にしようとする。
すると、

「凄い腕だな。
その腕で名前が出ない訳はあるまい。
チームの名を聞かせてもらいたいな。」

ストラがケインに尋ね、彼の足が止まった。

「チーム・バスターズだ。
別に覚えても、特にはならないと思うぜ。」

「損にもならないわよ。」

ナオミが放った言葉に彼はふっ、と笑い、
そのまま去っていった。

「チーム・バスターズか・・・。
たしか、半年程前に出来た新チームで、
全戦全勝でもうAクラスのトップに入ったと聞いたことがあります。」

「なるほど、確かに凄腕だな。」

ジェミーの言葉に応えるようにビットが呟いた。

 

 ケインの言った通り、
ビット達が待合い場所に戻った頃には集会は終わっていた。
ジャックはタスカー姉妹と別の場所で待ち合わせているので、そこで別れることに。

「おっ、みんな来たな。」

そこにはトロスとレオン、ラオンと・・・、

「リノ〜ン、待ってたよ〜!」

そう、ハリー・・・。
みんなが恥ずかしがるような大声を出して、手まで振っている。

「いやぁ〜、ハリー君。
君は本当に私の若い頃に似てるね。」

「ああ、一方的にラブコールを送るところがな・・・。」

ラオンがハリーの肩をポンと叩いて、そう言うのを見て、
トロスがポツリという。
それにはみんなも苦笑い。

「それで、発表って何だったんです?」

「ああ、実はな・・・。」

トロスが全員に集会で発表になったことを話した。

『昔のバトルを復活させる?』

声を重ねて言ったのはブリッツのメンバー。

「ああ、ゾイドバトルが始まった頃に行っていたバトルモードがあるんだ。」

「だが、負傷者が絶えないから危険だと言うことで廃止になってな。」

トロスの後にレオンが続く。

「それで、何で急に復活という事になったの?」

リノンがふと浮かんだ疑問を尋ねる。

「以前から強い要望があって、ずっと議論が続いてたんだ。
そして、Aクラス以上のチームでならと言う条件付で認可が下りた。」

トロスが椅子に座りながら、彼女の問いに答える。

「それで、どんなルールなんだ。」

「うむ。
武装制限を完全になくしたバトルロイヤル戦だ。
3組以上のチームが入り乱れて戦い、
残った一チームだけがポイントと賞金を獲得する。
しかも、ゾイドの数の制限もないから相当な激戦になるのは間違いない。」

ビットの問いにはレオンが答えた。

「そうそう、みんなにはもう一つ知らせがあるんだ。」

「何です?」

「そのバトルのデモンストレーションを我々が引き受けることになったんだ。」

ジェミーの質問に答えるトロス。
他のメンバーは好奇心丸出しで喜んだ。

「で、他のチームは?」

今度はバラッド。
これに答えたのはレオンだ。

「チーム・ブリッツにチーム・フリューゲル、チーム・チャンプにライトニングと・・・。」

「我々アウトローズだ。
トロス、このバトルで我々の決着をつけるぞ。」

レオンの後に続けるラオン。
彼もやる気満々だ。
もっとも、トロスは彼の言葉を聞き流しているが・・・。

「それと、もう1チーム。
今、連戦連勝してAクラスのトップに入った新チーム、バスターズだ。」

『バスターズ!』

レオンの言葉にさっきテーマパークにいた全員が驚いた。
それもそのはず、彼等はさっき会っているのだから。
バスターズのメンバー、ケインに。

「さっきの奴も出てくるのか。」

バラッドは少し心配そう。
彼は結構保守的なのだ。

「まぁ、いいさ。
さっきの借りを返してやる。」

「その通り!」

ビットとベガがそれぞれ気合い十分に言う。
どうやらこの2人、かなり気が合うようだ。

「何か・・・あったのか?」

そんな2人の様子を見て、レオンが尋ねる。

「さっきゲームで負けたのよ。
そのバスターズのウォーリアーに。」

ナオミがさっきの出来事を簡単に説明。

「なるほど。
それであんなに張り切ってるのか。」

レオンは少し笑いながら納得していた。
すると、

「ストラ、あそこ。」

ピアスが何かを見つけ、ある方向を指さした。
そこには2人の男と話すケインの姿が。

「どうやらチームメイトみたいだな。」

「あれが・・・バスターズ。」

全員が彼等を見つめていると、
ケイン達もビット達に気付いたようで、彼等に向かって歩いてきた。

「どうやら早速戦う羽目になったようだな。」

「今度のバトルは負けないぜ。」

「ふふふ、こっちも簡単に負けないように頑張るさ。
まぁ、あんなゲームで勝っても、そんなに面白くはないからな。
やっぱり、バトルをやらないと退屈だよ。」

ビットとケインが話す。
ある意味、挑戦状を叩きつけているのと同じだ。

「結構、有名なチームばっかりだし、俺達も楽しめそうだ。」

「そうだな、兄さん。」

ケインの右斜め後ろにいる黒髪の人物が話した。
口振りからして、彼の弟のようである。
その隣にいる銀髪の男は黙ったままだ。
そして、

「ケインお兄ちゃん、ゾイドの整備が終わったわよ。」

女の子が彼等に向かって走ってきた。
見た感じはジェミーと同い年ぐらいである。
彼女もケインの兄妹のようだ

「そうか。
帰ってバトルの準備をしないとな。
それじゃあ、明後日のバトルフィールドで。」

そう言って、彼等はその場を後にした。

「見た感じだと、あのケインとか言う奴がリーダーのようだな。」

「ああ、いったいどんなゾイドに乗ってるんだろう。」

バラッドとビットが彼等の背中を見てそう言った。

「ジェミー、帰ったら彼等の戦力分析をしておいてくれ。」

「はい、博士。」

トロスの要請にジェミーが返事をする。
相手の戦力分析も彼の仕事だ。

「じゃあ、我々も引き上げようとしよう。」

「そうね。
じゃあ、兄さん。また明後日ね。」

「ああ。」

レオンとリノンが兄妹で別れの挨拶。

「バラッド、またね。」

「ナオミもな。」

こっちは恋人同士で。

「ベガ、ストラ、またな。」

「うん、じゃあね。」

「次のバトルを楽しみにしてるぞ。」

仕上げはライバル同士。
その目には闘志がみなぎっている。
そして、彼等が帰ろうとした時、ハリーがリノンに迫ってきた。

「リノ〜ン、俺も一緒に・・・。」

だが、彼の願いが叶うことは無かった。

「ハリー、我々のゾイドはまだ整備中だぞ。」

「そうよ。
まだまだ帰れそうにないわね。」

セバスチャンとベンジャミンがハリーの手を押さえて、そう言った。
それには彼もガックリ。

「そ、そんなぁ〜。」

ブリッツの面々はそんな彼を放って、とっとと帰っていった。
果たして、ケイン率いるバスターズの実力は。
そして、ビットはケインに勝てるのであろうか。
熱き古代のバトルが今始まろうとしている。


/0第2話、いかがでしたか?
今回はビット達とケインとの顔合わせで終わりにします。
バトルシーンは前半のもので勘弁してください。
次回はいよいよバトル開催。
決戦前夜からバトルの最後までの3ページを予定しています。
(あくまで予定・・・、場合によってはもっと延びるかも・・・)
では、次回をお楽しみに。

 

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