AM 10:30 レリードタウンから5q地点の荒野
翌日、レオン達チーム・フリューゲルはバトルのためにそこにいた。
そして、上空にはホエールキングの姿が。
「チーム・チャンプの方は?」
「既に別部隊が向かっています。
今、潰している頃でしょう。」
デッキでシュダと彼の部下が話していた。
「よし、ジャッジカプセルを投下しろ。」
「はっ!」
部下が敬礼してその場を去る。
ちなみにチーム・ガンナーズは決まったメンバーはシュダだけである。
実はメンバーは寄せ集めの人員が多い。
しかも嫌々・・・。
それ程シュダの人気が無いのだろう。
「チーム・フリューゲル・・・、
昨日の恨み、晴らしてやるよ。
ふしゅ〜〜〜・・・。」
不気味に息を吐くと、彼はゾイドに乗るため、その場を後にした。
AM 10:40 同所
突如、レオン達の前にホエールキングが降り立った。
そして、黒いジャッジカプセルも。
チュドーン
「バトルフィールド、セットアップゥ!!
チームフリューゲルVSチーム・ガンナーズ!!」
コールと共にガンスナイパーが3体、ホエールキングから降りてきた。
その中にはシュダの黒いガンスナイパーも。
「来たわね、毒蛇さん!」
「準備はいいな。」
突然の襲撃だというのに、何故か冷静な2人。
そうとは知らず、ダークジャッジマンがいつもの科白を言い続けていた。
「バトルモード0999、レディー・・・。」
「FIGHT」と言おうとした瞬間、突然DSのガンスナイパーが撃たれた。
それには流石のシュダも驚く。
「な、なんだ!?」
それを皮切りに岩山から姿を現したのは、ブリッツのホバーカーゴ。
光学迷彩で隠れていたのだ。
「感謝しないとな。
わざわざ罠にはまってくれてよ。
ついでに、ハリーのところに行ったお前の仲間は、
バスターズとアウトローズがもう仕留めたぜ。」
「なんだと・・・。
いったいどう言うことだ!!」
ビットの言葉にシュダは怒鳴り散らすばかり。
すると、もう1人の部下がシュダの回線に割り込んできた。
「シュ、シュダ様。
前方1qの地点に未確認ゾイド!!
そこから撃たれたようです。
今もこっちに向かってきています!!」
「くそ、羽目やがって・・・。
おい、ガンスナイパーを全部動員しろ。
それと、アレを準備しろ!!」
そう言うなり、シュダはホエールキングに戻っていった。
それと引き替えにガンスナイパーが5体出てくる。
「みんな、発進だ!!」
トロスのかけ声で上部カタパルトから、ゼロ・シュナイダー、シャドーフォックスが、
全部のボックスから、リノンのガンスナイパーが飛び出す。
それと同時に、1体のゾイドが彼等と合流した。
「皆さん、お待たせ。」
紛れもなくケーニッヒウルフである。
そして、乗っているのはアスカだった。
「ケーニッヒの調子、良いみたいだな。」
「何度もテストを繰り返した甲斐があったな。」
レオンとバラッドも感心顔。
そう言いながら相手を攻撃しているのは流石である。
昨日のうちに何とかテストを済ましたウルフとアスカ。
思ったよりもメモリーバンクが噛み合ったので、大して調整しなくて済んだのだ。
「ガンスナイパーの戦い方が分かってないわね。」
ナオミはライフルで狙い撃ち。
3人で3機、きっちりと仕留めた。
「ウィーゼルユニット・フルバースト!!」
リノンのガンスナイパーが武器を乱射、
当たりはしなかったが、相手の周りに爆煙が上がる。
それが狙いだった。
突如、煙を突き抜け、シュナイダーが前にブレードを展開して突っ込んだ。
「バスター・スラーッシュ!!」
これは流石にかわせず、相手は足を切り裂かれてその場に崩れた。
「ビット、ナイス!!」
「そっちもアシスト、グッドだったぜ!」
最近ではこの2人、このようなコンビネーション技が目立ってきてる。
流石、(未来の)夫婦と言ったところか。
「くそっ、強すぎる・・・。」
「一度、出直すぞ!」
2体残ったDSの団員は揃ってホエールキングに戻ろうとする。
「逃がすか!」
バラッドがそれを追おうとする。
その時、ホエールキングの口から光の槍が突き抜けた。
それによって、ガンスナイパー2体は足を失い、倒れる。
フォックスは同時に起こった熱風で吹き飛んだ。
「バラッド!!」
アスカの声空しく、フォックスはシステムフリーズ。
そして、出てきたのは・・・、ジェノザウラーだった。
「仲間を犠牲にするなんて・・・。」
「仲間?
ただの駒だろ?
俺に仲間なんていねぇ!」
ナオミの言葉にそう答えるシュダ。
「噂通り、神経が腐ってるな・・・。
行くぜ、ライガー!」
一声あげると、シュナイダーはブレードを展開して走り始めた。
それに反応して、ジェノザウラーは腕を伸ばす。
「へっ、そんな攻撃、当たる訳ないだろ。」
難なくかわすビット。
だが、その後、腕はスラスター噴射で曲がり、シュナイダーの後ろの肩をつかんだ。
それと同時に強烈な電撃が流れる。
「な、何だって・・・。
どわああぁぁぁ!!!」
その電流で危うくフリーズし損なうが、
リノンが本体に砲撃したおかげで何とか逃れられた。
「ビット、大丈夫?」
「ああ、何とか。
サンキューな、リノン。」
だが、ゼロはもうフラフラだった。
「どうだ?
俺のジェノザウラーの必殺技、『スネイクサンダークロー』の味は。
いくら逃げても追いかけてくる、毒蛇の牙からは逃れられないぞ。」
そう言って再び腕を伸ばす。
次の目標はブレードライガー。
「だったら、打ち落としてやる!」
パルスレーザーで腕を何とか落とすが、それが囮だというのには気付かなかった。
腕が落ちた瞬間、向こうもパルスレーザーでブレードライガーを狙い撃つ。
「どわぁ!!
くそっ、隙がない・・・。」
とっさに避けたが2,3発当たってしまう。
「じわじわといたぶってやるよ。
それが楽しいからな。」
「この、下衆野郎!!」
ナオミもたまらずライフルで狙う。
だが、ブースター噴射で避けられてしまった。
それと同時にまた腕が飛んでくる。
とっさにかわすが、また腕が曲がり、ガンスナイパーに掴みかかり、強烈な電流が流れた。
さっきのビットと同じ失態を犯してしまったのだ。
唯一違う点は彼女の期待はフリーズしたこと。
「参ったな・・・。」
「さて、次はどいつが餌食になるかな・・・。」
シュダの目がじっくりと獲物を狙う。
その時、どこからともなく弾丸が打ち込まれた。
それはジェノザウラーの背中の砲塔を貫き、爆発を起こした。
「私を忘れてないかしら、毒蛇さん?」
それを撃ったのはアスカのケーニッヒだった。
「アスカ・ファローネ・・・。
わざわざやられに出てくるとはな・・・。
お前は最後にしようと思ったが、気が変わった。
お前からやってやるぜ!!
喰らえ、スネイクサンダークロー!!」
ケーニッヒ目掛けて腕を伸ばすシュダ。
すると、ケーニッヒの背中から黒い煙と共に鉄の粉が吹きだした。
それらはやがてジェノザウラー自体も覆う。
「な、何だ、これは・・・?
レーダーが利かない・・・。
熱センサーも作動しないだと!!」
そう言っているうちに、ジェノザウラーの首に何かが当たる。
それは、なんとジェノザウラー自身の腕だった。
「しまった!」
彼のジェノザウラーの腕は物体に当たると自動的につかみ、電流が流れる。
つまり、彼自身に電流が流れるのだ。
「ぐわああぁぁぁ!!!」
慌てて電流の供給を絶つ。
だが、その隙にアスカは次の攻撃に出ていた。
「今のはバラッドとナオミの仇。
そして、これはコマンドの仇よ。」
ケーニッヒの背中のファンが急速に回り始める。
それと同時に体内中の電流が牙に集まり、ジェノザウラーに向かっていった。
「いくわよ、エレクトリックファンガー!!」
ケーニッヒの電磁牙が足を噛み砕いた。
ジェノザウラーはバランスを崩して倒れ込み、システムフリーズを起こした。
そして、ケーニッヒの方は機能一時停止。
「やっぱり、これって最後の決め技ね・・・。」
エレクトリックファンガーは体内電気を全て集めるため、
一時的に動きが止まってしまう。
よって、最後に決まらなければ、格好の標的となってしまうのだ。
「ウグググ・・・、ノ〜〜〜!!!
バトルオールオーバー・・・。
ウィナー・・・、チーム・フリューゲル・・・。」
ジャッジマンは悔しそうに勝ち名乗りを上げていた。
ちなみにジュジュはしっかりとこの事を記事に仕立てている。
AM 11:30 ドラグーンネスト
シュダは本部に戻っていた。
そして出迎えるのが、団員の痛い洗礼・・・。
「負けちゃったね、毒蛇さん。」
「やっぱりノエルに任せておけばよかったのに。
あ〜あ、遊びたかったなぁ〜。」
「ったく、自信満々にやられてりゃ、世話ねぇな。」
口々に言われ、シュダも苛立ち気味。
シドは心配そうにそれを見ている。
だが、彼の気を知ってか知らずか・・・、
「毒蛇がヤマカガシになっちゃったわね。
あれ、ヤマカガシって毒あったっけ?」
その瞬間、シュダの目がその娘を睨む。
そして、大きく腕を振りかぶった。
「シュダ、やめろ!!」
シドが叫ぶ。
だが、彼の腕はその子ではなく、壁にぶつかった。
続けて何度も何度も壁に打ち付ける。
その光景は見ているだけで痛々しそうだ。
「この腕が!この腕が!
この腕が!この腕が!!・・・」
血が滲み始めると、ようやく彼はその行為をやめ、その場を後にした。
彼はキレると何かを傷つけずにはいられなくなるようだ。
それが自分の身体でも・・・。
「やれやれ、また明日から猛特訓だな・・・。」
「努力が天才を超える時・・・。
それが来る事を彼は願ってるんだろ。」
もう1人女性が現れてそう言った。
シドは心の中で自分を責めるばかりだった・・・。
同時刻 アーサーディーリングショップ
「ケーニッヒ、大活躍だったな。」
「ええ、みんなのおかげね。
どうもありがとう。」
アスカが技術陣に礼を言う。
「それで、これからどうするんだ?」
ケインがふと問い掛ける。
すると、
「実は・・・。
フリューゲルに入ることになったの。」
『・・・はい?』
全員が我が耳を疑った。
まぁ、当然と言えば当然だが・・・。
「レオンは恩人だし、私もいい加減仲間が欲しいかなって。」
「お前らしいな。
“突然”がよく似合うよ。」
バラッドは明らかにやれやれという顔。
「人間変わらないものよ」とアスカは付け加えた。
「でも、理由はそれだけじゃないみたいだけどね。」
リッドがボソッとそう言うと、
アスカは顔を真っ赤にしてレオンを見る。
やれやれと言った具合で、ケインが話を進めた。
「なんにしても、またライバルが増えたな。」
「いいじゃん。
ライバルは多い方が・・・。」
『バトルは盛り上がるわよね。』
ビットの言葉にリノンとジュジュが声を重ねて言う。
その瞬間、店内は笑いに包まれた。
こうして、新ゾイド、そして、新しいライバルが現れた。
/0第5話、どうでしたか?
ケーニッヒウルフ、初登場!!!
さくらさんの強い要望で(そんなに強くないけど)、アスカがパイロットになりました。
これからの彼女等の活躍、楽しみにしていて下さい。
それと彼女の恋も。
では、次回をお楽しみに。