「白熱の戦場バトルフィールド
〜ジュジュのバトル取材日記〜

 

 ここはウルトラシティにある大手出版会社、ニューセンチュリー社。
その中にジュジュが勤めてるZ−TIME編集部がある。

「じゃあ、編集長、取材に行ってきます。」

スチールバッグを持ち、意気揚々と上司に挨拶する。
その後ろには同僚のカイルと後輩のアリスの姿も。

「うむ。
くれぐれもこの間みたいな無茶はしないでくれよ。」

「ははははは・・・、くれぐれも気を付けます・・・。」

この間とは・・・、DS団が初めて現れたとき、
勢い余ってヘルでフィールドに飛び出してしまったこと。
おかげで命の危機に陥った・・・。
ケインやビットの活躍で事なきを得たが・・・、未だに突っ込もうとする傾向が・・・。

「大丈夫です。
先輩は私達がちゃんと見てますから。」

「そう、二度と彼女を危険な目に遭わせません。」

「そうならないことを祈ってるよ。
では、気を付けて。」

2人の言葉に安心したのか、編集長は快く見送った。
若干、不安を残しながら・・・。

 

 3人がまず最初に訪れたのは、森と荒野のバトルフィールド。
そのすぐ側にある一つの高台で取材の準備をしていた。

「そろそろね。」

「はい。
今回のバトルはフリューゲルさんとチャンプさんです。」

「もうそろそろ、バトルの時間だよ。
・・・なんか、結果が見えてるけど・・・。」

たしかに、その2チームでは結果は一方的だ。

「まぁ、チーム・チャンプは面白い写真が撮れるからいいわ。
それに、ケーニッヒの写真も撮れるし・・・。」

結構ウキウキな彼女。
実は、ケーニッヒウルフの写真はあまり撮ってなかったりする。
この間はケインにきつく止められたのだ。

「まったく・・・、あの時は記事と倉庫で撮った一枚だけだったのよね・・・。
ケチなんだから・・・。」

「先輩のことを思ってでしょ。
ビットさんも止めてたし・・・。
まぁ、今日取れるからいいじゃないですか。」

口を尖らせて文句を言うジュジュにアリスは慌てて宥める。
ここで止めておかないと、後でフィールドに進入するかも知れない・・・。
彼女だったら十分に有り得る・・・。

「そうそう、あの時も僕は君のことを・・・。」

「あっ、来ましたよ!」

カイルのせっかくの科白も、アリスの一言で消えさった。
その後、彼女が不適な笑みを浮かべたのは誰も知らない・・・。

 

 フィールド上に白いカプセルが打ち込まれる。
それによって舞った砂埃がダークホーンやブレードライガーなどを包み込んでいく。

「ハリー、ベンジャミン、相手は強敵だ。
気を引き締めて行くぞ!」

「こら、セバスチャン!
なに勝手に仕切ってんだ!!
リーダーは俺だぞ、お・れ!」

ここのチームは仲がいいのだか、悪いのだか・・・。
いつも通りのやり取りにベンジャミンも呆れ気味。

「ハー君、もう試合が始まるわよ。」

「・・・わかってるよ・・・。
リノン、君のお兄さんを倒してしまうことになるけど、許しておくれ。」

コックピットに貼り付けてある写真に向かっていつも通り呟く。
これが有名なのだから、なおのこと笑いを誘ってしまう。
そして、ますます嫌われてしまう。
このことを本人は気付いているのやら・・・。

 

一方・・・、

「ナオミ、アスカ、相手がたとえチャンプだろうと油断は禁物だぞ。」

「分かってるって。
じゃあ、いつも通りの作戦で。」

「O.K.
早めに頼むわよ。
じゃないと、ポイント全部頂いちゃうわよ。」

向こうとはうって変わって大人の雰囲気が漂っている。
アスカが入ったことにより、ナオミも以前よりずっとやる気を出している。
女性ウォーリアー同士、互いをライバル視しているようだ。

 

『この地点より、半径10q以内はゾイドバトルのバトルフィールドとなります。
危険なので部外者は直ちに退去して下さい。
フィールド内、スキャン終了。
バトルフィールド、セットアップ!
チーム・フリューゲルVSチーム・チャンプ、
バトルモード0982、レディー・・・、FIGHT!!』

ゴングが鳴り、一斉に動き出すゾイド達。
先手にでたのはアスカのケーニッヒだ。
マルチデスチャージャーで相手の視界を奪っていく。

「くそ、いきなりかい!」

嘆きながらもダークホーンのバルカン砲を辺りに向かって乱射、
連射力のある武器で広範囲を攻撃する。

ドドドドド・・・

だが、弾が当たった気配はなく、その弾幕で余計に視界が悪くなった。

「だぁ〜、しまった〜!」

頭を抱えながら間抜けな声をあげる。
ケーニッヒから同時に巻かれる金属粉により、レーダーも効かなくなっていた。
仕方が無く、早く煙を抜けようとしてハリーは方向を転換する。
だが、そうは問屋が卸さなかった。

「悪いな。
もうポイントは頂いた。」

レオンのライガーが後方に付いていた。
完全に読まれていたのだ。
気付いたときにはもう遅く、ブレードによって背中を切り裂かれた。

「くぅ〜〜〜、何でこうなるんだ〜〜〜!!!」

そんな彼の叫びから数秒後、

「行くわよ、エレクトリックファンガー!」

ガッシャーン

「どわっはー!!」

ケーニッヒの必殺技がヒット。
ヘルディガンナーは背中のビームガンを噛み砕かれ、システムフリーズ。
セバスチャン、勢い空しく、お陀仏ちゃん。
アリスがそんなことを記事に書こうとしたとか、しないとか。

「アスカ、別に必殺技を使わなくても良かったんじゃないか?」

「この先3日間も試合がないのよ。
ちょっとは運動しておかないと。
さて・・・、後1機だけね。」

煙が落ち着いた頃、彼等も視界が回復したので落ち着いて相手を捜す。
ケーニッヒは必殺技を使ったため、一時的に動けなくなっていた。
有り余る力も放出しきればこうなってしまう。
まさに“諸刃の剣”である。
一段落したので一息ついていると、レオンの通信が割って入った。

「アスカ、お前の下だ!」

「えっ?」

一瞬、言っている意味が分からなかったが、地面が盛り上がったのですぐに気付く。
だが動けないため、地面が崩れた拍子にバランスを崩してしまった。
それと共に現れたのがベンジャミンのステルスバイパーだ。

「あら〜、ごめんなさい。
いるなんて知らなかったわ〜。」

わざとらしくそう言った後、照準をケーニッヒに合わせる。
だが、彼女は忘れていた。
もう1人のメンバーである、“赤き閃光”と呼ばれる狙撃の名手のことを・・・。

「残念ね、ゲームオーバーよ。」

ガキューン

「いや〜ん。」

崖の上からの銃弾はステルスバイパーの腹部を貫いた。
当然、ベンジャミンはリタイヤ。
フリューゲルの勝利が確定した。

「バトルオールオーバー、バトルオールオーバー!
ウィナー、チーム・フリューゲル!」

やはり詰めが甘いチャンプ。

「そんな〜、リノ〜〜〜ン!!!」

ハリーの絶叫はいつまでも響いていたとか・・・。
それなりのチームはやはりそれなりなのだ。

 

「やっぱりすぐに決まりましたね。
ハリーの愛の叫びを封じるとは、さすがです。」

「レオン、ちょっと本気が入ったわね。
まぁ、気持ちは分からなくもないけど・・・。
さぁ、写真も撮ったし、次に行きましょ。」

カメラをスチールバックにしまい、そそくさとその場を後にした。
写真は満足がいくものが取れたようだ。
そして・・・、カイルはコメントできずじまいであった・・・。、

 

次のページへ        /0TOPに戻る        ZOIDS TOPに戻る