「過剰な巡り合わせ」
〜助っ人〜

 

ババン、ダダダダダン!

赤いレドラーが砲撃をヒラリとかわす。
周りには3機のブラックレドラーと、5機のコマンドウルフがいる。
太陽がギラギラと照りつける中、1対8の過酷な戦いが続く。

「よ〜し、頑張るのよ〜!
この調子でいけば、何とかあいつらを振り切れるわ!!」

『キュアッッ!!』

一方、追いかけられている赤と白の装甲のグスタフは、
ラウトがブラックレドラーとコマンドウルフの砲撃を阻止したこともあって、
グングンとガイサックを引き離していた。

「問題はあっちよね。
リバイブコロニーに着いたら、軍かGFに連絡を入れなくっちゃ!」

なおもムンベイはアクセルを強く踏み、先を急いだ。
と、遠くで何か小さく黄色い砂煙が上がっているのが見えた。
それはものすごい速さでラウトが戦っている場所へと向かっていく。

「えっ、ちょっと待ってよ。
この反応…それにあの様子からして、まさか……!!」

ムンベイはその正体に予想がつき、それに目が釘付けになった。

 

「けっ!しぶとい小僧だぜ!!」

戦場では、盗賊が目の前で飛んでいる赤いレドラーを撃墜できないで苛立っていた。
それは技術と経験とカン、それにゾイドに対する思いの違いで発生していたのだが、
そんなことに盗賊共が気が付く訳がなかった。

「いい加減に落ちやがれ!!」

ブラックレドラーの内の一機が、ブレードを展開して向かってくる。
他の者は、その避けた瞬間狙い撃ちしようと機銃を構える。
だが、そのブラックレドラーが斬りかかる前に、それは起こった。

バババババン、バババババン!!

『ギャアァッ、ギュアアアアン!!』

「何だとっ!?」

「何だ!?」

「!?」

その場にいた全員が、砲撃が向かってきたその方向を向いた。
そこには、黄色い土煙を上げて向かってくる、黒く細い、橙目をした一つの機体があった。

「なっ!?
待てよ、“あれ”はもしや、GFの……」

盗賊の方は、どうやら心当たりがあるらしく、動揺し始めた。
だが、ラウトの方は解らないらしく、じっと“それ”を見つめていた。

バババババン、バババババン!!

『ギャアアン、ギュアアアアン!!』

さらにその機体は、残りのコマンドウルフも撃ち倒した。

「くそっ!」

盗賊共の間から、そんなセリフが聞こえてくる。
ラウトは、ブラックレドラーの方も完全に浮き足立っているのに気が付き、
迷わずブラックレドラーに襲いかかった。

「なっ、うわあぁっ!!」

突如として赤いレドラーに襲われたブラックレドラーは、その攻撃を避けるために
高度を低くせざるを得なくなった。
そこを見事、助っ人の“それ”が撃ち落とした。

「アーバイン!!」

「よっ、ムンベイ!」

通信が開き、ムンベイとアーバインの会話がなされる。
そう、その助っ人の正体はアーバイン。
それに、彼の愛機であるライトニングサイクスだ。

「またまたすごいモノを敵に回してやがるな。」

「しょうがないでしょ!
襲われたんだから。それより、そっちにガイサックが行ったわ。
それをどうにかしてちょうだい!」

「OK!」

『キシェエエエエ!!』

その通信が終わるか終わらないところで、砂の中から数機のガイサックが飛びかかってきた。
アーバインは、難なくそれを沈める。
ラウトもラウトで上空にまだ残っていた2機を落としにかかる。

ビュビュビュビュビュビュン!!

「うわっ!?
くそっ、なめるなぁ!!」

盗賊はその砲撃をかわす。
乗り手がどうであれ、ある程度はブラックレドラーの性能で避けることは可能だ。

キイィン…

「なにっ!?」

だが、その次もかわせるかどうかは、乗り手の腕にかかっている。
赤いレドラーは完全に展開されていないブレードで、ブラックレドラーの右翼を切り裂いた。

「ぐわあぁっ!」

「ちいっ!!」

残りの一機もやけになって砲撃をしてくる。
だが、それはどうにも当たらない。
ブラックレドラーに乗った盗賊は、目の前の赤い機体を追って飛行する。
だが、目の前のモノに夢中になりすぎて、地上にいる者の存在を忘れていた。

『キヤアァァ!』

「うっ!しまった!!」

気が付いたときにはもう遅かった。
ブラックレドラーに跳びかかったライトニングサイクスは、その爪でブラックレドラーに斬りつけていた。

ババーーン、ドドドドドォーーーン!!

最後の一機も、こうしてどうにか片付けられた。

「アーバイン、か。
この人が……」

ラウトはそう呟きながら、雄叫びを上げるライトニングサイクスをじっと見つめた。
だがその時、別の気配を感じて別の方を振り向いた。
と、ともにゾイドが接近してくる時に鳴る警戒音が鳴る。

「げっ、やべっ!
終わってねぇぞ!!」

「なにっ!?」

ラウトのそのセリフで、アーバインも計器の差すその方を見る。
そこには、また新たな軍勢がいた。

「そういや、まだ街を占拠されたままだったんだよな…」

「仕方ねぇ、もう一汗かくか。
あれだけじゃ物足りなかったしな。
行くぜ相棒!!」

『キヤアァァ!』

アーバインはそう言うと相棒をその方に走らせた。

「セイバータイガーにコマンドウルフ…
ありゃ?まだブラックレドラーもいたのか。
プテラスもいるようだし、人任せにはできなさそうだな。
頼むぜ、リムラ!」

『グアアアアン!!』

そう言うと、ラウトもその方へと向かった。

 

 

ドオオォーーーーーーン…………

「ふぅ、やっとこれで終わりか。」

「久々にいい運動になったな、相棒!」

『キュアアアアァン!!』

それからいくらか経った頃、
レスレクションシティにいた盗賊は全て片づいていた。

「アーバインもラウトもお疲れ!」

「あ、ムンベイ…」

「よう!」

グスタフが立てる独特の音を出しながら、ムンベイもこの街へ戻ってきた。

「もうちょっとちゃんと仕事をして欲しかったわね。
あのステルスバイパー、まだのびてなかったわよ。」

ムンベイは意地悪そうにそう言う。

「いいんじゃねぇのか?
無事だったんだからよ。」

愛機から飛び降りるついでに、アーバインは愚痴るムンベイにそう返す。

「全く。
相変わらずね、アーバイン。」

グスタフから降りてきたムンベイも呆れた声でそう返す。

「ふぅん。幼なじみなのか?
あの様子からして…」

ラウトは二人の様子を見ながら、そんなことを呟きリムラから飛び降りた。

『キュアアァッ!』

「あっ、エクサ…ってぇええーー!!」

キャカキャカキャカ、と、オーガノイドが走るときに発する独特の乾いた音を立てながら、
エクサはラウト目掛けて突っ込んできた。

『キュアアアアアアァッ!!』

「うわっ!!」

ダーン、と言う音がして、ラウトはエクサに押しとばされた。

『キュアア、キュアキュアアアアァッ!!』

「いってぇ…少しは人のことを考えろよ、エクサ……」

ラウトはエクサに押しつぶされ、迷惑しているのだが、
じゃれついてる相手にそれが分かるはずもなかった。
どうやらとても怖かったらしく、その恐怖から解放された今、とってもうれしそうにしている。

「何だ?
このオーガノイドは…」

アーバインはエクサを初めて見たので、事態をよく飲み込めてなかった。
ムンベイは笑ってそれを教える。

「ラウトのオーガノイドよ。」

「ラウト…?」

アーバインはなおも怪訝そうな顔をする。

「あぁ、そう言えば紹介がまだだったわね、あんた達。」

ムンベイは、あぁそうかと手を叩いた。

「あっ、すみません。
俺はラウト。
ラウウァートシス・シェム・デイヴィッサー。
こいつは俺の大事なパートナー、エクサ。
あっちの赤いレドラーも俺の大事な相棒、リムラだ。よろしくな!」

「俺はアーバインだ。
俺の相棒はライトニングサイクス。
よろしくな!」

『キュアアッ!』

エクサもアーバインに挨拶を返した。
その時、ムンベイはふとさっきの戦闘中の出来事を思い出した。
「あっ、そう言えばどうしてそのエクサはあのリムラと合体できないのよ?
普通オーガノイドってもんは大抵のゾイドと合体できるモノじゃないの?」

「合体?」

「え?あぁ、それか…」

ラウトはそれを聞くと苦笑した。

「エクサとリムラの相性、悪いんだよ。
どっちかって言うと、リムラの方が一方的にエクサのことを嫌っているというか…
とにかく、あいつは好いてないみたいだな。」

そうラウトが言うと、エクサは首を傾げた。

『キュアア?』

どうやら、エクサには自覚がないらしい。
その様子にムンベイは何時だか誰かが言ったセリフを思い出す。

「ふ〜ん。何だか前にキースが言っていたのと似てるわね。」

「キース?」

また知らない名前が出たので、ラウトはムンベイを見た。

「アーバインと同じGFの一人よ!」

ムンベイがそう言うと、すかさず…

「俺はGFじゃねぇ!
キースもそうだろうが!!ったく…」

いつものセリフを返すアーバインであった。
今回はおまけでキースもかばっている。

「で、なんて言ってたんだ?」

とりあえずラウトは状況が分からないので話を戻す。

「“オーガノイドとゾイド、その2つと心が繋がってないと真に力は発揮しないぜ。”
…って言ってたのよ。」

「あぁそう言えば前にそんなことを言ってたな、キースの奴。」

アーバインもそれに相槌を打つ。
だがラウトは

「ふぅん…俺とは少し違うような気がするけどな。」

それを聞くと、彼は困った顔をした。

「あいつの場合、操縦がきかなくなって、戦闘どころじゃなくなるし……」

そう言いながら、遠くにいるリムラを見るラウト。
ふと、またムンベイは別なことを思い出した。

「そう言えば、あのリムラはあんたが呼んだだけで来たわよね?
普通じゃ考えられないわよ!
一体どうなっているのよ?」

ムンベイがそう言うと、アーバインも驚いて聞き耳を立てる。

「あぁ、それね…これのおかげなんだよ。」

いつどこから取り出したのか、彼が出した右中指の先には
マッカーチスと同じような形をした、とても小さいゾイドがいた。

「これって…!リーゼのと同じ“虫”じゃない!!」

ムンベイもアーバインも驚愕した。
形も色も違うものの、確かにそれはリーゼが使う“虫”と同じものだった。

「これ、さ。
どうやら通信とかを助けることができるらしいんだけど、俺は使えないんだよ。
操れるのはエクサだけ。
ゾイドが本来持つ“意志”を引き出させることも可能なんだけど…」

ここでラウトは「ふぅ」と溜め息をついた。

「おかげでリムラはあんな感じになってさ。結構我が侭になったんだ。
これがどこについてるのか俺は知らないから、どうしようもないし。
エクサは取り外す気は全くないらしくってさ。
この通りだよ。
まぁ、俺も無理に取り外す気はないけど。」

「ふぅん。なるほどねぇ。
世の中って広いもんだわ。
そう思わない?アーバイン。」

「そうだな。」

ずっと話しに耳を傾けていたが、それを全部聞き終わるとアーバインはのびをした。
そしてある目的地に向かって歩き出した。

「さぁて、そろそろ報酬をもらいに行くとするかな。
これだけ仕事をして、タダ働きはないだろ。
あ、そうだムンベイ…」

どうやら、軍が滞在しているところへ行くらしい。
その前に、彼はムンベイを振り返った。

「今回は“貸し”だぜ!」

そう言うが、思わぬ答えを返されてしまう。

「あら?この間あたしが助けてやった分でチャラじゃないの?」

意地悪そうにムンベイは続ける。

「まぁ、それならそれで私も後で請求するけどね。」

ムンベイにそう言い返されると、アーバインは「ちっ」と舌打ちして「そうだったな…」とぼやいた。

「さぁて、ラウト…」

アーバインに言うだけ言ったムンベイは、今度はラウトに向かって言った。

「あなたはどう弁償してくれるの?
大事なお得意さんをゲットするのがおかげで失敗したじゃない!
それに、もうこの時間だと、あのおいしい儲け話には間に合わないわ!」

「は?」

ムンベイにそう言われると、ラウトはアーバインの方を見た。
アーバインは肩を竦めて「そう言う奴だ」と言わんばかりだ。
その様子に、ラウトも「はぁ」と溜め息をついた。

「あんた、お金はもってなさそうね。だったら体で払ってもらうわ!」

「はあぁ?」

呆れた様子でそう言うラウト。

「ったく、何時だかの時と同じだな、ムンベイ。」

「そうよ。バンと初めてあったときと。
こういう運命になったんだから、とことん利用させてもらうわ!」

少し離れたところからそう言ったアーバインに対し、ムンベイはニッと笑ってそう言った。

「まぁ、がんばれよラウト。
それからムンベイ、今回のはチャラということにしてやる。」

「させてやるのはこっちよ。」

ムンベイが不適な笑みでそう言うと、
アーバインはまた肩を竦めて、それから手を振って去っていった。

「さ〜てラウト、しっかり働いてもらうからね。」

「はあぁ?」

またそう言ったラウトに、ムンベイは対抗手段を用意していた。

「ねぇ、エクサ?」

『キュアアァ!』

エクサはムンベイにそう言われて撫でられると、嬉しそうにすりよった。
この瞬間、ラウトはがっくりとして諦めた。

「はぁ、誰にでも懐くやつめ。」

そう言ってラウトは恨めしそうにエクサを見た。
だが、あることを思い出し…

「…ってさぁ、道案内とかで±0にならないのか!?」

ふと、頭に浮かんだ素朴な疑問で反論する。
が、

「なに言ってるのよ!
あのおかげで、大口のおいしい儲け話が「ふ・た・つ・も」パァになったのよ!」

「大口、二つ?」

ムンベイの迫力に、タジタジになるラウト。

「そ〜よ!
カートがあんなのに巻き込まれちゃったら、信用もたれなくなるのは当然でしょ!」

「はいはい…」

ラウトは今度こそ完全にに諦めた。

「仕方ないか…
あ、ちょっと待っててくれ。
すぐ終わるから。」

「え、ちょっとどこ行くのよ!」

『キュア!?』

ラウトはリムラの方に駆けていった。

「いつものことだろ、エクサ。
すぐ終わるから。」

『キュイ!!』

ラウトはエクサにそう言うと、さっさと行ってしまった。

「ちょっと待ってよ!
いつもの事って……
はぁ〜、一体どこ行く気なのよ?」

ムンベイがそう言って溜め息を吐いた頃、赤い機体が空へ昇っていった。

「まぁ、戻ってくるんだし…しょうがないわね。
今日は時間があるからいいけど。
何か忘れ物でもしたのかしら?」

ムンベイはそう呟いて、エクサと共にさっき戦闘があった方へ飛んでいくそれを見ていた。

 

それから数十分経って…

「倒したゾイドを全部見ていたぁ〜?」

ラウトが戻ってきたとき、最初の会話がこれだった。

「別にいいだろ?癖だし、気になるし…」

『キュイ!』

そのセリフに、ムンベイは呆れた。

「いつもの事って…盗賊がまた襲ってくるかもしれないのに?
コンバットシステムがフリーズしているとも限らないじゃない。
あのステルスバイパーだって…」

「そんなへまはしないって…それくらい気を付けてるし。
それにシステムフリーズしてない奴は見たら分かるさ。
臆病になったゾイドは攻撃してこないし、
そういう様子じゃない奴がフリーズしてないって位は分かるし知ってるさ。」

『キュイ!』

エクサもムンベイに向かってそう返事をする。
それからハッとした様子でくるっとラウトの方を向いた。

『キュ、キュウ?』

「ん?あぁ大丈夫だよ。
しばらく治療すれば良くなる。軍がどうにかしてくれるだろ。」

『キュイ!』

ふと、ムンベイは疑問に思う。

「エクサが言っていることが分かるの?」

「ん〜、しばらく聞いていたら分かってきたかな。
大体言いそうなことは予想ついてるし。」

『キュイ?』

これについても、エクサには自覚がないらしかった。

「まあいいわ。
明日にはレモリーノコロニーに着いてなきゃいけないから、用意しておいて。」

「あぁ、すぐ終わるよ。」

『キュイ、キュイイイイ!』

こうして彼らの旅は始まった。

 

「あたっしは〜(キュアッ♪)荒野の〜(キュアッ♪)
運び屋さ〜〜〜(キュ〜キュアッキュ、キャッキュオ〜〜♪)」

とある荒野を走行するグスタフ。
今は荷台に荷物がないため、前のトレーラーに赤いレドラーと水色のオーガノイドが乗っている。
その水色のオーガノイド、エクサはムンベイとともに歌なんかを歌っていたりする。
そのグスタフの中の席には、陽気に歌を歌いながら運転するムンベイと、
後ろで外を眺めているラウトがいた。

「なんか、巻き込まれたな…。
まぁ、運び屋は顔が広いから旅をしている分には助かるけど。」

そんな陽気な歌を聴きつつ、ラウトはそんなことをぼやいていた。
もうこの状況には諦めきっている。

「ふぅ。いつまで続くやら…
一体次の町へは何時着くんだ?」

「ん?
何か言った、ラウト?」

話が少し聞こえたのか、ムンベイの視線が振り向いてきた。

「…何も。ただの独り言。
次の町までどれくらいかかるかなぁ〜って。」

ラウトは普通そうにそう言って、何とか危機を回避した。

「次のコロニーへは…
そうね、今日の夕方には着くはずよ。」

「そう。
あ〜、ずっと座ってたら腰が痛くなった!」

そう言ってラウトはのびをした。
レドラーで行けば、こんなに時間はかからないのだが。
待っているだけというのも、なかなか酷である。

「そうね。
そろそろお昼時だし、どこかでちょっと休憩しましょ。」

「…ちょっと地図を見せてくれないか?(…なんか、嫌な感じがするんだよなぁ)」

そう言ってラウトは頭をかいた。

「そこに置いてあるわよ。」

ムンベイはそう言って、前の助手席に広げてある地図を指差す。
ラウトは立ち上がってその地図を取る。
どういう訳か、少々浮かない顔をしていたが。
それでも自分たちのいる位置を確認し、ざっとその周辺を指でなぞる。

「えぇっと…通り道にはコロニーはない、か。
どこか風を遮られるところは…」

そう言って再び地図をなぞる。
そんなことをしているとき、エクサは何かに反応した。

『キュアアッ?』

「…?どうかしたか、エクサ?
何かあったか………?」

「何?どうかしたの?」

ラウトは、身を乗り出して辺りを見渡した。
そして、何かを見つけ、その一点を指差した。

「あれ。」

「え?」

ラウトが指を差した先には、何やら岩が群生している場所が見えていた。

「そうね。
寝泊まりするのならともかく、ご飯を食べるのには問題ないでしょ。」

進路からはややずれてはいるものの、休憩するにはもってこいの場所だったため、
彼らはそこで昼食を取ることにした。
だが、岩が林立しているだけだと思われた場所は、実際は違っていた。

 

「何だ、ここ…」

ラウトがそれを見つけたのは、
ムンベイに頼まれてキャンプをするのに適した場所を探している最中だった。

「遺跡か?これは…」

入り口だけが見えていて、あとはどうやら地下になっているらしい。

「ちょっとラウト!
いい場所見つかったの?」

「ここ、遺跡の一部らしいみたいだぜ、ムンベイ!」

「はぁ?」

ムンベイが来た。
ラウトが言ったことが分からなかったらしい。

「だから私は、キャンプの場所は見つかったのかって聞いたのよ!」

「…ここ、遺跡なのか?」

ラウトはムンベイの言うことを無視して、
もう一度同じ事を言って、その遺跡の入り口らしいところを指した。

「…あら?本当だ。
こんな所にも遺跡があったのね。
そう言えば、いつだかこの近くで遺跡が見つかって、
軍の調査隊が派遣されたっていう話を聞いたことがあるわ。」

「ふうん。その遺跡か?
これは……」

ラウトは不思議そうにその穴の中を覗き込む。中は真っ暗だった。

「あぁあと、キャンプはあっちら辺がいいんじゃないか?」

やっと本来の仕事を思い出し、ちょうど良さそうな場所を指す。

「あそこね…まぁいいわ。
早く準備をしちゃいましょ!」

『キュアオオン!』

ムンベイがそう言ったその時、ちょうどエクサが鍋をくわえて手で支えつつ歩いてきた。
しばらくムンベイと行動を共にしているうちに、自分ができることを頑張って覚えたのだ。

「あら、ありがとうエクサ。
出すところからやってくれたのね。」

「昔っから器用だよな、エクサは…」

『キュアアッ!…キュウ、キュアッ?』

エクサは嬉しそうに返事をしたが、二人の背後にぽっかりと暗い穴があいているのが気になったらしい。
首を傾けてしきりにそちらを気にした。

「遺跡だよ、多分。
それより、速く準備をしてしまおうぜ!」

『キュアアァッ!』

そして彼等は遺跡のことを忘れて、昼下がりの一時を過ごした。
だが、そこを立ち寄らないで先を行くことを、彼らの運命は認めはしなかった。

────────────────────────────────────────────────

*アトガキモドキ*

ふぅ。
やっとキースのセリフの所まで書けた(汗)
でも何やらパクリ気味(爆)
前回もそうだったけど…次回はなんとか。
次はウルトラ…と思っていたけど、一つ話が入っちゃうんだよな(オィ…)
こんな物になってしまいましたが、よろしくお願いします。


シヴナさんから頂きました。
久々に冒険ものでワクワクしてます。
うちのキースの科白も出てきたし。
メンバーでは一番年上だから、いろいろと考えてたりします。
さて、今後、ムンベイ達を待ち受けるものは?
続き、楽しみにしてます。
シヴナさん、どうもありがとうございました。

 

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