「旅立ち」
「あんなところで何やってるんだか。」
ウルトラザウルスのデッキの上でアーバインが、
トレードマークのカメラ付き眼帯で、レイヴンとリーゼの様子を見ていた。
その後ろでバン達はまだ勝利の余韻に浸っている。
「こっちでもイチャイチャしてるし、めでたいもんだ。」
そう、バンとフィーネは仲良く夕日を見ている。
トーマはそんな2人を見て泣いているかと思われたが、兄と仲良く話していた。
「あいつも大人になったもんだなぁ。」
ハーマン達は勝利の美酒を飲み明かしている。
ルドルフはジュースだが。
「さてと、俺はそろそろ行くかな。」
そう言って、アーバインは人知れずウルトラザウルスの中へと入っていった。
「待たせたな、相棒。」
彼はライトニングサイクスにそう一声掛けると、コックピットに飛び乗る。
そして、今までのことを思い出していた。
「いろんな事があったな。
オーガノイド目当てでバンを付け回してたら、いつの間にか仲間になってたり、
デスザウラーとも戦ったし、レイヴンと戦ってライトニングサイクスに出会った。
本当に楽しかったな、相棒。」
アーバインの呼びかけに答えるように小さな声で鳴くサイクス。
「さあ、本業に戻ろうぜ!」
アーバインはそう言ってハッチを閉めた。
その頃、バン達のいるデッキでは、
「ねえ、バン。アーバイン知らない。」
ムンベイがアーバインを探していた。
「さあ、さっきまでそこにいたけど。
どうしたんだ?」
「シュバルツ達に頼まれてさ。
なんか、ライトニングサイクスを引き取るとか・・・。」
その時、ゾイドの鳴き声が聞こえた。
バンは鳴き声に特徴があったのですぐ分かった。
間違いなくライトニングサイクスだ。
すると、突然ライトニングサイクスがバン達の頭上を飛び越えて、
フライトデッキから飛び降り、そのまま夕日に向かって走っていった。
「あいつ、渡さないつもりね・・・。」
ムンベイが呆れ顔でそう呟く。
「おい、早く追え!」
ハーマンが叫ぶが、
「それがデスザウラーの攻撃でストームソーダーが全部発進不可能となっています。
それに、他に追いつける機体がありません。」
というオコーネルの報告によって追跡を断念。
そして、極めつけ。
「まあ、いいじゃないか。
ライトニングサイクスはアーバインに懐いとるから、誰も乗れんわい。
はっはははははは!」
そのディの言葉にますますガックリするハーマンであった。
「バンにフィーネ、それにレイヴンとリーゼ、幸せにな。」
そうポツリと呟くと、アーバインは座席横のスイッチを押し、
サイクスをさらに加速させる。
ライトニングサイクスは夕日に向かって咆吼する。
ずっと自由でありたいと願うかのように。
そしてこの1年後、新たな戦いが始まる。
金色のオーガノイド使いを仲間に加えて。
実はこのまま、うちの第三部に持っていこうとしています。
おまけの感想も待ってます。
しかし、本当に最近アーバインが目立っている・・・。
では。