無事(?)に昼食も終わり、本日最後の取材へと赴く御一行。
「・・・ったく、リッドさんってなんでああ何でしょうね?
だいたい、あんな性格で今後を楽しく生きようって言う方がおかしいですよ。」
先程からずっとこの調子のアリス。
実は昼食に行った店先で口喧嘩が勃発。
何とかケインとジュジュが止めに入ったものの・・・。
「そんなにむくれないの。
リッドだって悪気はないんだから・・・。
ケインも『あいつ、素直じゃないから』って言ってたし・・・。」
「悪気があって溜まりますか!!
それに、素直じゃないのにも程がありますよ!
むぅ〜・・・。」
さらにむくれあがる彼女にジュジュもお手上げ。
カイルに至っては言葉の介入もできないでいる。
これ以上行っても無駄だと悟り、しょうがないので話題転換。
「そ、そう言えば、次はビットの所だったわよね。」
「ええ、相手は確か・・・、チーム・フライグラウンドさん。
最近Aクラスにランクしてきた強豪チームです。」
仕事の話になり、辛うじて調子を取り戻す。
今後、少なくとも今日いっぱいは、“リッド”と言う言葉は使うのは止めようと思ったとか・・・。
「あそこは確か接近、中距離、後方支援、と3人の息が合ってるって言う話だよね。
君の弟の所と同じじゃないか?」
「そうね・・・。
でも、ビット達、チームワークが殆どないからな〜。
大丈夫かしら?」
「Sクラスウォーリアーだし、大丈夫じゃないんですか。
それに最近はチームワークも出てきたし・・・。」
「そうね〜」と外の景色に目を走らせながら呟く。
ブリッツも最近はちょっとだけチームワークが出てきた様子。
以前は0と言っていいほど無かったが・・・。
本人達曰く、「自分通りの戦いが出来ればよし。結果オーライでもO.K.っしょ。」だそうだ。
自由な心が強さの秘訣なのかも知れないとジュジュは以前記事に書いたことがある。
まぁ、彼等もゾイドとの絆はとんでもなく強いが。
しばらくして本日最後のバトルフィールドに到着した。
場所は荒野のバトルフィールド。
そこには既にフライグラウンドのものと思われるグスタフがあった。
「フライグラウンドさん、時間にきっちりなんですね。
まだ開始まで5分もあるって言うのに・・・。」
その近くを見ればシールドライガー、コマンドウルフ、ガンスナイパーが並んでいた。
それぞれがカスタマイズを施しており、
コマンドにはロングレンジライフル、ライガーにはブレードとブースターが付いている。
そして、カラーリングも白が混じっており、統一感がみなぎっていた。
「それが彼等の良さなのよ。
・・・あっ、ビット達も来たわよ。」
彼女の声で全員が反対側へと目をやる。
そこにはブリッツのホバーカーゴが疾走しているのが見えた。
「今回の相手、チーム・フライグラウンドは近距離、中距離、遠距離と3拍子揃ってます。
そこで、ビットさんが近距離のアッシュ、
バラッドさんが中距離のキョウ、リノンさんが遠距離のミナと戦闘して下さい。」
ホバーカーゴの操縦をしながら全員に指示を促すジェミー。
メンバーは既に各々のゾイドに搭乗している。
「ワンツーマンか。
どっちにしても、俺とライガーに敵はないぜ!」
「相手はガンスナイパーね。
ナオミとのバトルの予行演習と思えばいいわね。」
「やれやれ・・・。
さて、俺達も行くぞ、フォックス。」
全員のやる気満々な発言の後、カーゴが止まった。
「博士、目的地に到着しました。」
「よし、みんな、発進だ!」
トロス博士の声と共に上部ハッチと前方のボックスが開く。
「リノン、ガンスナイパー、いっきま〜す!」
「バラッド、シャドーフォックス、発進する。」
「ビット、ライガーゼロ、発進!」
リノンは前方から、ビットとバラッドは上部から発進。
それぞれのチームのゾイドが荒野に並んだ。
そして、お決まりのようにジャッジカプセルが投下される。
ジュジュ達は今日はもう3回目だ。
ちょうどいい位置までせり上がった後、カプセルが開いた。
『この地点より、半径20q以内はゾイドバトルのバトルフィールドとなります。
競技者及びその関係者以外は立入禁止です。
危険ですので、直ちに退去して下さい。
フィールド内、スキャン終了。
バトルフィールド、セットアップ!
チーム・ブリッツVSチーム・フライグラウンド、
バトルモード0983、レディー・・・FIGHT!』
ゴングが鳴り、バトルが始まった。
先手を打ったのは、ブリッツのがさつ娘、リノンだ。
「行くわよ〜、ウィーゼルユニット・フルバースト!!」
ドガガガガガガ・・・
いきなり全武装をぶっ放す辺り、毎度毎度のことだが流石と思ってしまう。
だが、その殆どが弾幕を張るだけで終わってしまう。
「キョウ、ミナ、怯まないで突っ込むぞ!」
『了解!』
弾幕の中を突っ切る3体。
すると、
ガッシャーン
「ぐっ!」
アッシュのライガーが横方向に大きく吹っ飛ばされた。
そして現れたのは白い機体。
「行くぜ、ライガー!」
ビットのライガーが追撃を行う。
それに負けじとアッシュはそれをかわした後、ブレードを展開しゼロに向かっていく。
「おっと!」
攻撃をジャンプでかわし、素早く反転すると2連ショックカノンで砲撃。
行き着く間もない戦闘がライガー同士で行われていた。
「アッシュの奴、完全に熱くなってるな。」
「おい、余所見してるとえらいことになるぜ。」
ドドドドドドド・・・
バラッドがキョウのコマンドに向かってレーザーバルカンの攻撃。
数発被弾したものの、反応が早かったため、致命傷には至らなかった。
そして、相手もロングライフルで反撃。
ドーン、ドーン
フォックスは持ち前の運動性能で右へ左へと体を振って弾道を外す。
そして、素早くコマンドの横をすり抜けた。
その直後、黒い煙が相手を覆った。
「スモークデスチャージャー!?」
「悪いな、俺の得意な方法で攻めさせてもらうぜ。」
彼の得意な戦法。
それは、煙幕で敵を撹乱した後、後ろから狙い撃つという、ちょっとずるい戦法・・・。
ズガガガガガ・・・
「どわっ!卑怯だぞ!」
「真面目すぎるぜ、お宅。」
そんな会話がなされた後、コマンドウルフはシステムフリーズを起こした。
やっぱりちょっとずるいかも・・・。
「キョウさん!」
白と青のガンスナイパーで狙撃をしているミナがそう叫ぶ。
その隙を見逃すほど、リノンはバカではない。
「いっただき!
ウィーゼルユニット・フルバースト!!」
ズガガガガガガ・・・ズドーン!
彼女の十八番、全武器の一斉掃射!
ミナはキョウに気を取られていたため逃げることも出来ず、そのままリタイア。
「後はビットだけね。
負けるんじゃないわよ!」
「行くぜ、ライガー!」
グォンと一声上げ、ライガーが相手に向かっていく。
そして、避けられる牙。
先程から十数回も行われていて、2人の疲労はピークに達していた。
そして、それはラストの展開に突入することを意味していた。
アッシュはブレードとブースターを展開、ビットも準備は出来ていた。
「決めるぜ!」
「行くぞ!」
それを合図に相手に向かって一斉に走り出す。
ビットの方も顔の横のフェアリングを展開して爪にエネルギーを集める。
両機ともブースターを展開しており、スピードは最高点に達していた。
そして、ビットのライガーが飛び上がった。
「ストライクレーザークロー!!」
一気に振り下ろされる爪はブレードにぶつかり、一瞬停滞する。
すると、ブレードの根本にひびが入り、レーサークローはそのまま後ろ足も切り裂いた。
「なに!」
ゼロはそのまま滑り込み、相手が倒れたのを確認すると勝利の雄叫びを上げた。
実のところ、シールドライガーとブレードライガーではゾイドコアのエネルギーが桁違い。
あれだけの装備にシールドのパーツが音を上げたのだ。
「よっしゃあ!勝ったぜ!!」
『バトルオールオーバー、バトルオールオーバー!
ウィナー、チーム・ブリッツ!!』
ジャッジマンの勝ち名乗りで勝利が確定した。
「ビットさん、勝ちましたね。」
帰りの車内、話題はビットの試合で持ちきりであった。
「まぁ、あれくらい当然でしょ。
もし負けてたら、あのままあそこに行って締めてやる。」
この場にケインがいたら、何らかの突っ込みを入れているのだが、
ここのメンツでそれが出来る芸当の人はいなかった。
「チーム・フライグラウンドか・・・。
あのチーム、勝ち上がってくるわね。」
「そうですね。
よくチェックしておかないと、いつの間にかSクラスになってたら溜まりませんからね。」
この後ジュジュ達は写真の現像と記事を仕上げるため、会社に戻った。
Z−TIMEは週刊誌のため、いろいろと忙しい。
こうしてジュジュ達の今日の取材は幕を閉じた。
だが、また明日もゾイドバトルはある。
ゾイドバトルがある限り、彼等に休みは殆どないのだ。
ちなみにこの日、カイルはジュジュを夕食に誘ったが、「残業になりそう」と断られたのは余談である。
ふぃ〜、久々の/0ですね。
気付いたら、もう5ヶ月も書いてなかったって・・・。
何とかしないと・・・。
とりあえず「更新早いSELFISH」を戻そうと画策中。
これからも見守って下さい。
ここでオリキャラの紹介。
吉川さんから頂いたチーム・フライグラウンドのアッシュ、キョウ、ミナ。
うまく書けてるかが心配です・・・。
では、また近い内に。